ビヨンド・ザ・ストラトス   作:アオトル

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番外編 A-1 とあるブラコン

 

私が初めて一夏に出会ったのはとある研究所の実験だった。その日は私以外の成功例である一夏との共同実験が行われることになっていた。

私は初めて彼にあった時、まだ幼かったが…いや、幼かったがゆえにあいつの異常性に気づいた。

雰囲気が明らかに子供の、それも自分より年下が纏う様な雰囲気ではなかったのだ。その様子はどこか達観していて、そして力強い目をしていた。だが、それでいて優しい感じがした。今だから言えるが、おそらくあれを父性というのだろう。

実験が終了し、再び離れ離れになった時は寂しく思った。今まであいつのような人間に会ったことが無かったからだろう。父親とはぐれてしまった子供のような感覚だった。

だが、しばらくたった時にあいつが迎えに来てくれた。どうやってここまで来たのかは分からなかったがその時感じた安心感は大きかった。さっきの例に例えるなら、はぐれた子供が父親と再会したような感覚だった。

その時の私はその安心感に任せ、何も考えずに脱出した。

脱出後はしばらく一夏に連れられて各地を転々としていた。どうやら脱出時にある程度の資金や護身用の銃を持ち出していたらしく、追っ手を退けながらの旅だった。だがある日、追っ手は撒けたが資金が底を突きかけていた時、見知らぬおじさんが助けてくれた。私は警戒していたがなぜか父さ …失礼。一夏はなぜか信用していた。理由を聞いたら、なんでも邪悪な気配を感じなかったらしい。何を言っているか分からなかったが、一夏が大丈夫だと言ったのだから大丈夫なのだと幼い私は考えた。

 

戸籍を用意してもらった私たちは学校に通い始めた。その時からいつまでもおじさん達に頼らず、自分たちで生活費は得ようという事になり、一夏が働くようになった。本当は私が働くべきだったのだが、一夏が「僕は何の無いから千冬は学生生活を楽しんでいてくれ。」と言いくるめられてしまった。 だが、おかげで私は楽しい学生生活を過ごせた。それに、これから長い付き合いになる束との出会いもあった。

因みにバイトは良い所を見つけたらしく、それなりの生活ができていた。

 

私に弟がいることを知った束がうるさかったから黙らせる目的で家に連れてきた時、どうやらあいつは一夏に目を付けたらしい。あいつの家に招待された。

 

束が作ったISを見た時の一夏の様子を私は忘れられない。それはまるで、願いが叶う事を知った人間のように嬉しそうだった。そして、その日からだろう。一夏の計画が本格的に始動したのは。

 

ふたりが会社を立ち上げるといった際は正気を疑った。今の状況で立ち上げようとすれば借金まみれになるのは明らかだ。そして案の定、借金まみれになるが二人とも気にしていなかった。最初は心配しかなかったが会社は成功し、借金をすぐに返済することができた。本当に凄いとしか思えなかった。

 

会社も大きくなり、事業も成功が続いていたある日、会社が襲撃された。一夏と私がISで蹴散らしたおかげで被害は少なかったが、この影響はとても大きかった。ISを公表するが、今度は女性にしか扱えないなんていう、訳が分からん問題が起き、一夏の奥の手のMSを出さざるを得なくなった。その後も多くのトラブルが発生したが、一夏はなんとか纏めて舵を取り、この窮地を乗り越えた。ほんとうに一夏は凄い。

 

そんな一夏を私は父親のように思っていた。他の人間がいるときは姉弟としてふるまっているが、家での私は一夏に父親に甘える子供のような態度を取っていた。

…誰が何と言おうと構わん。一夏は私の父になってくれるかもしれない男だ。異論は認めん。

 

…すまん。話が逸れた。とにかく、一夏は凄いと私は言いたい。一夏は謎な部分が多くあるが、それを含めても、強く、優しく、誠実で、頭脳明晰、そんなまるで理想を体現したかのような男だ。

 

だからだろうな。あいつの周りにはいろんな奴が集まってくる。ほとんど良い奴だがな。

 

 

…本当に、一夏と居ると心が暖かくて安心を感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば最近、一夏と模擬戦ばかりしていたからか、次に相手がどんな行動をしようとしているのか、相手が何を考えているのかが分かるようになってきた。 一夏曰く、ニュータイプというらしい。まぁ、説明を受けても、なんとなく凄いとしか分からなかったが。そして、一夏もそのニュータイプらしい。一夏に強い安心を感じたのはこれが原因なのだろうか?

 





最後まで読んでいただきありがとうございました。

面白いと思っていただければ幸いです。



今回は千冬の回想?でした。

千冬から見たこれまでの事や、一夏をどう思っているのかが分かっていただければ、それで十分です。

断っておくと、千冬はシャアの生まれ変わりとかではありません。
何故かこの言葉が口を飛び出しただけです。

この千冬は一夏を父親の様に感じた事で、父親がいない事もあり、一夏に対して父親に甘える子供の様になっています。
本人曰く、自重しているそうですが、他人が見たらブラコンを疑うレベルです。いや、ファザコンかな?
ちなみにヤンデレではありません。

本作の千冬は、一夏(アムロ)と何度も模擬戦をしていたのでニュータイプへと覚醒しています。 ちなみに模擬戦は4:6の比率で千冬が負け越しています。


:感想返信のコーナー:

「「織斑先生、就任おめでとうございます!」」に両先生を付けることに関して、最初は迷ったのですが、この場面は堅苦しい場面ではないのでこちらにしました。

戦闘描写についてですが、上手く書く自信が無いので申し訳ありません。期待通りにならないかもしれません。
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