ビヨンド・ザ・ストラトス   作:アオトル

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この日、アムロは重要な出会いを果たした。

そしてこの出会いは、後の歴史を変えることとなる。


第2話 出会い

さて、現状の確認をしよう。

施設を脱出してからしばらくの時が経ち、僕らの生活は安定してきた。僕は学校に通う時間以外は、料理や買い出しに洗濯物、掃除にバイトなどの基本的に生活に必要な事をしていた。

脱出後に運良く出会った親切な老人のおかげで、僕らは戸籍や家を手に入れることができた。ここまでしてくれたことには大いに感謝しているが、さすがに生活費までねだるのは気が引けたので自分で稼ぐことにした。

バイトは最初は大変だった。仕事をこなせないという意味ではなく、年齢的に問題が有った。まず、普通の業務はできないので、問題の無いモノを探すことに手間取った。また、見つけたとしても認めてもらう必要があった。これに関しては幸い、僕は中身が大人であるため問題なかった。 また、千冬が働こうとするのを説得するのも大変だった。僕は中身が大人だから学校に通う必要性はほとんど無いが、千冬はそうじゃないから彼女の為にも勉学に励んでもらわないと。千冬が勝手に働かないよう念のため、習い事で剣道の道場に行かせることにした。とまぁこれが今の僕らの現状だ。

…そういえばあのおじいさんは何者だったんだろう。ただのお人よしではないのだろう。家だけならともかく戸籍まで用意できるなんて普通の人間ではないと言っているようなものだ。なぜなら、僕らは正真正銘、親が存在しない。当然、身元確認なんてできないから戸籍を得ることは不可能だ。それに、正体がばれた時に人間扱いしてくれるかも怪しい。僕らの出生に関する法律は曖昧なんだ。なのにそれを用意できた。それも”完璧で怪しい部分が存在しない”モノを。

…考えても仕方ないな。余計な詮索はせずにご厚意に甘えておこう。

 

 

 

 

「ただいま~」

 

千冬が帰ってきたみたいだ。

 

「おかえり。ん?そちらは?」

 

「ああ、彼女は…」

 

「やっほ~。篠ノ之束だよ~。君がちーちゃんの弟君かな?ハロー。」

 

「あ、ああ、そうだ。僕は織斑一夏、千冬の弟だ。」

 

「そっかそっか~。…じゃあいっくんて呼ぶね~。」

 

「そうか。君はもしかして千冬の友達かな?」

 

「そうだよそうだよ~。ちーちゃんは束さんの親友なのだ~。」

 

「おい。何を勝手に…」

 

「そうかそうか。千冬に友達が… 今日は赤飯かな?」

 

「一夏も乗るな!」

 

「ハハッ、悪かったよ。それで、束さんは家に遊びに来たという事でいいのかな?」

 

「そうだよ~。」

 

「分かった、それじゃあ千冬と遊んでいてくれ。お菓子でも用意しよう。」

 

「は~い。じゃあちーちゃん行こ。」

 

「えぇい、引っ張るな!」

 

「元気だな。さて、用意するか。ちょうどこの間作ったクッキーが有ったな。」

 

 

 

「さて、お菓子持ってきたぞ。って何を見ているんだ?」

 

「ねぇねぇ。いっくん。これなに?」

 

「ん?ああそれかい?僕が設計したペット・ロボットさ。」

 

「…これ明らかにペットの域超えてるよね。搭載してるAIもレベル高いし、とっても頑丈だし、ディスプレイとキーボードもついてるし…」

 

「…そうだな。」

 

「じゃあこっちは?」

 

「ん?これはガンダムの設計図じゃないか。さては二人とも、勝手に僕の部屋に入ったな。」

 

「すまない一夏。こいつが言うこと聞かなくてな。」

 

「ちーちゃんも一緒に入ったじゃん。」

 

「そ、それは。」

 

「別にいいよ。特に見られて困る物なんてないからね。それで、それがどうしたんだい。」

 

「これっていっくんが設計したの?」

 

「ああそうさ。モビルスーツ・型式番号RX-78-2・ガンダム、それがこの機体の名前さ。」

 

「ガンダム… すごいねこれ。核融合炉を搭載してたりビーム兵器を搭載してたり。まぁ、設計には特におかしな部分は無いけど、今の技術力じゃあどこにも作れないだろうね。ねぇ、いっくん。これこの通り作れたら動くよね?」

 

「すごいな束さん。その通りだ。」

 

「ふふん。天才に掛かればこれくらいすぐに理解できるのさ。」

 

 

それから少し、束と一夏はこれらについて話をしていた。

 

 

「…何を話しているのかさっぱりだが、つまり一夏はすごいという事でいいんだな?」

 

「大雑把だねちーちゃん。でもその通り。いっくんはすごいんだよ!!」

 

「大袈裟だなぁ。そんなことないよ。」

 

「そんなことあるよ!! そうだ!今度うちに来てよ。見せたいものが有るんだ。」

 

「見せたいもの?」

 

「うん。今私が作ってるものなんだけど、いっくんに見てもらいたいなって思って。」

 

「なるほど。いいぞ。役に立てるかはわからないが。」

 

「やった~!!じゃあ待ってるね!!」

 

「そうだ一夏。こいつの家は私が通っている道場をやっていてな。せっかくだから私が稽古している所を見学したらどうだ?」

 

「そうだな、せっかくだし、千冬のかっこいいところを見てみたいな。」

 

「じゃあ決まりだね~。 ん~ん 美味しい。これどこのクッキー?」

 

「僕の手作りだ。」

 

「本当⁉今度また作ってよ。」

 

「ああ、構わないよ。」

 

「やった~!」

 

「一夏、私にも…」

 

「大丈夫。千冬の分もあるよ。」

 

「そうか、良かった。」

 

 

それからしばらく、学校ではどんな感じなのか?他には何か思いついた設計図はあるのか?他に作れる美味しいお菓子や料理は何か?等、3人で会話に花を咲かせていた。

 

 

 

 

「そろそろ時間だな。」

 

「えぇ~。もうこんな時間なの~?」

 

「続きはまた今度だな。」

 

「まぁ仕方ないっか。それじゃあまた今度ね~。」

 

 

そう言って束さんは帰っていった。

 

 

 

「何というか、元気な子だったな。」

 

「元気すぎるがな。」

 

「まあいいじゃないか。」

 

「だが、あいつがあんな態度を取るも私達だけだがな。」

 

「どういうことだ?」

 

「あいつはコミュニケーション能力、いや、他者との会話が困難なんだ。」

 

「なに?」

 

「あいつは自身が興味を持った人間以外には一切興味を持たないんだ。それこそあいつにしてみれば、ほとんどの人間がそこら辺に転がってる石ころ程度にしか見えていない。 一夏、お前は石と会話する事ができるか?私には無理だ。あいつが誰かと会話するというのは多分こういう事なんだろう。 今、あいつが人として認識できているのは私と一夏、そしてあいつの妹の篠ノ之箒ぐらいだな。あいつの両親すら、ぎりぎり人として見ているかいないかというレベルだ。 重症だな。」

 

 

「…そうか。 なら放ってはおけないな。」

 

「…あぁ、そうだな。」

 

 

 

 

 

これが僕と、天災・篠ノ之束の出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばここにあったクッキーはどこに行ったんだ?」

 

「それなら束が全部持って帰ったぞ。」

 

「…今度会う時に何か作って持っていこうかな?」

 




最後まで読んでいただいて有難うございます。 面白いと思っていただければ幸いです。



前話の感想、有難うございました。できる限り返信できるものは返信しようと思います。

題名のビヨンド・ザ・ストラトスは、映画、機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの主題歌、Beyond The Time が元ネタです。
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