ビヨンド・ザ・ストラトス   作:アオトル

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一夏とインフィニット・ストラトスの出会いから約5年。

彼らは未来(あす)への一歩を踏み出そうとしていた。




第4話 未来(あす)への一歩

さて。僕らが束の『夢』を手伝うことを決めてから、5年と少しの時が過ぎた。それなりの期間が過ぎたがとても忙しい5年だった。 まず、束さんには起業をしてもらった。会社の名前は篠ノ之インダストリーズだ。この会社は、束と僕が共同で開発した商品を販売し、そこにインフィニット・ストラトスに使われる技術を含む新技術を取り入れることで、来る日の為に世間に慣れさせることを目的とした企業だ。無論、その為にも顧客を第一に考えている。だが、会社の目的が目的だから株式の上場はしていない。 起業してすぐはかなりの借金をした。扱う商品が商品だから問題ないと想定していたが、それでも思わず竦んでしまうほどの金額だった。 最初は、会社や工場などの施設を建てるための広大な土地の購入や、信頼できる従業員の雇用、資材の入手ルートの確保に、販売時の企業アピールなど、本当にやる事がたくさんあった。 最初は見向きもされなかったが、自ら使用することで身近なところから広めていき、今では次々と素晴らしい製品を作る凄い会社、というイメージの獲得に成功した。 子供にはハロや最新のゲーム等が、大人にはまるでSFの様、という事でホバー機能の付いた車や輸送車が人気になった。その他の商品も順調に売れている。

そしてついに、インフィニット・ストラトスの技術が使われている商品を販売しようとしていた。

 

 

 

 

 

「管制塔。間もなく着陸する。」

 

『了解しました。誘導ビーコンに従ってください。お疲れ様です、一夏様。重役の皆様の反応はいかがでしたか?』

 

「なかなかいい反応だったよクロエ。みんな満足していたよ。」

 

『それは良かったです。いい返事を得られそうですね。』

 

「そうだな。 さて、そろそろ着陸態勢に入る。」

 

『了解しました。』

 

 

 

今僕と通信していたのはクロエ・クロニクルという女の子だ。 この子は僕らと同じ作られた命で、束がどこからか連れてきていた。今では立派な会社の一員だ。

ところで今僕が何をしているかというと、新商品である旅客機の体験飛行だ。事前に機体に関する説明を行った各航空会社の重鎮を載せて、実際に体験してもらっている。

今飛ばしているのは、ガルダ級中型旅客機という名前の旅客機だ。これは宇宙世紀のガルダ級超大型輸送機を参考に建造されたものだ。 この機体にはPICやカスタムウィングに拡張領域、ハイパーセンサーやシールドバリアーが搭載されている。 このほかの画期的な技術も搭載しているが、インフィニット・ストラトスの機能を搭載したものはこれが初めてだった。

 

 

 

 

 

 

 

(読者に向けた作者からの説明です。)

ガルダ級中型旅客機

全長:120m 全幅:200m

オリジナルのガルダ級は、この時代には大きすぎるので縮小されている。

この機体はPICとカスタムウィングを用いた安定した飛行が可能である。

シールドバリアーは機体を外部からの様々な問題(空気抵抗や雹に凍結や雷など)から守っている。 これに、PICやカスタムウィングが加わることで燃費の良さが向上した。

拡張領域のおかげで、飛行中に提供できるサービスが、従来よりも遥かに多くなった。 この拡張領域には区画ごとに異なるモノが有り、厨房には様々な料理や食材に、飲み物などが収納されている。 本機にはドクタールームが有り、そこには医療に必要な機材や薬品が収納されている。また、整備士の待機室も有り、そこには整備に必要なモノが収納されている。貨物室では乗客の積み荷が収納されている。 

前述した中にある特殊な部屋は、万が一を想定したものである。

ハイパーセンサーは大気圏内用のモノを搭載しており、周囲の状況を正確に確認する事ができる。

この機体は様々な状況を想定した設計になっている。

例:墜落、着水、からの沈没、異常気象など

また、この機体には輸送機バージョンも存在する。

なお、空港は従来の機体が対象となっているので、本機は一部を従来の旅客機に合わせている。

 

以上で説明を終了する。

 

 

 

 

 

 

この機体、最初はやはり、何を言っているんだ?という反応をされたが、何とか説明し、実際に乗せて飛行することで納得してもらった。実際に体験した彼らの反応はとても良かった。因みに航空機の免許は、昔取った杵柄ということで簡単に合格した。 さて、着陸も成功したし、降りるとしよう。

 

 

「いかがでしたか?我社の最新鋭旅客は。」

 

「いやぁ、実に素晴らしいモノでした。」

 

「ありがとうございます。」

 

「因みにこちらは幾らの値がしますか?」

 

「現時点ではこのくらいです。」

 

「…安くないですか。」

 

「ご心配には及びません。運航後、機体は全て我社の指定した飛行場に向かい、そこでメンテナンスを行ってもらいます。その際に費用を頂く形です。」

 

「なるほど、長期的な形での収益ですか。」

 

「はい。メンテナンス費用も無理のない額に設定しております。更に、この集中メンテナンスにより、情報漏洩の防止や事故の減少に期待ができます。」

 

「ふむ。よく考えていますな。」

 

「恐縮です。」

 

「分かりました。最初は何を言っているのか全く理解できませんでしたが、実際に乗ってみて分かりました。これは良いモノです。我社は是非採用を検討したいと思います。」

 

「うちも同じです。」

 

「わが社も同じく検討させていただきます。」

 

「ありがとうございます。お帰りの際にいくつかの資料をお渡しいたします。」

 

 

そうして彼らが帰った後。

 

 

「ねぇ、いっくん。どうだった?」 

 

「好評だったよ束。たぶん幾つかは採用すると思うよ。」

 

「本当! やったー!」

 

「よかったな束。」

 

「うん、いっくん、ちーちゃん、本当に有難う。」

 

「だけど束。これはまだ初めの第一歩だ。夢まではまだまだ先だぞ。」

 

「うん。それでもやっぱり嬉しいよ。」

 

「皆様、お茶をお持ちしました。」

 

「ありがとうクロエ。もらうよ。」

 

「クーちゃん、お茶入れるの上手くなったね。」

 

「はい。一夏様に教えていただきましたので。」

 

「なるほど、それは納得だな。」

 

「でもいっくん。あの人達よく信じてくれたよね。五つもISの技術詰め込んだのに。」

 

「束。その理由は簡単さ。それはこの会社のブランドのお蔭だよ。」

 

「ブランド?」

 

「そう。簡単に言うなら信用かな。僕らはこれまで、様々な最新技術を用いた商品を作ってきた。それによってこの会社には、【最新技術を用いた素晴らしい商品を作る会社】というイメージが定着したんだ。 だから彼らは思ったんだ。『また見たことが無い技術があるがどうせこの会社のことだ。きっと凄い物に違いない。』てね。だから彼らは馬鹿な話とは考えず、実際に体験してそれがどんな物なのかを確認しようとしたのさ。」

 

「なるほど、そこで従来の物とは比べ物にならない性能を目の当たりにした事でこの技術を信じた、という事だな。」

 

「その通り。まずは信じて貰う土台を作らないと。もし、いきなりこの機体を出していたら、訳の分からない会社と思われていただろう。」

 

「いっくんは凄いね。」

 

「そんなことは無いさ。会社を経営するなら信用が第一ということは誰でも知っている事だ。束はまだ、他人を理解できていないから思いつかなかっただけさ。」

 

「そっか。そうだよね。」

 

「あぁ。束が一人で納得して一人で使うならまだしも、発表して誰かに認めてもらうには、その誰かが理解してくれないといけないからな。」

 

「だから二人とも、あんなに私が会話できるようにしようとしてたんだ。」

 

「そうだぞ、束。一体私達がどれだけ苦労したか。」

 

 

「さて、僕らは大きな一歩を踏み出した。だけどまだ一歩だ。先はまだ遠い。だけど僕らはその大事な一歩を踏み出せた。これからも頑張ろう。」

 

「あぁ」

 

「うん」

 

「はい」

 

 

 

数日後。各航空会社はガルダの導入を決定。この事はニュースとなり、その従来とは一線を画する機体に、世間の大きな注目が集まった。

これにより、計画はさらに一歩前へ進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、じゃあ皆んな。お祝いで美味しいものでも食べよっか。私が費用持つよ。」

 

「さすが社長!分かってますね!」

 

「よっ!束社長は世界一!」

 

「ごちになります。」

 

「ありがとうございます!」

 

「ちくわ大明神」

 

「おい、誰だ今の。」

 

 

「お前達!やかましいぞ!騒ぐのは後だ!早く騒ぎたいなら今日の仕事を早く終わらせろ!いいな!」

 

「ちーちゃんが怒った!」

 

「イエス・マム‼︎」

 

 




最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

面白いと思っていただければ幸いです。


因みに一夏が束と呼んでいるのは、前回の後に、束と呼ぶようにお願いされたからです。 本人の感覚としては、逆襲のシャアでアムロがブライトを呼び捨てしていた感覚に近いです。


感想返信のコーナー

感想にて、一夏の容姿等について意見がありましたが、自分のイメージと違う、とならない様、容姿については特にこれといった設定は有りません。 皆さんのお好きな織斑一夏(Ver.アムロ・レイ)を想像してください。
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