無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について 作:希望03
今回、かなり文量が長くなってしまいました…申し訳ございません…
そして、ヤンデレ要素もまだ特にありません…
どちらかと言うとシリアス強めです!
ですが、今回でようやく!原作2期の1話目分が終了します笑
最後にはまたアンケートがあるので、そちらもぜひ投票お願いします!
それではどうぞ!
~浦の星学院・体育館~
鞠莉「~説明会は中止。浦の星学院は正式に来年度から統廃合となることが決まりました。」
説明会の中止、学院の閉校、来年度からの統廃合の決定が理事長である鞠莉の口から告げられた。
その瞬間、周りは勿論の如く、ざわついていた。
まぁこの反応は妥当だろう。
しかし、そんな反応の中で聞き過ごせない台詞が俺の耳に聞こえた。
「あんなに頑張ってたのに駄目だったんだね」
正直、そう言われるのは覚悟していた。
だが、それを本当に聞いてしまうと憤りを感じてしまう。
ただ、言ってやりたい。
そんなこと言われなくても分かっているんだ。
しかし、彼女たちの頑張りはそんな言葉で一括りできるような簡単なものではない。
Aqoursの発足から色々なことが起きて、最初から決して順調とはいかなかったけどそれでも彼女たちは諦めずに学校のため、自分たちのために我武者羅に突き進んでいた。
それを「頑張ってた」なんて簡単なワードに片付けられて欲しくなかった。
…しかし、俺は何も言えない。
実際、その子が言っていた通り何も奇跡なんて起こせなかったんだから。
優馬「…くそっ」
悔しさから思わず小さな呟きと共に俺は唇から血が滲むくらい噛み締めた。
~放課後・2年教室~
優馬「…」
俺は未だに答えが見つからずに悩んでいた。
ただ唯一のヒントは昨日の聖良さんからの一言
“繋がりを得られたスクールアイドルでの活動を目的が失ったから、と言って投げ出したくはない。”
その一言だった。
優馬「繋がり、か…」
ふと感じた想いを抱えて、俺は少しづつ歩を進めた…
~浦の星学院・図書室~
そうしてまず辿り着いたのは図書室だった。
なぜここに来たのか、というと答えはなんとなく、だ。
直感ではあるがいるだろうな、という確信はあった。
そうして俺は扉を開けた。
花丸「あ…優、さん…」
ルビィ「お兄ちゃん…」
優馬「…こんにちは、ルビィちゃん、マルちゃん」
分かりきっていたが、そこにいたのはマルちゃんとルビィちゃんだった。
優馬「…隣、良いかな?」
俺は一先ず彼女たちの隣に腰を掛けた。
そこから数分、結局お互いに話すこともなく、俺自身も話を切り出す勇気もなく、沈黙のままだった。
すると、唐突にこの沈黙は破られた。
花丸「…あの、もう、スクールアイドルは、Aqoursはお終い、ずら?」
ルビィ「花丸ちゃん…」
“お終い”
そう言われてしまうと正直、そうなってしまってもおかしくない、というのが答えなんだろう。しかし、俺は…
優馬「…分からない。結局、俺たちの目的は失ったから…続くのかどうかはまだ…」
といったような含みのある言葉でまとめるしかできなかった。
その言葉一つの重みがどれ程のものなのか、俺たちは理解しているからこそ、その言葉をどんなニュアンスであれ、否定するしかできないから…
花丸「そっか…」
優馬「…ごめん。」
優馬「…2人は、スクールアイドル辞めたい?」
酷だと思う。ついこの間、スクールアイドルを始めたばかりで、これから輝きに向けて、全力で楽しもうとしていた矢先にこの現状。
結果的にもしかしたら辞めざるを得ないかもしれない、といった状況が生まれてしまった。
…だから俺は本心を聞き出すしかないと思ったんだ。
花丸「オラは…正直、どっちか分からないずら…でも、言えるのはこの繋がりが無くなっちゃうのはすごく寂しいな、って思うずら…」
優馬「…そっか。」
ルビィ「…ルビィは辞めたくない。」
優馬「ルビィちゃん…?」
ルビィ「だって、やっとお兄ちゃんと憧れのスクールアイドルを一緒に出来たんだもん。素敵な場所を失くすなんて…そんなの、嫌だよ…」
優馬「…」
そこには2人の想いがあった。
本心では辞めたくないし、続けたいと思ってるけど、現状を見ると受け入れるしかない、という葛藤に押しつぶされて、答えが定まっていないマルちゃん。
本当にスクールアイドルが好きで、憧れというものを誰よりも抱いているルビィちゃんだからこそ言える本心。
そんな想いが込められていた。
優馬「…そっか。ありがとう、2人とも。」
そうして俺は立ち上がって、次の場所へと向かった…
~浦の星学院・スクールアイドル部部室~
正直、俺自身もここにはいるはずないと思っている。
なぜなら今日は練習が休みだから。
しかし、なぜか分からないが自分の足がこの部室へと赴いてしまった。
何はともあれ、俺はいつも通り、この部室の扉を開けた。
優馬「…よっ」
曜「優…」
善子「優馬…」
まさか本当にいると思わなかった。
そこには曜と善子の2人がいた。
ただ、2人はこの部室に何か用があったというわけでもないらしい。
2人を見るに特に何をしているというわけでもなく、ただただ窓の景色を眺めていたり、ぼうっと座っていたり、そんな感じ。
優馬「…帰らなかったんだな。」
曜「…うん、なんかどうしても帰れなくて」
善子「私もよ。このまま帰っても、もの寂しいと思って、とりあえず部室に来てみたの。」
優馬「そうだったんだ…」
そう言って、また無言の空間が生まれると、曜がこちらを見ていた。
曜「…また悩み事?」
優馬「曜…」
曜「相談、乗るよ?」
優馬「…」
優馬「…ごめん。話したらきっと2人を不快にさせてしまうかもしれない。それでもいい?」
曜「…いいよ。大丈夫。」
善子「…」
優馬「ありがとう…」
そうして一呼吸。
俺は覚悟を決めた。
優馬「2人とも、さ。スクールアイドル、辞めたい?」
善子「っ!」
曜「…」
善子「それ、どういう意味よ。」
優馬「言葉の通りだよ。辞めたいか、否か。その想いを聞きたいだけだ。」
善子「…あんた、まさか…!」
優馬「勘違いしないで欲しい。善子の考えている通りじゃないよ…ただ、俺自身の答えが分からなくなってるんだ…」
善子「答えって…」
優馬「…続ける方がいいのか、それとも、ここで…きっぱりやめてしまった方がいいのか…」
善子「…っ!やっぱりそうじゃない!!ふざけるのも大概に「善子ちゃん!!」…曜」
曜「…落ち着いて、きっと優はそんな意味合いで言ったわけじゃないと思う。」
曜「そう、だよね?」
優馬「…」
善子の反応は正しいと思う。
辞めたい、なんてそんな無責任な事、彼女は心の底からして欲しくないと願っているから。
だが、今回は本当に曜には頭が上がらない。
助けてもらってばかりだ…情けないな…
曜「…私は、辞めたくないよ。」
曜「皆は学校を救わなきゃいけないっていう目的を失って、どうなのか分からないけど、私は別の違う目的がある。だから、それを成し遂げるまでは辞められない。」
曜「いや…違うか。辞めたくなんて、ない。」
善子「…私は、あんたに救われた恩もあるし、何よりここにいる時は一番私自身、楽しかったし、輝いていた。」
善子「それはね、きっと優馬のおかげだから。優馬にあの時、見つけてもらえなかったらきっと私はここにいない。」
善子「…だから、私は優馬との繋がりを得られたスクールアイドルを投げ捨てるなんてそんな無責任な事、絶対にしたくない。」
善子「…だから、もうその質問は私にしてこないで…余計、寂しくなっちゃうから…」
優馬「…ごめん、ありがとう。曜、善子…」
曜の強い想い、善子の強い想い。
それぞれの抱えている想いはやはりどこか同じだった。
優馬「じゃあ…俺はもう行くよ。」
そうして俺は立ち上がり、また次の場所へと向かうのだった。
~浦の星学院・生徒会長室~
浦の星学院、生徒会長室。
それはどこか他の教室とは異なる厳かな空気感。
何度も入ってはいるが、いつ見ても圧倒されてしまう。
その扉の前で息を整え、俺は扉を開けた。
優馬「…お揃い、だったんだね。」
ダイヤ「えぇ…と言っても本当は分かっていたでしょう?」
優馬「…まぁね」
鞠莉「お帰りなさい。ダーリン。」
優馬「ダーリンになった覚えはないんだけど…ただいま、またすぐに行くけどね…」
果南「意外と早かったんじゃない?」
優馬「そうかな?そんな感じしないけど…」
生徒会長室にいたのは果南、ダイヤ、鞠莉の3年生組だった。
この3人は無意識のうちにここにいた、というよりはまるで俺のことを待っていたかのようにここに待機していたような空気だった。
しかし。その3年生組もある程度、覚悟していたとはいえ、顔は浮かないものだった。
ダイヤ「…それで、何を聞いて回っていたんですの?」
優馬「えっ…まさか、そんなとこまでお見通しとは…」
ダイヤ「ふふっ…女の勘、というやつですわ。」
優馬「あはは…勝てないなぁ…」
優馬「じゃあ…3人に聞くよ。」
優馬「…果南、鞠莉、ダイヤはさ。スクールアイドルを辞めたい?」
果南・鞠莉・ダイヤ「「「辞めたくない(わ・ですわ)!!!」」」
その答えは即答だった。
優馬「…即答だったね、理由は?」
鞠莉「そんなの私たちが失った苦しみを一番よく知っているもの。」
果南「ずっと先の事なんて分からないし、それに怯えていたって何も良い事ないし、ね?」
ダイヤ「…それに私たちはずっと望んでいましたわ。優との繋がりを。また会えるその時を。」
鞠莉「そうねぇ…だから会えただけでも奇跡だったのが、こうしてスクールアイドルとマネージャーとして一緒に何かをしているのなんて奇跡中の奇跡。夢のまた夢、なのよ?」
果南「そうそう。だからそんな想いを捨てるなんて、もったいない。それならひたすら前だけ見て突き進みたいんだ。それに目的なんていらないよ。」
優馬「…そっか。」
ごもっともだった。
3人はずっと昔から今日に至るまで色々な喪失を経験していた。
それはずっと昔からの友達だった俺含めて、スクールアイドルや3人の関係性、全てにおいて。
だからこそ、彼女たちは失った苦しみがどれだけのものなのかを知っている。
すごく俺の心に突き刺さってしまった。
鞠莉「望んでいた答えが出たかしら?」
優馬「大分、かな?」
鞠莉「ふふっ、良かったわ~…答えられなかったらどうしようかと思ったもの!」
優馬「とか言いつつ、ちゃんとまとまった答えだったじゃない。」
鞠莉「でしょ~?もっと褒めて良いのよ?♡」
優馬「はいはい、偉い偉い。」
鞠莉「むっ!なんか雑じゃない!?」
優馬「そんなことないから…じゃあ、もう行くよ。」
優馬「最後のピースを合わせに」
そうして俺は最後の場所へと走り去ったのだった。
~内浦・海岸~
俺が最後に向かったのは家の目の前にある内浦の海岸沿いだった。
きっといるだろうと思っていたが、まさか本当にいると思わなかった。
見えるのはただただ海の向こうを見つめ、寂し気な背中を見せる千歌と梨子の姿だった。
優馬「…千歌、梨子」
千歌「っ!…優くん?」
梨子「…優君」
優馬「…驚かせた、かな?」
千歌「驚いたよー!だよね、梨子ちゃん!」
梨子「うーん…私はなんとなく、そろそろかな…って思ってたからそんなにかな?」
千歌「え!?梨子ちゃん、気づいてたの!?」
梨子「まぁ…気づいてたというか…なんとなく?」
優馬「あはは…梨子はすごいなぁ…」
千歌は俺が来たことに驚いていたが、どうやら梨子は俺が動き回っていたのを察していたらしい。
千歌「それで優くんはどうしたの?」
優馬「あー…ちょっと海を見たくなっちゃって…」
千歌「…そっか。私たちと同じだね。」
そして訪れる静寂。
そこに広がるのは広大な海と物静かなさざ波の音だけだった。
するとその波の音に没頭し、揺られていると、梨子から話を切り出された。
梨子「優君、話があるんでしょ?」
優馬「え?」
梨子「…そうじゃなかった?」
優馬「…いや、そのつもりだったけど」
梨子「そっか…じゃあ聞かせて欲しいな。私たちに聞きたい事。」
ここまで言われるとまるで心を見透かされているようだった。
どうやら俺の行動は梨子に筒抜けだったらしい。
優馬「…2人はスクールアイドルを辞めたい?」
千歌「っ!?」
梨子「…辞めたい、か」
千歌「…優くん、なんでそんなこと聞くの?」
千歌「優くんは辞めたいの?」
優馬「…それ、は」
千歌「答えてよ。」
優馬「…」
言葉が詰まってしまった。
まだ自分の答えが定まっていないから当然も当然だ。
梨子「…千歌ちゃん、落ち着いて。多分優君はまだ答えが分からないからこうして私たちに聞いているのよ?」
千歌「…」
梨子「…私から話すね?」
梨子「端的に言うと、別に辞めるか、どうかはどちらでもいいと思うの。」
優馬「…え?」
梨子「だってこんな小さな町でよくあそこまで頑張ったな、って思うわ。」
梨子「優秀な美を飾るとも言うし、ここで終わっても誰も何も言わないと思う。」
梨子からの言葉も正論だった。
しかし、まさかそんな言葉が梨子から出ると思わなかったためか思わず絶句してしまった。
梨子「驚いた?」
優馬「…そりゃあまぁ」
梨子「でも、続きがあるの。…これから話すのは私のわがまま。」
優馬「わがまま?」
梨子「うん…私はね、まだ皆とこれからも一緒に歌っていきたいし、曲もいっぱい作りたい…そして何よりも優君と輝きを見つけたい。」
梨子「そんな私のわがままな想い。」
梨子「…恥ずかしいな。じゃあ次、千歌ちゃんね?」
千歌「どぅえぇぇ!?む、無茶ぶりすぎるよ~…」
千歌「でも、なんだろう…私はね、諦めたくないな。うん、どんなに無茶でも…私は諦めたくない!」
千歌「…でも、そこに私たち9人だけじゃダメなんだ。“10人目”…」
千歌「優くんがいなかったら私は輝けないし、輝こうとも思わない。」
千歌「だから、私は辞めない。絶対に!」
千歌「…あとは優くんが答えを出す番だよ。」
梨子「…私も同じ。千歌ちゃんたちがそう言うなら私だってこの我儘貫いてみるわ。」
梨子「あとは、優君。貴方が答えを出して?私たちは何があっても貴方の想いにちゃんと答えてあげるから…」
そうして、2人は自分たちの家へと戻っていったのだった…
~優馬家・優馬の部屋~
時刻は朝6:30、ちょっと早めにアラームをかけておいたおかげか、俺はこの時間には起床していた。
なぜ、こんなに早く起きたのか、というのも行かなくてはならない場所があるからなのだ。
優馬「よし…!」
そして俺は準備を済ませ、その場所へと走り出した。
~浦の星学院・校庭~
訪れたのはここ、浦の星学院の校庭だった。
優馬「…閉校、か。」
そう、いつもの学校を見ながら呟いた。
やはりまだ寂しさが残るけれど
優馬「決めたんだ。もう答えは導けた。」
「じゃあ聞かせてよ!その答えを!」
優馬「え…?」
こんな朝早いのになぜだか後ろから聞き慣れた声が聞こえてきたのだった。
後ろを振り向くとそこには千歌たち、Aqoursのメンバー全員がいた。
優馬「皆…」
千歌「聞かせて…?」
優馬「…俺の答えを今から話すよ。」
千歌「うん…」
優馬「それは…足掻く、それだけだよ。」
千歌「え…?」
優馬「どんなに辛い何かが待っていようとも、どんなに過酷な道のりの奇跡でも…ね」
千歌「…」
優馬「そして、これは我儘。おれが唯一抱いた我儘。」
優馬「…俺はどうやら皆との繋がりを離したくないみたい、なんだ」
「「「「「「「「「っ!」」」」」」」」」
千歌「…じゃあやるんだよね?」
梨子「ふふっ、そう来なくっちゃね?」
優馬「もちろん…俺たちの最高の輝きを見つけるために…」
優馬「やるからには…絶対に起こそう!奇跡を!」
「「「「「「「「「奇跡をっ!!」」」」」」」」」
そうして俺たちは答えを導き出し、想いをひとつにしたのだった。
果南「じゃあこれからに向けて!ハ~グっ!!」
優馬「うおぁ!?」
「「「「「「「「あぁぁぁぁぁぁぁ!!??」」」」」」」」
ダイヤ「ちょ、ちょっと!果南さん!?何してるんですの!?」
鞠莉「ど、どきなさい、果南!そこはマリーが…!?」
果南「ん~?だってこれは早い者勝ちだよ~?遅かった皆が悪くない?あはははっ!」
ダイヤ「ちっ!!こ、この!」
鞠莉「…これは嫉妬ファイヤーの出番かしらね??」
優馬「…あは、あははっ!」
善子「ゆ、優馬?」
花丸「ハグの反動で壊れちゃった…ずら?」
ルビィ「え、えぇ…?」
こうなると本当に気づかされてしまう。
やっぱり好きなんだろうな。この学校が、皆が。
だから俺は奇跡を起こしたい。
ここにいる皆と…
優馬「さぁ、もう一度スタートだ!」
いかがだったでしょうか?
さらに絆が強固のものになりましたねぇ…
というより聖良さん…かなり敵に塩を送っているような…
まぁ、必ず報われるのでご安心を…
ということでここまで読んでいただきありがとうございました!
アンケートも行っているので、そちらも是非投票の程、よろしくお願いします!
それでは次回もよろしくお願い致します!
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