・ウマ娘あるある①
推しキャラの日常会話聞きたいけど、ホーム画面から動かしたくない。
━━━ 忘れられたもの達が集う世界「幻想郷」
かつて人々の間で語られた妖怪、神々、神霊などありとあらゆる存在が最後に居着く場所である。
幻想郷では度々「異変」と呼ばれる怪現象が起こり、それを解決するのが博麗の巫女である「博麗霊夢」と、その仲間たちである。
この世界で起きた異変の解決手段には「弾幕ごっこ」、すなわちスペルカードを使った決闘が用いられる。相手の弾幕を避けつつ、自身の弾幕を放ち、美しさも重視される、安全安心、人と妖怪が対等に戦える平和な決闘法である。
少女たちは幻想郷で逞しく、そして美しく生きている。
■
「再始ッ! 『VRウマレーター』!」
体育館に集められた数十名のウマ娘達の前で、トレセン学園の理事長、秋川やよい理事長が堂々と宣言した。
「やったデ──ス!! また冒険の度が出来るデース!」
喜びのあまり両手を上げてガッツポーズをする世界最強を自称するウマ娘、エルコンドルパサー。彼女は前にこのVRウマレーターを使用し、RPGの世界で多くの敵を倒しながら、仲間のグラスワンダーと共に世界を救っていたのだ。
「グラスちゃん、VRウマレーター? って何ですか?」
「VRウマレーターというのは、言わばレース用のシュミレーション装置です。あの棺の中に入ることで仮想空間とリンクし、あらゆる条件下でのレースを体験出来る凄い装置なんですよ。…………まだ普通のレースはした事無いけど……」
「…………しみゅ、めーしょん? 」
ピンと来ていないスペシャルウィークと、それをアルカイックスマイル(悟った笑顔)で見るグラスワンダー。その後ろから顔を出したのは、前にVRウマレーターでシンボリルドルフ会長を出し抜きウマ王となったゴルシであった。
「ようスペ! お前もこのゲームやるのか?! すっっっごく気持ちいいから騙されたと思ってやってみな! 絶対にハマるぞ!!」
「き、気持ちいい?」
「ゴールドシップ先輩?」
やけに意味深な発言をするゴルシにもはや笑ってるのか怒ってるのか分からないくらい満面な笑みで睨みつけるグラス。二人のよく分からない関係にスペはただ困惑するしかなかった。
「その件については世話になったぞ、ゴールドシップ」
「あ、会長だ」
「ゴルシ〜〜〜!! よくも会長をグルグル巻きにしてずた袋被せてロッカーに閉じ込めたな!! ありが……間違えた、絶対に許さないぞぉぉぉ!」
さらに後方から現れたのはトレセン学園の会長シンボリルドルフと、自称ルドルフファンクラブ会長トウカイテイオー。何やらゴールドシップがやらかしていたようだ。
「僕が見つけなかったら会長死んでたかもしれないんだぞ! 反省しろ! あと会長捕まえる時はボクも呼べ!」
「テイオー、最後はなんて言ったんだ?」
「わかったぜテイオー! 後でお前の分のズワイガニ持ってきてやる!」
「何を言っているのかさっぱり分からないな……」
開幕早々カオスなノリについていけないシンボリルドルフを置いて、事態は進行していく。
「静粛ッ!! 今回、キミ達ウマ娘に体験してもらうのはこの『東方Project』というゲームの世界だッ!!」
会長が手に持っていたのは少し古っぽいCDケースのようなもので、そこには『東方紅魔郷』と書かれていた。
「東方……プロジェクト?」
「そう!! 弾幕シューティングゲーム東方Project! 相手の弾幕を避けながら攻撃する同人業界じゃトップクラスに有名なコンテンツだ!!」
「理事長、同人ゲーム好きだったんですか?」
理事長の隣に立っていたトレセン学園理事長の秘書、駿川たづなが質問した。
「黙秘ッッ!!」
絶妙に上の空な表情で言う秋川理事長にウマ娘達は絶妙にニガい反応をした。
「さて、今回は前回よりさらに台数を増やし、合計10台用意することに成功したッ!! そのため、私の財布の中身もスッカラカン…………かと思われたが!」
「匿名の方から支援金を頂いたことでこのイベントは無事に再始することに成功したッッ!! 感謝ッ!!」
理事長は深々と、支援してくれた謎の人物へ感謝の意を伝えるべくお辞儀をした。
「しかし理事長、ここにいるウマ娘は総勢18名。数が足りないのでは?」
トレセン学園の副会長、エアグルーヴが質問をする。
「その通りッ!! なので今回は複数に分けてレースを行ってもらう! まず最初の9人が台に搭乗し、残りの1台はキミ達の安全を考慮し、たづなに入ってもらうッ!!」
『その必要はないですわ』
突如、体育館の上の方から知らない女性の声が聞こえた。この声の主に心当たりがあるものは誰もおらず、この学園に在籍するあらゆる生徒やトレーナーに通じてる会長や理事長でさえ知らない人物の声であった。
『こっちよ、こっち』
今度は体育館の南東側の何も無い空間からさっきと同じ声がした。
『こっちこっち』
次は反対側の誰もいない体育館の隅っこから。
『やっほ〜〜、聞こえるかしら〜〜?』
さらにはまだ誰も乗っていないVRウマレーターの中から声が聞こえた。
「グラァス!! グラァス!! 絶対に幽霊デース! 超怖い無理ホントに無理! 助けてグラァァァスッ!!」
「落ち着きなさいエル、これはきっと、きっと、う〜〜ん…………」
声の正体が分からず怯えるエルコンドルパサーと、この現象について理解出来ず困惑するグラスワンダー。なお、スペシャルウィークは既に失神している。
「これは幽霊さんですな〜〜、セイちゃんびっくり〜」
「幽霊って、味噌漬けにして食べれる?」
「お腹壊しますわよ……」
「モウムリ!! ワケワカンナイヨー!!!」
「これはまた随分と非科学的な現象だねぇ。こういった存在は専門家に任せた方が良さそうだ。そうは思わないかい? カフェ」
「…………私をあてにしているのであれば早々に諦めることをオススメします」
「これはいったい何なのでしょうか、会長……」
「……私にも分からないな……」
全員が全員混乱している最中、再びあの声が体育館内に響き渡る。その発生源は、なんと理事長のすぐ隣であった。
『呼ばれて飛び出て〜〜?』
「ジャジャジャジャーン♪」
突如、何も無い空間に裂け目が出来た直後、中から奇妙な服装をした金髪の女性が現れた。何が起こっているのか全く分からない。あまりに非現実的過ぎて誰もこの現実を受け入れられていないのだ。が、何故かマルゼンスキーだけは嬉しそうであった。
「怖がらせてしまい申し訳ございません。私の名は"八雲紫"、幻想郷という、こことは別の世界で賢者をやっている者です。どうぞ宜しくお願い致します……」
「よっ、よろしくお願いします……?」
理事長がいつもの口調を忘れてしまうほど、八雲紫という女性はあまりに不気味で、妖艶で、胡散臭いオーラに包まれていた。
「…………人間、ですか?」
意識を取り戻したスペシャルウィークは、いつの間にか登場していた綺麗な女の人に対して、本能的に疑問に思ったことを口にした。
皆が気になっていたことを恐れずに聞いたスペに対して、ほとんどのウマ娘が心の中で感謝した。
しかしゴルシは飽きてルービックキューブで遊んでいた。
「いいえ、人間ではありません。人を喰らう化け物、妖怪です」
「ヒッ」バタン!!
スペシャルウィークは倒れた。
「ハチミ!」バタン!!
トウカイテイオーも倒れた。
「フフフ、冗談ですわ。お茶目なゆかりんの可愛いジョークだから、許してほしいニャ♡」
「まぁ本当に冗談はさておき、今日は皆様を幻想郷に招待しようと思ってここに来ました。私たちのことを貴方方に知ってほしいと思って、色々根回ししましたわ」
「……もしかして、支援金を送ったのは貴女だったのかッ!?」
「正解。タイミング完璧だったでしょう?」
紫はニヤリとした笑みを浮かべると、右腕を天に掲げ指を鳴らす。直後、空間の隙間が徐々に拡大し、全長5メートル、幅8メートルほどの大きさに変化した。隙間の中には無数の目玉が存在し、四方八方に視線を飛ばしている。
「ワケガワカラカイヨォォ!!」
「見てよタイシン!! なんかすっごい! 目玉たくさんあるよー!! ねぇ見てる────ー?!!」
「チケット、ちょっと黙ってて、マジで」
「タイシン、バナナは持ってないか?」
「糖分補給したいなら人参チョコレートあげるからハヤヒデも黙ってて」
「わかった」
「話は済んだかしら? そろそろ始めないとただでさえ飽き性の作者がこの作品を第1話で切る可能性があるから始めたいのだけれど」
「却下ッッ!! そんな安全性が保障されない未知の世界にウマ娘達を送る訳にはいかないッ!! 即刻立ち去ることを要請するッッ! さもなくば警察を呼ぶことも致し方ないッッ!」
強気な姿勢を見せる理事長、しかし脚は若干震えていた。
「…………不味いわね。このままじゃ本当に何も始まらないのだけれど……」
現在、ゆかりんの心の中で外道ゆかりんと天使ゆかりんが争いを始め、外道ゆかりんが天使ゆかりんに4の字固めをキメている。このままグダるようなら無理矢理にでも連れていくつもりだったが……
「私…………行きます!!」
「「「スペちゃん!?」」」
復活したスペシャルウィークが突然、常軌を逸した発言をした。
「たとえどんな世界にいようと、大切な仲間たちと共に走り、競い、ゴールを目指し、勝利を掴むために全力で頑張る……、それが私たちウマ娘にとって一番大切なことです。だから……えっと…………そのぉ…………」
言葉に詰まるスペだったが、
「スペちゃんの言う通りです。私も、たとえどんな世界にいようと変わらない。先頭の景色を、スピードの向こう側の景色を目指して突き進む……それが私たちです」
「スズカさん……!」
同様の思いを抱いていたスズカが、スペの言葉を補完するように続けた。
「『意気軒昂』、『鬱鬱勃勃』、『気炎万丈』、『旭日昇天』、彼女らと同様、私もそのレースに挑戦する」
「会長さん……!」
「俺も」「私も」「ボクも」「メジロの名にかけて絶対に勝ちますわ」「女帝の名に恥じない勝利を」「ライス……頑張る……!」「ステータス"高揚"を感知」「全員まとめて、狩る」「あはは〜〜、頑張るとしますか〜〜」「八雲紫、幻想郷にカレーはあるか?」「何聞いとんねん」「あらあら……」「キングに相応しいのはこの私よ!」「アゲアゲ異世界ライフでブゥンブゥンブゥン──ーッ!!」
「みんな……!!」
(…………この子達のキャラ、濃すぎじゃないかしら……)
スペの言葉を先駆けに多くのウマ娘が賛同してくれたことに安堵するゆかりんだが、どこか不安も感じた。
「さて、貴女はどうするの?」
「ムムムムムム……」
紫が目線を向けた先には、ずっと頭を悩ませている秋川理事長の姿があった。
「…………ッ承諾ッ!! ただし、私とたづなも同行するッッ!! それでいいなッ?!」
「理事長ッ!?」
「…………貴女のその判断に感謝を申し上げます。あなた方の安全は私、八雲紫が必ず保障します」
グッと、握手を交わす理事長と八雲紫。
「ではそろそろ行きましょうか、幻想郷へ」
「あの〜〜〜、すみませ〜〜ん……」
次々とウマ娘達が隙間の中へと移動する最中、駿川たづなが恐る恐る声を上げた。
「私その、明日トレーナーさんと飲みに」
「強制ッ!! 遺言は簡潔になッ!!」
「うへぇえぇえぇん! 助けてトレーナーさぁぁん!」
ずるずると理事長に引きづられるたづなさんと共に、ウマ娘達は続々とスキマの向こうへと進んでいった。
「幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ」
というわけで始まりました東方×ウマ娘プリティーダービー。ありがとうCygames、VRウマレーターのおかげで二次創作も活発になることであろう。ん? 今回VRウマレーター使っていない? バカヤロー、スムーズに導入を入れる役として活躍してくれたであろう?
今後もVRウマレーターがいろんな二次創作物や原作のイベントに使われることを期待して、乾杯。
飽きたら申し訳ない。