ハニバ石を全ぶっぱしたお陰でライスシャワー無事完凸出来ました。
理事長代理をフレンドから借りるだけでスタミナ因子なくてもスタミナB+まで盛れちゃうリコちゃんつよつよのつよ。
アオハル育成楽しくなってきた。
季節は春間近の3月となる。
関西方面は桜がそろそろ咲き始める季節だ。
広大な敷地を持つトレセン学園にも桜の樹は植えられているのだが、まだ満開には程遠い。
もう少し先の季節になると、土日の合間を縫って桜の下でバーベキューしながら季節外れの花火大会を行い始めるゴールドシップとそれを阻止すべく休日出勤するエアグルーヴ含めた生徒会メンバーの逃走劇がこの学園の風物詩となりつつあった。
「……今年は花見、出来るといいなぁ」
僕こと、ブラックサンダー。
本名を山々田山能はトレセン学園の敷地を歩きながら、そんな事を思う。
昨年、つまり、人間だった僕がウマ娘に変化してしまうという事件に巻き込まれたその年はトレーナーの仕事が忙しくあり、四月に公園でイチャつくカップル達のように呑気に花見などする時間は無かった。
馴染みのあるトレーナー同士で花見が開かれていたが僕はそれどころではなく、仕事終わりにトレーナー寮の自室で一人部屋でストロング系飲料を口にしては寝る、というのを繰り返してたら四月が終わっていた。春は別れのシーズンであり、始まりのシーズンである。そのシーズンを丸々棒に振った阿呆が、この僕だ。
なんとも寂しい男の四月だったことだろうか。
だが、そんな僕も今年の春は少しばかり期待をしているのである。
何故なら僕は自由なウマ娘、学生の身分である。
トレーナーのデスクワークは身体にスーパーコンピューターでも搭載してるのかと疑うくらいの演算能力を持つミスターXに丸投げ出来ているし、トレセン学園の生徒は門限もあるが外泊許可を取り決めれば、学園の外でも宿泊が可能だ。つまり、寝泊まりできるホテルを確保してしまえば、あとは夜通し遊べてしまうのである。
高校生でもここまで自由に出来ない。
どちらかというとこの自由の範囲は大学生並だ。
朝は遅く起きて、昼はラーメン、夜は焼肉……とまではいかないが、自由に外で遊べる時間があるというだけで、僕は完全に舞い上がってしまっていた。
例えるなら、修学旅行の前日の夜の時のようなテンション。
「おや……?」
ふと、僕の足が止まる。
学園の廊下を歩いていた時、とあるウマ娘の少女の後ろ姿を目にしたからだ。
それは小柄なウマ娘だった。
ウマ娘の平均的なサイズを軽く下回るほどに華奢な体躯を持つ彼女の後姿からは「構ってくんな」という威嚇のオーラがバンバンに放たれている。
顔を見なくても分かる、恐らく顔は途轍もなく不機嫌に違いない。
僕はあのウマ娘を知っている。
そのウマ娘の名前をナリタタイシン。
あのビワハヤヒデ、ウィニングチケットを合わせた3強ウマ娘、BMWの1人。
「こほん」
咳払い。
基本的に他人と馴れ合うのを得意としていないのか、昼休みになっても彼女は一人でいる事が多い。
普段のツンツンした態度もあってか、他のウマ娘も見かけても声を掛けない事もあるくらいだ。
とはいえ、同じ学園に通うウマ娘。
ここは声を掛けさせてもらおうじゃないか。
いや?ほら。
僕って色々とあらぬ疑いを掛けられてるウマ娘じゃん?
自分の身長より小さいウマ娘にいきなり抱き着いたり、にんじんを対価に遊んでいるだけなのに周りから「ちょっかいを出してる」って間違われてるけどさ。
一応、僕は二十歳を越えた立派な成人男性なんだ。物事の分別は勿論出来てるつもりだ。
確かにナリタタイシンは僕より小さいウマ娘だよ。
だけど小さいとか、そういった単語は彼女にとってはコンプレックスだということくらい僕だって理解してるつもりだ。
浅はかな行動で彼女の事を傷つけてしまう事だけは避けなければならない。
そこまで思慮深い行動を心掛けている僕が、背後からいきなり襲うような事はしないさ。
そんな事したら、本当に僕が小さいウマ娘が大好きな変態ウマ娘みたいじゃないか。
「だからさ」
腕を伸ばし、
「これから行う事は」
足を伸ばして、
「ごく一般的なウマ娘としての紳士的な挨拶だ」
クラウチングスタートの構えを取り、
「おーい―――」
そして跳んだ。
「タァアアアアイシイイイイインッッ!!!」
「チッ……なにチケ――って違う!?」
振り返ったナリタタイシンは僕の事をウィニングチケットと勘違いしていたらしい。
残念だったな、その思わぬ勘違いが命取りだぜナリタタイシン。
不意を突かれたからか、目を野獣のように光らせた僕のスペシャルな飛びつきにナリタタイシンは成す術が無かった。
「久しぶりだなータイシン!元気だったかぁ!!」
「ギャアアアアッ!!!」
逃げようとする彼女を捕まえては頬ずりされて、驚きの声を上げるナリタタイシン。
ウィニングチケットとはこれくらいの距離感でイチャイチャしてるのを僕は知っているんだぞナリタタイシン。
「怪我から復帰したんだってな!しかも復帰してからもう重賞制覇するなんてやるじゃないか!
よく頑張ったなお前ェ!」
「うおおおおおっ!!?」
頬ずりからのほっぺをツンツン、そしてナリタタイシンの身体を両脇から掴んで持ち上げると勢いよく上に向かって放り投げる。
華奢な体のナリタタイシンの身体は恐ろしい程に軽く、その重量はウマ娘でありながらトレーナーの身である僕からして見れば、心配してしまうほど。
彼女は体重測定を拒否しているため、正確数値を把握している者は誰もいないが、触れるだけで大まかな体重を測定できる僕の特技の前では明かされないステータスはないと言っていい。
だがナリタタイシンの名誉のために公な情報公開は避けるが、強いて言うなら、健康的な方だというだけ告げて置こう。
「おめでとー!おめでとー!うおおおおん!」
祝福の胴上げを僕はナリタタイシンに見舞う。
BNWの一角、皐月賞ウマ娘のナリタタイシン。
年末、突如の怪我によってレースを継続することを不安視する者もいたが復帰後2戦目のレースで堂々と一着を取った彼女を称えずにはいられない。
「ばーかぁやーろー!はーなーせー!」
上に放り投げられ、空中浮遊の疑似体験をするナリタタイシンから歓喜(?)にも似た声が波打って聞こえてくる。照れることはないぞナリタタイシン、お前はそれだけ応援されて、勝利を祝福されて当然のウマ娘なのだから。
「エライゾー、エライゾー!タイシ――」
次の瞬間、僕の顔面にナリタタイシンの蹴りが突き刺さった。
鋭く放たれる踏みつけるような蹴り、僕じゃなきゃ見逃しちゃうね。
ゴギッ、バキッ、ゴリッという骨の砕けるような音が断続的に聞こえてきている。
だが問題ない、〝人間には200本以上の骨があるから一本や二本くらい折れたって平気だよ〟ってサラ・コナーも言ってたから問題ない。
「アンタ……今度またやったら容赦なく蹴り入れるよって言ったよね、ブラックサンダー」
地面にそのまま崩れ落ちた僕を見て、ナリタタイシンが言い放つ。
アンパンマンなら新しい顔案件の崩壊具合だ。
本気になれば1トンクラスのタイヤを引くことが出来るウマ娘の脚力による蹴り……人間だったら恐らく死んでいただろう、ウマ娘の頑丈な肉体にこれほどのない感謝の念を抱く。
「フフ……いい蹴りを放つようになったな、ナリタタイシン。流石はBNWの一角だよ」
「首へんな方向に曲がってるけど」
「これは失敬」
僕は九十度曲がっていた首を両手の力で強制的に元に戻す。
人を殺めてしまうかもしれないウマ娘の脚力を以てしても、僕には無意味だ。
僕に致命傷を与える事が出来るのは世界でただ一人、グラスワンダーだけなのだから。
「アンタさぁ、こんな事色んな娘に続けてるならマジで止めた方がイイよ……」
「フフ、問題ない。それに僕は今更止められたことで素直にいう事を聞くウマ娘ではないのだ」
「あっそ、グラスワンダーに連絡しておくね」
「あれ?あれれえれれれ?なんで?なんでそうなってんの?」
「最近アンタのチームのグラスワンダーがさ、〝ブラックサンダーさんに何かされた方は私まで連絡してください〟っていう内容が、ウマLINEで流れてるんだよ」
「なんだって!?本当かいそれは!?というか、そんなLINEあるの知らなかったんだけど!!今知ったんだけど!!」
「そりゃ本人に教えるわけないじゃん、バカなの?」
「くっ、こうなったらこの場で僕がお前を辱めてウマLINEなんて出来ないようにしてやるぜタイシン!」
次の瞬間、目にもとまらぬローキックが僕の脚に叩き込まれ、一撃で僕は沈んだ。
恐ろしく容赦のない蹴り……ウマ娘の肉体でなければ、即死だった。
よく担当トレーナーがナリタタイシンに蹴られてるのを見ていたが、実際彼女は照れ隠しで蹴ってくることが多いらしいのでご褒美と成り得るのではないか。
「アンタさ……走り方、変わったよね」
「ん?」
痛む足を摩っていると、見上げた先のナリタタイシンが呟いた。
いや、と彼女は続けて、
「デビューまでずっと後方から追い上げてくるタイプだったじゃん、アンタ。
でも途中から周りからマークされて、囲まれて、抜け出せなくて、学園で見た時はいつも絆創膏貼り付けてたからさ」
「たしかに、去年は酷くやられてたな……でもなんでタイシンがそんな事を気にするよ?」
「あ、アタシは別に気にしてないけどね!ただ、アタシもデビュー前はそんな感じだったからさ。
周りに蹴落とされないように、前で食い込んで、傷ついてたからさ」
ナリタタイシンも小柄な体つきのせいで先頭集団での位置取り争いに苦戦して、中々勝利を掴めなかったウマ娘だ。
僕はデビュー前の彼女を知っている。
汗水流して、消灯した練習場の上でずっと走っていたのを知っている。
誰よりも悔しい想いをして、でも自分ではどうにもできない問題があって、身体を使った勝負が出来なくて。
だから、後方からの末脚という武器を見出したトレーナーとの出会いはナリタタイシンにとって運命的なものであることだろう。
彼が居なければ、ナリタタイシンという眠れる獅子の才能を数あるウマ娘の下で一生くすぶらせていたに違いない。
逃げ戦法を取る前の試合で苦戦していた僕にナリタタイシンはシンパシーを感じていたのだろうか。
「だ、だから勘違いするんじゃないよ!別に毎回怪我しているアンタを心配してたわけじゃないっつーか!す、少しはまともな走りするようになったじゃん!って思っただけ!マジで、それだけだから!」
ありがとう、ナリタタイシン。
お前のツンデレを目にすることが出来ただけで、僕は生きる気力が湧いてくるよ。
お前が人妻になったら、さぞかし旦那様は幸せだろう。
「そういえば、アンタ出るんだね皐月賞」
「あぁ、もうトライアルレースの弥生賞は先日済ませたばかりだ。
無事に二着以内に入って、皐月賞の切符は抑えたよ」
三冠路線の第一線、皐月賞の登録はもう既に済ませている。
弥生賞は危なげない逃げ戦法でどうにか一着を守り切った。
順調に勝利を重ねている僕だけど、今度のレースは簡単にはいかない。
前回の弥生賞から他のウマ娘達との距離が随分と縮まってきているのだ。
調子が良くて引き離したレースでは3バ身だったのに、今回は二位とは1バ身半。
余裕が無いのだ。
次の皐月賞はどうなるか分からない。
対策を立てたいところだが、距離を稼いで逃げる戦法には基本的にそれしか戦い方が無いのでどう対策を立てればよいのか分からないのが辛い。
「皐月賞ウマ娘のナリタタイシンさん、何かアドバイスはありますかな?」
「なにさ、急に」
「いや、ね?偉大な大先輩のナリタタイシンからその時どうやって走ってたのか気になってさ。
だって皐月賞だよ?三冠路線で最初に走るレースで、一番速いウマ娘が勝つって言われてるレースだよ?それを制したウマ娘が目の前にいるんだからさ、色々と聞いてみたくなるのが性ってもんでね」
ナリタタイシンはふーん、とジト目をかますと頭を掻きながら呟く。
「別に、フツーに走れば?」
「質素ォ!」
「追加。好きなように走れば?」
「質素オブ質素ォ!」
うるさい、というナリタタイシンのローキックが僕の大腿に炸裂する。
これがプロレスなら既に僕の脚は耐久値を超えて、生まれたての小鹿のように震えだす事だろう。
だが、生憎今の僕はウマ娘ブラックサンダー。
しかも僕より背の低いウマ娘から与えられるダメージは全てHP回復するというリジェネ能力を搭載している。
彼女に蹴り続けてもらえれば3200mの長距離コースも悠々と走り切れるかもしれない。
「レースなんてさ、どんなに意気込んでも終わるときは一瞬だよ。たかだか2000mしかないわけだし」
芝2000m、時間にして約2分で終了する。
短距離やマイルよりも距離があるわけだが、走り出していざ、と思った時にはもうゴールしている。
陸上競技のスプリント種目を長年やっていると、その感覚は多々ある。
しかも、競技でベストパフォーマンスが出来た時が大抵その状態だった。
精神と肉体のバランスが均一になりより整った状態だからか、時間の感覚すらも鈍重になる。
「不思議だよな。コーナーとか、位置取りとか、後続の数とかラストの直線でどれくらい足を残すとかメチャクチャ頭の中で考えてたら――――」
「そう、もうゴール前。
だからさ、色々と考えて後手に回っちゃうよりも理論とか作戦とか頭の中で堂々巡りの試行錯誤するよりは〝気持ち〟でぶつかってくのもアリだと思うよ……少なくとも、アタシたちはそうだった」
「アタシ〝たち〟……?」
「あ!ここにいたぁ!」
僕が違和感を感じるその横を元気な声が駆け抜けていく。
その少女は、絆創膏を頬に張り付けたウマ娘の少女はナリタタイシンの前に現れた。
「タイシイイイイイイン!!!」
「うわ、来たよ……チケット、アンタはなんでいつもアタシの居場所突き止めるワケ?」
「へへ!なんとなくタイシンの場所は分かっちゃうんだ!
ね、ハヤヒデと一緒に屋上でお昼ご飯食べようよ!タイシンの目黒記念のこと聞きたいし!」
その少女の名はウィニングチケット。
ビワハヤヒデ、ナリタタイシンと同期である『BNW』の1人。
日本ダービーに強い想いを抱き続け、BNWメンバーと死闘を繰り広げた末に日本ダービーを制した『ダービーウマ娘』。
皐月賞、ナリタタイシン。
日本ダービー、ウィニングチケット。
菊花賞、ビワハヤヒデ。
その年のクラシックレースは『BNW』のウマ娘が鎬を削り、間違いなく日本中を熱狂の渦に巻き込んだ。
僕が目指す三冠路線の冠を手にしたG1ウマ娘達が今、目の前にいる。
心が躍らない筈がない。
ウマ娘の闘争心が訴えているだけではない。
走るという競技に身を費やしていた者として。
強者を倒したいというチャレンジャーとして。
「うん……?あーっ!キミ!キミはたしかブラックリベリオン!」
こちらの存在に気付いたウィニングチケット。
盛大に名前を間違えるな。
なんか第一シリーズの終盤で失敗しそうなロボットアニメの作戦名みたいな名前にするな、その名前だけはカッコイイんだけど。
「デビューの時からずっと見てたよ!
熱い走りをするウマ娘が現れたって、ずーっと思ってたんだ!
……キミもダービーを目指すの!?」
「あ、ああ」
明朗快活に語り掛けるウィニングチケットの圧力にそんな言葉しか出ない僕。
そしてウィニングチケットはあろうことか肩をふるふると震わせて。
「か、がんどうじだぁぁぁあ!!」
そのまま泣き出した。
隣のナリタタイシンが頭を掻きながらため息をつく。
「なんでよ」
「だっで、だっでぇ……!ま、まだぁ!まだごどじのダービーもあづくなるなぁっでぇ!」
「一年に一回はやるんだから当たり前じゃん。なに、ダービーウマ娘、アンタももう一回出たいワケ?」
「ぢがうよぉ…!ダービーは一生に一度だがらダービーなんだよぉぉお!うおおおおおおおん!!!」
「うっさ……あ、ブラックサンダー。テレビ見てみなよ」
号泣するウィニングチケットなど目も暮れぬことなくナリタタイシンが示す方向は広間に設置されているモニターだ。
モニターの周りには何人ものウマ娘が食い入るように画面を見つめている。
画面に映し出されているのはレースの映像だった。
この広間では現在開催されているレースがリアルタイムで放送されており、生徒達も閲覧できるようになっている。
その大画面のモニターを走るウマ娘の1人に僕は見覚えがあった。
「あれは……メルティロイアル」
そう呟いたのはナリタタイシンだ。
彼女も、新人であるメルティロイアルを知っていた。
「何で知ってるかって顔だね。
一応今期で注目されているウマ娘はある程度耳にしてるから。
レースは〝スプリングステークス〟……皐月賞のトライアルか」
「あ!メルティロイアルだ!この娘も凄いよね!
たしか生徒会長と出身地が同じなんだっけ!
その実力にも注目されてて、〝ルドルフ2世〟なんて呼ばれてる!」
アイツ、いつも筋肉筋肉してるウマ娘だと思ってたけどそんなに凄い奴なのか。
今しがた知った事実に驚嘆しながらも僕はそのメルティロイアルが走っているレース『スプリングステークス』へと視線を戻す。
コースは芝1800m。
中盤時点でメルティロアイルは最後方、しかもひとつ前のウマ娘との距離は四バ身差だ。
もうすぐ毎日王冠の季節ですね。
この作品であなたが気になるウマ娘は?(略、今あの娘どうしてるの?
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