無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について   作:希望03

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こんばんは!!
1日遅れですね、ほんとに申し訳ございません!
これも何とか書き上げました!
優馬くんの活躍回!ついに過去も(少し)明らかになります!
では、どうぞ!


第15話 不器用な僕たちへ

 

~優馬家~

 

『…私と、曜ちゃんを助けて?』

 

優馬「…」

 

ずっと考えていた。彼女たちを救う方法。

そして、また前に進めるように。

だが、珍しく僕の頭は完全に思考が止まっていた。

確かに覚悟は決めた。しかし、この穴をどう修繕するべきなのか

そこがまだ考え付かないのだ。

正直なところ、誰かに聞いてしまった方が簡単だ。

すると電話の一通の着信が入った。

 

梨子『もしもし、ごめんね、急に』

優馬「…いや、全然気にしてないよ。むしろ嬉しい。」

 

電話は東京にいる梨子からだった。

今、このタイミングでの電話は幸か不幸か

 

優馬「電話なんてどうしたの?」

梨子『う、ううんっ!///なんでもないの!///』

優馬「…?」

梨子『た、ただ…///声聞きたいな…って///』

優馬「…///」

梨子『な、何か言ってよぉ~~///』

優馬「い、いやごめんね、うん…///」

梨子『あぁぁぁ…///』

 

まさか、梨子からこういうことを言われるとは思わなかった

めちゃくちゃ悩んでた分、思わず拍子抜けしてしまった。

そして、梨子がめちゃくちゃ可愛い。

びっくりするほど、可愛い。

 

梨子『優くん…?///大丈夫…?///』

優馬「ご、ごめん…///」

梨子『そ、そうだ!///そっちの皆は大丈夫そう?///』

優馬「…まぁ、うん」

梨子『…何かあったんだね?』

優馬「…梨子?相談に乗ってもらってもいい?」

梨子『…うん』

 

こうして僕は千歌とそして曜との今の関係を話した。

曜の思い悩んでいたことも、千歌が抱えていたこともすべて。

そして、僕がそれを聞いてどう感じたか、も。

 

梨子『そっか…やっぱり、千歌ちゃんも曜ちゃんも…』

優馬「…?」

梨子『優くん』

優馬「梨子…?」

梨子『あのね、優くんって助けようとすると頭がいいから自分で全て解決しようとしちゃう癖があるんだよね』

優馬「…そうなのかな」

梨子『うん、それもね、とても素敵なことよ?やっぱりかっこいい、って思う。』

梨子『けど、千歌ちゃんと曜ちゃんは今、そんなことを望んでるわけじゃないと思うな』

優馬「え…?じゃあ…」

梨子『きっと寂しいだけなの。だから、“そばにいてほしい”、“寄り添ってほしい”。ただ、それだけだと思うな…』

優馬「“寄り添う”…」

梨子『うん…あとは優くん次第』

梨子『…頑張ってね』

優馬「ありがと、梨子…そっちも頑張ってね」

 

優馬「…ふぅ」

 

“寄り添う”こと。僕はこの言葉の意味の大切さを知っている。

だが、僕にはできなかった。かつての奏ねえさんの時のように…

 

優馬「必ず終わりはやってくる…」

 

永遠とは存在しえない。

必ず終わりはやってきて、別れはやってくる。

 

優馬「僕はいまだにそれを怖がってるのか、情けないな…」

 

ビビってるの?何を怖がってる?

相手との別れ?いなくなってしまう恐怖?

違うだろ、僕が怖がっているのは

 

優馬「周囲からの嫌悪…」

 

そう、あの時、奏ねえさんが死んだ理由。

突然の病とかじゃないんだ。僕のねえさんに対する憧れとか好意からなる

“ノイローゼ”による自殺だった。

 

~回想~

 

当時の僕はまだ無邪気だった。

こんな無気力で極力、うつろな目をしてるような

そんなロボットのような奴じゃなかった。

 

奏「皆、こっちこっち~!」

果南「ま、待ってよ~、奏おねえちゃん!」

ダイヤ「と、遠いですわ~…」

鞠莉「ゆ、優はだいじょうぶ?」

優馬「う、うん!平気だよ!」

 

…あの時は裏山の、僕たちの秘密基地に向かう途中だった。

そして、ここが僕と奏ねえさんとの間に“何か”が起きた時だった。

 

果南「はぁぁ!!ついたぁぁ!!」

ダイヤ「もう…へとへと…ですわ…」

鞠莉「マリーも…」

優馬「あ、あれ?おねえちゃんは?」

ダイヤ「奏さんなら向こうの川に行きましたわよ?」

優馬「ほんとっ!?ありがと、ダイヤ!」

 

 

奏「~♪」

優馬「あ!おねえちゃん!」

奏「ん~?どしたの?優馬?」

優馬「えへへ…おねえちゃんにプレゼント!」

奏「わぁ…ありが…っ!?」

奏「こ、この花たちの匂いって…」

優馬「うん!おねえちゃんが使ってる香水の花の匂いだよね!」

優馬「名前はマグノリア、モクレン科モクレン属の植物の総称で今渡した花はモクレン、タイサンボク、オオヤマレンゲでお花屋さんの人に言ったら渡してもらえたんだ!」

優馬「僕たちの家からここまで1.2km、詳しく言うと1224mあるから走って汗をかかないか冷や冷やしちゃった!」

奏「ゆ、優馬?ここまでの距離ってし、調べたの?」

優馬「?ううん!家からここまでの地図をイメージ、縮図して、頭の中で計算したの!」

奏「ひっ…!」

優馬「あ…危ない!」

奏「…あ、ありがとう」

優馬「危なかったね…あと体の傾きが23°足が28cm後ろに下がってたら落ちてたところだった…」

奏「あ…」

優馬「じゃあいk「触らないでっ!!」…え?」

奏「ご、ごめんね…優馬、ごめんね…」

優馬「あ…」

 

それから奏ねえさんは僕のことを見る度に怯える目で見るようになった。

恐ろしい、おぞましい、何かを見る目。

そして…気づいた時にはいなくなってしまった。

 

あれから僕は気づいてしまった。

僕のあれは“異能”であることに。

自らの好きなもの、憧れに対する執着心。そして全ての情報を吸収する人智を超えた脳

僕は思ってしまったんだ。「怪物」は誰とも相容れてはいけないんだ、と。

 

 

優馬「…それでも僕は動かなければ」

 

ただそれは過去の話。

今はもう違う。皆という仲間のおかげで

…さぁ、過去の払拭の時だ。

前へ進もう。今は彼女たちを救う番だ。

 

 

~優馬家~

 

優馬「…今までありがとう、ねえさん」

優馬「でも…それも今日で終わり、僕はもう迷わない。あなたに囚われる僕はもういない。」

 

優馬「ふぅ…今日も相変わらず、大っ嫌いなあっつい晴れだな…」

 

そうして僕は彼女たちにメッセージを送った。

 

『今日の練習後、話があるんだ。』

 

あとは…僕次第だ…!

 

 

~千歌家~

 

千歌「はぁ…」

 

初めて練習に行くのが憂鬱だなって感じてる。

分かってた。こんなのただの嫉妬だって。

優くんは何も悪くない。皆を支えたいからああやって話してるのに。

千歌がわがままを言ったから困らせてしまった。

 

千歌「…っ!?優くんからだ…!」

 

思わず、優くんからメッセージが送られてきて、つい舞い上がってしまった。

開くとそこには、練習後に話があるとの事。

 

千歌「…ゆう、くん」

憂鬱だった時も少し前向きになれた気がする。

そんな想いを抱えて今日も練習へと向かった。

 

 

~曜家~

 

曜「…」

 

なんで私はあんなことをしてしまったんだろう。

千歌ちゃんは大切な友達、もはや親友と言ってもいい存在の女の子。

でもそれを超えてしまうくらいにもっと大切で大好きな男の子。

本当ならずっとそばにいたい。一緒にいたい。

優が転校してきた時、声をかけて、ずっと一緒にいたのは私で、私が声かけたから千歌ちゃんたちも寄ってきて。

スクールアイドルを始める前はいつも一緒で、かけがえのない大切な居場所だったのに

気がついたら周りに皆がいて、私の居場所が消えていくような気がして…

 

曜「…わたし、優に忘れられちゃうのかな」

 

そんな辛く重い現実を考えてしまって、余計に塞ぎ込んでしまいそうで

もう練習なんて行かなくていいかな、って思ってた時だった。

 

曜「え…?誰から…?」

 

そこには優馬の文字、そして一言添えられたメッセージが

 

曜「優…私…」

 

私は覚悟を決めた。

優に想いを伝えようと、自分の抱えていた気持ちを伝えようと

重かった足を持ち上げて、私は学校へ駆け出した。

 

 

~浦の星学院・屋上~

 

優馬「あ~~、あっつい…嫌になる…」

果南「も~、大丈夫?」

ダイヤ「本当、相変わらずですわね」

鞠莉「ふふ、それが優らしいじゃない。あんなに悩んでそうだったけどもう吹っ切れてそうだし!」

優馬「え、僕、そんな顔に出てた?」

鞠莉「あったりまえじゃない!何年の付き合いだと思ってるの?」

優馬「あー…やっぱり3人には敵わないなぁ…」

優馬「まぁ…うん、もう過去のことは終わりにしたから、今日で僕も変わるよ、きっと、ね」

ダイヤ「…頼もしくなりましたね?」

優馬「ダイヤにそう言われると自信がつくよ、ありがとう」

ダイヤ「べ、別に大したことは言ってませんわ…///」

鞠莉「それじゃあ、これから?」

優馬「…うん、行ってくるよ」

果南「行ってらっしゃい…」

ダイヤ・鞠莉「んなっ!?///」

優馬「うん…って果南さん?これはいったい?///」

果南「ん?何って行ってらっしゃいのハグだよ?」

ダイヤ「は、離れなさいっ!果南さん!」

鞠莉「そ、そうよっ!ずるいわよ、果南!」

果南「えー、やだよ、折角のハグなのにー」

優馬「か、果南…俺、もう行くから…」

果南「え…、今、“俺”って…」

優馬「…じゃあ、行ってくるね」

 

そうして僕は駆けだした。

不器用で、不格好な僕の想いを言葉で伝えるために

 

 

~浦の星学院・校門前~

 

千歌「優くん…来てくれるってことだよね…///」

千歌「助けて、って言っちゃったけどもしかして…告白…?///」

 

千歌(“千歌を支えてあげる。だから、ずっとそばにいて…”とか!?///きゃー!!!///)

 

曜「あれ?千歌、ちゃん…?」

千歌「よ、曜ちゃん…?なんで…」

曜「なんでって…私、優に呼び出されたからだよ」

千歌「え!?」

曜「…まさか、千歌ちゃんも?」

千歌「…」

曜「…私帰るね」

千歌「ま、待ってよ!」

曜「…何?」

千歌「わ、私が優くんに頼んだの…私と曜ちゃんを助けて、って、だから」

曜「…どういうつもり?」

千歌「え…?違うよ…ただ私は…」

優馬「はい、そこまで」

千歌・曜「「優(くん)っ!?」」

優馬「ごめんね、待たせすぎたかな」

優馬「…行こ、ちょっと浜辺の方に」

 

 

~内浦・浜辺~

 

優馬「は~、やっぱ景色綺麗だな…」

千歌・曜「「…」」

曜「ねぇ、優…話って、何?」

優馬「…ちょっと、昔話をしようか」

 

こうして俺は“僕”の最悪の過去であるあの出来事を彼女たちに話した。

憧れだった奏ねえさんの死因。そしてその原因。

“僕”の「異能」の話。「怪物」だと自負して、周りと距離をとるようになった話。

僕の今までを彼女たちに話したのだ。

もちろん僕は嫌われる覚悟だった。嫌われて当然だと思うからだ。

それでも淡々と事実を話した。伝えなければならないから。

寄り添うことの重みを、そばにいることの重圧を。

それを知って、初めて、「温かみ」が生まれると、そう感じたから。

すると、彼女たちの顔から涙が出ていたのだ。

 

優馬「え、え…?なんで?」

曜「だって、そんな、私たち知らなくて…」

千歌「う、うぅ…それなのに私たち」

優馬「…知らなくて当たり前だよ、これは誰にも伝えてないんだ。」

千歌・曜「「え…?」」

優馬「もちろん…鞠莉やダイヤ、果南もこれは知らない。」

優馬「彼女たちは今でも死因が病死だと勘違いしてるんだ。ほんとは違うんだけどね…」

千歌「じゃ、じゃあなんで私たちに…」

優馬「そんなの、決まってるじゃないか」

優馬「…君たちが俺にとっての希望で、大切な人、だからだよ」

千歌・曜「「っ!///」」

優馬「本当はこの事はもう誰にも言わないでおこうとしたんだ。でも、千歌たちがそれを変えてくれた。」

優馬「今まで周りから嫌われてしまうことも離れていってしまうこともずっと怖がってしまっていた。それはいずれ起こってしまう。起こり得る可能性を秘めているから。」

優馬「…でももう違うんだ。曜や千歌、梨子と出会って、鞠莉たちと再会して、善子たちと新たな出会いをして、かけがえのない仲間がいることを知ったんだ。」

優馬「だから、もう怖がるのはやめにしようって、だから段階を踏みつつ、まだ距離があった曜たち以外の皆と話してたりしてたんだけど、逆効果だったみたいだ。」

曜「ちが、違うの!ごめん、ごめんなさい…!わた、し…」

千歌「ゆう、くん…ごめんね…ごめんね…」

優馬「…本当だよ、だからこれは俺からのお願いだ。」

曜・千歌「「…」」

優馬「…もう俺のそばから離れるな」

曜・千歌「「…ふぇっ!?///」」

曜「そ、それって!///つ、付き合おうってことじゃ…///」

千歌「で、でも2人同時だなんて///でも…///」

優馬「2人の存在は必要なんだ。俺にとっても」

曜「そ、そんな…///そんなこと言われちゃったら…///」

千歌「こ、断れないよぉ…///」

優馬「そして、スクールアイドル部、Aqoursにとっても…!」

曜・千歌「「あぁ…やっぱり…」」

優馬「え…?何この空気…?」

曜「…全く、さすが優だよ!このスケコマシ!」

千歌「優くんのバカ!唐変木!!」

優馬「えぇ…なんで…?」

曜「でも、ふふ…」

千歌「えへへ…これが優くんだもんね!」

優馬「…てことは?」

曜「しょーがないから!そばにいてあげるっ!」

千歌「その代わり!ずっとアプローチするからね!覚悟しててね!!」

優馬「う、うん…?ありがとう…?」

 

何はともあれ、僕たちの関係は元に戻った。そして、同時に新たなスタートを切れたのだ。

しかし、もっと変わったことが…

 

 

~後日・屋上~

 

ダイヤ「一体どうなってるんですの…?」

果南「分かんないけど…確実に何かはあったね…」

鞠莉「What…?だとしても…」

花丸「近くないずらか…?」

ルビィ「2人とも遠慮なくなってきたね…」

善子「…今こそ堕天使の力による裁きの時」

 

優馬「あー…今日も一日練習か…」

曜「ほんときついよね~…はい、優、あ~ん♡」

優馬「…あ~、ん、これ美味しい」

曜「ほんとっ!?♡」

優馬「うん、これなんのやつ?」

曜「えへへ、これ曜ちゃん特製のレモンの甘露煮なの!休憩に優と一緒に食べようって考えてて…♡」

優馬「あー…美味しいよ、ほんとに」

曜「ふふっ♡ありがと!♡」

優馬「ちょ、ハグは…」

曜「いいじゃん!見せつけちゃお?♡」

 

果南「…ハグは私のなんだけどな?」

花丸「今のはイラっとしたずら」

鞠莉「…嫉妬ファイヤーがメラメラと燃えてるデース」

 

千歌「も~曜ちゃん、ずるいよ!」

千歌「優くん、私も疲れちゃったぁ、ぎゅ~ってして?♡」

優馬「…えぇ?」

千歌「してくれないの…?」

優馬「…します。」

千歌「やったぁ!♡」

優馬「でも、皆見てるんだけど…」

千歌「そんなの気にしない気にしない!見せつけちゃおーー!♡」

 

善子「…もう裁いていいわよね?ギルティよね?」

ダイヤ「…処しましょう。ええ。処しましょう。」

ルビィ「…お兄ちゃんも浮気、だよね?」

 

優馬「…はぁ、もう勘弁してくれ…」

 

ほんとに何はともあれといった感じだけど、俺たちは前に進もうとしてる。

少しでも着実に一歩ずつ。

不器用な僕だけど、それ以上に器用だけど不器用で、

とてつもない想いを抱えている彼女たちと一緒にスクールアイドルをやれている僕は

なんだかんだ幸せです。

 

優馬「さて…じゃあラブライブ予選に向けて、最後の仕上げ、しよっか」

「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」

 

 

千歌(えへへっ♡優くんから“離れるな”って言われちゃったもんね!♡)

曜(だから、もうほんとに誰にも渡すわけにはいかなくなっちゃった!♡)

千歌・曜((覚悟しててね!優(くん)!))

 




いやぁ…最終的にこうなっちゃうんですよね…
とりあえず15話でした!
もう15話なんですよね…未だに予選が…
次回は予選に向けた回に加わったイチャイチャ回のつもりにします!
また次回もよろしくお願いします!

現時点で貴方が考える優馬が付き合う相手は?

  • 高海千歌
  • 桜内梨子
  • 渡辺曜
  • 松浦果南
  • 黒澤ダイヤ
  • 小原鞠莉
  • 津島善子
  • 国木田花丸
  • 黒澤ルビィ
  • 鹿角聖良
  • 鹿角理亜
  • 誰とも付き合わない

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