無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について   作:希望03

40 / 93
こんばんは!希望03です!
梨子ちゃん、改めてお誕生日おめでとう!
これからもずっと応援してるよ!
ということで、その誕生日もしかり、しっかりこっちも投稿していきます!
まだまだ鞠莉回続きますわ!
どうぞ!


第40話 ”逃げるが勝ち”は時と場合による。

~内浦・オハラホテル~

 

優馬「…」

 

走り去ってしまった果南

本当なら果南のことを追うべきなのだろう。

だが、俺の足はどうにも動く気配がない。まるで鉛のように。

結局俺はここで立ち竦んだまま、どれくらい経ったか分からない

ただただ何もすることができなかった。

 

鞠莉「優!」

 

すると鞠莉に呼ばれた。

 

鞠莉「…もう夜遅いから部屋に戻りましょ?」

優馬「…あぁ」

 

もうそんな時間だったのか、と思いつつも俺は部屋に向かって歩いていたのだが

 

優馬(…果たしてこれでいいのか?これが…正解なのか?)

 

ずっとずっと考えていた。

果南に対して、こんな形でこの話を終わらせていいのか、と

 

鞠莉「…優?」

 

どうやら鞠莉を困らせてしまったみたいだ。

 

鞠莉「どうかしたの?何かあった?」

 

…いっそのこと、鞠莉に聞いてしまった方が良いのかもしれない。

そう思い、俺は鞠莉に今あったことを伝えることにした。

 

 

~鞠莉side~

 

鞠莉「何かあった?」

 

我ながら酷い嘘だと思う。

だって、今あったこと全部見ていたもの。

だから何を話していたかもどうしてそんな不安げな表情をしているのかも全部知ってる。

なんで不安そうな顔をするのか、っていうのは不満だけど

でも、聞いてあげる。

そして…伝えてあげる。私が一番だって!♡

 

優馬「あ、うん…まぁ…」

鞠莉「そう…どうしたの?」

優馬「…さっき果南が来ていたんだ。ここに。」

鞠莉「うん…」

優馬「ちょっと怒り気味でさ…どうしたか聞いてみたら、俺が鞠莉の父親と話している姿を見て、勘違いをしてしまってたみたいで…」

優馬「果南のことをまた置いてくつもりだ、とか色々な感情が溢れて、でもそれが勘違いだって気づいて、信じてやれなかったことを悔やんでしまった。」

鞠莉「うん…」

優馬「…自分を責めながらどこか走り去っちゃって、どうすればいいのか俺にも分からないんだ…どう、すればいい?」

 

本当、優しいのね…

悪いのは果南なのに、そうやって救おうとしちゃうんだもの。

 

鞠莉「本当、お人好しね…」

優馬「え?」

鞠莉「良い?それはもう放置しておいた方が良いと思うわ。」

優馬「…」

鞠莉「だって果南は優を信じ切れずに疑って、ストーキングして、勝手に怒って八つ当たりした後に今度は自分が悪い、とか言って優を振り回して…ヒステリックにも程があるわ。」

鞠莉「そんな色々なものが嚙み合ったうえで私は放置、もしくは突き放す、方が良いと思うわ。」

優馬「…」

 

これで分かってくれたはず。

果南がどれだけ酷いことをしたのかを。

追う価値が何一つ無いってことを。

だが、その時、優から発せられた言葉は私が思っていた言葉と全く違うものだった。

 

優馬「…けど、果南だって大切な仲間で、ずっと向き合えなかった大事な幼馴染だ。」

優馬「あの時は追えなかったけど…今度はやっぱり…」

鞠莉「…は?」

優馬「ま、鞠莉?」

鞠莉「なんでそうなるの!?優はそれくらい果南のこと大事に想ってるのに、果南はそれを信じてあげられなかったのよ!それは一種の裏切り行為よ!それなのに!それなのに…」

鞠莉「果南の肩を持つの…?」

優馬「…肩を持つとかそういう話じゃないよ。ただ俺は果南ともう一度やり直したいんだ。あの頃のように。」

鞠莉「駄目よ!…もう果南のことは忘れましょ?ね?」

 

そうして私は優の手を掴んだ。

すると、彼は…私の手を振り解いたのだ。

そして…

 

優馬「ごめん…行ってくるよ。ありがとう。」

 

そう言い残して、彼は駆け出してしまった。

 

鞠莉「…馬鹿っ!!」

 

 

~海岸・果南side~

 

果南「…あの時と何も変わらない」

 

またゆうに迷惑をかけてしまった。

私、ゆうのお姉さんのはずだったんだけどな。

いつもいつも気づいた時にはゆうに迷惑をかけちゃって…

そしてまた今回も迷惑をかけてって…どれだけ私やらかしちゃってるんだろ。

 

果南「あはは…本当、私ってば馬鹿だなぁ…」

 

これを機にゆうが嫌いになる、なんてことは絶対にない。

だって彼は心優しい人だから。

けど…それが苦しいんじゃない。私が許せないのは

私自身だから。

だから、もうこれっきりでお終い。

だって

 

果南「だって、私には恋愛なんてもの向いてなかったんだから」

果南「だからもう終わり。」

 

果南「…ずっと前から好きでした。さようなら、私の…初恋。」

 

優馬「やっと見つけた。バ果南。」

果南「っ!?」

優馬「こんなとこまで…相変わらず脳筋だなぁ、果南は。馬鹿なの?」

 

馬鹿って2回も言われた。

けれど、そんなことはどうでもいい。

 

果南「…なんでここにいるの?」

優馬「あー…ストーキングかな?」

果南「…へっ!?///」

優馬「嘘だよ。」

果南「…な、なんだ…てっきりほんとかと」

優馬「あはは、辺りを探し回ってようやく見つけたんだよ。」

果南「そ、そっか…///」

 

ん?でも見た感じ、走り回ってた割にあまり汗かいてないし、まさか…

 

果南「ねぇ…ゆう?」

優馬「ん?」

果南「もしかして、全部聞いてた?」

優馬「いや?」

果南「そっか…良かった…」

優馬「“私に恋愛なんて向かなかった…”あたりから聞いてたよ。」

果南「それ全部だよ!///」

 

ゆうのことだからそうだと思ってたけどね!?

…もしかして、だけど

 

果南「…私の初恋がどうとかも?」

優馬「聞いたね。」

果南「…///」

 

終わった。

なんでこういう時に限ってちゃんと聞いてるのかな!?

 

果南「はぁ…諦めるよ…」

優馬「何を?」

果南「話、していい?」

 

果南「…私ね、ずっと好きだったの。ゆうのことが。」

果南「あの時はずっと幸せだったんだ。外に出ればいつも好きな人がいて、ずっとこのままでいいって思ってた。」

果南「でもある時、ゆうが笑わなくなって、気づいた時にはいなくなって…ようやく気付いた。」

果南「大切な存在を失って、初めて失うことの怖さに気付いた。」

果南「確かその数年後にまたゆうに再会できて、嬉しさ反面、またどこかに消えてしまうんじゃないかっていう恐怖心があったの。」

 

優馬「…だから、あんな」

 

果南「うん…だから私はゆうに過剰なくらい付きまとってた…」

 

優馬「…俺をここに縛り付けておきたかったから?」

果南「過剰な言い方するとそうなるのかも。」

果南「でも、今思えば自己中心的って言うか…結局自分のことしか考えてなかったんだ、私。」

 

優馬「…」

 

果南「…だから、もう終わり。こんな迷惑ばかりかけちゃう私はもうお終い。」

果南「だから、ね?もう心配しなくていいよ…」

 

そうやってこの関係をもう終わりにしようとしたその時だった。

 

優馬「…本当に納得してるの?」

果南「え…?」

 

言ってる意味が理解できなかった。

納得していなければこんなこと伝えない。

そのはずなのになんでそんなことを聞くの?

でも気づかなかったのは私だった。

 

優馬「…じゃあ、なんで泣いてるの?」

果南「っ!?」

 

私も気づいてなかった。

ちゃんと笑顔で話せていると思ってた。

それなのに、目から涙が出て、止まらない。止まってくれない。

 

果南「か、関係ないよ!目にゴミが入っただけ!」

 

嘘だ。

無理な言い訳だ。

こんなにボロボロと涙が出てきていて、ゴミが入ってただなんて…

しかもそんな真剣な目でこっちを見つめてきてさ

こっちの気持ち考えたことあるの?

余計辛くなるんだよ…

だって…

 

果南(もう好きにならないって決めたのに…なんでドキドキしてるの?なんでこんなに…)

 

優馬「果南…」

果南「っ!やめてよ!!」

果南「もう私は好きにならないって決めたの!だって…そしたら私はまた同じことを…繰り返しちゃうから…」

 

今度こそ笑顔を作って…私は終わりを告げる。

 

果南「…今まで、ごめんね。さようなら。」

 

…これで良かった。

もう本人にも伝えたし、もう終わり。

これで…正解だったんだ。

 

優馬「…俺は嬉しかったよ。」

 

え?何を言ってるの?

 

優馬「まさか果南が俺に好意を持ってくれてるなんて、自惚れじゃなかったんだな。」

 

やめて、そんなに言わないで。

 

優馬「俺のこと、弟みたいに扱われていたような気がしたから、男として意識されてないと思ってたんだ。」

 

そんなことない。

ずっとずっと好きだった。

だからそんなに私が欲しい言葉を投げかけないで…

 

優馬・果南「「…」」

 

優馬「無理に逃げようとしなくてもいいんじゃない?」

果南「え…?」

優馬「だって逃げるのだって簡単じゃないでしょ、自分自身の気持ちに嘘ついて、これからずっと逃げ続けるわけでしょ?」

優馬「それはいくらなんでも…体力お化けの果南でも疲れて倒れる日が必ず来るよ?」

果南「で、でもこのままじゃゆうにまた迷惑をかけちゃうから…」

 

そう。

逃げるのだって簡単じゃないけど、自分を偽らないとまたゆうを傷つけてしまうから

だから…私が倒れてもいいんだから…

 

優馬「…俺は一度も迷惑だなんて思ってないよ?」

果南「…え?」

優馬「むしろ嬉しいし…///」

果南「…///」

 

思わず、私も顔が赤くなってしまった。

けれど、その言葉はあまりにも温かくて、そして私の冷え切った心をどんどんと溶かしてくれているような気がして…

 

優馬「…果南?///」

果南「へ…?///あ、ご、ごめん…///そ、それで?///」

優馬「う、うん…///だからその…果南が俺のことを好きでいることっていうのは別に迷惑じゃないからあまり気にしなくても…///」

 

話し始めたその時だった。

 

ドキドキしながら話を聞いていた時、背後から私たちの見知った顔が現れ、私たちを引き裂こうとする悪魔の囁きが入ってきたのだ…

 

 

「それ以上はだめよ?…ダーリン?♡」




いかがだったでしょうか?
どちらかというと果南回でしたね。
そして最後に登場してきました。計画的犯罪を犯した黒幕です。
次回でようやく解決!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願いします!

現時点で貴方が考える優馬が付き合う相手は?

  • 高海千歌
  • 桜内梨子
  • 渡辺曜
  • 松浦果南
  • 黒澤ダイヤ
  • 小原鞠莉
  • 津島善子
  • 国木田花丸
  • 黒澤ルビィ
  • 鹿角聖良
  • 鹿角理亜
  • 誰とも付き合わない

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。