ええ!! ウマ娘の特徴を異常に誇張する薬を飲んだんですの!? 作:妄想投棄場
「ですわ♪ ですわ♪ でっすわ~♪」
皆様ご機嫌よう。わたくしの名前はメジロマックイーン。名門メジロ家に名を連ねる由緒正しいお嬢様ですわ!
今日はウマ娘が通うトレセン学園の生徒会室でティーパーティーをするということで、胸を弾ませながら向かっている最中ですわ。
甘いものはいつも控えているのでこういう時に食べる甘いものはすげえ美味ぇと相場が決まっているんですの。今、結局いつも控えられてませんよねとか思ったやつは、あとで体育館裏に来ていただいてよろしいですの。
おっと、そんなことを考えていたらもう、生徒会の前まで来ていましたわ。お紅茶のいい匂いもしますし、先に皆さん召し上がっていらっしゃるのでしょうね。
「皆様ご機嫌よう! 名門メジロ家のメジロマックイーンが馳せ参じましたわ!」
くう~、決まりましたわ。こういう口上があると名前を憶えてもらいやすくて社交界では役に立つとおばあさまも言っていましたの。
「太陽がみたいよう! ソーダを買ったそーだ!」
「うおおお!かいちょぉぉ、素晴らしいですぅぅぅ! 流石、この学園の生徒会長であり、皇帝の名で広く知られているシンボリルドルフ会長! その卓越した言葉遊びのセンス脱帽ものですごく感服していますぅぅぅぅ」
「はっはっはっは、よしてくれよエアグルーヴ。皇帝と言われる私であっても、このダジャレ道においては先達のあるいた道をたどっているに過ぎない……しかし、今こそ開帳するとしよう! 私の108ある珠玉のダジャレたちを」
「はっ!? 会長が、快調に、開帳され……る? うおおおおおお!」
わたくしの目の前でやり取りしているのは生徒会長のシンボリルドルフさんと副会長のエアグルーヴさんでしたわ。お2人の姿は普段のくそかっけぇ姿とはかけ離れたもの。わたくしもさすがにこの気持ちを抑えることは出来ませんでしたわ。
「な、な、な、なんですのこれはあああああ!!」
「おう、マックイーン! やっと来たのか」
「はっ……あなたはゴールドシップさん!? 見たところ、何も変わっていないように見えますが何か心当たりなどはないんですの?」
「やめてくれよ、マックイーン。この学園での二大トラブルメーカーであるこのゴルシちゃんだって、さすがにこんなことは出来っこないぜ」
「そう……ですわね。疑ってごめんなさい」
「まあ、1つ心当たりがあるとするなら、そこで、半べそかいてるアグネスタキオンが持ってきたウマ娘の特徴を異常に誇張する薬とかいうのが入った紅茶を全員飲んだくらいだけどな」
「それですわああああああ! それ以外の理由が考えられないというくらいには! その薬が真っ黒なんですわああああ」
「おいおい、興奮すんなよマックイーン。確かに、アグネスタキオンが一番怪しいのもわかる。でもそうだと決めつけるのは少々早計過ぎると、このゴルシちゃんは思うぜ」
「まあ……1万歩譲ってそうだとしましょう。では誰が犯人だと思うのですわ?」
「よし、じゃあこのゴルシちゃんが一人ずつ容疑者を上げていくぜ。まずはそこにいるダジャレ道に傾倒したシンボリルドルフとシンボリルドルフを崇拝する特徴が誇張されたエアグルーヴだ」
「発券場を発見したんだじょー」
「うおおおおお!」
「ああ、お2人ともおいたわしい……まあ、後々使えるかもしれないのでスマホで様子を録画しときますわ」
「マックイーンのたまに出るそういうドクズなところゴルシちゃん嫌いじゃないぜ!……まあ、あの二人はたぶん違うだろうな。ということで次の容疑者に行くぜ!」
「他にはだれがいますの」
「あそこにいるのは特定の言葉しか喋れないスペシャルウィークだ」
「あげません! あげません!」
「あああああ!スペシャルウィークさああああん」
「まあ、自分が犯人ならあんな特定のワードしか使えなくなるなんてデメリットつけるわけねえよな」
「あげません! あげません!」コクコク
「あああああ! 特定のワードしか喋れないのにボディーランゲージで必死に意思疎通を図ろうとしているスペシャルウィークさああああん」
「よし、次の容疑者に行くぜ!」
「他に誰がいますの」
「あそこにいるのは、子供っぽい感性が誇張されたダイワスカーレットとウオッカだ」
「ぶんぶんぶーん! えんじんぜんかいだぜ!」
「うおっかちゃん! アタシとあそんでよ! なんでいぢわるするの」
「へ! あたちにおいついたらあそんでやるよ」
「なんでよお、アタシはウオッカちゃんとあそびたいだけなのに~」
「お、おいなくんじゃねえ! しょうがないからあたちがあそんでやる!」
「ちょっとお2人だけ飲んでるお薬が違いませんこと?」
「いーや、全くおんなじだぜ。その証拠にあいつらの背恰好は普段とかわらねえだろ?……まあ、普通に戻った時にはクソ恥をかくのは確定だけどな。まあ、そんなわけで自分から黒歴史製造するようなこともしないだろうから、あの二人も違うだろうな」
「わたくし、本当にこの事件の犯人が許せませんわ。あんなに素直で健気なお2人をこんな目に合わせるなんて。鬼外道畜生のたぐいに違いありませんことよ」パシャパシャ
「犯人が外道ならマックイーンは下種の極みだけどな!……よし、次の容疑者に行くぜ!」
「他に誰がいますの」
「あそこにいるのはどんな場面でも立ち直る不死鳥キャラなのにヤンデレの概念を押し付けられたヤンデレテイオーだ」
「はちみーはちみーはっちみー……トレーナーさんの蜜。今日はなんか味が違うね……どうしてかな? ボクに言えない秘密がないんだったら理由を教えてよ」
「テイオーさん!? 春の天皇賞でわたくしが引導を渡して差し上げたテイオーさああああん!?」
「しれっとマウントをとってくるあたり性格の悪いお嬢様って感じでゴルシちゃんは好きだぜ!……まあ、トウカイテイオーだって、ヤンデレの欠片もなかったのにその特徴を押し付けられてるんだから犯人の可能性はすくねーよな……よし、次の容疑者に行くぜ!」
「他に誰がいますの」
「あそこにいるのはどうせ自分の価値はなんか普段では起きない超常現象を起こせる薬にしかないんだと拗ねてるアグネスタキオンだぜ」
「まったく、モルモットくんには呆れるよ。ウマ娘の特徴を異常に誇張する薬を作れだなんてね。……作って渡しても感謝の一つもないなんてさ。私じゃなければ口を聞いてもらえないぞ全く。……でも、これも惚れた弱みってやつなんだろうか」
「いや、やっぱりあの人が犯人ですわあああああああ! まぎれもなく疑いようのない事実ですわああああああ!」
「ゴルシちゃんも99%そうだと思う……でも、考えて見ろよ。トレーナーが好きだからってあんなにキャラ崩壊してるアグネスタキオンを、本来のアグネスタキオンは許せるとおもうか? いーやゴルシちゃんなら許せないね」
「なんですのその口ぶり。見たところ容疑者は全員洗い出しましたわ。状況証拠、本人の自白すべてにおいてアグネスタキオンさんの仕業としか言いようがありません」
「いーや、容疑者はまだいるぜここにな!!」
「なっ……っっ!!……ゴールドシップさん。アナタ……まさか」
「ふっふっふっふ」
「そう、そうでしたの。いままでのはすべて陽動、おとりだったということですわね。容疑者は全員黒歴確定の恥ずかしい姿を学園内で晒されていますわ。そしてわたくしの指先一つでその痴態がインターネットの海に放り込まれてしまう制約を課されている。しかし、ゴールドシップさんにはそれがない。つまり、真犯人は……ゴールドシップさん、アナタですの?」
「いや、最初に言った通りゴルシちゃんは何も知らないぜ。なんてったってこのゴルシちゃんは、異常に勘が鋭くなる属性を誇張されたスーパーゴルシちゃんだからな!」
「んじゃあ! 紛らわしいことを! するんじゃねえですわああああ!」
「おおっと、重心を乗せて腰の入ったそのリバーブロー。このスーパーゴルシちゃんじゃなかったら避けきれずに混濁の紋章が口からにじみ出るところだったぜ!」
「よけんじゃねーですわ!」
「落ち着けってマックイーン。ゴルシちゃんたちがすることは、仲間割れじゃなくてこの事件を解決することだ。違うか」
「それは……そうですわ。アグネスタキオンさんが犯人で間違いないですわね」
「ああ、たぶん、今回の犯人はアグネスタキオンで間違いないとおもうぜ」
「じゃあ、アグネスタキオンさんから解毒剤か何かを抜き取れば」
「ない、ないんだよ……このゴルシちゃんの直感が言ってる。アグネスタキオンが作った薬の解毒剤を作る材料はアグネスタキオンが作った薬に全部使われちまったってな」
「そん……な……」
「悔しいが、ゴルシちゃんたちに打つ手なしってことだ」
「そんなわけありませんわ! ゴールドシップさん。アナタその直感でいつ頃終わるかとかもわかるんじゃありませんの。それか新しい解毒剤なんかを開発したりというのは」
「無理だ。新しい解毒剤を開発するには今の科学力じゃあ貧弱すぎる」
「じゃあ、アグネスタキオンさんはどうやって作ったって言うんですの」
「あいつの肉体自身が疑似的なLHCとして機能できるからそれを使って莫大なエネルギーを確保して技術の壁を越えて作成してたってゴルシちゃんの直感は言ってるぜ」
「よくわかりませんが、今の科学力では無理ってことですわね……じゃあ、いつ治るかぐらいはわからないんですの」
「それも無理だ。ゴルシちゃんがそうやって未来を観測しようとすると、未来が分岐しちまうだけ。つまり、ゴルシちゃんたちが見てる世界以外の世界ができるだけだ。つまり意味がないってことだよ」
「そんな……じゃあどうすれば!!!」
「なあ、マックイーン。この状況っていうのはそんなに悪いことなのか」
「何をいってるんですのそんなの当たり前じゃあ!」
「ほらあっちを見てみろよ」
「困った……この皇帝が料理製作の工程に悩むなど!」
「うおおおお! かいちょおおおお! 何を作ろうとお考えなのでしょうかああああ!」
「ああ、エアグルーヴ、すまない。実はコッペパンを作ろうと思ったのだが、揚げパンとレシピが混同してしまってなどうやって作ればいいか苦心していたんだ」
「(コッペパンは)揚げません!」
「!?……なるほど、ありがとう助かったよ。スペシャルウィーク」
「きっさまあ、そうやって会長にとりいりおってえええ! ゆるせん!!!!」
「(会長さんはエアグルーヴさん以外に副会長という役職を)あげません!!」
「……ふむ、なかなか見どころがあるようだ」
「なんっで、あれで伝わっているんですのおおおおお!!!」
「なあ、マックイーン。ゴルシちゃんたちは、薬の効果で少し変わった。でも、本質はなにもかわっちゃいねえ。だから、ああやって打ち解けられているんじゃねえか」
「それは……」
「ゴルシちゃんたちは今まで陰に隠れていた部分が少し前に出てきているだけだ。それは、すこしだけ今までと見えている割合が違うだけ。じゃあ、無理に直す必要はないと思う」
「わかりません、わたくしにはわかりませんわ。でも、わたくしはおもうんですの。やっぱり、今のみなさんの姿は歪だと。本来の姿に戻れるのであれば、わたくしはそうしてほしい」ポロポロ
「はあ、そんな風に泣かれたんじゃあゴルシちゃんだって本気をだすしかないか」
「なにか、秘策があるんですの」
「スーパーゴルシちゃん4をだそう」
「スーパーゴルシちゃん4!?」
「今の私がスーパーゴルシちゃんだ」
「スーパーゴルシちゃん……」
「はああああああ!……これがスーパーゴルシちゃん2だ」
「スーパーゴルシちゃん2」
「はああああ……ぐっ!……はああああああ」
「だ、大丈夫ですの。スーパーゴルシちゃん2ちゃんさん」
「ああ、すまねえ。まだこれは慣れてないんだ……うおおおおおおお。これがスーパーゴルシちゃん3だ」
「スーパーゴルシちゃん3」
「へっ! 驚いたかよ」
「突然大きな声を出した以外になんの変化もないことにわたくし驚いていましたわ」
「そして、一回スーパーゴルシちゃんに戻る」
「それって、もしかして2と3挟む必要なかったんじゃないですの」
「これが! ゴルシちゃんの! 全力! 全開! だああああああああ。ふう、見ろよこれがスーパーゴルシちゃん4だ」
「スーパーゴルシちゃん4」
「びびって声もでねーってか」
「まるで何一つ変わってなくて言葉がでねーですわ」
「へっ、まだ見えてねーやつにはそう見えるかも知んねーな」
「たとえ見えるようになれるとしても見たくありませんわ」
「このスーパーゴルシちゃん4の能力は! 世界を一巡させること!」
「世界を一巡……ですのっ!?」
「目ん玉かっぽじって見とけ! これがゴルシちゃんが世界を変える瞬間だあああああ」
「な、なんですのこれは。スーパーゴルシちゃん4の周りに突然すさまじい風が吹き上げてきていますわ!」
「うおおおおおお」
「すごいですわ!! ただ、叫んでいるだけ! 何も変わりません! いや、なんですのこの光はあああああ!!」
「みなさーん、何をされていらっしゃるんでしょうか」
「ひいい、トレセン学園一、怒らせたら怖いと評判の駿川たづなさんですわ!!!!」
「あらあら、そんま評判初めて聞いちゃいました。メジロマックイーンさん後でゆーっくりとお話を聞かせて下さいね」
「た、助けてくださいまし! スーパーゴルシちゃん4ちゃんさん」
「んあ? なに言ってんだマックイーン。アタシはただのゴルシちゃんだぞ」
「ぇ?」
「ぷぷぷ、マックイーンったらそんな度胸テイオーであるこのボクにだってできないよお」
「あらあらじゃあ、テイオーさんにも後で一緒にお話を聞かせてもらわないといけませんね」
「ど、どういうことですの!? いつものゴールドシップさんにいつものテイオーさん……わたくし狐に化かされていたんですの!?」
「はああ、全くひどい目にあいましたわ」
「ボクは全然わるくないのに! マックイーンのせいだからね!」
「もとはと言えばあなたがヤンデレテイオーなんかになるからですわ」
「え? ヤンデレテイオー?」
「いや……なんでもありませんわ。わたくし少し寄り道するところがあるのでこの辺りで。ご機嫌よう」
「う、うんわかったよ」
テクテク
「やはり、あれはわたくしが見ていた夢だったのでしょうか」
「そうとも限らねーぜ」
「スーパー……いや、ゴールドシップさん」
「そう、アタシはゴールドシップさんだ。でも今しがた、無人衛星機をハッキングしてたらとあるメッセージが来たんだ」
「情報量が多すぎますわ」
「『あなたはそこにいますか……そう、ゴールドディスクならぬスーパーゴルシちゃん4だぜ! マックイーンを飛ばすのには随分と時間がかかったけどこのメッセージを聞いてるってことは無事に戻れた世界線にたどり着いたってことだよな。じゃあな、元気でやれよ』だってさ」
「スーパーゴルシちゃん4……」
「アタシにはこのスーパーゴルシちゃん4が何者なのかはわかんねえ。でも、スーパーゴルシちゃん4がマックイーンのことを思ってメッセージを飛ばしたのは確かだ。心じゃなくてアタシの魂で感じたからな!」
「ゴールドシップさん……ありがとうございますわ」
「気にすんな! アタシとマックイーンの中だからな」
「そうですわね」フフッ
「じゃあ、もう帰ろうぜ腹減っちまったよ」
「そういえばわたくしも今日のお茶会でたらふく食うつもりでしたからなにも食べていませんわ」
「じゃあ、どっか食いに行くか」
「しょうがありませんわね……お供しますわ」
スーパーゴルシちゃん4ちゃんさん……あなたには本当に感謝していますわ。どうかあなたの旅路に幸あらんことを。
あと、名前がクッソ呼びづらいのでもっと別の名前にしてくれると嬉しかったですわ。
これが名門メジロ家のメジロマックイーンがあなたに残す最後の言葉。