無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について   作:希望03

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こんにちは、希望03です。
かなり遅めの投稿、申し訳ありません。
12月ですね。寒いですね。

それではどうぞ。


第59話 奏でる”絶望”の音

~浦の星学院・2年教室~

 

夕暮れ時、教室の窓に差し込む夕日

それは静けさが広がる教室に綺麗な色の光が一面に広がり、より一層、寂しさを際立たせていた。

本来、時間的には誰もいないはずの教室。

しかし、千歌と曜の2人だけが外の世界とは隔離されているかのように取り残されているようだった。

そして、様子も普通ではなく、曜は何も言わずに肩や歯をガチガチと震わせながら、座り込んでおり、一方の千歌は茫然自失、といった様子だった。

 

千歌「………」

 

“触るな!!”

 

千歌「ぁ…」

 

“触るな”

それは言うまでもない最愛の人である優馬からの言葉であり、思いがけない言葉だったからか、余計に頭の中で反響する。

言葉からも分かる通り、それは明らかな拒絶だった。

最初は何が起きたのか分からなかったが、徐々に言葉が全身へと行き渡り、ようやく事の重大さを理解し始めた。

 

そして彼女たちはまた同じ過ちを繰り返してしまった、ということにようやく気付いた。

いつも迷惑をかけていたのに、いつしかそれが当たり前になってしまい、優馬がそばにいることも当たり前になった。

だからこそ、彼女たちは甘えてしまっていた、いや優馬の広い心に溺れていた。

 

今の今まで、優馬という大切な存在から完全な拒絶という事をされたことがなかった。

だからこそ、考えなかった。考えようと思わなかった。

そう、それは

「優馬から嫌われてしまう」という末路の事だ。

 

千歌「はっ…はっ…はっ…はっ…」

 

そのことに気付いた時だった。

千歌の身体も曜と同じように小刻みに震え始めた。

そして、徐々に徐々に荒くなっていく吐息。

まさに立っているのもやっと、という程に見えていた。

 

本来であれば、今日は優馬を誘って一緒に“2人”で練習に向かっているはずだった。

しかし、現実は非情にも叶わずに、今、2人ともに教室でうずくまるまま動けずにいた。

そして、もう今の彼女たちからは練習がどう、とかラブライブがどう、ということを考えている余裕は無かった。

 

千歌「ゆ、う、くん…」

 

曜「ゆう…ごめん…ごめん…ごめんなさい…ごめんなさい…」

 

頭の中は優馬の事でいっぱいになるものの、ここには2人以外誰もいない。

その小さな懺悔と小さな呼びかけは誰にも届くことなく、空気に消されてしまう。

そして最後に取り残されるのは後悔と絶望であった。

 

 

~沼津・練習場所~

 

一方、その頃。

先に着いていたAqoursメンバーたちはまだ全員揃わないためか、練習を始められず、ストレッチに励んでいた。

 

ダイヤ「遅いですわね…」

 

千歌、曜、優馬以外のメンバーが来てからおよそ20分。

待てど待てども来る気配がなかった。

一向に現れない3人に不安や心配を抱えたAqoursメンバーのおかげか、この場所の空気は気づけば不穏な空気に包まれていた。

 

果南「…ねぇ、ダイヤ?」

ダイヤ「なんですか?」

果南「これってもしかして、鞠莉が関与してたりとか…」

ダイヤ「っ!…まさか」

 

鞠莉「あら、私はそんな姑息な真似はしないわよ?」

 

果南「…聞いてたんだ。」

鞠莉「だって、怖い顔で私の方を睨むんだもの」

 

ダイヤ「それで本当に鞠莉さんではないのですか?」

鞠莉「私じゃないわ。」

鞠莉「そもそもダーリンを手にかけることなんて…できるわけないじゃない…!」

ダイヤ「…」

果南「…」

 

善子「…ねぇ、リリー?」

梨子「…どうしたの?」

善子「リリーは何も知らないの?」

梨子「…知らない。」

ルビィ「本当に?嘘はつかないで?」

梨子「知らないわよ!私だって…私だって、心配で…優君に何かあったら…私…」

花丸「…ごめんなさいずら」

 

 

ダイヤ「…やはり何かあったのでは、ないでしょうか」

 

その言葉を皮切りに全員から言葉が失われてしまった。

そして不穏な空気はさらに増していく一方だった。

 

「~♪~♪~♪」

 

すると、全員の携帯の通知音が鳴った。

それは優馬からのメッセージで全員一緒の物が送られていた。

 

鞠莉「…っ!?」

果南「…」

梨子「…こんなの絶対嘘」

善子「優馬…」

ルビィ・花丸「「…」」

 

彼女たちは唖然とした表情でメッセージを見つめていた。

 

ダイヤ「…これでは練習になりませんわ。」

 

それぞれ、そのメッセージに思う所はありつつも練習に切り替えられる程の余裕は彼女たちにはなかった。

だからか、最終的にダイヤのその一言で今日の練習は急遽中止、解散することになった。

 

 

~浦の星学院・スクールアイドル部部室・aqours side~

 

そして、今日この日を迎えた。

学校は休日のため、休み。しかし、練習はいつも通りある予定だったため、こうして部室に集まっているのだが、昨日の沼津の時と同じような空気がこの部室にも生まれていた。

 

ダイヤ「…時刻は…10時20分。」

鞠莉「すこ~し…早すぎたかもデース…」

 

部室にはもう既にAqoursのメンバーが全員揃っていた。

それもそうだ。なぜなら全員が好き、いや愛していると言っても過言ではない人物

空条優馬のお呼び出しであったからだ。

というのも、そんな楽しいような空気ではない。

 

花丸「…皆、優さんから届いてたメッセージは一緒だったずら?」

 

花丸からの言葉を皮切りに全員、携帯をあの時のメッセージの表示のまま机の上へと出した。

その言葉は一言一句同じ。

 

“今日は千歌、曜、僕の3人が体調不良のため、練習には不参加。加えて、連絡事項。大事な話をしたいから、明日土曜日の午前10時30分に部室集合でよろしく。”

 

といったような文章だった。

 

善子「この…大事な話、って何かしらね…」

ルビィ「…ルビィたち、まさか嫌われた、とかじゃないよね?」

善子「やめてよ!そんな…」

ルビィ「でも、もしそうだったr「止しなさい!」…」

 

ダイヤ「…今は信じましょう?彼だってきっと…もっと別なことだと思いますから…」

 

果南「嘘つかないでよ…ダイヤだって分かってるんでしょ?事の重大さをさ…」

ダイヤ「…」

果南「だっておかしいじゃん…“僕”だなんて…まるで昔みたいに…あの時みたいに…」

鞠莉「…果南、落ち着きましょう。今、憶測で考えた所d「落ち着けるわけないじゃんか!!」っ」

果南「言ったよね…これ以上、ゆうを傷つけるのは許さない…もし傷つけたら誰であろうと容赦はしないって…」

鞠莉「それは知ってるわ。だけど、今は…」

果南「今はってなに!?もうこのメッセージ見れば分かるでしょ!?ゆうは今現在進行形で傷ついてるんだよ!?もう遅いの!!」

果南「私は…絶対に…許さないから…!!」

鞠莉「…」

 

梨子「…果南さんの事もすごい分かるし、私だって許せないけど、今は1つ聞きたいことあるの。いいかな?千歌ちゃん。曜ちゃん。」

 

千歌・曜「「っ!!」」

 

梨子「昨日の夕方、何かあったよね?体調不良、だなんて…あんなに楽しそうに動き回ってたのに、ありえないもの。」

 

梨子が果南を制止させ、その言葉を吐きながら千歌と曜を見た時だった。

全員の眼差しはその二人へと向かっていった。

 

梨子「教えて。」

 

千歌「い、や…その…」

曜「あ…うっうぅ…」

 

梨子「ねぇ、教えてよ。これじゃあ私たち、何も知らないまま捨てられちゃうんだよ?お願い…教えて…」

 

梨子は懇願した。

事の重大さを重々に理解した上での行動だったのだろう。

本当は怒り狂ってどうにかなりそうなところを必死で抑えて、ようやく振り絞った一言だった。

すると、少しずつ千歌と曜が話し始めた。

 

曜が優馬との過去の話をしたこと。

そしてそこで曜が優馬にずっと好きだった、と伝えたこと。挙句、行為に及ぼうとしたこと。

千歌も助けに行ったが、結局私利私欲のために自らも行為に及ぼうとしたこと。

そのおかげか、千歌と曜の関係が悪くなったこと。

 

千歌「…全部、全部私たちのせい…優くんがあんなになるなんて思わなかったの…」

梨子「それって…私も…」

曜「…」

 

梨子もその話を聞いて、勘付いたようだった。

なぜなら梨子もそのことには自らも関与していたから。

 

梨子「…私も優君を追い詰めていた、のかも。」

千歌「う…うあ…うわああああああああ…」

 

話を終えて、部室の空気はさらに底へと沈んでいくような空気感だった。

そこへ、荒い音を立てて扉が開いた。

目線をそちらへ向けるとそこには全員を集めた張本人である優馬が立っていた。

 

優馬「おはよう、皆、早いね。」

 

いつもだったらここで皆の取り合いが始まるところだった。

しかし、今日はそんな状況じゃない。

おかげで誰も優馬に返答することができずにいた。

 

優馬「…ごめんね、急に呼んでしまって。」

ダイヤ「…いえ、その…話、というのは?」

 

優馬「そうだね…その話もしないとね…ダイヤたちも練習があるだろうから簡潔に、一言で済ますよ。」

 

優馬「僕は今日限りでこのスクールアイドル部のマネージャーを辞める。」

 

一瞬、何を言っているのか理解できない、といった様子だった。

全員が目を見開き、口を開いたまま。

ただただ呆然と立ち竦んでいた。

 

優馬「…あれ?聞こえてるかな…僕は今日限りでマネージャーを「聞こえているわよ!!」…善子」

 

善子「…な、んでよ、なんでそんな答えに至ったわけ…?私たちが悪かったのよね…優馬に負担をかけ過ぎたから…」

 

優馬「そんなことないよ。もちろんマネージャーとしてやってた時は楽しかった。今までにないくらいに僕は輝いてた。でも、違うんだ。」

 

花丸「違うって…何が…?」

 

優馬「君たちを支えるべきなのは僕みたいな“怪物”じゃない…ってことだよ。」

 

花丸「そんなの優さんが勝手に決めてるだけずら!!」

 

優馬「…じゃああの3人の関係が崩れたのはなんでなのか、分かる?」

 

花丸「っ!」

 

優馬「結局のところ、僕はどんなに時が経っても人間関係を崩してしまう…それは僕自身が人を理解できないから、だよ。」

 

果南「で、も…ゆうはもう過去を克服したはずなんじゃ…」

 

優馬「僕もそうだと思ったんだ。きっと変われるって、そう思ってた。」

 

優馬「でも、人じゃない以上、変わるなんてそんなことは出来なかったんだ。どこまでも過去が僕にまとわりつくんだ。」

 

ルビィ「おにい、ちゃん…」

 

優馬「ルビィちゃん…いや、ルビィ…か。はは、懐かしいね。」

 

ルビィ「…行かないで、お兄ちゃん…行かないでよ!!」

 

優馬「ルビィ。“怪物”は“怪物”の、あるべき場所に行くべきなんだ。俺がここにいるのは邪魔なだけなんだ。」

 

ルビィ「そんなこと誰も望んでない!!やめてよ!そんな自己犠牲は!…ルビィたちが悲しむだけだよ…」

 

ダイヤ「そうですわ…誰も何も生まない…生むとすればただの悲壮感だけですわ。」

 

ダイヤ「馬鹿な事をおっしゃらずに…もう一度考えましょう?」

 

優馬「ダイヤ。」

 

ダイヤ「っ!」

 

優馬「昔からずっと寄り添ってくれてありがとう。」

 

ダイヤ「…」

 

優馬「でも、もう終いだよ。」

 

ダイヤ「え…?」

 

優馬「もう金輪際、君たちには関わらない。これ以上、関係を壊すのはごめんだから、ね。」

 

ダイヤ「あ…」

 

鞠莉「そんなこと…私が許さないわ…!勝手に辞められると思わないで!」

 

優馬「やっぱりお前が一番の障壁だよ。鞠莉。」

 

鞠莉「…もしここでやめるとするなら、パパに連絡するわよ。」

 

優馬「…はぁ、僕がそこに根回ししてないとでも思う?」

 

鞠莉「え…?」

 

優馬「了承済みだよ。」

 

鞠莉「う、そ…だ、だって…」

 

優馬「そんな素振りはなかったって?するわけないじゃないか。」

 

鞠莉「…」

 

優馬「…千歌、曜、梨子。」

 

千歌・曜・梨子「「「っ!」」」

 

優馬「…ごめん。仲良くして、ね。」

 

千歌「あっ…」

 

曜「…っ」

 

梨子「い、いや…」

 

優馬「それじゃ、精々、学校を救えるようにラブライブ、頑張ってね。」

 

 

“さようなら”

 

その言葉を最後にして、優馬は部室を去ってしまった。

追いかけようとも思っただろう。しかし、彼女たちの身体は動けずにいた。

 

泣き崩れる者。茫然と立ち竦む者。過呼吸に陥ってしまっている者。

それぞれが絶望に叩き落された音を奏でているかのよう。

まさにその音が鳴り響いているかのように、彼女たちしかいない学校のチャイムが鳴ったのだった。




いかがだったでしょうか?
優馬の闇落ちはいい加減にしろよ、と感じる方が多くいるかと思います。
果たして優馬はどうするのか、救いの手を差し伸べるのは一体誰なのか。
もしかしたら、北海道のあの子たちかもしれませんね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。

現時点で貴方が考える優馬が付き合う相手は?

  • 高海千歌
  • 桜内梨子
  • 渡辺曜
  • 松浦果南
  • 黒澤ダイヤ
  • 小原鞠莉
  • 津島善子
  • 国木田花丸
  • 黒澤ルビィ
  • 鹿角聖良
  • 鹿角理亜
  • 誰とも付き合わない
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