闇の魔物のヒーローアカデミア   作:アニアス

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第5話 闇対決 真夜VS常闇

「ヒーローサイドの暗闇少年!そしてヴィランサイドの常闇少年!準備ができたらいつでも言ってくれ!」

 

モニタールームにて、オールマイトが廃墟ビルの中にいる常闇と廃墟ビル入口で準備運動をしている真夜にモニター越しに声をかけている。

あの後、真夜が選んだ対戦相手は常闇でヒーローサイドに立ち回ることになった。

 

モニター室ではA組がまだかまだかと待ちわびており話していた。

 

「結局暗闇ちゃん、常闇ちゃんを選んだわね」

「暗闇もかなりの強個性の持ち主だけどよ、屋内じゃあ常闇が有利かもな」

「つーかアイツ、轟にメチャクチャ謝ってたよな」

「……まぁ、別にいいけどよ」

 

常闇を選んだ真夜は轟に掌を合わせて何度も謝り、オールマイト含めて全員が宥めるまで1分もかかってしまう程だった。

轟自身も熱望していたワケでもないためそこまで怒ってはいなかった。

 

「それにしてもどっち勝つんやろ?八百万さんは暗闇くんと常闇くんどっちが勝つと思う?」

 

考えても答えが出ない麗日は分析と評価が得意な八百万の意見を聞くことにした。

八百万は顎に手を添えて少し考えると自分の考えを口にする。

 

「どちらが勝利するか、正直甲乙つけがたいですわ…ですがカギとなるポイントは2つ。1つ目は常闇さんがいかに迅速に暗闇さんを見つけて捕獲できるか、2つ目は暗闇さんが見つからずに核を回収できるかですわ」

 

八百万の解説に聞いていた全員は相変わらず分析がウマイと納得する。

 

ヴィランサイドの常闇の個性は索敵が得意なダークシャドウ。

ヒーローサイドの真夜の個性は潜伏が得意な闇の魔物。

どちらも役割に適している個性を持っているためどっちが勝つか、八百万でさえ分からない。

 

そうこうしている内に真夜と常闇の準備が整い全員がモニターへ注目すると、オールマイトが合図を出した。

 

「よーし!2人とも準備はいいかな?それじゃあ、スタートォ!!」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「始まったか…!よしっ」

 

場所は変わり戦闘訓練が繰り広げられる廃墟ビル。

入り口前にはストレッチを終えた真夜の姿があった。

オールマイトから戦闘訓練開始の合図を切られると同時にシャドウへと変身してビルの中へ入っていった。

 

ビルの中へ入ると、中は薄暗く細い通路が奥へと伸びており左右には何ヵ所かの道も見えた。

そして壁には今までの訓練でできたであろう傷がいくつもありそれなりの対戦があったことを物語っている。

 

そこを進みながら真夜は作戦を考えていた。

 

(取り敢えず作戦は見つからずに核へ辿り着いて回収の作戦でいこう…けど相手は常闇くんとその個性のダークシャドウ。状況的に考えれば向こうが有利かも…)

 

常闇踏影の個性『ダークシャドウ』

影のモンスターを出すことができ遠距離まで伸ばすことが可能。

端から見れば強個性かもしれないが、長所があれば短所がかるように真夜はダークシャドウの欠点を見抜いていた。

 

(ダークシャドウの欠点は伸ばしすぎると本体…つまり常闇くんのところへすぐに戻れないってこと…!)

 

ダークシャドウは広範囲が大きい故に懐に入られると対処が遅れる。

そして常闇は核のところにいると踏んだ真夜は見つからない潜入作戦を決めたのだった。

 

階段を上りきると、次の階は窓があるため外から日が差しており下の階に比べて明るかった。

そんな階を進んでいくと、曲がり角の方から影のようなものが見えた。

恐らくダークシャドウ。

真夜は見つかるワケにはいくまいと床へ潜り込み近くの部屋へ入り身を潜めた。

 

『ドコダ~?出テコイヒーロー!』

 

真夜が耳を澄ませるとやはりダークシャドウが真夜のことを探しておりそのまま通路を進んでいったようだった。

真夜は部屋から顔を出すと、ダークシャドウは既に奥へと進んでおり目の前にはダークシャドウが伸ばしている細長い体があった。

 

(チャンスだ!)

 

そして真夜は好機と捉えてそのままダークシャドウの体を逆に辿って進んで行った。

 

真夜が望んでいたのは正にこの状況。

ダークシャドウが自分に気づかずに体が無防備状態になった時。

これさえ辿れば本体の常闇と核へと辿り着ける。

後はダークシャドウの体にさえ触れなければ気づかれることはないため注意して進んでいく。

 

(本当ならここでダークシャドウにテープを巻いてクリアしたいけど本体の常闇くんに巻かないといけないし。それに僕だったら核兵器なんて危ないものすぐに回収するからね)

 

自分の中での最善の手段を改めて踏まえながら、真夜は常闇が待つ場所へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

しばらくダークシャドウの体を辿っていた真夜。

階段を上りながら先へ先へと進んでいくと目的の場所を見つけた。

 

真夜の視線の先にあったのは1つの部屋。

真夜の位置から部屋の中は見えないが、出入り口からダークシャドウの体が伸びていた。

 

(あそこだ!)

 

まず間違いなく常闇はあの部屋にいる。

そう踏んだ真夜は足音を立てないようにゆっくりと部屋へと近づいていった。

2歩3歩と忍び足で進んでいき、ようやく出入り口付近。

 

ここまで来れば奇襲は必ず成功すると確信して真夜は足に力を入れて部屋へと突入したその時だった。

 

(うわっ!?)

 

部屋へ突入した途端、何かを蹴飛ばしてしまい転びそうになってしまう。

しかし、真夜は何とか堪えて体制を整えると蹴飛ばした何かは大きな音を立てて壁へぶつかった。

何を蹴ったのかと真夜が確認すると、それは空の一斗缶だった。

しかも1つだけでなく部屋にいくつも散らばっている。

何故こんなにも一斗缶が散らばっているのかという疑問よりも真夜はあることに気がつく。

 

(常闇くんが、いない!?)

 

部屋にいる筈の常闇の姿が見当たらず、更には核兵器さえもなかった。

確かにダークシャドウの体はこの部屋から伸びていた筈と真夜はもう一度確認すると謎をすべて理解してしまった。

 

確かにダークシャドウの体はこの部屋から伸びていた。

間違いなくこの部屋からだった。

 

そう、この部屋の"窓の外から"…

 

(ま、まさか!?)

 

『ミツケタゼェ!!』

 

(!?)

 

後ろからの叫び声に振り向くと黒い大きな手が真夜を襲い、そのまま背中から壁へ叩きつけられた。

 

「ガハァ!?」

 

モロに攻撃を受けてしまったことでシャドウの変身も解けてしまいそのままズルズルと座り込む。

痛みに堪えながらゆっくりと顔を上げると、案の定ダークシャドウが目の前にいた。

 

『ヨッシャア!踏影ノ狙イ通リダゼェ!』

 

座り込んでいる真夜を見ながらダークシャドウは勝利を確信する。

 

常闇の考えた作戦は真夜と似て非なる、意表を突いた奇襲。

まずはダークシャドウを伸ばして探索をさせる。

ダークシャドウの伸びた体を真夜が辿ってくると予測し、敢えて部屋を1つ跨いでダークシャドウを伸ばしていた。

そして真夜が部屋に突入したことを知らせるために空き部屋に一斗缶を配置して、音が聞こえたと同時に一気にダークシャドウを引き戻して真夜を奇襲するという作戦だったのである。

 

「ゲホッゲホッ!まさか一部屋跨いで伸ばすなんて…!」

 

咳き込みながらもこちらの意表を突いた作戦に真夜は凄いと思ってしまう。

相手の行動を予測した上での常闇の作戦の組み立て方は一枚上である。

 

しかし窮地に追い込まれしまったのは事実。

変身しようにもダークシャドウが見逃すワケがなくそのまま無防備に攻撃を受けてしまうことは目に見えている。

何とかしなければと考えるも、ダークシャドウが捕縛テープを持ってゆっくりと近づいてきた。

 

『悪イナ暗闇。コノママ終ワラセテモラウゼ』

 

(くっ!流石に人間体のままじゃ逃げられない!一気に常闇くんのいる隣の部屋に行くにはあの姿になるしかないけど、変身する時のタイムラグをダークシャドウは見逃さない!せめてダークシャドウを一瞬でも怯ませることができればいいけど、そんな都合のいいこと………あっ!)

 

その時、真夜はあることを思い出し目を見開いた。

ダークシャドウに悟られないようにそれを確認すると、起死回生の一手を見出だす。

 

(…諦めるワケにはいかないよね。だって僕は…ヒーローだから!)

 

ヒーローならこんな普通のピンチなんて諦めずに乗り越える筈。

そう思った真夜は笑みを浮かべると早速行動に移るのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

一方、隣の部屋にいる常闇は核兵器を背にしつつダークシャドウが真夜を確保するのを待っていた。

 

「そろそろダークシャドウが暗闇を確保する頃合いか…」

 

隣の部屋から聞こえた一斗缶に衝撃音、そして真夜の呻き声。

もう勝負は八割型決したと確信している。

 

ダークシャドウとは感覚を共有できないため隣の部屋の現状確認はできないものの真夜が追い詰められていることは確かである。

しかし、油断せず部屋の出入口や窓などを注意して核兵器を守ることを徹底している。

 

「アイツが諦めるとは思えないが、やはり勝利は決したか…」

 

その時だった。

 

 

 

『ギィヤァァァァァァァ!!??』

 

 

「!?」

 

 

 

隣の部屋からダークシャドウの声が聞こえてきた。

ただの声でなく、まるで断末魔のような叫び声を上げているため常闇は何が起きているのか理解できなかった。

 

「ダークシャドウ!?どうした!?」

 

壁越しにダークシャドウに呼び掛けるもこちらに対しての応答がない。

 

致し方ないと一旦ダークシャドウを戻そうとした時だった。

 

部屋の出入口から何かが飛び込んで来たため常闇がそちらへ顔を向けた。

それは黒い人の形をした魔物のようなものだったが、常闇はすぐに正体を察した。

 

「暗闇か!」

 

それが真夜と分かったものの、その姿はシャドウよりも一回り大きい人型で手足のリーチも長く、頭から2本の触覚が後ろへと伸びていた。

 

そのまま真夜は部屋に飛び込んだと同時に素早い動きで常闇の上を飛び越え手を伸ばして核兵器へと触れた。

 

『勝者!暗闇少年!!』

 

それと同時にオールマイトから対人戦闘終了のアナウンスが流れたのだった。

 

訓練が終了すると真夜は変身を解除してこちらをジッと見ている常闇の方を見た。

 

「僕の勝ちだね、常闇くん」

「……あぁ。俺の敗けだ、暗闇」

 

負けた常闇は特に悔しがることなくフッと軽く笑った。

 

こうして真夜の初めての戦闘訓練は勝利で終わったのだった。

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