無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について 作:希望03
今回も鞠莉回、というよりも鞠莉父が出てきます!
オリジナル回ですので、気に入らない人はすみません…
それではどうぞ!
~内浦・オハラホテル~
優馬「…相変わらず豪勢だなぁ」
鞠莉「ふふっ…なんだか照れちゃうわ…」
一度、鞠莉の父親に物申すために訪れた。
だが、久しぶりの小原家ということもあり、大分緊張してしまっている。
鞠莉「…」
優馬「…鞠莉の私服ってそんなにラフなんだね」
鞠莉「へ?///あ、そ、そうデース!!///」
優馬「さすがのプロポーションだなぁ…似合ってるよ」
鞠莉「はひっ!///あ、ありがと…///」
と、緊張をほぐすために会話を進めていると鞠莉のお付き人がやってきた。
「空条様、お久しぶりでございます。」
優馬「西園寺さん!ご無沙汰してます。数年ぶり、ですね?」
西園寺「はい。私たち一同も優馬様に会えるのを心よりお待ちしておりました。」
優馬「はは、またまた~」
このお付き人は西園寺さん。
鞠莉が小さい頃からずっとそばに仕えていて、俺も何回か会う機会があったため、お互いに顔見知りである。
それは西園寺さんだけではない。
ここにいる鞠莉家に仕えているメイドさんや執事さんは皆、俺と顔見知りであるため、会うのは大分久しぶり、というわけだ。
西園寺「それでは鞠莉お嬢様のお部屋へ向かいましょう。」
そうして、俺は西園寺さんに案内され、鞠莉の部屋へと向かった。
~オハラホテル・鞠莉の部屋~
西園寺「到着いたしました。」
優馬「ありがとうございます。相変わらず広いから迷いそうで…」
西園寺「いえいえ。またお困りごとがあれば」
優馬「ありがとうございます。」
鞠莉「むぅ…なんだか私のこと、忘れてない!?」
優馬「忘れてないよ。」
鞠莉「だって、私の部屋だって私が案内すればよかったじゃない!」
優馬「いや…それくらい良いじゃない…」
優馬「それで、お父さんとはいつ電話するの?」
鞠莉「今よ?ちょうど今。」
優馬「…マジ?」
すごく事がスムーズに進んでいるが、別に俺が狙ってやっているわけではない。
しかも今って、俺の心の準備が整っていないのだが。
そう言おうと思ったが、もう鞠莉が電話をかけていた。
鞠莉「…もしもし、パパ?」
鞠莉「うん…そう、その件…うん…っ!そんなの…分かってるわ…うん…」
なんだか不穏な空気が流れる。
今にも鞠莉が泣きだしそうになっていて、いたたまれなくなった。
電話の表情から察するにかなり険悪なムードなのかもしれない。
鞠莉「…うん、今ね、パパと話したいって人が来てて…うん、そう。あの子よ。うん…じゃあ代わるわ…」
鞠莉「優、いいわよ。」
優馬「…ありがとう。」
ついにこの時が来た。
何回か鞠莉の父親と話したことがあるが、やはりいつだって緊張する。
優馬「もしもし、お電話代わりました。その…お久しぶりです。空条です。」
鞠莉父「ああ!久しぶりだね…何年振りかな…元気だったかい?」
なぜ鞠莉の父親が知っているか、というと
鞠莉とはダイヤ、果南、奏姉さん、俺の4人と何度も遊んでおり、幼馴染の関係であったからか、自然と鞠莉の父親に覚えられていたらしい。
なんなら5人の中の唯一男の子ということで、真っ先に覚えられていたらしい。
優馬「はい、なんとか…」
鞠莉父「ははは!それなら良かったよ!昔の君はよく鞠莉たちに振り回されていて大変そうだったからね!」
優馬「ははは…それは今も同じなんですけどね…」
鞠莉父「ああ、スクールアイドル?のマネージャーだったかい?」
優馬「はい、ご存じだったのですね?」
鞠莉父「ああ、鞠莉からよく話を聞くのでね」
なにそれ、めっちゃ怖いんだけど。
どういう評価されてるの俺。
優馬「あ…あぁ、なるほど」
鞠莉父「まさか、あの時の男の子が今も尚女の子に振り回されているとは…君は女難の相でもあるのかもしれないね!」
優馬「あはは…それだけは勘弁してください…」
そうして雑談を始めて数分。
お互いに話を膨らませて、暖まったところで本題に移ることにした。
優馬「それで本題なのですが…」
鞠莉父「あぁ…浦の星学院学校説明会の中止について、かい?」
優馬「…はい。」
鞠莉父「…その件については、本当に申し訳ないと思っている。」
鞠莉父「すまなかった…折角、君が見つけた居場所を奪うような真似になってしまって…」
優馬「…いえ、居場所についてはいくらでも探せるので…でも…」
鞠莉父「…どうして急遽決定したか?かな?」
優馬「はい…どうしても説明が欲しくて…」
本題に入り、早速説明を要求したのだが
どうにも鞠莉の父親は言葉が出てこない。
何分か待ってから、ようやく話が始まった。
鞠莉父「浦の星学院はね、優馬君が来る以前では本来、もう廃校になる予定だったんだ。」
鞠莉父「全校人数も年々、減り続け、新入生の希望も減っていった。とうとう全校人数が50人前後、となってから廃校にする予定だったんだ。」
鞠莉父「しかし、仮にもうちの娘、鞠莉が通っている学校だ。何とかして学校が存続できないか模索した。」
鞠莉父「そうして考えたのが…」
優馬「…共学化のスタート」
鞠莉父「正解だよ。その辺は君も知っていたのか…」
優馬「…まぁそうですね」
以前にも共学化の先駆けとしてここに転校したのは聞かされていた。
つまり俺は簡単に言うと学校のため、鞠莉のためにここに転校したということだ。
優馬「…でもよくそんなことが受け入れられましたね。一応由緒ある女子高だったのに。」
鞠莉父「それはだね…」
鞠莉父「私が君を迎え入れるように学校側に頼み込んだから、だよ。」
優馬「っ!?」
鞠莉父「君が来る前、鞠莉がこの学校がピンチだということをどこからか聞きつけて、言うことも聞かずに留学に行ってる最中に飛び出したんだ。それは、知ってるね?」
優馬「…えぇ、まあ」
鞠莉父「まさか、理事長になってると思わなくてね…学生ならまだしも理事長となると責任が重なってくる。それは非常に良くないと思ってたんだ。」
父親として、親として当然だろう。
まだ若い女の子が学校を背負って、理事長を務めるというのだから。
しかし、それならなぜ…
鞠莉父「じゃあなぜ君を呼んだのか。それはね、優馬君になら鞠莉を安心して任せられる、と考えたからだ。」
鞠莉父「プレッシャーを与えるわけではないが、実際に天才的な頭脳や無意識的に人の心を掴む掌握術…サポートする力において君は群を抜いている、と私は感じている。」
優馬「そんなこと…」
鞠莉父「謙遜しなくていい。これは本当に思っているのだから。それに…」
優馬「それに…?」
鞠莉父「鞠莉と君との仲がより一層深まるかもしれないしね!!」
優馬「…はい?」
ん?シリアス展開が急に方向転換し始めたぞ?
鞠莉父「私は君の力だったりを評価して、今すぐにでも後継者として育てていきたいくらいだからね。」
鞠莉父「何より私は鞠莉の幸せを一番に願っている。その幸せには君が必要だ…」
優馬「は、はぁ…」
鞠莉「はっはっは!少し気が抜けてしまったかな?」
優馬「ま、まぁ…」
鞠莉父「…だが、この気持ちは本当だ。それくらい君に鞠莉を支えてほしかった。」
優馬「だから僕をここに…」
鞠莉父「あぁ。」
少し親バカな気質があるが、それでも親として子の幸せを願うのは当然で。
やはりその気持ちに嘘はない。
それくらい鞠莉が大事なんだ。でも、それでも世間はそんな独占的な我儘を許してはくれない。だから…
鞠莉父「表向き上、こんな我儘は許してくれないからね。共学化を図ることで次年度から男子も受け入れ態勢をとり、募集人数を増やすことができるという名目で君を受け入れた、ということだ。」
優馬「…じゃあなんで、待ってくれなかったんですか?」
鞠莉父「…最終的な期限がこの学校説明会で、希望者の人数が基準を満たしていなければ中止するという条件付きだったんだ。」
優馬「その基準は!?」
鞠莉父「…100人だ。」
優馬「なっ…!?」
100人。
俺たちがようやく掴んだ10人、それのさらに10倍。
その数字は俺に絶望を与えてくれた…
優馬「ひゃ、くにん…」
鞠莉父「…あぁ、その基準を成し遂げられないようじゃ、廃校も無理ない、という判断だったんだろう。」
優馬「…」
鞠莉父「本当にすまなかった。私が無力で…」
優馬「…」
本当ならふざけんな、とかどうにかしてみせる、とか文句の一つや二つ言ってやろうと思っていた。
しかし、そういう言葉すら俺には出すことができなかった。
そこから俺は数分、記憶が無くなっていたから…
優馬「…じゃあせめて善子たち…今の1年生たちが卒業するまでは廃校を待ってくれないですか?」
鞠莉父「…もう、無理なんだよ。廃校はもう決まったんだ。」
優馬「そんな…」
また絶望した。
じゃあ彼女たちはこの学校で思い出を作ることができないのか?
そんなの…
鞠莉父「…優馬君、1ついいかい?」
優馬「…はい」
鞠莉父「廃校は決まった。しかし、今すぐにということではない。今年度までなら存続はできるんだ。」
優馬「つまり…」
鞠莉父「あぁ…鞠莉たち3年生が卒業式を迎えるまでは廃校にはしない、そういうことだ。」
優馬「そ、うですか…」
鞠莉父「…折角来てもらったのに申し訳ない。だけど、これだけは心に留めておいて欲しい。」
鞠莉父「鞠莉たちを最後、笑顔で卒業できるようにそばに、いてあげてくれ。」
優馬「っ!」
優馬「…そんなの、言われるまでもありませんよ。任せてください。」
鞠莉父「…はっはっは、頼もしい限りだ。…ありがとう。」
こうして学校説明会の話は一段落着くこととなった…
鞠莉父「しかし…折角学校に来てもらったのにこのような終わりは申し訳ないからな…」
優馬「え、そんないいですよ。」
鞠莉父「いや、私が気に食わない!そこでだ!鞠莉が卒業した後、鞠莉と一緒に留学、というのはどうかな!?」
優馬「…はい?」
鞠莉父「いや…いっそオハラホテルの支配人に…?」
優馬「ちょ、ちょっと落ち着きましょう!流石に気が早い気がします!」
鞠莉父「あ、あぁ…すまない。だが、もし気が変わったらいつでも連絡してくれ!」
優馬「は、はい…」
優馬「こんな遅くまでありがとうございました。それじゃあ僕はこれで…」
鞠莉父「あぁ…私も君とまた話せて嬉しかったよ。まるで息子みたいだ。」
優馬「はは…それは、また嬉しいですね…」
そうして話も終盤になり、別れも済ませ、電話を切ろうとしたその時だった。
鞠莉父「あ、待ってくれ優馬君!」
優馬「あ、はい。どうしましたか?」
鞠莉父「もう一つ連絡があったんだ。」
鞠莉父「もしかしたら私の家内がそちらに近々行くかもしれないから、よろしく頼むね!」
優馬「…はい?」
鞠莉父「それじゃあ!」
切れた。
というか、家内?家内ってつまり…
鞠莉の母親?そう考えていると
鞠莉「優…」
優馬「鞠莉…」
ずっと待ってくれていた鞠莉が立っていた。
そして心配そうに俺を見つめてくれている。
そんな顔しないでくれ、この後伝える言葉、伝えたくなくなるじゃないか。
優馬「…ごめん」
鞠莉「…ううん、分かっていたの。多分、駄目だったんだろうなって」
鞠莉「だから、謝らないで…」
優馬「…」
鞠莉「…でも思い出が詰まってるあの場所はもう無くなっちゃうのね。」
優馬「…」
鞠莉「そ、れはいや、だなぁ…う、うぅ…うあぁぁぁぁ…」
泣いてしまった鞠莉。
本来、ここで何か言葉をかけるべきなんだろうけど
俺はまた以前のようにかける言葉が見つからずに立ち竦むことしかできなかった…
こうして正式に学校説明会の中止が決定し、事実的な閉校が決まった。
いかがだったでしょうか?
実のところ、この話はまだまだ続きます…
次回の話も是非見てください!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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