無気力な僕がAqoursのマネージャーになってしまった件について 作:希望03
性格によって損する人もいる
それではどうぞ。
~沼津・津島家・善子の部屋~
善子「…」
顔を上げた曜の顔はどこか覚悟を決めたような顔だった。
曜「昨日、寝る前に優から電話貰ったの。」
善子「…はい?」
曜「だから、私が寝る前に「いやいや、それは分かったわ!」え?」
善子「なんで優から電話がかかってきたのよ!?」
曜「それは…なんでだろ?」
善子「は!?それが一番大事な所じゃない!?」
正直、この時点で私は動揺しまくった。
だって、どんなことが起きたか、っていうことを段階踏んで話してもらうはずだったのが、起承転結の結び以外をすっ飛んで、オチだけを話しているように聴こえたから…いやこの通りな気がする…
善子「すぅ…はぁー…なにか思い当たることはないわけ?」
曜「うーん…」
なぜ優馬が曜に電話をしたのか、それは優馬にしか分からない。
でも、アクションには必ずそれをしようとしたきっかけがあるはず。
そのきっかけっていうのは今日までの曜の行動、そして優馬との関係を考えれば…分かるのよ。
善子「…はぁ」
曜「善子ちゃん?」
善子「ごめんなさい、悩ませちゃって…なんとなく私は分かっているの。優馬がなんで曜に電話をかけたのか。」
曜「…え?」
善子「優馬は曜の事が心配だったのよ。」
曜「…っ」
善子「あ…その顔をするってことはやっぱり内心気付いていたわけね。」
曜「…気付いてなんか…」
善子「今さら逃げるの、やめなさいよ。顔で分かるわよ、図星を突かれた時の曜の顔はいつにも増して分かりやすいんだから。」
曜「…」
そうして、少し冷めた紅茶を啜る。
猫舌の私には丁度いい熱さになっていた。
善子「ふぅ…」
少し喉を潤せば、頭も冷静になってきた。
私が考える優馬が曜を気にかけていた理由…恐らくこれだろう、という憶測はある。
あとはこれを聞いて、答えを聞くだけ。
さて、曜の仮面をさっさと剥がして、と話を進めようとしたその時、先に口を開いたのは曜の方だった。
曜「私は、顔に出してるつもりなんて一度も無かった。」
善子「…ふーん」
曜「でも、顔に出ちゃうんだね。やっぱり。」
善子「それが優馬に気にかけてもらえるきっかけになるのならいいじゃない。私からしたら羨ましい限りだけど?」
曜「…本当にそう思う?」
善子「え?」
一瞬、その問いかけが理解できなかった。
だって、優馬からわざわざ電話来て、心配してくれて、羨ましくて
ますます優馬の事を好きに…
曜「そう言うことだよ。」
善子「っ!…どういうことよ」
曜「今、優の事、どんどん好きになっちゃう、とか思ったでしょ?」
善子「…」
曜「そうやって優への愛…もとい依存心が増大していっていつしか抑えきれなくなる。」
善子「っ!」
曜「…恋が実らないかもしれないのに好きっていう気持ちが大きくなる…それって辛くない?」
善子「…」
曜「あはは、今度は善子ちゃんが動揺してるね、面白い。」
善子「心読めるの…?」
曜「いやいや、そんな超能力使えるわけないじゃん。」
善子「じゃあなんで私が考えてたことを「顔に出てたから、かな。」は?」
顔?今?
出してるつもりなんて
曜「無かったでしょ?」
善子「…やめて。」
曜「ごめんごめん…でも、私さっき言ったじゃん。顔に出ちゃうんだね、って。」
善子「それは曜だけの話で「違うよ?」…」
曜「人間、だよ。」
曜「人って何か考えてるときって無意識のうちに顔に出てるんだよね。」
曜「それは私も例外じゃなかったってだけ。」
善子「それがなんでこの話に繋がるのよ…」
曜「そうだよね。まずその話をしなくちゃ…って思ってたのに善子ちゃんがどんどん話し始めちゃうんだもん。」
善子「…」
そうして私は心を読まれていたその恐怖に少し怯えながら曜の話を聞かされることになったんだ。
曜「善子ちゃんに聞きたいんだけど、優ってすごいよね?」
善子「…抽象的過ぎじゃない?」
曜「どれがすごいか、は問わないよ。なんでもいい、とにかく優はすごいか違うかを話して欲しいの。」
善子「そうね…すごいと思うわ。」
曜「…なんで?」
善子「…誰に対しても優しくて、寄り添ってくれる。器も大きくて、何より誰かのために動こうとできる勇気もすごい。あと、頭もいいし…あれはもう才能だろうけど…」
曜「そう、才能。」
善子「え?」
曜「優の頭の良さ、賢さ、頭脳レベル…あれはさ、昔からずっと、ってこと知ってるよね?」
善子「う、うん…本人が言ってたか、3年生たちが言ってたかは覚えてないけど…」
曜「そうそう…優はずっと幼いころからとても賢かった。それもどんな大人たちよりも…」
曜「単純に周りからしてみればすごいと思うし、羨ましいと思う…けど、違う。」
曜「周りの大人たちはそんな突出した才能に妬みや僻み、あるいは過剰な期待を向けて、優を苦しめてた…」
善子「っ!?…なに、それ。」
曜「…色んな女の子たちもその才能欲しさに優に近づいてたりしてたの。」
善子「…」
曜「でも、そういう人たちって皆、共通点がある。」
善子「きょう、つうてん?」
曜「そう…近づきたいがために、必ず嘘をつくの。」
曜「なるべく良い顔して、良い人のように演じて…優を騙そうとしてたの。」
善子「っ!?」
そんな話、聞いたことが無かった。
騙そうと、だなんて…それも優馬に…
これを今のAqoursの皆が知ったら騙そうとした人全員の住所を特定してボコボコにしそうね…
曜「だからそんな屑のような人たちから優を守るために私は…」
善子「顔を見るようになった、のね。」
曜「…正解。その癖がついちゃって、今ではなんとなくだけど相手がどう思ってるのか、何を考えてるのかがちょっと分かっちゃうんだよね。」
善子「…それは、分かったわ。でも、それがなんで優馬から離れようとする理由になるわけ?」
曜「気づいたんだよ。」
善子「…何に?」
曜「優は私がいなくても大丈夫ってこと。」
善子「は?」
曜「今まではずっと私が優を守ろうと思ってたの。それは守ろうって決めたあの頃から変わらない。離れててもいつか必ず再会して、また守ってみせるってそう思って、再会した後もずっとそうしてきた。」
曜「でも、気付いたら優の周りには鞠莉ちゃんや果南ちゃん、ダイヤさん、ルビィちゃん、花丸ちゃん、善子ちゃん…梨子ちゃんに、千歌ちゃんとか…」
曜「色んな魅力的で輝いてる人たちが優を囲んでいた。」
曜「何より千歌ちゃんはいつも裏で守ろうと陰湿的な私に比べて、ずっと前に進むために優に手を差し伸ばそうとする光みたいだった…」
善子「まさか、それで手を引いた、ってわけ?」
曜「…やることは変わらない。優を悪い人から守る、それは変わらない、けど私がどれだけ振り向かせようとやってきても全部、千歌ちゃんに盗られて…私じゃ優の隣には並べないんだって分かったの。」
曜「だから、私はもう、いいんだ。」
そうやっていつもの曜の笑いに戻った。
でも、その顔はもう諦めてしまった、というか、どこか元気のない笑顔だった。
善子「…ま、事情が聴けて良かったわ。」
曜「…」
善子「でも、なんでそんなことができるのに優馬の好きな相手とかを探ろうとしないわけ?」
曜「それはできないよ。」
善子「え?」
曜「だって、あくまでも嘘ついてそうだなーっていうのがちょっと感じるだけ、ってだけだからね。」
善子「…そ、っか」
曜「…ごめんね」
そう謝る顔はもう泣き出しそうな顔だ。
コロコロと表情が変わるが、本当はもう涙でいっぱいなんだろう。
善子「じゃあ明日からどうするわけ?」
曜「…いつも通り、かな。」
善子「…そう。なら優馬には伝えておくわ。」
曜「え!?」
善子「違うわよ…心配すること無い、ってことよ。」
曜「あ、あー…」
善子「そうすれば多少なりとも関係は少し改善するでしょ?」
曜「…ありがと、善子ちゃん。」
本当よ、とんだピエロじゃない。
だまって話を聞いてあげて、挙句の果てに関係の修復を私がするなんて…
本当は蹴落とそうと思ってたのに…なんて。
善子「どういたしまして」
曜「…じゃあ私は帰るね?」
善子「うん…」
そう言って、曜は家を出た。
善子「あんな話を聞かされたら憎むことすらできないじゃない…」
~沼津・帰路・曜視点~
曜「…」
もう気づけば夜。
綺麗なお月様が辺りを照らしていた。
曜「これで良かったのかな…?」
本当は今でも優の事が大好き。
ずっとそばにいたい。
けど、それは優が決めること。私じゃない。
なら私じゃなくてもっと魅力的な人がいっぱいいる。
だから、私は…
曜「すぅ…はぁ…よしっ」
もう、諦めたんだ。
いかがだったでしょうか?
性格って難しい。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。
現時点で貴方が考える優馬が付き合う相手は?
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桜内梨子
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渡辺曜
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松浦果南
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黒澤ダイヤ
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小原鞠莉
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津島善子
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国木田花丸
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黒澤ルビィ
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鹿角聖良
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鹿角理亜
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誰とも付き合わない