だが、彼らに不穏な影が迫る。
ガルダ級が採用されてから数日後…
篠ノ之インダストリーズには警報音と悲鳴が響いていた。
「クソがッ!ただ襲撃して、最新技術を奪うだけの楽な任務じゃなかったのかよ!なんなんだよアイツは!あんなのが居るなんて聞いてねぇぞ!」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。逃げるわよ。急ぎなさい、オータム。他の部隊が応戦している隙に逃げるのよ。」
「クソ。本当になんなんだよあの化け物は!戦闘ヘリやら、戦車やら、対戦車砲やら、本部が本気出して送ってきた増援が全然効かねぇじゃねぇか!」
「ほら、ぼやいてる暇が有ったらさっさと逃げる!」
「分かってるって、スコール。」
そうして二人は何とか逃げ出すことに成功した。
あたりに警報が鳴り響き、あちこちで黒煙が上がる中、ガシン、ガシンという音が響く。そして、黒煙の中からツインアイを輝かせて黒と赤のロボットが現れた。
「束、聞こえるか?二人ほど逃がしたが迎撃には成功した。そっちはどうだ?」
『聞こえてるよ~。こっちは大丈夫。皆いっくんの方に行っちゃったみたいだからね。』
「そうか、それは良かった。千冬。そっちはどうだ?」
『一夏か。こちらも片付いたぞ。』
「了解。そっちにも警備員が拘束しに向かうと思うからそれまで待機していてくれ。」
『分かった。周囲を警戒しておく。』
「それから二人とも。後で話が有るから落ち着いたら束のラボに集合してくれ。」
『はいは~い。』
『分かった。』
はぁ、これは計画を早める必要が有るな。
約1時間前。
突然警報が鳴り響く。
一夏はすぐにセキュリティルームに向かった。
「どうしたんだ?」
「一夏さん。それが、飛行場の管制塔からの通信で、レーダー型ハイパーセンサーが所属不明機を多数キャッチしたとの報告が。」
「分かった。それが何なのか解るかい?」
「現在照合中です。 出ました。この動きは…攻撃ヘリコプターに近いです。」
「念のために確認するが、来客の予定はあったか?」
「いいえ。ありません。」
「分かった。それじゃあ未確認機に対して警告を行ってくれ。」
「了解しました。」
すると別のオペレーターが声を挙げた。
「一夏さん!第一ゲート付近のセンサーが反応しました。映像出します。」
そこに映っていたのは装甲車や戦車、それに歩兵の存在だった。
そして、歩兵がロケットランチャーを発射してゲートを破壊した。
「…まさかこれほど派手に仕掛けてくるとはな。 総員に通達。緊急事態コード・レッドを発令。マニュアルに従いつつ臨機応変に対応してくれ。」
「了解しました。」
それからすぐに敷地内にコード・レッドの警報が鳴り響いた。
すると束から連絡がきた。
『いっくん。今すぐ第0格納庫に来て。』
「…分かった。すぐに行く。」
「みんな。僕も行動するからここは頼んだ。」
「「了解。」」
そして一夏は第0格納庫へ向かった。
「束、僕をここに呼んだという事は… 」
「うん。いっくん。これを使って鎮圧してくれない?そしたら性能テストにもなるし。」
「…本当にいいのか?この状況で使うという事は…」
「分かってる。でも、今ここで立ち止まるわけにはいかないよ。あいつらの狙いは間違いなくここにある最新技術だ。もし、これを奪われたら今までの事が水の泡になっちゃう。そんなの嫌だよ。」
「…分かった。もう覚悟は決まってるみたいだな。」
「うん。もう逃げるのはやめる。ちゃんと認めて現実と向き合うよ。もう、どれだけ避けようとしても避けられないって、今分かったんだ。」
「そうか。束も成長したんだな。 分かった。それじゃあ、準備してくれ。」
「オッケ~、準備するからちょっと待ってね。 …よし、できたよいっくん。これがいっくんの乗るIS、ガンダムだよ。」
「…黒いんだな。」
「えっ。もしかして色違った?あの設計図、色とか無かったし、ちーちゃんの白騎士と色を区別するためにもって事でこの色にしたんだけど。」
「まぁいいさ。どこかの赤い彗星と違って僕は好き嫌いはしないからな。…さて、準備するか。」
そう言いつつ、一夏はガンダムを装着した。
「機体の調整は出来てるから、後はいっくんに合わせて最適化をするくらいかな?」
「それくらいなら実戦の中でもできるな。発進準備をしてくれ。」
「…いっくん、よくそんな考えできるね。まぁいいけど。 よし。いっくん。発進準備完了、いつでも行けるよ。」
「了解。」
そう言うと一夏は発進カタパルトに足を乗せて踏ん張る。
「ガンダム、行きます!」
カタパルトが一気に動き、一夏のガンダムが射出された。
(さて、あいつの言葉を借りるのは癪だが…)
「見せてもらおうか。束の作ったガンダムの性能を」
時は戻り
束のラボ
「いっく~ん来たよー。」
「待たせたか?」
「いや、大丈夫だ。それよりも重要な話がある。」
「それってやっぱりISの事だよね。」
「ああそうだ。今回の件でISの兵器利用が可能であることが証明されてしまった。だから計画を少し修正しようと思うんだ。」
「修正?」
「あぁ。これまでは少しづつ行う予定だったがそうも言えなくなった。今回の襲撃犯はどこかの軍の部隊と言われてもおかしくない充実した装備だった。それを僕たちだけで撃破してしまったんだ。間違いなくISの事はバレる。だからその対策をする。」
「どんな対策をするんだ?」
「簡単に言えば、これまで広げてきた各国とのパイプを使って今からISの発表の準備をする。」
「待て一夏。それはいくら何でも急すぎないか?」
「そうだよ。いっくんらしくないよ。」
「僕もそう思うよ。だけど今回はすぐに行動しないとまずい。後出しになったら手が付けられなくなる。」
「どういうこと?」
「まず、今回襲撃してきた相手は一企業が相手をするにはあまりに強力過ぎた。軍隊規模の敵だ。普通の企業が勝てるわけがないんだ。なのに勝ってしまった。それもほぼ無傷で。あまりに異常すぎるだろ。何か有るのがすぐ分かる。」
「なるほど、言われてみれば確かにそうだな。全てにおいて異常だ。企業に軍隊規模の戦力をぶつけたのも、それが全滅したのも。」
「ほんとだ。おかしい所しかないや。」
「そうなれば間違いなく嗅ぎまわってくる奴が現れる。それに、こういう情報はどれだけ箝口令を敷いてもいつか漏れる。まぁ、社員のみんなは口をつぐんでくれるだろう。だけどごまかせる期間はそんなに長くない。理由は簡単だ。国が調査を始めるからだ。」
「…そっか。軍隊規模の戦力をほとんど無傷で返り討ちにできる何かを持った企業が日本にある。…うん。そんな企業、国が放っておくわけないよね。」
「そうだ。尤も、これまで築いてきた各方面とのパイプだったり、社会への貢献度だったりですぐには手を出しては来ないだろう。だけどそれも時間の問題だ。こちらが情報を開示しなければ国の安全の為という理由で介入してくる可能性が有る。そうなれば僕らはもう何もできなくなってしまう。」
「なるほど。だから急ぐのか。」
「あぁ。おそらく、長く見積もっても猶予は一ヶ月から二ヶ月だな。それ以上は無理だろう。」
「分かった。じゃあさっそく発表の為の準備をしてくるよ。」
「僕も手伝うよ。それと、ISの扱いに関する法律とかはもうあらかた決めているから、束にはそれの確認もしてもらう。」
「もうそこまでしてたんだ。早いね。」
「幸い、ちょうどいいルールを色々知っていたからな。それを一部、利用させてもらっただけさ。」
「う~ん。いっくんの謎がどんどん増えてく。」
「そうだな。私から見ても解らんことがよくある。」
「はははっ。まぁ、いつか話せる日が来たら話すさ。」
「じゃあ、その日が来るまで待ってるね。」
「約束は違えるなよ?一夏。」
「分かってるさ。それじゃあ皆、準備を始めようか。」
「分かった。」
「おっけ~。」
篠ノ之インダストリーズ襲撃事件から一ヶ月と少しが過ぎた頃。
篠ノ之インダストリーズ敷地内の広場に設置された会見場
「えー。皆さま。本日はお集まり頂き、誠にありがとうございます。早速ですが、本日は我社の篠ノ之博士が開発した発明を発表させていただきます。」
「それがこちら。」
「宇宙開発用に開発されたマルチフォーム・スーツ。 インフィニット・ストラトスです!」
この日、ついにインフィニット・ストラトスが全世界にお披露目となった。
「ところで発表はどんな内容にするの?」
「ISの性能を説明だな。難癖付ける奴がいるかもしれないが、すでに実用化されている技術を使っていると言って黙らせばいいさ。」
「それでもダメだったら?」
「実際にその性能を見せつければいい。」
「どうやって?」
「なに、簡単な事さ。この間NASAとJAXAとのパイプを持っただろ。それを使うのさ。」
「?つまり?」
一夏は人差し指を空に向けた。
「実際にISで国際宇宙ステーションに行けばいいのさ。」
「…えっ。」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
面白いと思っていただければ幸いです。
それから、誤送信をしてしまい申し訳ありませんでした。
:感想返信のコーナー:
まず、今後の社会情勢に関してですが、それは後のお楽しみ?です。
束がここまで変わったのはご指摘の通り、原作には居なかった自身の理解者を得たからですね。
ガルダ級に関してのご指摘は尤もです。ありがとうございました。個人的には縮小したつもりだったのですが足りていませんでしたか。後に挙げる予定の設定集にて、詳しい説明をする際に設定を追加させていただきます。なお、束さんも制作に関わっているので、性能はオリジナルとはかなり異なっているのでご注意ください。