今回の宝塚記念編はどちらかというとユニコーンガンダム要素多めです。
いつか終わりが来るのだろう、そんなことは分かっていた。
控え室、ミホノブルボンが机の椅子に座り、ただ静かにじっと目を閉じている。
微動だにせず、出走の時間になるその時まで、一ミリたりとも姿勢を崩さない。
(最後の試合だって言うのに、緊張するどころか、凄まじい集中力だ。今日まで、よく仕上げてきたよな、ブルボン……)
一流のアスリート言えど、引退最後の試合となればかかるプレッシャーは他のウマ娘が抱える倍だろう。
自分だったら出走の直前までトイレと控え室を往復している光景が容易に想像できる。
というか、実際自分はこの10分ほどの間に2回ほどのトイレ移動を済ませている。トレーナーとしても1番最初の教え子が引退するレースを間近で送り出すのだ。緊張しない方が可笑しいか。
無音が続くが、自分はあえてその静寂を無闇に壊そうとしたりはしない。心身ともに研ぎ澄ますミホノブルボンの邪魔をするようなことは決してしてはならないと自分に言い聞かせる。
(長かったな、今日まで)
トゥインクルシリーズを駆け抜けた数年間が自分の脳内を駆け巡る。短距離路線を否定し、自分から不向きな中長距離路線へコンバートし、3冠を目指したあの日から、怪我を乗り越えて現役最強と呼ばれる今日この日まで。
(それも今日で、終わるんだ)
トレーナー歴はそこまで長い方ではない。それでもミホノブルボンというウマ娘から始まった自分のチームは10人程度の規模となった。
奇跡的にチームで学園を辞めると言い出した者はいない。いなかった、が、まさかその最初の引退者がミホノブルボンになるとは自分も思わなかった。
レースの戦績と輝かしい軌跡はファンにとって決して忘れられる物では無いだろう。彼女が居なくなった後でも、自分はミホノブルボンというウマ娘のことをチームに、そして彼女を知らない者たちに伝えていく……それがトレーナーとしての使命だ。
「時間だ。ブルボン」
「ミホノブルボン、起動」
ほぼ自分が言うと同時か、コンマゼロレベルでミホノブルボンが椅子から立ち上がる。
「心拍数、適度な上昇を確認。ステータス、『リラックス』を取得。疲労レベル、低。ベストコンディションです。マスター」
「ああ、完璧だよ。ブルボン」
最後の試合直前だというのにその表情には一つの曇りも無かった。猛烈なトレーニングと彼女の覚悟によって裏打ちされた精神と肉体はまさに『最強』へと成った証。あのシンボリルドルフやナリタブライアン、ミスターCBと言った歴代の3冠ウマ娘に引けを取らない存在なのだと自負できる。
「作戦は既に伝えた通りだ。これまで練習で積んできた2200のラップを元にレースを進める。ハナを取らせまいと外側から覆い被せてくるウマ娘が絶対にいる。今回のメンツだと2、4、6番が過去のレースでスタート時に内側を取ろうと前目についてきた実績がある。先頭を確保し、お前のペースを作れ」
「はい、マスター。ブラックサンダーは追い切りで不調を感じさせていますが、あれはブラフであると判断しますが」
「半分は当たりかな」
「となると、何かを隠している」
「ああ、ブラフの追い切りで不調を演じたのは間違いない。だが、ブラックサンダーは皐月、ダービーというローテで走り、一ヶ月の間を経てこのレースに臨んでいる。特にダービーの結果を見るに蓄積された疲労が必ずあるはず。2200mといえど、脚が残せない可能性が高い……それでも油断出来ない相手には変わりないが」
クラシック2戦のg1レースを消化してからこの宝塚記念を参加すルのは余程のタフさを持ち合わせていなければならない。
それこそ、ダービーウマ娘やこの先に控えている菊花賞を制することができるようなウマ娘が。
「……了解。であればプランの変更はありません。このまま当初の予定通りにレースを展開します」
ミホノブルボンもこちらの考えを理解した上での応答。彼女の精神的な不安要素は皆無。故にこちらからサポートできるのは滞りなく彼女に必要な情報を与え、勝利へのシュミレーションをさせるだけ。
一瞬の静寂の後、ミホノブルボンが呟く。
「最後に、なりますね」
「ああ」
時計を見る。時計の針が告げるのは本バ場入場の時間だ。
「マスターの表情から感情を感知。これは……寂しい、でしょうか」
どうやら最後の最後に要らぬ気遣いをさせてしまったのか、こちらの顔を伺いながらミホノブルボンはそう言った。
「そうだな。なんたって最初の担当ウマ娘の最後のレースだからな。ブルボンのレースがもう見られなくなってしまうのは俺は寂しい。それは俺だけじゃなくて、ファンを含めて、お前のレースを見てきた人達も思っているはずさ」
だけど、このレースは自分達が覚悟して出走するレースだ。
ミホノブルボンが勝利するために全てを注いでてきた、出し切って、彼女のレース人生に悔いが残らない完璧なものにすると決めた。
「だから、勝利する事に意味がある」
鮮烈な勝利はきっと数十年経っても、他者の記憶に残り続ける。
“常勝はレースをつまらなくする“なんて言葉は存在するが、勝利に優る人々の記憶に残る方法は無いのだ。
実際、ミホノブルボンは3冠ウマ娘にはなれなかったが、最強のウマ娘にはなれたと、思っている。
それが彼女を担当した自分に取っては何よりも誇らしい。
「お前の願いのために、皆んなの願いのために、ここで最強を示そう。ブルボン」
伏した顔をあげるミホノブルボンの表情から暗いものは消えていた。胸を張ってこちらを見る。
「私は、マスター……貴方が担当トレーナーで本当に良かったです。貴方のお陰で、私は私であることを貫くことができ、私自身を誇りにに思うことが出来ます……“オーダー“を、マスター」
“オーダー”、それは2人がレース前に行うルーティン。
トレーナーがウマ娘に言う激励のようなものだ。デビュー戦の時に最初に出したのはなんだっただろうか、確か『頑張れ!』だっただろうか。
思えば、あの日以降からミホノブルボンがレース直前にオーダーと言うようになった気がする。
何て言おうか。自分の担当ウマ娘、最後のレースに。
これはG1だ。しかもファン投票に選ばれた最高峰のレース。
勝っても、負けたとしても箔が付く。普通の感覚なら出走することが出来ただけで意味があるのだから。
それこそ、余計な一言は言う必要がないのだ。変な言葉を投げて、ミホノブルボンに余計な思考をさせるべきではない。
「がんーーー」
ーーー『世間より、他のウマ娘より、担当トレーナだった貴方こそが、彼女の引退を望んではいないのではないか?』
“頑張れ”、そう言おうとしてあの男の言葉を思い出した。ミスターXめ、と心の中でつぶやく。ここまで彼の揺さぶりが効いてくるとは思いもしなかったのだから。
「最後の
「ーーー了解、貴方に勝利を捧げます」
一瞬だけ引っ掛かりを感じるような間を置いてそう返したミホノブルボンを地下バ道へと向かった。
光の先はレース場、もう引き返せない。最後のレースが始まる。その少女の小柄だが成長を経て大きく見えるようになった背だけが見える。
「別にバチは当たらないだろう?三女神様よ」
伝わらなくてもいい、ただ、臆病で、わがままな、男の小さくて、我儘な願いなんてものは。
『本日、梅雨の時期に関わらず天気は晴に恵まれました。さぁ、京の都の晴れ舞台。
ファンの夢乗せて、ウマ娘は最後まで駆け抜けます。トゥインクルシリーズ前期総決算、宝塚記念、間も無く出走です!』
なんで私は1番人気を軸にして連複買うと相手2頭は当たるのに軸がぶっ飛ぶんでしょうか。メリオーレム君
次回ぱかライブはMCがグラスちゃんなのでハロウィンイベントで悪戯魔女グラスワンダーが新衣装で来ることでしょう。全世界のグラスファンよ、震えて眠れ
はよ
この作品であなたが気になるウマ娘は?(略、今あの娘どうしてるの?
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