無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について   作:希望03

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こんばんは、希望03です。

選ばれるのは誰か。

それではどうぞ。


第68話 心の内

~優馬家・廊下~

 

あの事件から数時間後、外も暗くなり、出るフェリー便も少なくなってきたためにさすがに帰らないとやばい、と焦り始めた。

急いで出なくちゃ、と思って、玄関に出ようとしたら、廊下で話声が聞こえてしまったのだ。

それは優馬と鞠莉の会話で、また私たちを置いて、話してるのか、とイラっとした。

私は鞠莉に嫉妬してしまった。この憤りをかねて話を盗み聞きしようと聞き耳を立てた。

 

鞠莉「…本当に決めるの?」

 

優馬「そのつもりだよ…ごめん、急にこんなことを言って。自惚れ、だったかな?」

 

鞠莉「…違うの。ううん、違う。」

 

優馬「…そっか」

 

鞠莉「優が感じてることはきっと正解よ…皆…皆、優の事が異性として大好き…それに気づいてたのね?」

 

嘘、だと思った。

だって、ゆうはあんなに無関心で、誰にも分け隔てなく笑顔を振りまいてて、全くそんな気なんて優には無いと思ってたのに。

 

果南(もう結構前から知ってた、ってこと?)

 

私の心の鼓動はさらに加速して、息も少しずつ荒くなってきていた。

 

優馬「…そりゃあね。」

 

鞠莉「アプローチ、あからさますぎたかしら?優ってば鈍い雰囲気出しておいて、意外と勘が鋭いもんね。」

 

優馬「うん…それがどうしたっていうのさ?」

 

鞠莉「ううん、別に何でもないわ…ただ、優は超能力者みたいだな、って」

 

超能力者、とまではいかないかもだけど、確かに鞠莉の言う事は当たっているかもしれない、と思ってしまった。

そんな勘が鋭いと片付けられない程にゆうは確かに敏感だった、ような気がした。

 

優馬「え?」

 

鞠莉「…だって、色んな事件も優が解決しちゃうし、まるで皆の心を読んでるみたいに欲しい言葉をくれるし…勘が鋭いんじゃなくて、本当は感じ取ってたりして!ムムム…!って!」

 

優馬「…そんなわけ、ないでしょ。それだけ?」

 

鞠莉「…ほら、そういう所。」

 

優馬「…」

 

鞠莉「そうやって、私の心も読んでるみたいに勘潜って、ね」

 

優馬「違う、鞠莉が分かりやすいだけだよ…」

 

鞠莉「…じゃあ当ててみて、私が今、貴方に伝えたい事、今、たった今、伝えたい事。」

 

…待って。鞠莉、何をするつもり?

どういうこと?私には分からないよ。

2人が感じてるシンパシー?みたいなの、全然分からない。

止めて、お願い、誰か、時を止めて。

…そんな願いなんて、届かないのを知っていたのに、私はその時、なぜか知らないけれどただただ聞き耳を立てながら祈りをささげていた。

 

『ゆうを、優馬を取らないで』

 

優馬「…」

 

優馬「分からない。」

 

鞠莉「っ!」

 

果南(っ!?)

 

優馬「ごめん、分からない。」

 

鞠莉「…そう。」

 

この想いが届いたかどうかは分からないけれど、どうやらゆうは鞠莉に対して、分からないと答えたみたいだ。

けれど、その顔を見ればわかる。

多分、ゆうは私に気付いて、何も言わないことにしたんだ。

バレないように、するために。

でも、ここから先、私は何も覚えてない。

この時は冷静じゃなくて、耳をふさいでただただ祈っていただけだったから。

 

優馬「…焦らなくても、いいよ。僕ももうある程度、決めているんだ。」

 

鞠莉「っ!?それ、って…」

 

優馬「どっちの意味に捉えてもいいさ…とにかく今日はこれでお開き。また明日、会おう」

 

鞠莉「…えぇ、分かったわ。優が例え決めていたとしてもこれからまた貴方を振り向かせてあげる…絶対に!」

 

優馬「…うん、楽しみにしてる。」

 

終わったのか、と思い、顔を上げた時には鞠莉がこちらに迫っていた。

辺りを見渡したけれど隠れるところも無く、すぐに外に逃げ込んだが、結局私は見つかって、聞いていたことも鞠莉にはお見通しだったみたいだった。

 

~内浦・優馬家前~

 

鞠莉「…果南」

 

果南「ま、鞠莉…」

 

鞠莉「…聞いてたのね。」

 

果南「…ごめん、つい、ほんとにごめん」

 

鞠莉「気にしなくていいのに…まぁ、でも見事に玉砕、ね。」

 

果南「…鞠莉は何をしようとしてたの?」

 

鞠莉「告白よ。」

 

衝撃の答えだった。

確かに覚悟を決めたゆうに対して、今のうちに告白をしてしまえばそこでフラれたとしても印象としては残る。

こういった行動力は本当、鞠莉らしいと思ってしまった。

 

鞠莉「…ま、結局言えないし、玉砕しちゃうし、だったけどね?」

 

果南「…私みたいに臆病じゃないだけ良いと思うよ」

 

そう、私は鞠莉があんな行動をしている裏でただただ聞き耳を立てて、聞いているだけ。

様子を窺って、立ち竦んでいた、ただの臆病者だった。

 

鞠莉「…変わらないわよ。それは行動であって、結果じゃない。だって、優は決めているんだから。」

 

果南「え?」

 

鞠莉「あら、そこは聞き取れなかったかしら?まぁ確かにそこのところで少し声のトーンが下がったものね~」

 

鞠莉「…優、もう好きな人、いるわ。」

 

果南「…嘘。」

 

 

「その話、詳しく聞かせてくださる?」

 

 

と、声が聞こえた先にいたのはダイヤと聖良ちゃんだった。

なぜそんなところにいたのか、というのも恐らく私たちの事を待っていたのだろう。

だとしてもこんな肌寒い中、外で待っていたのだろうか。

 

ダイヤ「はぁ…本当、寒い中、よくも私を待たせましたわね…」

 

果南「ぐっ…ご、ごめん…」

 

聖良「ふふ、といっても私たちも不安でここでずっと話してたんです。これからのこと。」

 

ダイヤ「ぎくっ…」

 

鞠莉「ぎく、なんて効果音を人が言うの、初めて聞いたわ…」

 

ダイヤ「鞠莉さんに突っ込まれたら終わりですわ…」

 

やはり、というか分かっていたことだった、と思う。

私たちの事を待っていてくれていたみたいだったけど、それ以上に、2人も不安だったみたいだった。

しかし

 

聖良「それよりもその不安はどうやら消えてしまいそうな話題でしたね…悪い方向で。」

 

…その通りだった。

けれど、悪い方向、なのだろうか。まぁそうか。

可能性としては11分の1、その一人がもう既にゆうの中で決められている、という可能性があるからだ。

 

ダイヤ「それは、本当なのですか?その…」

 

鞠莉「優に、もう好きな人がいるっていう話?」

 

ダイヤ「…」

 

鞠莉「…本当よ。だって、優の口から出た言葉だもの。」

 

聖良「…そうですか。」

 

果南「だから、争っても仕方ない、ってこと、なのかな。」

 

ダイヤ「それは私たちがこれからまた争いを起こさないために言った、という可能性は…」

 

鞠莉「もちろんその可能性も0ではないと思うわ。でも恐らく…」

 

ゆうの事だ。多分、鞠莉にだけ、そんなことを伝えてるってことは心の中ではもう…

 

ダイヤ「それではもう…」

 

聖良「優君の中でもう決めてるってことなんですね…」

 

鞠莉「祈るしか、無いわ…こればかりは…」

 

果南「…」

 

果たして、私が選ばれるのか、他の誰かが選ばれるのか、それは分からない。

でも、もし自分が選ばれなかったとして、他の誰かを私は祝福することができるのだろうか。

 

果南「どうすればいいの、ゆう…」

 

またあの時みたいに、ゆうがそばで手を差し伸べてくれる、そんな期待は無く、ただ私の言葉は夜の静けさに包まれ、空へと消えていった。

 




いかがだったでしょうか。

終盤も近いですね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。

現時点で貴方が考える優馬が付き合う相手は?

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