無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について   作:希望03

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こんにちは
今回はタイトル的にシリアスかと思われますが、全く違います。
ゴリゴリのヤンデレ要素満載のコメディです。
タイトルを気にせず読んでいただけるとまぁありがたいです!
では、どうぞ!


第16話 渦巻く不穏、けれども穏やかな空気

 

~浦の星学院・屋上~

 

ラブライブ予選まで残り3日。ついにここまでやってきてしまった。

梨子の不在。千歌と曜とのいざこざ、そして“僕”の過去からの脱却。

ここ3日間で多くの出来事があった。

けれど、ついにここまでやってきたのだ。

それなのに…

 

千歌「ゆ~うく~ん…あついよぉ~…」

優馬「うん…そうだね…なら離れればいいんじゃ?」

千歌「…いやっ!」

優馬「えぇ…」

曜「優?あの時言ったこと覚えてないの?」

優馬「…覚えてるけれども」

曜「ふふっ♡そういうことだからっ!♡」

優馬「…はぁ」

 

こんな感じであれからこの2人は周りに構わず、休憩に入ったら俺のところに来ては

ハグに加えて、体を擦りつけたり、自分の作ってきたものを食べさせに来たりとか…

とにかく色々なことを仕掛けてくるようになった…

アプローチとは言ってはいたが、まさかここまでとは…

そしてこのアプローチを続けていたら恐らく周りは…

 

花丸「…ずるいずら」

ルビィ「私もお兄ちゃんのところ行こうかな…」

善子「はぁ…優馬…」

鞠莉「…そろそろ我慢しなくていいかしら?」

果南「落ち着いて鞠莉、でも千歌たちも千歌たちだね…」

ダイヤ「ふぅ…そろそろ思い知らせないとだめかもしれませんね…」

 

ほら…なんか怖い雰囲気だし…

特に3年生組、雰囲気危なすぎですよ。

いまにも手を出しそうな勢いですよ。怖い怖い。

 

曜・千歌「「…」」

鞠莉・ダイヤ・果南・花丸・ルビィ・善子「「「「「「??」」」」」」

曜・千歌「「ふっ♡」」

 

ブチッ

 

ん?なんかキレる音が聞こえたような…

 

鞠莉「全面戦争デーーーース!!!!」

果南「鼻で笑ったことぜっっったいに許さないからね!!!」

ダイヤ「その鼻へし折ってあげますわぁぁぁぁ!!!」

優馬「え…ちょ、待って、落ち着いて」

 

え、え?何起こってるのこれ

全面戦争しちゃダメでしょ、そもそもあと3日後に予選なんですけど??

 

千歌「やーん、果南ちゃんたちが怖いよ~、優く~ん…♡」

曜「助けて、優~…♡」

 

そうしてさらに千歌と曜は俺に密着してきたのだ。

これには今度、1年生が黙っていない。

 

花丸「は、離れるずらぁぁぁぁぁ!!!」

善子「あんたたち、裁きを喰らいたいの!!??」

ルビィ「…お兄ちゃんを返してもらえるかなぁ???」

 

ほら、あんなに天使な1年生がこんなに大荒れ。

頼むから仲良くしてくれ。

そしてくっつかないでほしい。暑い。

 

優馬「…とりあえずもう練習しようよ」

 

とりあえず俺の一声で皆は練習へと取り掛かった。

かなり渋っていたが。

それでもラブライブ目指してんのか、こいつらと思ったが言わないでおこう。

練習が始まれば別人かのように全員の意識が集中するからだ。

 

優馬「…ふ」

 

正直、梨子がいないこの8人でのラブライブは少し寂しいというか

Aqoursと言えるのだろうか、と思ってしまう時がある。

きっとそれは梨子も寂しい思いをしてるんだと感じてる。

だからこそ、俺たちは梨子の想いも背負って、立たないといけないんだ。

急遽、梨子のスペースを曜に代替し、臨むわけだが、それも段々と様になってきた。

これなら予選通過も夢じゃない、それくらいまでは仕上がってきている。

…やっぱり彼女たちの本気度は違うんだな、とそう感じる。

信じてきて正解だった。

 

優馬「…よし、俺も頑張らなきゃな」

 

そうして俺は全員分のドリンクや東京行きの経費の精算などまだやり残している仕事を片付けようと一旦、屋上を出た。

 

 

~Aqours side~

 

…優馬は勘違いしているが、確かに梨子の想いも抱えて、ラブライブ予選を勝つというのは心にあるが、それ以上に彼女たちが大切にしているものがある。

それが…

 

((((((((…絶対に優(さん、くん、馬、お兄ちゃん)に“可愛い”って言ってもらう!!))))))))

 

という完全に邪な気持ちが原動力の源であるということ。

大切な仲間ではあるが、それ以前に大好きな男の子でもある。

さらに彼女たちは今まで優馬以外の男の子なんぞに目もくれなかった子たちばかり

つまり初恋も初恋なのだ。

それなのに周りにいるのは優馬の隣を奪おうとするライバル(泥棒猫)たちばかり

いつ何時、優馬にアプローチを仕掛けるか分からない。

となるともう、全員が全員気を張るしかない。するとどうなるだろう。

練習中の集中はそれはそれはとてつもないレベルの域まで達するのだ。

 

ダイヤ「…はい、そこまで!」

千歌「ふぃー…あっついよぉ…」

曜「ダイヤさん、休憩ですか?」

ダイヤ「そうですわね…また水分補給しておきましょう」

花丸「じゃあ、優さん成分を補充するずらぁぁ!!」

善子「ちょ、ずるいわよ!ずら丸!」

ルビィ「待ってよー!花丸ちゃん!」

花丸「…ってあれ?いない?」

善子「あれ、ほんとね…」

ダイヤ「優馬さんなら別件での仕事をしていますから一旦、抜けると言ってましたわ。」

千歌「…なんでダイヤさんが知ってるの??」

ダイヤ「それはさっき優馬さんから連絡をいただいたからですわ。」

ダイヤ「やっぱり、一番信頼しているからこうやって連絡を貰えるのですね…ふふ…♡」

千歌「ふ~ん…」

 

優馬が不在の中、この屋上ではとてつもなく不穏な空気が流れていた。

その中、空を切るかのように話題を出してきたのだ。

 

善子「…あんたたちさ、やっぱり全員優馬のこと好きなの?」

 

それはあまりにも唐突だった。

そして全員空いた口が塞がらなかった。なにせ、急にそんな話をぶっ込んできたから。

対応が恐らくできなかったのだろう。

 

善子「それで、どうなの?やっぱり好きなの?それとも違うの?」

花丸「そ、そんなこと言う善子ちゃんはどうずら!?」

善子「私?私は好きとかそんなレベルじゃないわ」

善子「愛してる。優馬のためならなんだって捧げるその覚悟があるわよ?」

 

善子の言葉は善子自身淡々と話していたが

実際、その言葉は重く、善子自身もその言葉の重みを分かった上で発言をしていた。

 

花丸「…」

善子「…なんだ、皆、そんなレベルじゃなかったのね、心配して損したわ」

花丸「オラだって!!」

花丸「オラだって、本気ずら。そもそも告白もまだ、キスすらもできない人達と一緒にしないで欲しいずら」

善子「…」

ルビィ「へ~…」

果南「キス!?///」

鞠莉「…ちっ、先を越されましたか…」

ダイヤ「キス、ですか…」

花丸「えへへ…♡優さんのあの時の表情を思い出す度に唇の感触を思い出しちゃうずら…♡」

花丸「あぁ、皆は知らないもんね!分からないなんて残念ずらねぇ…♡」

千歌「あはは!花丸ちゃんてば、それ自分からしたんでしょ~?」

花丸「…そうだったら何かあるずらか?」

千歌「所詮、優くんからはアプローチかけられてない、キスすらできない残念な女の子と同じだよ?」

花丸「へー…じゃあ千歌ちゃんは何かあったずら?」

曜「千歌ちゃんだけじゃないよ?花丸ちゃん♪」

花丸「…まあ2人とも鬱陶しいくらい優さんに引っ付いてたから分かっていたけど…早く言うずら」

千歌「ふふっ♡私たちはね~♡」

曜「優から“俺のそばから離れるな”って言われてるんだもんね~♡」

千歌「あの時の優くんの凛々しい顔つき…♡」

曜「もう言われるまでもなくずっと一緒だよね…♡」

花丸「…だからあんな喧しいくらいに優さんにしつこかったんずらね」

千歌「喧しい?あぁ皆からしたら喧しかったし鬱陶しかったかなぁ?」

曜「愛しの優を目の前で寝取られてるもんねぇ」

千歌「でも、私たちと優くんは相思相愛なの」

曜「だから、皆が付け入る隙なんて微塵もないんだ♡ごめんね?」

千歌・曜「「ふふ…♡」」

花丸・善子「「…」」

 

正に一触即発。

何かあればそこは戦場になりかねない。そんな雰囲気が屋上に流れていた。

ラブライブ予選直前?もっと練習に集中しろ?

そんなの今の彼女たちには知ったことではありません。今全員の頭の中は優馬という一人の男に独り占めされているのでご留意ください。

 

果南「でもさぁ、ゆうがそんな公然と二股をかけるようなこと、するかね?」

千歌「…何が言いたいのかな?果南ちゃんは」

果南「だから、そばにいてほしいってあくまでも“親友”としてそばにいてほしい、ってことじゃないの?」

鞠莉「へぇ…それは羨ましいわねぇ、千歌っちと曜は優馬にとって“親友”だなんて!」

ダイヤ「ええ…羨ましい限りですわ…あら?でも“親友”ということはそれ以上にはなれない存在ですよね?しかも優馬さんからそのことを言われてるってことは…」

果南「…残念だったねぇ、もしかしたらゆうからしたら2人は異性として見られてないかもねぇ?」

鞠莉「でもいいじゃない!ある意味特別な立ち位置よ、良かったわね!」

 

この雰囲気を分からないのか、3年生。

しっかりと2人に言葉の正拳、とてつもない右ストレートをかましていった。

さらに煽りに煽る。もう慈悲のじの字もない。

 

千歌「…ちょっと黙っててもらえるかなぁ?」

曜「…そもそも果南ちゃんたちは何かあったの?」

曜「優が来て最初の頃はずっと優をある意味突き放してて、そばにもいてやれず、幼馴染?」

曜「ははっ、面白い冗談だよねぇ?」

果南「…あー、そういうこと言っちゃうんだね?」

鞠莉「あなたたちは知らないけれど、PVの案もイベント行った後のアドバイスも優の考えてたことを支えてきたのは私たち幼馴染と言っても過言ではないのよ~?」

ダイヤ「しかも、優馬さんから私たちを頼りにして…ふふっ♡」

ダイヤ「まぁ…優馬さんが一番頼りにしてるのは私ですけれどね♡」

果南・鞠莉「「…ちっ」」

果南「まぁそれは置いておいて、とにかく千歌たちとはもはや違う次元なんだよ?」

鞠莉「そもそも同じ土俵にすら立ってな・い・の♡」

千歌・曜「「…」」

ルビィ「…お姉ちゃんたちも同じでしょ?」

ダイヤ「…ルビィ」

ダイヤ「随分と言うようになりましたね?」

ルビィ「ルビィは事実を言ってるだけだよ?」

ルビィ「親友だろうと幼馴染だろうと、立場としてはお兄ちゃんが異性として認識してないといっても過言じゃないレベルではあるし」

ルビィ「…もしかしたらお兄ちゃんにとってはお姉ちゃんたちは都合のいい相談役、としか思ってないかもしれないしねぇ??」

ダイヤ「…ふふ、あなた本当にルビィ?なんだか分からなくなりそうですわ」

鞠莉「いくらダイヤの妹だとしてもそこまで言うと容赦はしないわよ」

ルビィ「あれ?鞠莉ちゃん、図星突かれて、苛立っちゃったのかな?なら滑稽だね?」

ルビィ「あと、私はもう引っ込み思案の私はやめたの、お姉ちゃん。」

ルビィ「これも愛するお兄ちゃんのおかげ、私はお兄ちゃんのためならなんだってできる、それくらいに私は変われたの…ふふっ♡」

果南「…ルビィちゃん、それは愛じゃなくて依存だよ?知ってた?」

果南「ルビィちゃんはゆうのことを愛する異性じゃなくて、ただの依存先にしか見てない。」

果南「今までとな~んにも変わってないよ?」

ルビィ「…」

 

もはや屋上に流れる空気は戦場そのものであった。

誰もが愛するただ一人の男のために、例え仲間だろうと譲らず、蹴落とそうと

そんな私利私欲の感情で突き動かされている8体の獣たちがここに集っているような

そんなイメージができてしまうような雰囲気が流れていたのだ。

すると、ついに帰ってきたのだ。あの男が。

 

優馬「ふぅ…仕事終わったぁ…」

優馬「ごめん、待たせちゃったね…ってあれ?もう練習終わっちゃった?」

 

突如として何も知らない男がここに来た。

もちろんメンバーは動く。男の隣を勝ち取るために。

 

果南「お疲れ様♡ごめん…ゆうったら仕事してて来るのが遅かったからもう練習終わっちゃったんだぁ」

優馬「あー…それは申し訳ない…」

果南「ううん!大丈夫だよ!むしろゆうが仕事頑張ってくれるおかげで私も頑張れるから…♡」

優馬「そう言ってくれると嬉しいよ、ありがとう、果南」

果南「ふふ♡どういたしまして!♡」

ルビィ「今、ちょうど帰る準備してたんだぁ♡」

ルビィ「あ!そうだ!久しぶりに、ルビィ、お兄ちゃんと一緒に帰りたいなぁ…♡」

優馬「そうだね、いいよ」

ルビィ「やったぁ♡」

千歌・曜・鞠莉「「ちっ…」」

善子・花丸・ダイヤ「「「…」」」

 

そこは天国と地獄。

選ばれし者が隣に居座ることができ、まさに楽園と言わざるを言えない。

逆に取り残される6名は嫉妬の感情で押しつぶされそうなのを必死に堪えるくらいには辛い、正しく地獄と言えるようなそんなものが創り上げられていた。

しかし、ここで気づくのだ。

“いくらなんでも優馬の帰ってくる時間、長くなかったか?”と

 

ダイヤ「そ、そういえば優馬さん、仕事と言ってもそこまで時間はかからないと言ってらしたような…」

優馬「あー…ごめんね、ちょっと長電話しちゃってたんだ」

ダイヤ「ち、ちなみに誰ですか?」

優馬「ん?“梨子”だよ」

ダイヤ「んなぁっ!?」

「「「「「「「っ!?」」」」」」」

 

彼女たちは忘れていたのだ。あんなに想いを大切にするとか、何とか言っていたが

優馬のことで頭がいっぱいになり、完全に抜けきっていたのだ。思わぬ伏兵の存在を

 

優馬「どうにも久しぶりのコンクールだから緊張と寂しさでいっぱいになっちゃったらしくて」

優馬「だから色々話をしてたんだ。」

 

もちろん、これは梨子にとってただの優馬と話すための口実に過ぎない。

気づいていないのは優馬だけだ。

彼女たちは気づいていた。この思惑に。

 

優馬「いやぁ…今までは何でもできちゃうようなイメージがあったから最近、梨子も可愛い所あるんだな、って気づくことが多いんだよなぁ…」

千歌・曜「「可愛い!?」」

優馬「え、ま、まぁ…」

 

そしてしっかりと踏み抜いていく地雷。

これにはもう嫉妬が止められない。

 

優馬「と、とにかくもう練習終わりでしょ?じゃあ早く帰ろっか」

 

そうして帰る準備を進めていく。

しかしその間、彼女たちは感じていた。

 

((((((((梨子(ちゃん、さん)に先を行かれた…!!))))))))

 

と、優馬はそれを知る由もなく、今日も良い一日だったとまぁお気楽なことを言って帰ったとさ。

 

 

~東京~

 

梨子「…ふふっ♡絶対、優は誰にも渡さないわ♡」

梨子「ずっと好きだったんだから、ね♡」

 

そう呟いた梨子の不敵な笑みに

誰も触れることも知ることもなかった。

 




いかがでしたでしょうか?
もうそろそろ予選行けよって話ですよね、はい。
次話はちゃんと本編に行きたいと思いますから、ご安心を。
そのため、次回はあんまりイチャイチャする展開はないかなぁ、とは思っていますが
展開次第ですね笑
ということで、ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回もまたよろしくお願い致します!

現時点で貴方が考える優馬が付き合う相手は?

  • 高海千歌
  • 桜内梨子
  • 渡辺曜
  • 松浦果南
  • 黒澤ダイヤ
  • 小原鞠莉
  • 津島善子
  • 国木田花丸
  • 黒澤ルビィ
  • 鹿角聖良
  • 鹿角理亜
  • 誰とも付き合わない

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