ビヨンド・ザ・ストラトス   作:アオトル

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この日、

虹を越え、

この世界に辿(たど)り着いた男達が出会う



第9話 虹を越えた男達

今日はIS学園で授業か。…1年1組、ここだな。

 

「みんなおはよう。」

 

「「おはようございます。」」

 

「授業を始めよう。と言いたい所だが…。何かあったのか?何故、入学初日からこんなにギスギスしているんだ。」

 

一夏は教室に入った時から教室内のギスギスした雰囲気を感じ取っていた。

 

「はいは~い。織斑先生~。私が説明しま~す。」

 

「君は確か布仏本音さんか。」

 

「そうだよ~。え~と、昨日の事なんですけど~。」

 

「ふむ。」

 

「クラス代表を決める時に~、セッシ―があんまり良くない発言をしちゃったんですよ~。」

 

「良くない発言?」

 

「え~と、日本は後進的だ~とか、極東の猿だとか~、そんな感じです。」

 

「…それは問題だな。 セシリア・オルコット代表候補生、少し良いか。」

 

「あら、織斑先生、どうかなさいましたか。」

 

「あぁ、まず、確認したいことが有る。」

 

「なんでしょう。」

 

「君は自分が何の肩書を持って入学したか分かるかい。」

 

「えぇ、もちろんですわ。(わたくし)誉れ高き(ほまれたかき)イギリス代表候補生、セシリア・オルコットですわ。」

 

「そうか。それじゃあセシリア・オルコット。教師として、大人として、いくつか指摘しておこうか。」

 

「はい?なんですの?」

 

「まず、君は誉れ高き(ほまれたかき)と言っていたが、それは君が公の場で差別発言をしても良いという理由にはならない。」

 

(わたくし)は…」

 

「待つんだ、セシリア・オルコット。まだ途中だ。」

 

「…はい。」

 

「次に、代表候補生とはその名の通り、いずれ国家代表操縦者になる()()()()()()者の事だ。つまり自身の所属する国の威信を背負うわけだ。当然相応しい品位を持っていなければならない。君の差別発言に国の威信を背負う者の品格が有ったかな?」

 

「それは…」

 

「まだ有るぞ。そもそも君は候補生だ。君以外にも国家代表を目指している候補生は大勢いる。つまり、替えが利くわけだ。君が国家代表にふさわしくないと判断されれば容赦なく振るい落とされる事になる。」

 

「なっ」

 

「それに、君は日本は後進的と言うが本当にそうなのか?ISは日本が発祥だぞ。それに、極東の猿と言うが、それはつまり僕や千冬に束の事もそう思っているという事だな?」

 

「い、いえ、違いま」

 

「そして最後に、君は貴族の家柄だと聞くがハッキリ言うとそうは見えない。僕は()()()()()を知っているが、彼と比べると君はまるで貴族ごっこをしている子供だ。それも悪徳貴族の。」

 

「なっ、なんですって!」

 

「さて、セシリア・オルコット。さっき僕が指摘したことを踏まえて冷静に、第三者の目線で、自分の行動を考えてくれ。」

 

「・・・」

 

「解ったかい?」

 

「・・・えぇ、理解しました。確かにあなたの仰る(おっしゃる)通りですわ。皆さん、申し訳ありませんでした。」

 

「いいよ、いいよ別に…」 「ちゃんと謝ってくれたし、それでいいよ。」

 

「有り難うございます、皆さん。ですが、織斑先生、(わたくし)を貴族もどき呼ばわりしたことは訂正してください。」

 

「申し訳ないが、少なくとも今の君はその通りだと思う。」

 

「分かりましたわ。それでは織斑先生、あなたに決闘を申し込みますわ。そこで(わたくし)の貴族としての誇り、そして代表候補生としての実力、お見せして差し上げます。」

 

「…まぁ、いいだろう。三日後の放課後にアリーナの使用許可を取っておく。ふっ、君の自信や実力を見せてもらおうか。」

 

「望むところですわ。」

 

「さて、話はついた、これから授業を始める。かなり脱線したから巻いていくぞ。」

 

「「はい‼」」

 

 

 

「三日後の放課後ですね。でしたら第2アリーナが利用可能です。」

 

「それでお願いします。」

 

「分かりました。では、こちらの書類に記入をお願いします。」

 

「分かりました。・・・書き終わりました。」

 

「拝見します。・・・確認できました。」

 

書類の切り取り線を切り取って一夏にそれを手渡す。

 

「アリーナを使用する際はこれをアリーナの受け付けにお渡しください。」

 

「分かりました。有り難うございます。」

 

「ご武運を。」

 

 

 

 

放課後:MS学園・応接室

 

 

そこでは一夏とバナージが向かい合って話をしていた。

 

「さて、バナージ君。MS学園での生活はどうだ?」

 

「はっ、はい…。皆いい人ばかりですから上手くやっていけてます。クラスの皆とも友達になりましたし。」

 

「そうか、それは良かった。ところで入学試験の時、()()()()にMSに乗ってみてどうだった?」

 

「えぇーと、そうですね。確か、ジェガンでしたっけ。良かったと思います。ただ、機体の反応速度が少し気になりました。」

 

「なるほど、参考になったよ。 一応、ジェガンは新型機なんだがな。」

 

「えっと、その、すいません。」

 

「いや、別に構わないよ。 君も、ニュータイプとして覚醒しているのだから当然と言えば当然さ。」

 

「…ニュータイプ? …っ‼ もしかして貴方も!」

 

「あぁ、君の考えた通りさ。」

 

「やっぱり、あっちの世界から来たんですね。」

 

「そうだ。あの世界での名前はアムロ・レイだ。」

 

「貴方があの伝説のパイロットの⁉」

 

「伝説云々(うんぬん)は別として、僕は君の知るアムロ・レイで間違いない。」

 

「そうなんですか。…まさかこんな形で会えるとは思ってませんでした。」

 

「僕も同じ気持ちだ。まさか、僕以外に転生した人がいるとは思いもしなかった。」

 

「そうですね…」

 

「それからもう一つ、君に伝えておくことがある。」

 

「何ですか?」

 

「近いうちに君には専用機が与えられる事になっている。」

 

「専用機ですか。でもどうしてですか?」

 

「簡単に言えば君が優秀過ぎるからだな。知っているかい?実技試験の後、君が乗った機体のメンテナンスをしたんだが、負荷がかなり掛かっていたみたいでね。恐らく、君の操縦技術に機体が付いていけてないんだ。量産機とはいえ、使う度に部品の交換が必要になるとコストが掛かるし、何より他の生徒が使える機体数が減ってしまうからな。これらの事情から君に専用機が与えられる事になったんだ。」

 

「…すみません。」

 

「いや、別に何の問題も無い。いずれにしろ、君がバナージ・リンクス本人だと分かった時点で専用機を与えるつもりだったからな。」

 

「そうなんですか。…ところで気になったんですけど、もしかしてあっちの世界での俺の事を知っているんですか?」

 

「あぁ。君達の事は見ていたよ。もっとも、その時には既に人ではなくなっていたけれどね。」

 

「…なるほど、そうだったんですか。」

 

「あぁ、そうだ。 さて、話したかったことは以上だ。これからの学園生活を楽しんでくれ。」

 

「分かりました。 それじゃあ失礼します。」

 

 

バナージはそう告げると部屋から退出していった。

 

 

「さて、彼がバナージ・リンクス本人だと確認できたのは良かった。彼はきっと僕らの心強い味方になってくれるだろう。」

 

そう呟きながら一夏は束から渡された報告書を読んでいた。

 

「そうなると、こっちの開発も進めないといけないな。最近はきな臭い話もよく聞くようになっている。少し急ぐ必要があるな。」

 

 

一夏は、一通り読み終えた資料を閉じてタイトルを見る。

 

そこには、『サイコミュ、並びにサイコフレームに関する報告書』と書かれていた。

 

「また忙しくなるな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、イチカ。」

 

「どうした?ハマーン。」

 

「貴様、確か、セシリア・オルコットと決闘の約束をしたそうだな。」

 

「あぁ、そうだ。なんだ、心配してくれるのか?」

 

「戯け、そんな訳がないだろう。ハンデはどうするつもりだ。」

 

「そうだな、今のところ、ビームサーベル一本で行くつもりだ。」

 

「そうか、それが妥当だろうな。ビームライフルを使おうものなら、あっという間に決着がつくだろう。」

 

「そうか?」

 

「そうだ。 ふむ、面白そうだから私も見学させてもらおう。」

 

「あぁ、別に構わないよ。」

 

「そうか。 一応言っておくが負けるなよ。貴様は強い男だ。私を失望させないでくれ。」

 

「もちろんそのつもりだ。」

 

「ならいい。それじゃあ、また明日。」

 

「あぁ、また明日」

 




最後まで読んでいただき有り難うございます。

面白いと思っていただければ幸いです。


一夏とセシリアの決闘が決まりました。どうやったら決闘に持ち込めるかを考えた結果、今回のような展開になりました。

因みに、三日後に行うのもハンデです。一夏は専用機を持っているので、本当はその日の放課後にも行う事が出来ました。

今回、バナージ・リンクスもこの世界へやって来ていたことが判明しました。

何故、どうやって、この世界に来たかはガンダムUCの最終回を見たら解ると思います。

彼の死後、その魂が虹を越え、この世界に流れ着いた感じです。

因みに、バナージは容姿がそのままなので一夏(アムロ)はすぐ気付きましたが、アムロは容姿が宇宙世紀と異なっているので、バナージは一夏がアムロだと気付いていませんでした。

最後の報告書は、束が研究し、その内容をクロエが纏め、出来た物を束に確認してもらった物です。


:感想返信のコーナー:

箒との関係ですが、箒は一夏の事を、姉の親友でありストッパーの強くて優しいお兄さん、一夏は箒の事を、普通に束の妹や束に苦労させられている苦労人と見ています。 ただ、中身はもう大人だという事やクエスの件が原因で、小さい子に対する接し方に気を付けています。

MSに関しては一応、ある程度決まっていますが、参考までに、登場するキャラクターの機体でこんなモノが有る、こんな機体はどうか?等と教えていただければ幸いです。 考慮させていただきます。

感想を書いていただき、有り難うございました。
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