実は連載最初にこのお話からスタートする予定だったけど長過ぎるから止めて、あとで加筆、修正を行なって出そうという流れになりました。全部で4話構成です。
レオ杯無事にグレードBグループ決勝勝てました,
無事にグラスワンダーで差し切りました。
夏休みと言えば、宿題だ。
学生と言えば有無を言わさず各教科ごとの課題プリントが出されるし、読書感想文は僕の中で思い描くところ、最低最悪の宿題である。
自由研究は朝顔の観察日記、段ボールやガラクタを組み合わせた怪獣の創作物で済ましてしまおう。
当然、今の僕には先ほどまで述べた宿題の他にもやらなければならない事が多々ある。
ウマ娘に対するレース研究、年内の出場レース予定、更なるトレーニング種目の模索、etc……。
照り付けるような夏の暑さに僕は机の上に置いた作り置きしてある麦茶。
その氷が崩れて鳴らした風鈴の如き音と共に一つ閃くものがあった。
「そうだ……あの時の経緯をちゃんと記しておこう」
あれから随分と時間が経過している気がするが、詳細は思い出せるはずだ。
なんせ、体験した事が体験した事なので、その内容が恐らく人生の苦難ベスト3内に選ばれるほどの強烈さを孕んでいたからだ。
自身で購入したノートパソコンを立ち上げて、熱で故障しないように冷却ファンをパソコンの下に敷く。
パソコンは型落ちしているものの、処理落ちすることなく問題なく機能する。
そう、別に最新の機能なんて持ち合わせていなくていい、Wordや簡単なExcel、そしてインターネットが出来れば十分なのだ。
なんだったっけか、タイピングしようとしても映像も特になければ頼れるのは自身の記憶のみという曖昧なもので。
それでも、パソコンの前に向かってるけど内容が浮かばないから頬杖をついて1文字も打たずにパソコンの画面を閉じる二次小説家のようにはなりたくないので、なんとか脳内を働かせて文面を作り出す。
数分後、なんとか纏まり始めたのでえいさ、と文字を打ち込むことにした。
これより綴られる物語は、ある事件に巻き込まれてしまった一人のトレーナーと、とあるウマ娘の数奇なレースの記録である。
―――――――――――――――
僕こと、山々田山能はトレセン学園に所属している現役のトレーナーだ。
小学校の時のあだ名YYY、トリプルYと、よく同じクラスの生徒からからかわれたものである。
むしろ、からかわれた程度で済んだことが幸いだろうか。
僕は昔からスポーツに携わり、中学まで野球、高校から大学まで陸上競技と普通の男子が経験するような部活動に勤しんでいた、普通の学生生活をエンジョイしてきた普通の学生である。
大学在学中にウマ娘のトレーナー職に興味を持ち、専門学校に入学後2年という期間を経て何とかURAのライセンス試験に合格した時に僕は内心、ほっと胸を撫でおろしていた。
と言うのも、四年生の大学を卒業してから更に専門学校へ行くという僕の暴挙を当時の両親はあまり良く……いや、相当良く思っていなかったらしく、『試験を合格するまでは例え年末であっても帰ってくるな』と、両親との関係は絶縁一歩手前だったと言ってもいい。
トレセン学園に来てから時間はあっという間だった。
トレーナーになって、既に3年という年月が経っている。
現在は先任のチーフトレーナーから任されたチームを運営する立派なトレーナーだ。
そこそこの実力は身に付いたのではないかと思いたいところだが、ここまで来るのに本当に大変だった。
僕の血の滲むサブトレーナー時代と、今のチーフトレーナー時代の事を説明するのはまた今度にするとしよう。
その日の午後、トレセン学園に出勤した僕は火急の用とかで、この学園の生徒会長に呼び出された。
「生徒会長……皇帝・シンボリルドルフが一体僕に何用か」
生徒会室の樫の扉の目の前で佇みながら、僕は身なりを整える。
別に絶対王者シンボリルドルフと言っても肩書は生徒会長であり、このトレセン学園の生徒だ。
メディアやファンでない限りそこまで畏まる必要は無い筈なのだが、扉の向こう側から伝わってくる威圧感が自然と『身なりを整えろ』と、そうさせる。
ネクタイを締め、ボタンの付け忘れがないかを再度確認してみる。
こういう時は僕の担当ウマ娘が毎朝通りがかった時にいつも確認してきていたことを思い出す。
ふと、僕がシンボリルドルフに呼び出された案件を想像してみた。
もしかしたら、僕の担当ウマ娘の件ではないだろうか。
『入ってくれ』
樫の扉を数度ノックした後、柔和な声が扉越しに聞こえて僕は扉を開けた。
目の前には客人用の長椅子とテーブル、そして部屋の奥の窓際には上質なマホガニーで作られたアンティークのデスクがある。
まったく金がかかっているな、と思いながら僕はその机の上で積み上げられた書類の山を相手にしている三日月の白い前髪と鹿毛の長髪を併せ持つ少女を見る。
「呼びつけておきながら済まないが、少しだけ待っていただけると有難い。午後からの会議で使うこの書類だけは今のうちに終わらせたくてね」
流麗にペンを書類に走らせる少女――、シンボリルドルフ。彼女はそう呼ばれている。
『皇帝』、シンボリルドルフ。
ウマ娘の世界で、シンボリルドルフを知らない者は居ないだろう。
『無敗の三冠』、『史上初の七冠』、誰もが彼女を見て思い浮かべる言葉は最強にして絶対のウマ娘。
その圧倒的な競走戦績を称えられて、周囲から付けられた異名は『皇帝』。
トレセン学園にしてシンボリルドルフあり、とまではいかないかもしれないが、他を寄せ付けない実力から彼女は「絶対の強さ」を手にしていた。
シンボリルドルフが手を止めるのに、数分と掛からなかった。
頭脳明晰さはレースだけではなく、こういった事務作業をこなす方面へと生かされているのかと思うとトレーナーとしては頭が上がらない。
彼女を育て上げたトレーナーはいかにして、彼女を最強のウマ娘まで導いたのか気になるところだ。
「待たせてしまったな」
「いや、問題はない。こう見えても、僕は辛抱強い方なんだ」
僕のチームのニートウマ娘なら、空腹に苛まれてしまえば二言目には今日のご飯を催促してくる。
最近のチームの状況を考えると、僕自身もストレスに対し耐性が付いたのは確かだ。
「なるほど……ふむ」
「どうしたんだ。シンボリルドルフ生徒会長」
「いや、〝辛抱強い〟、と……私の名前の〝シンボリルドルフ〟と掛けて一つ生みだせないものかと考えていてな……駄目だ、思いつかない」
「無理して作る必要はないと思うんだけど……」
「道は切り拓くものだ。無理をしてでも新たな境地を見出す事には意味があると私は思うのだがね」
その結果として、彼女の御付きである副会長こと、エア・グルーヴの顔色が優れないのは新天地が他のウマ娘にとって次元を共有出来ないものだからだろうか。
シンボリルドルフがこうやって軽い、というか、他のウマ娘のコンディションを下げかねないジョークを言い出し始めたのはどうやら自らの『硬いイメージ』を払拭する為に始めた事らしい。
確かに、生徒会長としての立場上、ウマ娘の代表として在ろうとする彼女には中々声を掛けづらいのかもしれない。
トレセン学園は人の学校で例えるならスポーツ推薦を受けて入学してきた者達が集まるエリート学園だ。
その中で実力を発揮できず、数あるウマ娘の中で埋もれていくという例は珍しくもない。
悩みを抱えてしまう者も多いから、会長である自分が少しでも話し相手になって解決へ導くことが出来れば、という生徒会長としての責任感があるのだろう。
要するに、メチャクチャ大真面目な奴なのだ。
このシンボリルドルフというウマ娘は。
だからこそ、彼女は生徒会長として他のウマ娘から支持されているのだろう。
「山々田トレーナー、話を始めようか。実は君に伝えておきたい事があってね」
「すまない、そうして欲しい」
多分、シンボリルドルフが口にしようとしている内容は僕が想像している内容と恐らく、一致するものだから。
シンボリルドルフは手に持っていた一つの封筒を見せ、テーブルの上に置く。
その机に置かれた封筒は達筆でこう、書かれていたのだ。
『退学届』、と。
「今朝、君の担当ウマ娘……グラスワンダーから、この学園を退学したいという相談を受けたよ」
みんなでフルアーマーフクキタルチャンを引こう!
この作品であなたが気になるウマ娘は?(略、今あの娘どうしてるの?
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