闇の魔物のヒーローアカデミア   作:アニアス

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第4話 戦闘訓練

波乱の入学日があった翌日、真夜は1人教室へと向かっていた。

今日から本格的にヒーローとしての学業が始まるため気合いが入りすぎたこともあり予定よりも早く到着したのである。

 

そのまま教室の扉を開けると既に何人か来ており各々談笑をしている。

 

「なんだ、常闇くんまだ来てないんだ。おっ」

 

せっかく名字が似た者同士話をしようと思っていたのだが、来ていないものは致し方ない。

真夜は教室を見渡して緑谷を見つけると近づいて挨拶を交わす

 

「おはよー緑谷くん」

「お、おはよう!えっと、暗闇くんだっけ…?」

 

いきなり声をかけられた緑谷は少し驚くも挨拶を返した。

緑谷にとって暗闇は実技試験の時に声をかけてくれた優しい人であるため自然に笑ってしまう。

 

「昨日は散々だったねぇ。まさか初日にあんなことがあるなんて」

「う、うん…!そうだね、アハハ…」

 

2人はホームルームまで他愛もない会話をして時間を潰したのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

雄英高校のカリキュラム。

午前中は必須科目の授業でプロヒーローたちが教壇に立って授業を行うのだが、普通すぎる授業だったため大半は逆に驚いてしまう始末。

いくらヒーローを育成する場所とはいえ高等学校には変わりがないため真面目に授業を受けるのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

そして昼休みを終えて午後の授業。

午後からいよいよヒーロー基礎学の授業が始まる。

 

教室ではまだかまだかと一部がソワソワしている中、教室の扉が勢いよく開かれて全員が注目すると、

 

「私がぁ、普通にドアから来たー!!」

 

No.1ヒーローのオールマイトが勢いよく入ってきた。

それを見て教室中が歓喜の声を上げていく。

 

「オールマイトだ!」

「本当に雄英で先生やってんだ!」

「画風が違いすぎて鳥肌が!」

 

目の前にNo.1がいることが信じられず盛り上がる中、オールマイトは教壇に立ちみんなと向かい合い話し始める。

 

「私が担当するヒーロー基礎学は、ヒーローの素地をつくるために様々な訓練を行う科目だ!早速だが、今日は戦闘訓練を行う!」

『戦闘訓練!!』

 

いきなり戦闘訓練を受けることにクラスの大半は声を揃えて驚くと、オールマイトは掛け声と共に壁を指差す。

 

「それに伴い、こちら!」

 

それを合図にするかのように壁から番号が振られているスーツケースが飛び出した。

 

「入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえたコスチューム!」

『おぉぉぉぉ!!』

 

まさかこんなにも早くコスチュームを着られるとは思っていなかったため揃って歓喜の声を上げる。

 

「着替えたら各自、グラウンドβに集まるように!」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

グラウンドβ

市街地を元に作られた施設。

実技試験の会場の1つでもあったこの場所に担当教師のオールマイトを始めコスチュームに着替えた1年A組の姿があった。

各々が多種多様なコスチュームを着ている中に真夜の姿もあり常闇と話している。

 

「常闇くん全身黒いね。夜だと分かりづらそう」

 

常闇のコスチュームは黒い外套を羽織ったような見た目で全身が黒で統一されている。

 

「そういうお前のそれ、コスチュームなのか?」

 

一方の真夜のコスチュームは、黒いジャケットと青いジーンズにブーツと、いかにも都会にいそうな青年の姿だった。

他の人たちと比べたらヒーローには見えないが、真夜としてはとても気に入っている。

 

「僕の場合、変身したら意味ないし。それに一応防火性と耐刃性の素材でできてるから大丈夫」

「そうかもしれないが、それでいいのか?」

 

そうこうしているとオールマイトから声がかかり、真夜と常闇含め全員が注目する。

 

「よーし!戦闘訓練のお時間だぞ!有精卵諸君!今回君たちには対人訓練を行ってもらう!」

 

対人訓練。

つまりここにいるメンバー同時による対決ということになり少しだけざわついてしまうも、オールマイトは説明を続けていく。

 

まずはクジを全員引いて二人一組のペアを作り『ヒーローチーム』と『ヴィランチーム』に分かれる。

場所は廃墟ビルの中。

核兵器をアジトのどこかに保有しているヴィランとそれを処理しようとするヒーローが戦う設定。

核兵器を制限時間内まで守るかヒーローを捕まえればヴィランチームの勝ち。

逆に核兵器を制限時間内までに回収するかヴィランを捕まえればヒーローチームの勝ち。

『捕縛テープ』というものを相手の体のどこかに巻けば捕まえた判定になる。

 

オールマイトが一通り説明を終えると白いアーマーでフルスキンのコスチュームの飯田が手を上げて質問をした。

 

「先生!我々のクラスは21人ですから必然的に1人余ってしまいます!その場合はどうするのですか?」

 

飯田の言う通りA組は21人。

二人一組に分かれたら確実に1人余るのは目に見えている。

残った1人はどうするのかと質問するとオールマイトは笑いながら答える。

 

「その点はノンプロブレムさ!ちゃんと考えてあるから安心したまえ!さぁみんな!ここからクジを引きたまえ!同じアルファベット同士でチーム決定だ!」

 

そう言ってオールマイトはクジが入った箱を持ってチームを決めさせようとした。

 

各々がチーム名が書かれているカードのクジを引いていく中、真夜の番が回ってきた。

 

(誰と組むことになるかな?できれば常闇くんか緑谷くんがいいな)

 

仲のいい2人のどちらかと当たりますようにと思いながら箱の中に手を突っ込んでクジを選ぶ。

 

そのまま手探りでカードを選び箱から手を抜くと、引いたカードは金色に輝いており『S』と大きく書かれていた。

 

「……え?何これ?」

 

みんな普通の白いカードを引いていた筈なのだが、引き当てた金色のカードを見て引きつった顔になってしまう真夜。

するとオールマイトが真夜の引いたカードを見て声を上げる。

 

「おぉっと!暗闇少年がそのカードを引いたか!」

 

それに反応して他のみんなは真夜の方を見ると持っていた金色のカードへ視線を移していく。

 

「何だあれ!?金色!?」

「しかもSって書いてねぇか?」

「おかしくない?だってチームはAからJまでだよ」

 

各々が口に出していく中、オールマイトは金色のカードの意味を教えた。

 

「そのカードのSは『Special』の『S』!つまり、スペシャルカードってことさ!」

「スペシャル、カード…?」

 

つまり何か特別なカードなのかと真夜が思っていると、オールマイトはスペシャルカードについて詳しく説明する。

 

「暗闇少年は全チームの対戦が終わった後に1人を指名して1対1の戦闘訓練をしてもらう!更に!ヒーローチームかヴィランチームかの選択ができるぞ!」

 

正に正真正銘のスペシャルカード。

オールマイトからスペシャルカードの説明を聞いた真夜はよりによって僕かと思ってしまう。

 

「じゃあ暗闇のヤツ、ウチらの戦闘見てから1人指名して戦闘するってこと?」

「なんかスッゲェ有利な気がするな」

「暗闇くんって意外に強運の持ち主なのかも!」

 

更に周りから視線を集めてしまうも真夜は気を取り直すことにした。

 

「分かりました。あとこのカードなんですけど記念にもらっていいですか?」

「あぁいいとも。何枚でも持っていきたまえ」

 

スペシャルカードをもらった真夜はみんなのところへ戻ると常闇に声をかけられた。

 

「どうやらお前は引きも強いようだな」

「偶然だよ偶然。そんな自覚はないよ」

「うわぁ、マジで金色に光ってんなそのカード」

 

そこへ赤い髪に上半身が見えているコスチュームの男子『切島鋭児郎』が真夜が持っているカードを覗き込んだ。

彼は熱血で男気が溢れており、個性把握テストが終わった後に真夜に声をかけている。

 

「どうせなら俺がそれ引きたかったぜ。1対1なら自信があるからよ」

「切島くんタイマン好きそうだもんね」

「どうでもいいから早くそのカードしまえ。眩しくて仕方ない」

 

スペシャルカードは無駄に眩しく輝いており光で反射すると目がチカチカしてしまうほどである。

目頭を押さえている常闇を見て真夜は慌ててカードをポケットへ入れる。

 

「ゴメンゴメン。せっかくだからもらっておこうと思ってさ」

「まったく…」

 

そうこうしていると、最初の対戦カードが決まった。

 

Aチーム(緑谷・麗日)対Dチーム(爆豪・飯田)の対決である。

 

「他の者はモニタールームで観戦だ。さっそく向かいたまえ」

『はいっ』

 

オールマイトの掛け声と共にAチームとDチーム以外の全員が返事をしてモニタールームへ向かおうとした時だった。

 

「オイ待てや真っ黒野郎」

 

そう言われて真夜は立ち止まり恐る恐る振り向くと、爆豪がこちらを睨み付けていた。

コスチュームもヴィランっぽいため真夜の鼓動が速くなるも平然を装い向かい合う。

 

「どうしたの爆豪くん?」

 

昨日のことかなと思っていると爆豪が声を低くしたまま言葉を発する。

 

「テメェの番が来たら、俺を指名しろ」

「えっ?」

 

まさかのスペシャルカードの逆指名を受けた真夜は引きつった顔になってしまうも爆豪は続けて言う。

 

「デクを殺した後、テメェも殺す!テメェら蹴落として俺が1番になってやる!首洗って待っとけやボケがぁ!」

 

そして一方的に暴言を吐いた爆豪はそのまま廃墟ビルへと向かって言った。

彼の言うブッ殺すという言葉は叩きのめすの言い換え。

気性が荒く素行の悪い爆豪らしい言い方であるが、真夜は昨日のことをまだ根に持ってると冷や汗をかいてしまう。

 

指名しなくても暴言を吐かれるのは目に見えているため、真夜は爆豪と戦うかどうか考えるのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

Aチーム対Dチームの試合。

結果から言えばAチームの勝利に終わった。

しかし、モニタールームで見ていた人たちからしてみれば微妙な勝利だった。

 

最初は緑谷が爆豪にボロボロにされ挙げ句の果てにはビルの一部を破壊する大ダメージを与えられて窮地に追い込まれていた。

しかし、緑谷の渾身の策で麗日に核を回収させてルール上の勝利となった。

ルール上では勝ったAチームだったが緑谷はボロボロで気を失ってしまい医務室へと運ばれていった。

 

そして麗日と飯田、そして爆豪が戻ってくるとオールマイトによる反省会が行われた。

 

「さて、今の戦闘訓練のMVPは飯田少年だ!」

「なっ!?」

 

オールマイトから称賛された飯田は負けたのに何故?という困惑した顔になっていた。

それはモニタールームで見ていたみんなも同じ。

 

「勝った緑谷ちゃんとお茶子ちゃんじゃないの?」

 

理解できないカエルのような女子『蛙吹梅雨』が首を傾げるとオールマイトは先生らしくみんなに考えさせようとする。

 

「何でだろうなぁ?分かる人はいるかな?」

「はいっ、オールマイト先生」

 

すると即座に八百万が手を上げて解説を始める。

 

「まず爆豪さんの戦闘は明らかな私怨による独断行動。加えて屋内戦闘にも拘わらずのあの大規模攻撃は愚策。それは緑谷さんも同様です。そして麗日さんは中盤からの気の緩み。もし本当ならばヴィランに捕まり最悪の事態となってしまいます。最後に飯田さんは相手への対策をこなし核を守ることに徹底していたが故に最後の反応が遅れてしまった。以上のことから屋内戦闘でのベストな働きをこなした飯田さんがMVPに選ばれたのですわ」

 

『お、おぉぉぉ~……』

 

八百万の分かりやすい解説にオールマイト含めて全員が納得してしまう。

 

「…う、うん!まぁ他にも反省点はあるけど、正解だよ八百万少女!」

「常に下学上達。常に1位精進せねばトップヒーローにはなれませんので」

 

そう言ってエッヘンと胸を張る八百万。

流石はヒーロー科推薦者の1人にして個性把握テストで1位になっただけのことはある。

 

「…あのさ八百万さん、1つ聞きたいことがあるんだけど」

「?…なんでしょうか?」

 

すると真夜がゆっくりと手を上げて八百万へ質問しようとした。

今の訓練で何か気になることでもあるのかと全員が注目する中、真夜は質問をした。

 

「下学上達って…どういう意味?」

『いやそこかよ!!??』

 

まさかの四字熟語に関する質問に大半がツッコミを入れてしまう。

 

「初歩的なところから学び、後に高度な場所まで達するという意味です」

『そんでちゃんと答えるんかい!!』

 

八百万は八百万で真面目に質問に答えたため再びツッコミが炸裂する。

それにより少しだけ重かった空気も和んでいき、オールマイトも一安心する。

 

「さて!気を取り直して次の対戦に移るぞ!」

 

オールマイトに全員が注目する中、真夜はチラリと爆豪の方を見ると、ずっと俯いており明らかに表情を曇らせていた。

 

(うっわぁ、戦闘訓練で負けたことと八百万さんの解説で結構堪えてるなぁ)

 

何とか場を和ませようと努力したものの爆豪の様子は暗いまま。

もし通常運転なら暴言を吐き散らす筈なのだが、覇気すら感じない。

今の爆豪の精神常態は不安定でプライドもクソもないのだろうと推測する。

 

(…指名するのは返って逆効果だな)

 

爆豪のために敢えて指名するのはやめようと思い、真夜は次の戦闘訓練を見るためにモニターへ注目するのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

そして戦闘訓練も着々と進んでいき、ついに真夜の番が来た。

 

「さぁいよいよラスト!スペシャルカードを引いたラッキーボーイ!暗闇少年の番だ!一体誰を指名するのかな~?」

 

オールマイトから促された真夜は改めて全員を見渡す。

 

戦闘訓練を観戦して全員の大方の個性は把握したものの中々きめられずにいた。

一応爆豪の方を見るも、未だに表情は暗いままだった。

どうしたものかと考えるも一向に思い付かず、逆指名させることにした。

 

「それじゃあ、逆に僕と戦ってみたいって人いる?」

 

真夜からの提案に全員が顔を見合わせてどうすると相談していると、1人の男子が前に出た。

 

「だったら俺とやらないか、暗闇」

 

そう、常闇踏影だった。

 

「おっ!常闇が立候補したぞ!」

「常闇VS暗闇ってことか…」

「闇対決だ!」

 

それによりみんなも盛り上がっていく。

 

何かと話す機会も多い常闇からの逆指名に真夜は常闇とやろうと言おうとした時、もう1人が名乗り出た。

 

「俺とやってくれ。俺もお前と戦ってみたい」

 

それは、ヒーロー科推薦者の1人にして個性把握テストで真夜と同率2位の轟焦凍だった。

 

個性把握テストから目をつけられている轟からの逆指名に真夜は戸惑ってしまう。

 

「轟くんもヤル気満々だ!」

「個性把握テストで同率順位同士の対決!」

「こっちも見てみたい!」

 

こっちもこっちで盛り上がりどちらを選んでも盛り下がることにはならないだろう。

 

常闇と轟からの逆指名を受けた真夜はどちらとやるか唸りながら考える。

 

そして数分後、真夜は戦う相手を決めてその人の名前を宣言した。

 

「よし決めた。それじゃあ君を指名するよ………」

 

組まれたカードは?

  • 闇対決!真夜VS常闇!!
  • 2位対決!真夜VS轟!!
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