ビヨンド・ザ・ストラトス   作:アオトル

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ISが発表されてから約2か月が過ぎた頃、

想定外な事態が発生。

これにより物語が加速する




第6話 加速

インフィニット・ストラトスの発表から約2か月が過ぎた。

ISの発表は成功した。

やはり、発表の際に先入観からしっかりと考えもせずに、実現不可能、或いは子供の妄想など様々な批判をする者がいた。

だが、これらはあらかじめ想像できたことだったから対処は簡単だった。

まず、使用されている技術はすでに実世化されているものであることを説明し、それでも納得しない人にはこの日のために準備したイベント、ISを使った国際宇宙ステーションへのランデブーのLive配信を見せることで完全に黙らせた。

それからは順調に進み、各国との連携で国際IS条約と共にISは各国に広がっていった。

しかし、各国でISの運用が開始され始めた際に、想定外の問題が発生したことが次々と報告された。

そして現在、この事態に対する会議が社内の重役を集めて行われていた。

 

 

 

 

 

 

 

「いっくん。今回の件なんだけど…」

 

「あぁ、分かっている。今回の件は完全に想定外だった。束に非は無いさ。悪いのは考えが甘かった僕だ。まさか、インフィニット・ストラトスは女性以外には扱えないという欠陥が存在していたなんて。男である僕が動かせていたから完全に油断していた。よく考えてみればISは僕と千冬しか動かしていないんだ。もっと他の社員にも動かしてもらうべきだった。」

 

「でもそうなったら、なんでいっくんは動かせたんだろう?実は女でした、とかないよね?」

 

「大丈夫だ束。僕はれっきとした男だ。今はそれよりもこの状況をどうするかだ。」

 

「うーむ、一夏さん、ここは素直に謝罪するべきではないでしょうか?幸いにも、女性には動かせますからISが有能であることには変わり有りません。なので謝罪で済むと思うのですが?」

 

「いや、君の意見は尤も(もっとも)だがそれだけではだめだ。社会情勢が悪い方向に傾きかねない。」

 

「それはなぜでしょうか?」

 

「簡単な話だ。人間というのは自身よりも劣っている人間がいると、その相手を差別したがるのさ。これは【歴史】が証明している。いわゆる劣等人種というやつだ。今回の場合はおそらく、男性は女性よりも劣っているという”女尊男卑”の考えが世に蔓延し、定着してしまう恐れがある。こうなってしまったら最悪だ。そうなれば、男性と女性の溝が深まるだけでなく、この被害を受けた人々が危険な存在と化してしまうだろう。そして、溜まりに溜まった不満が一気に爆発し、終わりの見えない戦乱の世が訪れてしまう可能性が有る。」

 

「一夏。流石にそれは深読みし過ぎじゃないのか?」

 

「いいや、千冬。これはかなりの確率で発生するだろう。下手をすればもう始まっているかもしれない。皆も聞いてくれ。人間というのは皆が考えているほど綺麗な存在じゃないんだ。人間というのは攻撃的で感情に左右されやすい生き物だ。ほんの些細なことで他人を傷付け差別する。偶に(たまに)立派な人間がいるが、そもそも立派な人間がいるという考えになる時点でそれが人間の本性を示している。人間が皆の考えるように綺麗な存在なら、こんな人間は一般人の中に埋もれて目立たないはずだ。」

 

「イチカ。貴様の言う通りだ。人類はそれほど賢い存在ではない。私はそれをよく知っている。」

 

「ハマーンか。それはどういう意味だ。」

 

「なに、私も嘗て(かつて)それで痛い目に合った、それだけの話だ。」

 

「…そうか。すまない。不要な詮索をしたようだな。」

 

「いや、かまわん。もう過去の話だ。」

 

「まぁ、とにかくだ。このままだとまずい。この間ネットを少し覗いてみたんが、もうすでに過激な女尊男卑の思想が散見している。今は少数派だから多数派に押されているが、各国でのISの運用が本格化すればあっという間に増加するだろう。それまでに手を打つ必要がある。」

 

会議室の空気が重くなる。

 

「一夏様。何か方法はないのですか。」

 

「…ある。」

 

「それはいったい。」

 

「千冬と束はもう知っているだろう。僕のISのモデルになったやつだ。」

 

「あれか。」

 

「確か、モビルスーツだったっけ?」

 

「そうだ。あれは簡単に言うならあれは巨大なロボット兵器だ。それも性別関係なく乗れる。」

 

「だったらそれを発表しましょう一夏さん。それだったらISの問題も有耶無耶になるはずです。」

 

「分かっている。だが、モビルスーツの運用はIS以上に慎重に行う必要が有る。なにせ、モビルスーツはISと違って初めから兵器として作られたモノだからな。」

 

「あれやっぱり兵器だったんだ…」

 

「そうだ。モビルスーツを出すなら他のモノも同時に進めよう。モビルスーツよりも後に完成するだろうけど、今から始めないと地球がモビルスーツで溢れてしまうかもしれないからな。」

 

「何をするつもりだ?」

 

「一言で言うなら宇宙戦艦の建造だな。今考えているモノにISの技術を搭載すれば、建造から宇宙へ飛ぶまでに数年と掛からないさ。」

 

「急ですね、一夏様。それは必要なのでしょうか?」

 

「あぁ。モビルスーツISよりもはるかに大きいからな。そのうえ、誰にでも使えるからISよりも多く建造されるだろう。そうなったらすぐにモビルスーツは飽和状態になるはずだ。それに、これは人類の宇宙進出への足掛かりにもなるだろうからな。やって損はないさ。問題が有るとすれば、これからしばらく忙しくなる事ぐらいだな。」

 

「いっくんの言う通りかな。それにいっくんの言ったようにモビルスーツは兵器だからね。宇宙なら地上よりも安全に運用できると思うよ。」

 

「束や一夏がそうまで言うならきっとそうなんだろう。私はそのあたりよく分からないからな。」

 

「私もそれで構わない。こういう事は中途半端にやるよりも一気に行うべきだ。中途半端にすればそこに部外者が付け入る隙が生まれるだろう。」

 

「なるほど。確かにその通りですね。分かりました。我々もその方針で構いません。」

 

「ありがとう皆。それじゃあ話を纏めよう。ISに関しては謝罪をしつつ、運用方針に関しては現状を維持。新たにモビルスーツと宇宙戦艦建造の発表と、それに関連する国際条約の制定。これで問題ないか。」

 

「おっけ~」

 

「それでいいだろう。」

 

「妥当だな。」

 

「「異議なし。」」

 

「ありがとう皆。それじゃあこの方針で行こう。」

 

 

 

 

 

この3日後、篠ノ之インダストリーズは謝罪会見を開くと同時に、モビルスーツや宇宙戦艦の存在を発表、再び世界の注目を集める事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イチカ。貴様、モビルスーツや人間の本性の話の時に辛そうにしていたが大丈夫か?」

 

「ハマーンか。大丈夫だ。考えうる限り最悪な展開を知っていたからな。そうならないようにしようと考えていただけさ。」

 

「…それはもしや、あのヴィジョンの事か?」

 

「君がどんなモノを見たかは知らないが、おそらくその通りだ。」

 

「…そうか。ならば、それは確実に阻止しなければならないな。」

 

「…そうだな。君も手を貸してくれるか?」

 

「ふっ。愚問だな。貴様には助けてもらった恩も有るが、もとよりそのつもりだ。」

 

「ありがとう。君が居れば心強いな。」

 

「貴様の知る【私】ではないがな。」

 

「構わないさ。今、僕が頼りにしているのは僕の記憶に有る【君】じゃない。今ここに居る【君】だ。頼りにしているぞ。」

 

「そこまで言われたら、その期待には答えなければならんな。」

 

「ありがとう。」

 

「ふっ。どういたしまして。」

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白いと思っていただければ幸いです。



会議の際に重役の皆さんに混じってハマーン様が登場しました。

このハマーン様は宇宙世紀の【記憶】を持っていない事を除けば、ほぼ全て読者の皆さんの知るハマーン様です。

つまり、インフィニット・ストラトスの世界出身のハマーン様です。

なので、オリジナルのハマーン様と違う点があるかもしれませんがご了承ください。

(これはタグを追加するべきでしょうか?)


:感想返信のコーナー:

感想にてガンダムの性能に関するものが有りました。

簡単に言うなら、アムロが使ったプロトタイプガンダムVer.ISやこの世界のモビルスーツは、ISの技術によってオリジナルと同じ運用だけでなく、大気圏内でも宇宙空間と同じような機動を行えます。そんな物をアムロが使ったらどうなるか。…もう分かりますね。(白目)
それともう一つ。プロトタイプガンダムと言っている時点で気付いた方がいらっしゃるかもしれませんが、このガンダム。実はまだ最適化が終わっていないんですよね。(白目)
一夏、もとい、アムロのニュータイプ特有の高い反応速度を含め、彼のスペックにISが追い付いていないんですよね…。

…やばいですね。(白目)
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