無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について   作:希望03

53 / 93
こんにちは、希望03です。
投稿が遅くなってしまい、申し訳ございません。
今回は小ネタ、というよりも曜ちゃんと千歌ちゃんが実は過去に…といったものの話です。
ちょっとシリアス、悲しめなところもあります。

それではどうぞ。


第53話 悲しき愛に過去と共に深く溺れる話

 

~浦の星学院・2年教室~

 

優馬「あー…もう疲れた…」

千歌「優くん大丈夫?良かったら千歌の家でお泊りする?温泉入ると疲れが癒されるよ?」

梨子「千歌ちゃん…さらっと家に誘おうとしてるよね?抜け駆けしようとしてる?」

千歌「何のことかなぁ?それに恋は戦争って言うんだよ?今さら抜け駆けがどうのこうので揉めてるような梨子ちゃんはもう遅れてると思うんだよね~?というより、心狭すぎ。」

梨子「…は?」

曜「…まぁこの2人は置いといて、本当に大丈夫?いつもの優に戻ってるけど…」

優馬「それっていつもの俺が大丈夫じゃないみたいな言い方だね?これがデフォルトだよ…」

 

今まで働き過ぎた、というよりも生活に色が付きすぎて、いつになくはしゃいでしまっていたのだが、結局のところ、これが普通の姿だ。

極力、生活にも勉強にも力を使わずになるべく穏便に暮らす。

普段の俺は平々凡々万歳なのだ。

しかし、今までが色々ありすぎて、恐らく今までの10年分くらいの活力では働いていた。

その反動が今、俺自身に来てしまっている、というわけだ。

 

優馬「あー…次の授業寝るわ…」

曜「え!?駄目だよ!せっかく最近はやる気出してるんだから!」

優馬「と言ってもなぁ…完全にガス欠なんですよね~…」

曜「はぁ…優ったら…」

優馬「分かって、くれる?」

曜「っ!///う、うん…今日だけだからね!?///」

優馬「ありがとー…」

 

と、俺はそこで眠すぎて意識がシャットダウンされた。

その後に曜が言ったことも聞き取れぬままに。

 

曜「…その代わり、今日の授業はちゃんと私が責任もって教えるからね?♡」

 

~放課後・2年教室~

 

今日一日の授業も終わり、今日は疲労回復という目的のために練習も無い。

つまり、俺にとってのパラダイスなのだ。

早速、家に帰る準備をして、今日は学校でゆっくりしようと決めていた。

しかし、帰ろうとした矢先、千歌と梨子が現れた。

 

優馬「…俺、帰るんだけど?」

千歌「駄目だよ!今日一日、優くん疲れてるもん!温泉でゆっくり休んでもらうんだからね!」

梨子「違うよ、千歌ちゃん。今日は私の演奏を聞いて、心を癒してもらうんだから。邪魔、しないでくれる?」

千歌「は?話はあの時、千歌の家って決まったじゃん。勝手に過去を捏造しないで?」

優馬「揉めてるなら、もう帰るけど…」

梨子・千歌「「駄目!!」」

 

もはや逃げ道無し。

帰ろうにも帰れずに途方に暮れていると、どうやらその光景を見ていたらしい人物がこちらに駆け寄ってきた。

 

曜「…優、こっち来て!」

優馬「え?うおっ!?」

千歌「あ!優くん!?」

梨子「ちょっと曜ちゃん!!」

 

近づいてきたように連れられてしまった。

一応俺も男ではあるのだが、やはり日ごろのトレーニングの成果なのだろうか。

俺は抵抗できずに(というよりもしなかったが正解)曜に連れ出された。

 

~内浦・バス停前~

 

あれから千歌と梨子を撒いて、俺たちは帰路についていた。

というよりも俺はこのまま家に帰りたいのだが、どうにも曜が離してくれない。

なぜだか分からないが心なしか曜の握りしめる手がより一層、強くなっていた気がする。

まるでもう離さない、と言っているかのように。

 

優馬「曜さん…?あの~…もう手を離して欲しいんですけれども…」

曜「~♪~♪」

優馬「え~っと…俺の家、バス使わないから手を…」

曜「…優」

優馬「はい!?」

曜「私、昼休みの時に約束したよね?」

優馬「や、約束?」

 

果たしてそんな約束をしていただろうか。しかも昼休みという割と最近の出来事。

しかし、今日の事を思い出しても寝ていた記憶しかない。

辛うじて覚えているのは俺が寝る間際で、千歌と梨子が喧嘩していたような記憶しかないのだが。

 

優馬(…あ)

 

そう言えば、朧げに曜が何かを言っていたような気がしなくもない。

しかし、その内容を全く覚えていない。

我ながら酷いものだ。

 

曜「…覚えてない?」

優馬「…い、いやぁ」

曜「…そういうとこ、やっぱり優だよね」

優馬「ごめん…」

曜「しょうがないから教えてあげる!」

曜「あの時、優がものすごく眠そうだったのに、目の前で千歌ちゃんと梨子ちゃんが大声出して喧嘩してたんだ。」

優馬「あー…うん。それは覚えてる。それで?」

曜「うん、それで…私が声をかけたのは覚えてる?」

優馬「あー…覚えてる。なんか、それで寝かせてくれたような…」

曜「そうそう!でも、その前に私が約束したの。」

曜「…私が家でゆっくり休ませてあげる…って!♡」

優馬「マジか…」

 

曜はあの時の出来事と共に俺が問う言う約束を取り付けていたのか、というのを教えてくれたわけなのだが、どうにもそんな約束をしていたらしい。

いくらあの時の思考回路が睡魔によって曖昧だったとして断ったとしたら折角こう言ってくれた曜に申し訳ない。

 

優馬(…俺が悪いな、これは)

 

こうして曜は俺の思いを察したのか、にこりと顔を変えて、また手を握りしめ、丁度来たバスに乗り込み、曜の家へと向かった。

俺もこれには抵抗せず、今回は仕方ない、と割り切り、曜に流されるように家へと向かったのだった。

 

~曜家・玄関~

 

優馬「お邪魔します…」

 

いくら俺の周りが女の子しかいないとしても、女の子の家に上がる、というのは中々に勇気のいる行動だと思う。

 

曜「そんなに畏まらなくてもいいのに、面白いなぁ」

 

いや、流石に固くもなるだろう。

思うだけで、言葉には出さないのだが…

 

曜母「いらっしゃい…って優君?」

優馬「こんにちは、お邪魔させていただきます。というより、僕の事をご存じだったんですね?」

曜母「あら?覚えてないのかしら…まぁいいわ!なんせ、曜がいつも優君のことを楽しそうに話しているから…はっ!ここに来たということは曜のことを…?」

曜「ちょ、ちょっと、も~~!!お母さんは黙っててよ~!」

優馬「あはは…まだそんな年でもありませんから…」

曜母「ふ~ん…じゃあ年が経ったら貰ってくれるのかしら?」

優馬「はは…曜には僕以上に素敵な人が見つかりますよ。」

曜「…」

曜母「そんなことないわよ~…ま、いつでも待ってるからね?」

優馬「あははは…」

 

こういう手は苦手だ。

どう対処すればいいのか分からなくなる。

それに…

 

優馬(曜をお嫁さん、ね~…)

 

ふと、曜のお母さんに言われ、曜を意識してみる。

やはり可愛いのだ。

スタイルも抜群で、それでいて性格もいい。

頭も割と良く(失礼)、全てが完璧超人か、と言われれば意外とそうでもなく、愛おしく感じる部分もある。

 

優馬(俺にはもったいないくらい、というか…俺と住む世界違いすぎるんだよな…)

 

正直、曜と自分では釣り合わない。

それくらいに自分との格差に俺自身が気付いてしまい、心なしか、メンタルが落ちてしまった。

しかし、顔に出てしまっては曜に気を遣わせてしまうかもしれない。

何とか顔に出ないように気を付けながら、俺は曜の部屋へと向かった。

 

~曜side~

 

あそこでお母さんが出てくるなんて思わなかったけど、かなり良い方向に結んでしまった。

あれだけ言われれば、流石の優も意識せざるを得ないだろう。

別に自分を自慢するわけでもないが、やはりスクールアイドルをしている分、そこそこプロポーションには自信がある。

この事については千歌ちゃんも一緒だけど、優と実はちょっとした幼馴染でもあり、距離も近しい。

 

曜(ま、本人は覚えていないけど…)

 

それはそれとして意識してさえくれれば、あとはこっちの攻め次第で割と優も落ちる可能性がある、ということ。

 

曜(今日は…攻め時、だね…覚悟決めないと、だ…)

 

そう、絶好のタイミング。

まるであの時の思い出が蘇ってくるかのように。

 

 

~曜家・曜の部屋~

 

今考えてみたら、曜の部屋にお邪魔するのは初めてかもしれない。

やはりこういう所も彼女は完璧なのだろうか、部屋は綺麗に片付けられていて、ゴミや塵一つさえ落ちていない。

とは言え、無機質な部屋というわけでもなく、普通の女の子の部屋、といったところだった。

 

曜「…あのー…あんまりじっくりと見られると照れるというか…///」

優馬「…ごめん、気が利かなかった。」

曜「う、ううん!///だい、じょうぶ…///へ、部屋に男の子あげるの何気初めてだから…///ちょっとそわそわしちゃって…///」

 

思わず、部屋を見渡してしまっていたのだが、曜の一声でここが知り合いの女の子の部屋ということに改めて気づかされた。

 

優馬「…」

曜「…」

 

ゆっくり休むという名目でとりあえず曜の部屋までついてきたわけなのだが、やはり、と言うべきか、いつものように話すことができない。

いつもなら千歌や梨子、善子や鞠莉など、基本的に曜とAqoursメンバー、一緒に行動を共にしていることが多いため、いざ、2人きりともなると上手く話すことができなかった。

何か話題を探すかのように、ある程度配慮しながら辺りを見渡してみるとふと、気になるものを見つけた。

 

優馬「…ねぇ、曜」

曜「ん?どうかした?」

優馬「机の上に置いてあるその写真って…」

 

少し遠くて見えないのだが、どうやら小さい女の子が2人とその友達だろうか、男の子が1人の仲睦まじい様子が写された写真が立て掛けられていた。

 

優馬「曜の友達?一人はオレンジの髪型だから恐らく千歌だろうけど…」

 

女の子について、推測は簡単だった。

余りにも髪型や髪色が変わっていないから。

しかし、男の子についてはどこかで見たことがあるような感覚だったのだが、結局分からなかった。

 

曜「…千歌ちゃんと私なのは正解。でも、覚えてないんだね?優“くん”」

優馬「曜…?今、“くん”付けして呼んだような…」

 

その時だった。

 

優馬(っ!?)

 

俺の頭の中でとてつもないスパークが起きた。

まるでぽっかりと空いていた記憶の穴が急速に修復されるそんな感じ。

その穴を勢いよく修復するように記憶が蘇っていった。

 

優馬「ま、じか…俺は2人にも会ってたのか…」

 

それは辛い過去の記憶を封じるかのように蓋をしていた遠い遠い過去の話。

俺がまだ内浦にいた頃の話。

今年になってようやくその蓋も外れ、その記憶はゆっくりと戻っていったはずだった。

しかし、未だその記憶の中にあった穴。

その穴こそ、千歌と、曜との出会いだった。

 

曜「良かった、思い出してくれたんだね…ようやく。」

優馬「…ごめん、今まで、気づけなくて」

曜「ううん、大丈夫。むしろ思い出してくれて嬉しいくらいだから、ね。」

 

そういう割には曜の顔はどこか浮かない顔を浮かべていた。

何かまだ、俺が思い出せていないことがあるかのように。

 

曜「…優くん」

優馬「…その呼び方はなんか恥ずかしい」

曜「ふふっ、良いじゃん。なんか昔に戻ったみたいで。」

 

すると、気づいた時には曜が目の前にいた。

動悸が止まない。

それもそうだ。アイドルをしている友人が触れられるくらいに近い距離で目の前にいるんだ。

どんな男でも昂ってしまう。

すると、曜が悲しげな顔をして問いかけた。

 

曜「昔はこうやって…一緒に遊んだよね、楽しかったなぁ…」

曜「…でも、まだ優は思い出せていないものが一つあります。それは、なんでしょう?」

 

思い出せていないもの。

未だ思い出せていない何かがあるのだろうか。

まだ内浦にいたあの頃。

それは鞠莉や果南、ダイヤに…奏姉さんといたあの頃と同時期に出会ったであろう千歌と曜の存在。

同じように遊んだあの頃に加えて、未だ思い出せていないものがある…と言われても俺は結局、思い出せずにいた。

 

曜「…時間切れ。今こうしている間にもきっと皆は探し回っていると思うから、もう言っちゃうね。」

曜「正解は、この家、そして私のこの部屋に来たのが今日、初めてじゃないということだよ。」

 

優馬「え…?

曜「あれだけ昔の事だったから覚えてないのも無理ないと思うけどね…実は優、ここの部屋に来たのってもう何十回もあるんだよ?」

曜「しかも、ただ遊んでただけじゃない。ハグやキス…色々なことを何回も…ファーストキスだって、実は私なんだよ?…ふふっ、あははっ!♡」

優馬「…なんで、そんなことを」

曜「なんでって…優がよく言ってた人、えーっと…奏さん、だっけ?その人ともっと近づけるようになりたいって言うから、その練習台で私がずっと付き合ってあげてた…その反応からして本当に何も覚えてない、って感じだね。」

曜「辛かったなぁ…私は会った時からずっとずっとずっと、一目惚れだったのに…まさかの練習台、なんて踏み台そのものになるなんて、さ。」

 

その時、俺は違う意味で動悸が止まらなかった。

自分がそんな浅ましい理由でこの場所に来て、そして彼女を無邪気に傷つけていたなんて

そんなこと、想像もしていなかったから…

 

曜「…もしかして、気に病んでる、かな?」

優馬「…ごめん、本当にごめん。」

 

曜「…確かに悲しかったけど、でも嬉しかった。だって、あの時、あの空間、あの一瞬だけでも、私は優を独占できた。例え、それが練習台だとしても、私は優に満たされている感覚を覚えて、悲しさよりも嬉しさが勝った。」

 

曜「千歌ちゃんはあの頃、色気より食い気なところがあったから優のことはただの友達だと思っていたかもしれないけれど、私は違った。」

 

曜「初めて優と会ったその時に一目惚れをして、初恋をして…」

 

曜「ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと…」

 

曜「優と結ばれることを信じてた…」

 

曜「なのに…優は消えた。何も、言わずに。」

 

優馬「…」

 

俺が消えたことで傷ついてしまっていたのは鞠莉、果南、ダイヤの3人だけかと思っていた。

しかし、それは間違いだった。

俺はもう1人、傷つけてしまっていたのだ。

俺の、独善的で、無責任な行為で…

 

曜「せっかくこうしてまたあの時と同じ状況になってるから、さ…」

曜「2人でまた、堕ちるところまで堕ちよう…?」

 

その声はまるでゆっくり、ゆっくりと底の見えない何かに深く、深く溺れてしまう。

普段の曜からは考えられない程の妖艶な声だった。

そして俺は耐えきれずに堕ちてしまう時だった。

 

千歌「優くん!!」

 

 

それはまるで光が気まぐれに深淵へと差し込んだその瞬間そのものだった。




いかがだったでしょうか?
曜ちゃんが実はかなり溜め込んでたようでここに来て、爆発しましたね。
この計画はかなりぶっつけ本番です。
思い立ったのはまさに昼休みのあの時間。
まだその時は決意が揺らいでましたが、母親の一言で意識がこちらに向いたことを機に決意を固め、ここに至った、というわけですね。
救世主、高海千歌は曜ちゃんとどう対峙するのか…
それは次回の話で。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回もまたよろしくお願い致します。

現時点で貴方が考える優馬が付き合う相手は?

  • 高海千歌
  • 桜内梨子
  • 渡辺曜
  • 松浦果南
  • 黒澤ダイヤ
  • 小原鞠莉
  • 津島善子
  • 国木田花丸
  • 黒澤ルビィ
  • 鹿角聖良
  • 鹿角理亜
  • 誰とも付き合わない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。