無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について   作:希望03

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こんにちは!希望03です!
本日は鞠莉回!!
と言っても本編ですけどね!!
あと、シリアス系です…ヤンデレはあまり…はい…すみません…
ということで、どうぞ!


第37話 交錯する想い

~浦の星学院前・バス停~

 

優馬「鞠莉は…どこに行ったんだ?」

 

つい先ほどまで鞠莉はAqoursの皆といたが、なんと気づいた時にはいなくなってしまっていた。

今までそんな急に抜け出すとかいう奇行には至っていなかったため、全く気にしていなかったのだが、こうも露骨に抜け出されると逆に気になってしまう。

 

優馬「…探すか。」

 

そう意思を固めた俺は鞠莉を探そうと駆け出そうとした。

その時だった。

 

果南「…ねぇ、どこに行くの?」

 

優馬「果南…」

果南「答えて。どこに行くつもり?」

優馬「…ちょっと鞠莉を探しに行くだけだよ。」

果南「そっか。それなら私も行くよ。幼馴染だしさ。」

優馬「…いや、大丈夫だよ。」

果南「っ!?なんで!!」

優馬「もう夜、遅くなっちゃうから、ね?ごめん」

 

そうして俺は果南の言葉を振り切って、鞠莉を探しに向かったのだった。

 

果南「…馬鹿」

 

 

~内浦・海岸沿い・鞠莉side~

 

鞠莉「…」

 

結局私は何もできなかった。

あんなに希望に満ち溢れてる皆の想いに応えることができなかった。

“0”から“1”にすることができて、次のステージへと向かうはずだった、それなのに…

私が壊してしまった。

浦の星の可能性を伝えた。スクールアイドルができて、新たな可能性が有ると信じた。

それなのに、何もかも無駄だった。

彼女たちと…そして、優のためだったらきっとできると信じていたのに。

私には何も力なんてなかったんだ。

 

鞠莉「じゃあ…」

 

一体あの時、どうすればよかったのだろうか?

一体私はあの時、どうしたらよかったのだろうか?

やれることはやった。

なのに駄目だった。結局私には答えが見当たらなかったのだ。

 

鞠莉「…うっ、うあ…」

 

己の無力さと絶望に打ちひしがれて、どうしようもできなかった現実を受け入れきれずに私はいつしか、泣きそうになっていた。

すると、その時、背後から声が聞こえた。

 

優馬「ここにいたんだ」

鞠莉「え…?ゆ、う?」

優馬「結構探し回ったな…心配したよ。」

 

そこに現れたのは優だった。

 

優馬「…何かあった?」

鞠莉「…ノープロブレムッ!問題ないわ!さ、帰りましょ?」

 

優が来てくれたのは普通に嬉しいけれど、優相手でもこのことは伝えられない。

だから私はいつも通り、机上に振舞う。

だって、こうでもしないと涙が止まらなくなってしまうから。

そうして私が帰ろうとしたときだった。

あの優がいつになく真剣な顔で強引に私の腕を引いた。

 

優馬「…待ってよ、なんでこんなとこにいたの?」

 

聞かれると思ったその質問。

でも、そんなの答えないわ。答えられるわけないじゃない。

 

鞠莉「…なんだっていいでしょ、私の勝手。」

 

そう言って突き放そうと思ったのに

優は腕を離してくれなかった。

 

優馬「そう…確かにここにいるのは勝手だよ。でもそれなら俺が鞠莉になんでいたか理由を求めようとするのも勝手だろ?」

鞠莉「そんなの…屁理屈じゃない…」

優馬「屁理屈でも何でもいい…教えて、くれないか?」

鞠莉「…嫌、絶対に嫌。」

 

私は頑なに拒んだ。

どんなに彼が愛しい顔をしてこちらを見てきたとしても…

私にだって譲れないものはある。

どうしても彼には頼りたくないから、頼ってしまったらきっと…

溺れてしまうから。

でも、それでも彼は引かなかった。

 

優馬「…俺は引かないよ。どんなに鞠莉が俺を拒んだとしても俺は絶対に引かない。」

 

そんな上辺だけの言葉。

どんなに辛いのか、知らないくせに。

 

鞠莉「やめて!嫌って言ってるでしょ!?優に、優に私の何が分かるって言うの!?」

鞠莉「もういい加減にして!私は誰にも迷惑をかけたくないの!それが優ならなおさら!もう放っておいてよ!!!」

 

初めて、優に対して怒った。

私自身、そんなに怒るような人じゃないし、それが優相手だとなおさら

怒る、だなんて行為をするはずがなかった。

でも、今日、初めて怒ってしまった。

きっと拒まれる。きっと私を嫌いになる。

嫌われるのはすごく嫌だけど、それでも彼が引いてくれるならそれで…きっと正解、よね…

すると、そんなこともなく、優は私の腰を掴み…

 

優馬「…」

鞠莉「…っ!?///ちょ、ちょっと!?///ゆ、優!?///」

 

なんと私は優に抱きしめられていたのだ。

思わぬハグで私自身でも気づいてしまうくらい顔が赤くなってしまう。

そして今までにないくらい私の心拍数は上がっていた。

 

優馬「…分からないんだよ。分からないから聞くんじゃないか。」

 

そう彼は呟いた。

 

優馬「…“僕”も昔はそうだった。周りから見てみれば『天才』だったのかもしれない。」

優馬「でも、でもね?その分、周りの期待には答えないといけない。でもそれは1人で答えないといけない孤独で、頼ろうにも頼ることができない。」

優馬「だって、それは誰かの期待を裏切ってしまうかもしれないと思っていたから。」

鞠莉「そんな!そんなわけ!」

優馬「あるんだよ。鞠莉。」

優馬「…現実は非情なんだ。期待に応え続けなければ、誰も見向きもしてくれない。」

鞠莉「っ!」

優馬「…それは鞠莉にも分かるんじゃない?」

鞠莉「…そ、れは」

優馬「…そうして、いつしか、“僕”という存在は誰かに頼るという行為を怖がるようになってしまった。」

鞠莉「あ…だか、ら」

優馬「うん。だから、“僕”は人と関わることを辞めた。…いや、諦めた、の方が正しいのかもしれない。」

優馬「その考えは高校に入っても続いた。『誰かに迷惑をかけるくらいならいっそのこと自分1人で生きていく方がマシだ』ってね」

鞠莉「…」

優馬「でも、ある時気づかされたんだ。」

優馬「それがスクールアイドルAqoursの存在。」

優馬「Aqoursの皆を支えてきて、変わったんだ。でもそれは“僕”が自分で踏み出したからじゃない。」

優馬「踏み出すきっかけになったのは、鞠莉や果南、ダイヤの3人の幼馴染が“僕”を変えてくれたからだよ。」

鞠莉「ゆ、う…」

優馬「だから今の…“俺”がいる。」

優馬「…俺は鞠莉に助けられたんだ。だから…俺にも鞠莉の抱えているものを分けて欲しい…だって、幼馴染、でしょ?」

鞠莉「っ!」

 

優の想い、そして辛かった経験。

それら全てを聞いて、また泣きそうになってしまう私

…本当、なっさけないなぁ

でも、私だって本当は優に助けて欲しい、頼りたい、自分だけ、自分だけを支えて欲しい。

ずっと思っていたのよ?心の底からの私の願い…

でも、それでもこれは…私が解決しなきゃいけない。

 

鞠莉「…でも、本当に迷惑をかけるわ。優みたいな学生がそんな簡単に解決できるような問題じゃないのよ?だから…」

優馬「鞠莉だって、本来は同じ学生じゃないか。まぁ理事長としての立場ってものもあるだろうけど、それ以前にまだ鞠莉は18歳の女の子だ。迷惑、かけたっていいんだよ。」

鞠莉「っ!で、でも…!」

 

そうして目線を彼に向けた途端、視界が彼の顔で染まっていて

気づいた時には口を塞がれていた。

 

鞠莉「…え?///ゆ、う?///い、今、何を…?///」

 

状況が読み込めない。

何が起きていたのか、いまいち分からなくなってしまっている。

 

優馬「…ごめん、つい///」

鞠莉「…つい、でするものかしら…///」

優馬「それは…うん、ごめん…///」

 

本当だ。

つい、だなんて女たらしにもほどがある。

ただでさえ顔が良いのにこんなことをされたら惚れること間違いなしなのに

 

優馬「でも…鞠莉に頼って欲しいのは本当だよ。こんな強引な形だったけど、さ…」

 

そう言われて、ドキドキが止まらなくなってしまった私は勢いが止まらず…

 

鞠莉「んっ…!んむ…」

優馬「んっ!?…ん」

鞠莉「ぷあ…はぁ…馬鹿…」

優馬「はっ…はぁ…え?」

鞠莉「謝らないで!その、えっと…///」

鞠莉「…嬉しかったわ///優からそんなこと、されたことなかったから…///」

鞠莉「だから…感謝の気持ち!///優のその覚悟に免じて、話してあげるわ…」

優馬「鞠莉…」

 

そうして私は優に学校説明会の一部始終を話した。

募集人数が少ないことからの学校説明会の取りやめ、つまり中止。

そして事実的な廃校となってしまうこと。

 

優馬「そ、んな…本当に?」

鞠莉「えぇ…本当よ…学校説明会は、中止になってしまうの…」

優馬「それ、果南とかダイヤには…」

鞠莉「…言えないわ、こんなこと。」

 

優たちはまだ2年生、つまり廃校になってしまうということは浦の星学院からどこか別の高校へ転校する、ということ。

離れ離れになってしまう、ということなのだ。

 

優馬「…くそ!誰が決めてるの!?そんなこと…」

鞠莉「…もう少し待ってくれるはずだったの。でももう無理だったみたい。」

優馬「また、お得意のパパ、か?」

鞠莉「…えぇ」

 

その時、初めて優馬は大人を憎んだ。

今まで誰とも干渉してこなかったせいか、人というものにあまり興味を示さなかった優馬が初めて殺意を込めて、見えないその大人たちに憎悪を抱いたのだ。

 

優馬「…まだ、話せるチャンスは?」

鞠莉「え?え、えぇあるけれど…」

優馬「いつ?」

鞠莉「…今日の夜よ。パパともう一度話そうと思うの。でもそれで駄目だったらもうお終い…」

優馬「…鞠莉、今日は鞠莉の家、久しぶりに泊まっていい?」

鞠莉「…え?えぇ!?///ちょ、ちょっとどうしたの、優…///きょ、今日は随分と積極的ね…///そ、そんな肉食系な優も大好きだけど…///もう少し段階を踏みたいというか…///」

優馬「意外とピュアなんだね…じゃなくて。鞠莉の親父さんと話すんだよ。」

鞠莉「っ!?だ、だめよ!もし優のことを悪く言うようになってしまったら…」

優馬「…いいよ、その覚悟はできてる。それでも…俺は話を付けないとダメな気がするんだ。」

鞠莉「優…」

 

その覚悟は本当に生半可なものじゃなかった。

優は本当に私たちが好きで、学校が好きで…

心底、お人好しね…

 

鞠莉「ふふっ…分かったわ、今日の夜、ね?」

優馬「…ありがとう。」

 

そうして優は帰って行った…

 

鞠莉「全く…いつも無気力なくせに!こういう時は本当に頼りになるんだから…」

鞠莉「本当、大好きよ…優…ふふっ…♡」

 

そう呟いて、鞠莉は自分の部屋の掃除とおしゃれな恰好を決めるべく、急いで自宅へと戻っていった。




いかがだったでしょうか?
次回、ついに鞠莉父と対峙します…
優馬が意外と熱いキャラになってて、なんだか成長なんですかね…
ということで、ここまで読んでいただきありがとうございました!
Twitterも始めたので、是非そちらもフォローお願いします!
それでは次回もよろしくお願いします!

現時点で貴方が考える優馬が付き合う相手は?

  • 高海千歌
  • 桜内梨子
  • 渡辺曜
  • 松浦果南
  • 黒澤ダイヤ
  • 小原鞠莉
  • 津島善子
  • 国木田花丸
  • 黒澤ルビィ
  • 鹿角聖良
  • 鹿角理亜
  • 誰とも付き合わない

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