無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について   作:希望03

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こんにちは、希望03です。

問.貴方にとって愛とは?

それではどうぞ




第65話 愛した人、愛された人、愛する人

~内浦・優馬家・玄関~

 

「…残念でした♡」

 

その声にゾッとした。

思わず、勢いよく前を見ると、そこには満面の笑みを浮かべる千歌がいた。

しかし、そこにいたのは千歌だけではない。曜や梨子といったAqoursの面々、そしてSaint Snowの聖良がそこに立っていた。

 

理亜「姉さま…」

 

聖良「ここまでよく頑張ってきましたね、理亜…ですが、一足遅かったですね。」

 

そう聖良が言うと後ろから出てきた1年生たちが優馬の腕を引っ張った。

 

ルビィ「お兄ちゃん…!無事で良かったぁ…」

 

善子「全く…リトルデーモンたら、主である私の手を煩わせるなんて100年は早いのよ!」

 

花丸「どこにそんなツンデレ要素を隠していたんずら…でも、本当に無事で良かったずら…」

 

そうして為されるがままに1年生たちに腕を引っ張られ、連れていかれるところだったが、そうもいかなかった。

腕を引いている方向と逆側の方向からさらに力が加えられた。

後ろを見てみると理亜が1年生たちに対抗し、強引に引っ張っていたのだった。

 

善子「っ!…離しなさいよっ!」

 

理亜「渡さないっ!!」

 

善子「なっ…!?」

 

千歌「ねぇ、理亜ちゃん。」

 

理亜「…なによ?嫉妬?」

 

千歌「違うよ、なんでそこまでして優くんを離そうとしないの?」

 

理亜「…は?それは私の台詞なんだけど?」

 

梨子「それって…どういう意味?」

 

理亜「これまでやってきたことを忘れたわけ?散々、兄さんの事を振り回して、誑かして…困らせていることにも気づかずに、よくものうのうとここまでやってきたと思うくらいよ!!」

 

梨子「それは…」

 

理亜「そんな、そんな人たちに兄さんを渡すわけにはいかない…!」

 

曜「それは困るよ!だって…優は私たちの大事なマネージャーで…大切な人なのに…」

 

理亜「そんなの私だって同じ!!あんたたちは良いでしょ!?ずっと、ずっと兄さんがいてくれて!傍で支えてくれて!一緒に過ごせる、そんな生活があるんだから!!」

 

理亜「私は、私だってずっと兄さんの事、待ってたの!助けてくれたあの日から、ずっと兄さんは憧れで、大好きで、大切な存在で…いなくなってから忘れたことなんて一度もない!!」

 

理亜「久しぶりに会えたあの東京イベントの時だって、どれだけ抱きしめて欲しかったか…あんたたちに分かる!?分からないでしょ!?だって、あんたたちはずっと傍にいてくれるんだから!」

 

理亜「私は憎い!兄さんを奪ったあんたたちが大っ嫌い!!大切な傍にいてくれる充実さを当たり前だと思ってるあんたたちの存在が大っ嫌い!!そんな人たちに兄さんを渡すわけにはいかないの!!」

 

聖良「理亜…」

 

理亜「…姉さまもこいつらの味方をするなら私は容赦しない。絶対兄さんは守るから!!」

 

それはまさに錯乱状態、あるいは興奮状態だった。

恐らく周りが見えなくなってしまって、結果的に何を言っても聞かないだろう。

しかし、聞いていると言っていることは正しいようだった。

別に僕を傷つけようとしているわけでもない、ただただ大切な人を守りたい、っていう気持ちだけなのだ。

 

果南「それは、うん…理亜ちゃんに対してもゆうに対しても傷つけてしまって本当にごめんって思ってる…でもさ、理亜ちゃんが今やってることも私たちと変わらないってこと、気付いている?」

 

理亜「そ、れは…」

 

ダイヤ「そうですわ。確かに私たちに非があることは明らか…今さらながら、同じ過ちを繰り返して、ようやく気付きましたわ…」

 

鞠莉「Yes…でもね、どうしようもないことだと思うのよ。だって、結局彼からの愛を受け取れるのはたったの一人だけ…ずっと恋焦がれていた女の子にとってはそれが何物にも代えがたい程、欲しいものだと思うの。だから…やり方が汚いのは分かっているけれど…どうしようもないことなのよ…」

 

理亜「ならやり方を変えればいいじゃない!正々堂々とやれば!」

 

果南「できないと思うよ…だって、そう言う理亜ちゃんだって一緒でしょ?」

 

理亜「え…?私…?」

 

果南「…今やってることも、ゆうを連れて逃げようとしたことも、普通じゃない…ようは誰にも譲りたくない、ゆうからの愛を独占しようとし考えた結果のそのやり方ってことでしょ?」

 

理亜「違う!!私はただ兄さんを守りたかっただけで…!」

 

果南「…」

 

果南の問いかけと同時に皆は理亜の方をじっと見つめた。

それは憎しみを込めて見つめている、ではなく、理亜の事を心配しているようなそんな目に見えた。

 

理亜「わ、たしは…!う、うわぁぁぁぁん!!!」

 

その目に耐えきれなかったのか、僕の腕を離し、その場にへたり込み、号泣してしまった。

 

聖良「理「聖良」…優君?」

 

僕はその姿を見て、ふと何を思ったのか、体が動いていた。

 

理亜「っ!?」

 

千歌「…優くん」

 

優馬「ありがとう、理亜」

 

理亜「え?にい、さん?」

 

優馬「理亜の想い、受け取ったよ。そんなに僕の事を想ってくれていたんだね。」

 

理亜「そんな、こと…わ、たしはあの人たちと同じで、にいさんのためにと思ってたことは全て自分の事ばかりの自己中心的な「理亜」…っ!?」

 

僕はその声に耐えきれなかった。

だってしょうがないじゃないか

その声はまるで、誰かに助けを求めているような、悲しい声だったのだから。

だから、気づいた時には僕は理亜を抱きしめていた。

 

理亜「っ!?ちょ、え!?兄さん!?///」

 

優馬「僕はずっと弱かった。自分から逃げて、他人から逃げて…情けない人間だった。それは多分このままだったら、今後も変わらないと思う。」

 

理亜「っ!そんなことない!兄さん、いや…お兄ちゃんはずっと悲しみや苦しみとか、とにかく重たい何かに押しつぶされそうになっても頑張って、前を向いて生きてきたんだよ!?」

 

優馬「はは…ありがとう、理亜。理亜がそう考えているのと同じ…僕も理亜の事、尊敬してるんだよ?」

 

理亜「え…?」

 

優馬「スクールアイドルへの情熱、それはどういう理由から、というのは僕には分からないけれど、それでも誰にも負けない、という気持ちと同じように誰かを守りたい、って言う強い気持ち…それは誰にも真似なんてできない、理亜自身の強さでしょ?」

 

優馬「…だから、すごいよ?理亜は」

 

優馬「君は自己中心的なんかじゃない…それは理亜だけじゃない。Aqoursの皆だって同じだ。」

 

千歌「!」

 

優馬「確かに僕に対しての想いって言うのは正直、常識的じゃないかもしれなけれど、それだけ僕の事を大切にしてくれてるってことだろ?でも、僕はさっきも言ったけど他人からも逃げたんだ。向き合おうともせずにね。そんな自分が嫌になる、反吐が出る。」

 

全てを語った。

僕自身が彼女たちの事を想っていたことも、逃げていた自覚があったことも。

そして、そんな自分が嫌いな事も。

だけど、そんな自分ともおさらばだ。その時だった。

 

「本当に終わらせるんだね。」

 

優馬「…あなたは、誰?」

 

「嫌だなぁ、忘れちゃった?“優くん”」

 

優馬「…まさか、奏姉さん?」

 

奏「そ、だいせいか~い!!…って言っても君が作り出した紛い物、幻想だけどね」

 

優馬「…今さら何の用なの?」

 

奏「あ、別に邪魔しようなんて思ってないよ。ただようやく踏ん切りをつけようとしてるからその門出を祝おうと思って。」

 

優馬「…」

 

奏「…色々あったねぇ。ここまで、さ」

 

優馬「ありすぎたよ、もうこりごりだ。」

 

奏「ふふ、そうだね。」

 

なんで彼女がここにいるのかは分からない。

さっきまで皆に話していたはずだったのに、目を閉じて、開けた時、ここにいた。

そして目の前には奏姉さん。

どちらにせよ、夢なのは分かっている。

どうせなら最後の会話でもしよう、そう僕は覚悟した。

 

奏「…ねぇ、優くん?」

 

優馬「なに?」

 

奏「そんな警戒しないでよ…何にもしないって」

 

優馬「…」

 

奏「…私の事、好き?」

 

優馬「…それはいつの話?今?それとも過去?」

 

奏「ん~…どっちも!」

 

優馬「…今も昔も好きだよ。姉さんの事が」

 

奏「…そっか。じゃないとこんなとこに私がいるわけないもんね♪」

 

優馬「まぁ、そのおかげで今までの関わり全てを絶ってきたんだけどね」

 

奏「あはは、じゃあ優くんの心には私がズタズタに刻まれてるんだ!…滑稽だね♪」

 

優馬「…そうかもね。でも、もう覚悟は決めたよ。」

 

奏「…は?」

 

優馬「貴方は僕の憧れで大好きで大切な人だった。それは変わりない。けれど、もう貴方を思い出すことはない。」

 

奏「…ふ~ん、君に出来るの?ストーカー君?」

 

優馬「できるさ。」

 

奏「すっごい自信…なんでか教えてくれる?」

 

優馬「皆がいるから。」

 

奏「…そっか。ならもういいよ。」

 

 

奏「今日まで楽しかった。…さようなら、元気でね。愛した人」

 

そうして、目を開けるとそこは元居た場所だった。

数分だったのだろうか、皆が心配そうに僕を見つめていた。

 

梨子「ゆう、くん?」

 

曜「だいじょうぶ…?」

 

優馬「…会ってきたよ。奏姉さんに」

 

ダイヤ「!?」

 

優馬「うん…覚悟は決めた。もう逃げるのは止めるよ。もうお終いだ。」

 

ルビィ「え…」

 

梨子「そ、それってどういう意味?」

 

曜「それって…」

 

花丸「つ、ついに優さんからの告白、ずら…!?」

 

善子「う、嘘…!ま、まだ心の準備が…!」

 

優馬「違うよ…いや、半分は正解か…」

 

ダイヤ「じれったいですわ!」

 

果南「そうだよ、早く意図を言って!」

 

鞠莉「そうデース!hurry!hurry!」

 

僕は彼女たちを見つめた。

僕の覚悟を伝えるために。

 

優馬「…期限は3年生にとっての最後のライブまで。」

 

優馬「その時が来たら、僕が皆のうちの誰かを選ぶ。それは聖良たちも含め、だ。」

 

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優馬「正直、今の僕はまだ皆から1人を選べない…まだ覚悟が足りないし、向き合っていなかった…何より魅力的な女性たちばかりだからね…だけど、もう決めたよ。必ず選ぶ。それまで待っていて欲しいんだ。」

 

ダイヤ「そ、そんなの…」

 

千歌「いいよ、分かった。」

 

曜「え、千歌ちゃん!?」

 

千歌「…その代わり、必ず選んでくれるんだよね?」

 

優馬「…もちろん。」

 

千歌「…そっか!じゃあいいよ!」

 

そんな軽くていいのか?

と思いつつも、その言葉にとても安堵した。

 

千歌「でも、その分、アプローチはたくさんかけるからね?もう勝負は始まるんだから!ね、聖良さん。」

 

聖良「…そうですね。必ず私たちが…いえ、私が優君を奪いますから、覚悟していくださいね?」

 

優馬「…ぷっ、あははははは…」

 

何か月ぶり、日にちにしてみたらたった数日かもしれない、けれどそれが何か月、いや何年にも感じられるほど、ここまでの苦しみは僕にとって濃厚で、重いものだった。

でも、またこうして笑い合える。

やっぱりそんな場所が大好きで、大切で…だから

 

千歌「な、なんで笑うの~!!///」

 

聖良「そ、そうですよ!笑うところありましたか!?///」

 

 

…何度も何度も君たちに惹かれてしまうのかもしれない。




いかがだったでしょうか?

僕にとって愛とは、とても複雑で繊細なもの。それでいて壊れやすい美しいガラスのようなものだと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。


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