無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について   作:希望03

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こんばんは、希望03です。

一寸先は闇、捉え方によっては希望にも感じるし、絶望にも感じるもんです。

それではどうぞ。


第64話 一寸先は闇

 

~内浦・優馬家~

 

あれから時は過ぎ、気付けば時刻は23時。

綺麗な月が窓の外から見えていた。

明日は学校があるから早めに寝なければ、と思いつつも今日、家には僕以外にもう1人の居住者がいるからか、自分のタイミングで寝れずにいた。

 

理亜「はぁ~…さっぱりしたぁ…」

 

優馬「…///」

 

そう、函館出身のスクールアイドル、Saint Snowの鹿角理亜である。

昔、僕が内浦から逃げ、北海道へとやって来た時のお隣さんであり、僕の事を兄、と慕ってくれている絶賛家出?中の女の子だ。

 

理亜「…兄さん、目がいやらしいよ。」

 

優馬「っ!///ご、ごめん…そんなつもりじゃ…///」

 

理亜「…ふふっ、分かってるよ。兄さんはそんな人じゃないって…というかむしろもっと見て欲しいけど…♡」

 

優馬「…何か言った?」

 

理亜「何でもないよっ」

 

その顔は以前、久しぶりに会ったであろうあの神社での表情とは全く別反対の顔のように、砕けた表情で微笑んでいた。

その表情に少しグッと来ていると、優馬の携帯からバイブ音が鳴った。

 

優馬(…なんだ?)

 

千歌たちだろうか?

そう思い、確認してみようとすると

 

優馬「っ!?」

 

まだ確認すらしていないのに、なんだかとてつもない悪寒が全身を巡った。

 

理亜「…兄さん?誰からのメッセージ?」

 

理亜は僕の携帯のバイブ音に気付いたのか、それともあまりの挙動不審さだったのか、近付いてきた。

しかし、僕は心配させてはならない、と思い、咄嗟に

 

優馬「い、いやなんでもないよ…大丈夫だから、気にしないで。」

 

そう言ってしまった。

しかし、それが良くない選択だったのだろう。先ほどの微笑ましい表情から一転、理亜の様子が徐々に変わり始めた。

 

理亜「…なんで隠そうとするの?ねぇ、なんで?やっぱり私じゃ頼りないの?ねぇ、なんでよ。なんで、なんで?あの女狐たちの方が良いの?ねぇ、なんで」

 

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで…

それはまるで壊れたラジオのように、同じ単語しか話せていなかった。

そして、一瞬、呼吸を整えたかと思えば、僕の方を向き、ものすごい力で携帯を取り上げようとしたのだ。

 

優馬「っ!?」

 

理亜「見せてよ…見せてっ!!!!!」

 

優馬「待って…落ち着いて…落ち着けよ!」

 

理亜「…落ち着けるわけないじゃん…だって、だって…やっと兄さんは私たちだけを…私だけを選んでくれると思っていたのに…!!」

 

支離滅裂だった。

何言っているのか分からない。選ぶ?どういうことだ。

理亜はただ昔良くしてもらった兄のような存在に会いたかっただけなのではないのか?

 

理亜「ねぇ、兄さん…?携帯、見せてよ…何もしないから、ね?」

 

そう迫ってくる彼女の身にはバスタオル1枚だけ…

男であれば、興奮剤のような欲情的な恰好ではあるが、今の僕にとってはそれどころではないような状況に追い詰められていた。

 

優馬「落ち着いて…まずは着替えた方が良い。風邪引くからさ…」

 

理亜「…逃げようとしてる?私から?」

 

優馬「なっ…!そんなつもりは微塵もない!」

 

理亜「そうとしか聞こえないよ…だって、兄さんの表情、怯えてるよ?」

 

優馬「っ!」

 

理亜「そっか…そんなに女狐たちが恋しいんだね…?」

 

優馬「そもそも…女狐って…どういうこと?」

 

理亜「あぁ、兄さんを誑かしてる女たちの事だよ。ほら、Aqoursの人たち…皆、兄さんに対して、色目使ってるじゃん。」

 

優馬「そんなの…」

 

理亜「兄さんだって気づいているくせに…悪い人だね」

 

優馬「…」

 

理亜「でも兄さんは悪くないよ。全ては誑かす女たちが悪いんだから、ね?だからさ…携帯、貸して」

 

優馬「何するつもりだよ…」

 

理亜「何もしないよ。確認するだけ。」

 

優馬「…」

 

正直、信じられずにいた。

しかし、ここで逆らってしまったらまた彼女は暴走をし始めてしまう。

そんな可能性が少しでもある以上、僕は携帯を渡さざるを得ない状況にいた。

 

優馬「…はい」

 

理亜「っ!…やっと、やっと信じてくれたんだねっ♡」

 

そうして理亜は即座にメッセージを開き始め、全ての内容を確認し始めた。

最初こそはテンポよく動いていた指だったが、徐々に徐々にと、ゆっくりになっていき、またそれに比例するかのように理亜の表情はまた険しい表情をし始めたのだ。

 

理亜「…ちっ!姉さま…あの女狐たちと手を組んだんだ…最終的に自分のものにしようとするために…」

 

優馬「り、理亜…?」

 

理亜「…兄さん、よく聞いてね。大事な話だから。」

 

そうして、今度は冷静になったのか、単調に理亜が話し始めた。

その話の内容は千歌たちの今の状況についてだった。

なんと、千歌たちは今の今まで、北海道にいる聖良の下にいたみたいだった。

それは聖良からの呼び出し…そして僕との空白の時間を知るために。

しかし、今、優馬の下に理亜がいるという情報を聖良が手に入れたことにより、憤怒に駆られた千歌たちが怒り心頭にこちらに向かっているという事だった。

さらにはそこに聖良も参加し、同じように怒り心頭の状態でいる、ということだった。

 

優馬「なんで…」

 

理亜「…逃げようよ、兄さん。」

 

優馬「え?」

 

理亜「ここにいたら危険だから、だから私と一緒に逃げよう」

 

優馬「そんなこと…できるわけないよ…」

 

理亜「大丈夫。だって私はずっと“お兄ちゃん”の味方だから…“お兄ちゃん”を危険な目に合わせたくない!」

 

優馬「理亜…」

 

そうと決まれば、と言わんばかりに理亜は意気込み、早急に出かける準備をし始めた。

茫然としたまま、待っていること数分。

 

理亜「よし!兄さん、行こう。ここから早く離れなくちゃ。」

 

優馬「あ、あぁ…」

 

持っているのは財布や携帯、その他、自分にとって必要な物や大切な物

それらを持ち、僕はこれからまた旅立つ。

 

優馬「…」

 

もうここに戻ることはないのだろうか

このまま彼女たちから逃げ続けたままでいいのだろうか

ずっと昔から彼女たちの事を避け、逃げ続けてきた。

やっとここに辿り着いて、もう一度やり直そう、もう一度向き合おうとしていたはずなのに…

 

理亜「…迷ってるの?」

 

優馬「…っ」

 

理亜「…こう言ってしまうのは辛いかもしれないけれど、Aqoursはずっと兄さんの事を苦しめ続けてた。自分たちの好意ばかりを優先にして、ずっと兄さんの事を蔑ろにしてた…そんな人たちの事をまだ考えているとしたなら…もう潮時だと思うな。」

 

優馬「…そうなのかな。」

 

理亜「…うん…ずっと大切だったのは分かるけど、これ以上は兄さんの心が壊れちゃうから…だから、もう私と一緒に行こう、ね?」

 

優馬「…そう、だね」

 

理亜「…あはっ♡…ふふっ♡」

 

理亜「…ふぅ、じゃあ行こう!♡」

 

そうして理亜が玄関のドアを開け、まだ暗い、けれども綺麗な月明かりが照らす内浦に新しい門出をわずかながらに噛み締めながら、身を乗り出した。

 

まさに、その時だった。

 

 

「…残念でした♡」

 

 

 

そう聞きなれた声が静寂な夜に響いたのだった。




いかがだったでしょうか?
駆け落ちってロマンチックですよね。
失敗に終われば元も子もないですけど。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。

現時点で貴方が考える優馬が付き合う相手は?

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