闇の魔物のヒーローアカデミア   作:アニアス

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プロローグ

事の始まりは中国・軽慶市。

 

発光する赤児が産まれたというニュースだった。

 

以降各地で超常は発見され、いつしか『超常』は『日常』に、『空想』は『現実』となった。

 

世界総人口の約八割が何らかの特異体質である現在、個性を悪用する者たち『敵(ヴィラン)』により混乱渦巻く世の中で、かつて誰もが空想し憧れた一つの職業が脚光を浴びていた。

 

その職業こそ『ヒーロー』である。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

国立雄英高等学校

 

平和の象徴と言われているNo.1ヒーロー『オールマイト』を始め数々のプロヒーローを輩出した名門校。

ここを卒業すれば偉大なヒーローになれると言われるほどである。

更に他のヒーロー育成高校と比べて設備も充実しており、正にマンモス高校である。

 

そんな雄英高校は今日、入学試験を迎えており多くの受験者が雄英高校の校門を潜っていく中、1人の少年が聳え立つ校舎を見上げていた。

 

「うわぁ…ついに来ちゃったよこの日が…」

 

少年の髪は黒く目は黄色掛かっており、緊張していた。

これから今後の人生を大きく左右する雄英高校の受験であるため緊張しないというのは無理な話である。

 

しかし少年はハッとなり首を横にブンブンと振ると両手で両頬を叩いて自分を奮い立たせた。

 

「いけないいけない!こんな調子じゃ失敗するのがオチだ!今までやってきたことをやりきるだけ!大丈夫!」

 

周囲の受験生の視線が集まる中、何度も言い聞かせて少年『暗闇真夜』はようやく歩き始めたのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

雄英高校の受験内容は筆記と実技の2つ。

 

筆記試験を終えた受験生たちは講堂へ案内されて実技の説明が行われるのを待っており、その中に真夜の姿もあった。

筆記試験は満点とまではいかなかったものの手応えは感じていた真夜であったため緊張もすっかり解れておりまだかまだかと待っている中、1人のヒーローが講壇立った。

 

『今日は俺のライヴにようこそー!エヴィバディセイヘイ!!』

 

彼の名は『プレゼントマイク』

プロヒーローで雄英高校の教員でもある。

プレゼントマイクはハイテンションなボイスで受験生たちに盛大な挨拶をかました。

 

(うるさっ!いやプレゼントマイクの個性は知ってるけどこんな場所でのハイテンションは止めて欲しいなぁ…!)モグモグ…

 

広い講堂とはいえ部屋であることは変わり無いためプレゼントマイクのボイスは反響してしまう。

真夜は内心で嫌そうに感じてしまうも表情に出さずに実技試験の内容を聞くことにした。

 

1.実技会場はAからGまで分かれておりそれぞれ決められた会場へ向かうこと。

2.各会場には雄英高校が用意したロボット『仮想敵』が配置されておりそれを倒す。

3.仮想敵は1ポイントから3ポイントまでの種類がありそれを倒すとポイントを得られる。

4.制限時間終了までに60ポイント以上を獲得できたら合格

 

(つまりターゲットを多く倒せばいいってことか…なんか雄英にしちゃあ単純な気もするけど…)モグモグ…

 

実技の試験内容を聞いた真夜はどうにも腑に落ちずにいた。

敵を倒して合格ラインのポイントを獲得することは理解したものの、名門と言われている雄英高校にしてはそれだけでいいのかと思ってしまう。

何か引っかけがあるのではと配布された試験内容のプリントを見返してみたものの、見落としてしまいそうな小さな字で記載されている箇所もないため考えすぎかと思った時、真夜の目の前に座っていた受験生が手を上げた。

 

「質問よろしいでしょうか!?」

 

手を上げたのは眼鏡をかけたいかにもザ・真面目のような受験生で精密機械のように手をまっすぐと上げていた。

目の前にいたため彼の行為に真夜は少し驚いてしまう中、眼鏡の受験生は質問を始めた。

 

「プリントには4体の仮想敵が記載されています!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めこの場に座しているのです!」

(えっ?4体…?あっ、ホントだ!)

 

眼鏡の受験生の質問を聞いた真夜は再度プリントを見直すと、確かに仮想敵は4体と記載されていた。

しかし、見落としていた仮想敵にはポイントが記載されておらず何ポイントなのか現状では分からない。

 

「ついでにそこの縮れ毛の君!」

 

すると眼鏡の受験生は斜め後ろへ振り向いて真夜の後ろの方を指差した。

真夜も連れて振り向くと、眼鏡の受験生の指の先には緑髪のそばかすの受験生がいた。

 

「先程からボソボソと気が散る!物見遊山のつもりならば即刻雄英から去りたまえ!」

「す、すみません…!」

 

どうやら緑髪の受験生が何かをブツブツ言っていることにイラついていたようで眼鏡の受験生は注意をする。

 

(そんなキツい言い方しなくてもいいのに…)モグモグ…

「それから君もだ!」

 

眼鏡の受験生の言い方に真夜が不満を持った時、眼鏡ので受験生は緑髪の受験生から真夜へ指を差し替えた。

 

「…ん?僕のこと?」

「そうだ!何故君はさっきからバナナを食べているんだ!?」

 

眼鏡の受験生の言う通り、真夜の手にはバナナが握られており周囲のことなどお構い無しに食べていた。

真夜は講堂に入り今に至るまでバナナを食べ続けており、まだ手をつけていないバナナが側に積まれている状況である。

 

「いいじゃん別に、飲食可なんだから。心配しなくてもバナナの皮はビニール袋に入れてるから大丈夫だよ」

「そういう問題ではない!ふざけているのなら君も即刻立ち去りたまえ!」

 

ふざけているのか、はたまた天然なのか真夜の理解できない行動に眼鏡の受験生は先程と同じように注意をした。

 

それに対して真夜はカチンと来てしまい、反論をした。

 

「成る程ねぇ、そうやって君は他の受験者の意欲を削がせて落とさせようとするんだぁ」

「なっ…」

 

真夜のわざとらしい言い方に眼鏡の受験生は動揺する中、真夜は続けて言う。

 

「あの緑髪の人は確かにボソボソ何かを言っていたのかもしれないけどさ、普通に考えればこれから行われる実技試験で緊張してるだけじゃん。それなのに君は物見遊山とか言ってやる気を無くさせて蹴落とそうするんだね?」

「そ、そんなことは!僕はただ!」

「自分の言ってることは正しいんだってこと?もしかしたら緑髪の人はボソボソ声で作戦を言ってるだけかもしれないよ?ちなみに僕は大好物を食べて緊張をほぐしてるだけだよ」

 

真夜には嫌いなものがある。

それは『自分が偉い』『自分が正しい』と思い込んでいる連中。

そういう連中は他の人たちを見下すことばかりしているため真夜は嫌悪してしまう。

そして今、眼鏡の受験生はそれに値する行為をしているため真夜はムキになり言い返したのだった。

 

ようやく眼鏡の受験生は自分のしたことに非を感じたのか真夜に頭を下げた。

 

「確かに君の言う通りだった!よく考えもせずに失礼なことを言って申し訳ない!そこの君もすまなかった!」

 

真夜に頭を下げた眼鏡の受験生は緑髪の受験生にも頭を下げて謝った。

そして正面を向いてプレゼントマイクへ頭を下げて説明を中断させたことを謝罪した。

 

「お騒がせして申し訳ありませんでした!」

「オーケーオーケー!ノンプロブレムだぜ受験番号7111番くん!さっきの質問だが、四種目の敵だがそいつはお邪魔虫!スーパーマリオブラザーズで言う所のドッスン!会場に一体所狭しと暴れてるギミックだ!俺からは以上だが、最後にリスナーに我が校訓をプレゼントしよう!!かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』と!Puls u Ultra!!それでは皆良い受難を!」

 

プレゼントマイクは質問に答えると受験生を鼓舞させて説明を終えた。

 

受験生たちが指定された各会場へ向かう中、真夜は前を歩いていた緑髪の受験生へ声をかける。

 

「大丈夫?」

「へっ?あっ!さ、さっきの!」

 

声をかけられた緑髪の受験生はまだ緊張しているのかオドオドしている様子だった。

それを見て緊張を解そうと真夜は気軽に会話をする。

 

「分かるよ。確かに緊張するよね。僕もここに来るまですごく緊張してたからさ。けど後は今までやってきた成果を発揮するだけだしお互いに頑張っていこ、ね?」

「う、うん!」

 

真夜と話した緑髪の受験生は緊張が解れたようで少し落ち着いた様子になっていた。

それを見た真夜は指定された会場へ向かうために緑髪の受験生と別れることにした。

 

「じゃあ僕は別会場だから!入学式にまた会おう!」

「わ、分かった!」

 

そして真夜は会場へ向かいながら身を引き締めるのだった。

 

これは、ヒーローを目指す少年が様々な困難を乗り越えていく始まりの物語である。

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