闇の魔物のヒーローアカデミア   作:アニアス

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第2話 合格通知

雄英高校入試試験から翌日のこと。

 

雄英高校の視聴覚室では雄英教師陣兼プロヒーローたちが入試試験の実技試験の記録を大型モニターで鑑賞していた。

個性の性能や受験者たちの立ち回り方など、各々が採点を行っているがもう一つ、あることを重視していた。

 

それは『レスキューポイント』

 

ヒーローとは敵を倒すだけでなく人々をすくってこそ価値が生まれるというもの。

受験者たちには説明していなかったため、この試験の構造を見抜けるかも試されたのだった。

 

「実技試験総合成績でました!」

 

採点が進んでいく中、モニターに受験者の名前と獲得ポイントが表示された。

獲得ポイントは敵を撃破したヴィランポイントと救助を行ったレスキューポイントで振り分けられているが、教師陣たちはまず1位の受験者の名前へ注目する。

 

 

 

1位 爆豪勝己

ヴィランポイント:77

レスキューポイント:0

合計得点:77ポイント

 

 

 

「いや~それにしても今年は豊作ですね。優秀な金の卵が何人もいましたよ」

「1位の彼は個性を派手に使うことで仮想敵を自分の方へ寄せ付けていた。ポイントを多く獲得するには危険ではあるがすべて迎撃。戦闘センスの塊だな」

「まさかレスキューポイント0で1位とはねぇ…」

 

モニターには総合成績1位の受験者『爆豪勝己』の実技試験の映像が流れており、プロヒーローたちは各々の意見を口にする。

彼は確かに戦闘センスや状況判断はずば抜けて高いものの『死ねぇ!!』や『ブッ殺す!!』などと野蛮な言葉ばかり使っておりとてもヒーローには見えなかった。

しかし結果は結果であるため彼の合格は確定した。

 

「で、対照的にこっちの彼は…」

 

次に注目したのは8位の受験者。

 

 

 

8位 緑谷出久

ヴィランポイント:0

レスキューポイント:60

総合得点:60ポイント

 

 

 

「ヴィランポイント0で8位とはねぇ…」

「あの大型に立ち向かっていった子は過去に何人もいたけど、まさかぶっ飛ばしてしまうとはねぇ!」

「思わずYeah!!って叫んじまったなぁ!」

「しかし、その反動で人体を負傷しています。まるで身体と個性が噛み合っていないような…」

 

次に映された受験生は総合得点8位『緑谷出久』

スタートは出遅れ仮想敵と合間見えても震えてしまう始末。

しかし巨大仮想敵に単身で立ち向かい見事に破壊したのだった。

賛否両論あったものの、レスキューポイントと立ち向かう根性を評価され合格となった。

 

「そしてもう一人、大型を再起不能にさせた彼…」

 

 

 

2位 暗闇真夜

ヴィランポイント:40

レスキューポイント:36

総合得点:76ポイント

 

 

 

「彼の個性は見た感じだと変形型ね」

「蟻ノヨウナ見タ目ヲシテイタガ、地面へ溶ケルヨウニ沈ンデ回避ヲシテイタナ」

「小さいなと思った途端、急にでかくなって大型をぶっ壊しちまいやがった」

「その日2度目のYeah!!が出ちまったぜ!」

「けど一体どういう個性なんだ?」

 

次に真夜の映像がモニターに映された。

シャドウの姿で仮想敵を倒していき、途中で動けなくなった受験生を手助け。

そして最後にダークサイドへ変身して巨大仮想敵を再起不能にさせた。

 

一見したら文句のつけようもなく合格かもしれないが、プロヒーローの1人が気まずそうに口にした。

 

「こういうことを言うのはよくないと思いますけど…彼の個性はその…ヒーローらしからぬ個性ですね…」

 

真夜の個性の見た目は確かにヴィランそのもの。

シャドウはまだ可愛いかもしれないがダークサイドに至ってはどこからどう見てもヒーローには見えない。

卒業できたとしても世間が真夜をヒーローとして見てくれるのかと不穏な空気が流れる中、1人のプロヒーローが声を上げる。

 

「確かに彼はヒーローには見えないけど、それは彼自身がよく理解していると思うよ!それを承知の上で彼はウチを受けに来たんだからその気持ちは汲んで上げないとね!」

 

その意見に他のプロヒーローたちはしばらく考えて暗闇真夜の結果を合格にしたのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

試験から1週間が経った頃、真夜は自宅のリビングでリンゴを食べていた。

今日は雄英から試験の合否の連絡が来るためかなり緊張している。

 

「真夜。緊張したら果物を食べるクセは直しなさいって前から言ってるでしょ?」

 

そんな真夜の様子を母親は呆れながら笑ってしまう。

真夜の両親は息子の個性に関して軽蔑などはしておらず深く理解している。

ちなみに父親は仕事の都合で海外へ単身赴任している。

 

「そんなこと言っても無理…落ちてたらどうしよう…」

 

やるべきことはやりきったのだが、もし不合格だった時の絶望は計り知れない。

だからこそ、その時に備えて果物を食べて気を紛らわそうとしているのである。

 

そうこうしていると家のインターホンが鳴った。

 

「こんにちはー!郵便でーす!」

「!!」

 

玄関の方から聞こえる郵便局の配達員の言葉に真夜はビクッと肩を震わしてしまう。

この状況での郵便物はつまり雄英からの合否通知しか考えられない。

ついに来てしまったかと真夜が深呼吸をしていると、母親が真夜の目の前に配達員から受け取った封筒を置いた。

 

「雄英高校からよ。開けてみなさい」

 

こちらの心情などお構いなしに母親は真夜に早く見るようにと促した。

そして真夜は覚悟を決め封筒を手に取ると封を開けて中を確認した。

 

「………ん?」

 

しかし、封筒の中を見た真夜は目を丸くしてしまう。

何故なら入っていたのは手紙ではなく、円盤状の機械だったからである。

もう一度封筒の中身を確認するもそれ以外何も入っていなかった。

 

未だにワケが分からない真夜は円盤状の機械をマジマジと見つめる。

 

「何だこれ…?どういう意味…?」

「もしかしてここを押すんじゃない?」

 

すると母親は人差し指を伸ばして円盤状に取り付けられていたボタンのような出っ張りを押すと、機械から光が放たれホログラム映像が流れた。

 

そしてそこに映っていたのは………

 

 

 

『私が投影されたぁ!!』

 

 

「オ、オールマイトォ!?」

 

 

 

なんとNo.1ヒーローのオールマイトだった。

どうして雄英からの通知でオールマイトが出てくるのかと真夜が驚いている中、見透かしたようにオールマイトは話し始める。

 

『ずいぶん驚いているようだね。何故私が君にこうして雄英の合否を伝えているのか…実は今年から私が雄英に務めることになったからなのさ!』

「オールマイトが、雄英の教師!?」

「まぁ」

 

オールマイトが雄英で教師をすることを知った真夜は目を見開いてしまい、対照的に母親は口許に手を当てて軽く驚いた程度だった。

そんな2人を余所にオールマイトは話を進めていく。

 

『さて、早速だが本題に入らせてもらおうか暗闇少年。君の筆記試験は合格ラインを越えており問題はなかった。しかし、実技試験の君のヴィランポイントは40!これじゃあ合格ラインには届かないな!』

「ッ…!」

「真夜…」

 

実技試験で合格するために必要なポイントを稼げていなかったことに真夜は苦虫を噛み潰したような顔になってしまう。

せっかく雄英に受かるために死にもの狂いで努力して出しきったのに届かなかった。

悔しくて悔しくてたまらない感情が込み上げてしまい、母親が真夜に声を掛けようとした時だった。

 

『しっかぁし!我々はヴィランポイントだけで君たちチャレンジャーの合否を決めていたワケではないのさ!これを見たまえ!』

「え?」

 

オールマイトが後ろに取り付けられていたモニターへ手を向けると映像が流れた。

 

「…これって、実技試験の映像?」

「ここに映ってるのって、真夜だよね?」

 

それは当日の雄英の実技試験の映像でシャドウに変身した真夜の姿があった。

どうして今さらと思っていると、シャドウの真夜がサイドテールの受験生を助けようとしていた。

 

『実は我々はヴィランポイントの他にももう一つ!レスキューポイントも審査していたのさ!』

「レスキュー、ポイント…?」

 

つまり実技試験の説明会では伏せられていた隠れポイント。

それも加算されていると考えると、真夜は不安な気持ちから解放されて期待が込み上げてくる。

 

『人助け!正しいことをした人間を排斥しちまうヒーロー科があってたまるかって話だよ!綺麗ごと?上等さ!命を賭してきれいごと実践するのがヒーローさ!よって暗闇真夜!レスキューポイント36を追加して計76ポイント!!総合成績第2位だ!!』

「ってことは……!」

 

震えた口調の真夜に対してオールマイトは改めて結果を伝えた。

 

 

 

『合格だよ!来いよ暗闇少年!ここが君のヒーローアカデミアだ!!』

 

 

「やっ、やったぁぁぁ!!」

 

 

 

合格を伝えられた真夜は涙目になりながら思わずガッツポーズを取り喜びを露にした。

まさかのどんでん返しだったが合格したため無理もないだろう。

 

そして同じように母親も真夜の合格に喜んでいた。

 

「おめでとう真夜!よく頑張ったね!お父さんにも知らせないと!」

 

そう言って母親は息子が雄英に合格したことを父親に伝えるべくスマホを操作する。

 

一通り喜んだ真夜は込み上げてくる感情を抑えながらようやくスタートラインに立てたと実感した。

ヒーローになれるかどうかはこれから。

ここから真夜がヒーローになるための人生がスタートするのだった。

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