ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る   作:竜羽

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大変遅くなりました。
何とか旅行前に書き上げられて良かったです。


26話 勇者の力

 ウルの町を脱出し、ひと時の休息を取っていた愛子達。

 しかし、魔人族のカトレアとミハイルに見つかってしまい、襲撃を受けてしまった。

 さらにあろうことか魔人族と共に行方不明になっていた清水が姿を現した。

 香織達から清水が檜山と共に不穏な行動をとっていたことを聞いていた愛子にとって、受け入れたくない現実を突きつけられた事態だった。

 

「清水君ッ。本当に……一体、どうしてなんですか!?」

「……」

 

 悲痛な声で話しかける愛子に、清水は何も答えない。

 今度は光輝が口を開く。

 

「清水。姿を消したって聞いていたが、なぜ魔人族と一緒にいるんだ!! そいつらは騎士団や冒険者の人達をたった今魔物を使って殺したんだぞ!?」

「……」

 

 カトレアとミハイルが行った凄惨な行いによる怒りのせいで普段よりも荒々しい光輝の言葉にも、清水は沈黙を続ける。だが、愛子に対してとは違い、光輝に対しては呆れたような目を向ける。

 彼らの様子をしばし見ていたミハイルは、光輝達を嘲る様に見下す。

 

「全く。勇者と言われているが頭のほうは愚図らしいな」

「何だと!?」

「話の流れでこの者がそちらを裏切ったとなぜわからん?」

 

 やれやれと肩をすくめるミハイル。

 光輝を始めとした勇者パーティーの面々は信じられないという顔をした。

 愛子は密かにその手に握った杖を握り締め、顔を俯かせる。

 

「清水……裏切ったなんて嘘だろ? その魔人族達に脅されているんだろう? 今お前を助けて」

「はぁ~」

 

 光輝が問いただすが、清水は溜息と嘲る笑みで答えた。

 

「変わらないなお前は。そんなことだから本当の事も分からず、勇者だ何だと煽てられて、調子に乗って踊っているんだよ」

「な、何だと!?」

 

 清水の言葉に怒りを露わにする光輝。

 

「先生。俺は自分の意思でこっちについた。俺の目的を果たすためにね」

「目的? 清水君の目的って何なんですか?」

 

 光輝を無視して愛子の質問に清水は答える。

 

「まあ、端的に言って……夢のためですよ」

「夢……?」

 

 夢。それはハジメもよく口にしていた言葉。

 

「その夢の為に、魔人族についたのですか?」

「まあ、そんなとこだよ」

「こうやって、この世界の人と争うことになってもですか?」

「ああ。俺は俺の夢の為に、例えこの世界の人や先生、クラスメイトを殺すことになっても止まらねえって決めたんだよ!」

 

 何でもないように、愛子達を殺すと言い切った。

 清水は手に持っていた杖を掲げて、魔法を使う。

 すると杖から闇の魔力が放たれ、周囲の魔物達に纏わりつく。魔物達は元々赤かった目が、より赤く光り、危険な雰囲気を放ち始めた。

 闇魔法は相手に幻惑を見せたり、催眠状態にしたりするなど精神に作用する効果が多い魔法だ。

 天職が〝闇術師〟だった清水は闇魔法を学ぶ過程で、魔物を洗脳状態にして意のままに操ることを思いついた。

 実のところ、清水が愛子のカウンセリングに参加した理由は、魔物を操る魔法の実験材料を確保し、思いついた魔法を試すためだった。

 

「行け。こいつらを、殺せ!!」

 

 清水の命令に魔物達は一斉に反応し、愛子達に襲い掛かってきた。

 

「くっ、清水!!」

「おっと、私達も忘れてもらっちゃ困るね。ルトス、ハベル、エンキ! 餌の時間だよ!」

 

 魔物をけしかけてきた清水に対して、聖剣を構えた光輝達が前に出て戦おうとするが、カトレアが三つの名前を呼ぶのと同時に、ドガッ! という衝撃と共に光輝と龍太郎の二人が吹き飛んだ。

 

「ぐっ!?」

「がっ!?」

 

 正体不明の何かからの攻撃。だが、攻撃の瞬間に近くの空間が揺らいだことに気が付いた2人は、何とか咄嗟に受け身を取ることが出来た。加えて高いステータスだったことも幸いし、致命傷を負わなかった。

 

「ぎゃああああああああ!?!?」

 

 しかし、それは2人だからこそ出来たことだった。攻撃を受けた三人目──騎士団の1人が胴体を大きく引き裂かれ、大量の血を吹き出しながら倒れ伏した。

 その血が見えない何かに付着して、篝火の光と一緒に、その輪郭を浮かび上がらせた。

 

 ライオンの頭部に竜のような手足と鋭い爪、蛇の尻尾と、鷲の翼を背中から生やす見たこともない魔物だった。それを見た愛子はギリシャ神話のキメラという魔物を連想した。おそらくカメレオンのように周囲の景色に合わせて体色を変化させる迷彩のような固有魔法を持っているのだろう。攻撃を受けるまで、光輝達が察知できなかったことから、気配を消すことも出来ると思われる。厄介な魔法だが、行動中には完全に効果を発揮できず、空間が揺らめく欠点があるようだ。

 だが、その欠点も今の状況ではあまりいい知らせではない。

 

「う、うわああああああああ!!??」

「化け物だあああああああ!!!!」

「助けてええええええええ!!?!?」

 

 突然の惨劇に、見たこともない不気味な魔物に、後方に下がっていた住人達が阿鼻叫喚の渦に巻き込まれる。

 

 彼らに向かって三体のキメラが動き始める。あのパニックの中に、姿が視認しにくくなるキメラが飛び込めば、厄介どころではなくなる。

 

「行かせるかああああ!!!」

 

 そこに神の使徒の1人の永山が飛び込み、キメラの一体に組み付く。

 天職が〝重格闘家〟という格闘系天職の中でも防御に適性があり、地球でも柔道を習っていた永山は、キメラが姿を消す前に頭を押さえつけて、鋭い牙を封じる。

 キメラは前足の爪で振り払おうとするが、タイミングを合わせて重心移動で重吾はキメラの態勢を崩し、地面に倒す。そして、〝身体強化〟を全力で発揮させて抑え込もうとする。

 

 だが、魔物と人間の元々の生物としての基礎能力の差から、重吾は徐々に力負けし始める。

 しかも、キメラの尻尾の蛇が伸びてきて、永山に喰らいつこうとする。

 

「〝岩槍(がんそう)〟!!」

 

 それを救ったのは永山のパーティーメンバーの1人、〝地術師〟の健太郎だった。

 地面から鋭い槍を生やして、敵を串刺しにする土属性の中級魔法で重吾の周りの地面から無数の槍を生やし、キメラの四肢と尻尾を貫いた。

 

「助かった健太郎!」

「いいってことよ。これで止め「危ない!!」」

 

 健太郎が止めを刺そうとすると、狼の魔物が襲い掛かってきた。

 だが、それは光の障壁に防がれた。

 結界師の鈴が張った〝光絶〟という光のシールドを発動する光系の初級防御魔法だ。

 キメラレベルの魔物では役に立たないが、狼の魔物からは重吾と健太郎を守った。

 これはキメラが魔人族達の国からわざわざ連れてきた魔物であるのに対して、狼たちは北山脈の麓で現地調達した魔物だったからだ。

 手塩にかけて育てたキメラの方が全てのステータスで勝っている。

 

「早く倒して! まだ魔物はいるんだよ!!」

 

 鈴が悲鳴を上げるように二人に言う。

 いつの間にか、周囲には更なる魔物の姿があった。

 

 体長二メートル半程のブルタールという、オークやオーガと言われるRPGの魔物に似ている魔物と同種のようだが、体を極限まで鍛え直し引き絞ったような魔物。手にはメイスのような鉄の棒を持っており、騎士団や冒険者たちをまとめて吹き飛ばしている。

 

 体から六本の足を生やした亀のような魔物。冒険者たちの剣を甲羅だけでなく肉体の全てで弾き、ならばと放たれた魔法も口で呑みこんでいる。まさに鉄壁の防御力で、冒険者たちを絶望に突き落としながら、迫りくる。

 

 狼の魔物達も隠れていたのかどんどん数を増やしている。その中にひと際大きい個体がいた。その顔には四つも目があり、相対している神殿騎士の4人を翻弄していた。隊長のデビッドが攻撃を引き付けている隙を突いて、チェイスという副隊長の騎士が背後から斬りかかるが、一瞥もくれずに躱し、後ろ足で蹴り飛ばす。左右からクリスとジェイドの二人の騎士が挟撃を仕掛けるも、ひらりとジャンプしてしまう。まるで未来を見ているかのようだった。

 

 二体のキメラも暴れており、光輝と龍太郎が抑え込んでいる。

 重吾と健太郎は加勢するべく、抑え込んでいるキメラの喉の気管を絞め落とし、体を更なる槍で貫く。

 もう少しで止めを刺せると思ったその時、

 

「〝闇落〟」

 

 一瞬、2人の意識が闇に落ちた。そのおかげでキメラは2人を振り払い、体に突き刺さった岩の槍を無理やり砕きながら、再び起き上がった。

 

「一体、何が」

 

 頭を押さえながら、重吾がキメラを見ると、その後ろでこちらに向かって杖を振り下ろしている清水の姿があった。

 今のは対象の意識を一瞬だけ失わせるという、闇属性の初級魔法だった。

 

「清水ッ、お前、本当に裏切るのかよ!!」

 

 まだ彼が裏切ったことを受け入れられなかったが、今の魔法でその事実を実感してしまった。

 そんな二人の前で更なる絶望が付きつけられる。

 立ち上がったキメラの傷が徐々に回復しているのだ。

 キメラだけじゃない。他の魔物も、付けられた傷がすぐに塞がっている。

 

 どういうことなのかと驚愕していると、夜空からバサバサという音が聞こえた。見上げてみると、篝火に照らされて、双頭の白い鳩が飛んでいる。その鳩が頭を向いている方にいる魔物の傷が治っていたのだ。

 

「回復役までいるのかよ!?」

 

 健太郎が吐き捨てる。

 

 その時、突然強大な魔力の高まりが発生した。

 そこには魔法を呑み込んでいた亀がいた。亀は全ての魔法を呑み込むと、背負う甲羅は真っ赤に染めながら、一度口を閉じる。

 

「やれ!」

 

 ミハイルの指示に、亀が再びガパッと大きく開いた。同時に背中の甲羅が激しく輝き、開いた口の奥から眩い光が生まれる。

 まるでSF映画に出てくるレーザー砲の発射シーンのようだ。

 もしもレーザー砲のような攻撃だとしたら、一貫の終わりだ。

 射線上にいた者達は慌てて逃げようとするが、間に合わない。

 

「にゃめんな! 守護の光は重なりて 意志ある限り蘇る〝天絶〟!」

 

 そこに小さな影が割り込む。

 結界師の谷口鈴だ。

 刹那、鈴達の前に十枚の光のシールドが重なるように出現した。そのシールドは全て、斜め四十五度に設置されており、シールドの出現と同時に、亀の口から超高温の砲撃が放たれた。

 まるでそこだけが昼間になったような光の中で、鈴の張った結界のシールドは、破壊されながらも砲撃の軌道を上に逸らしていく。

 だが、亀の方も砲撃を継続しており、シールドも一瞬で破られていく。それでも鈴は歯を食いしばり、天職〝結界師〟の名に恥じない速度で新たなシールドを構築し、何とか砲撃を逸らし続けることに成功した。

 

 砲撃が逸らされたことに人々は安堵するが、まだ危機は去っていない。

 

 魔物達は攻撃を再開する。

 戦況はより苦しくなった。

 何せ、下手に魔法を使えば、またあの亀に吸収され、砲撃のエネルギーに変えられてしまうのだ。

 魔法を主体で戦う者達は使う魔法を選ばざるを得ず、それは光輝も同じだった。

 あの砲撃は〝限界突破〟しながら放つ〝神威〟に匹敵する。そんなものをまた放たれれば、消耗した鈴では今度は防ぎきれないかもしれない。

 せめてあの亀を何とかしようと、光輝が聖剣で斬りかかるが、亀を守る様にブルタールが割り込んできた。

 

「くぅっ!?」

 

 ブルタールのメイスを受け止めるが、思った以上の怪力に歯を食いしばる光輝。

 何とかメイスをいなすと、目にも止まらぬスピードでブルタールの懐に入り込むと、胴体を深く切り裂く。腰から肩にかけて深々と斬られたブルタールは力を失い倒れ伏す。

 

 今度こそ亀に向かおうとするが、今度はキメラが飛び掛かってきた。

 

「くそぉっ!!」

 

 爪を聖剣で受け止める光輝。

 その後ろで倒れたはずのブルタールが起き上がった。

 上空の白鳩の能力で癒されたのだ。

 

 復活したブルタールはさっきのお礼とばかりに、キメラの攻撃を受け止めていることで動けない光輝の背中に向かって、メイスを振り下ろしてきた。

 

「光輝!!」

「龍太郎!?」

 

 光輝の危機を救ったのは龍太郎だった。ブルタールのメイスを両腕を交差させてアーティファクトの手甲で受け止める。

 

「すまない。助かっ」

 

 礼を言う光輝だったが、そこで気が付いた。

 龍太郎がひどい怪我を負っているのを。

 彼の背中は血が噴き出しており、服も背中がズタボロに斬り裂かれていた。

 龍太郎は光輝を助けるためにキメラとの闘いを放棄して駆け付けたのだが、その背中にキメラの爪の攻撃を受けてしまった。

 そのせいで龍太郎は力が入らず、ブルタールのメイスを受け止めるだけで精一杯になっていた。

 徐々にブルタールの力に耐えられず、膝をついてしまう。

 

「ぐぅ」

「龍太郎!?! しっかりするんだ!!」

「へっ。おうよって言いたいけどよ。こりゃ無理かもしれねえな」

 

 出血のせいで顔を青白くした龍太郎は、普段ならば決してしない弱弱しい声で光輝に答える。

 彼には今の自分のダメージが命に関わるものだと分かっていた。

 

「わりぃな光輝。お前を支えるって、メルド団長とも約束していたんだけどよ。……もうだめだわ」

 

 龍太郎が相手をしていたキメラが、横から突っ込んでくる。

 龍太郎にキメラの攻撃を防ぐ手はない。

 他の皆もそれぞれの相手で手いっぱいで、助けに入る余裕なんてない。

 

「龍太郎ぅおおおおおお!!!!」

 

 親友に死が迫っていたのを見た光輝の絶叫が轟く。

 その瞬間、光輝は神々しい光を放ち、自分が受け止めていたキメラと、龍太郎が対峙していたブルタールを聖剣の一振りで弾き飛ばした。勇者の技能〝限界突破〟だ。

 三倍になったステータスのおかげで、さっきまでとは比べ物にならない動きで、龍太郎を殺そうとしたキメラに高速で接近すると、一刀両断した。一撃で絶命してしまえば、いくら回復役がいてもどうにもならない。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ──〝天翔閃〟!!」

 

 さらに聖剣を二振りし、弾き飛ばしたキメラとブルタールの首も刎ねる。

 

「うおおおお!!!」

 

 光輝はまだ止まらない。

 今度は亀に向かって天翔閃を乱れ撃つ。

 

「バカめ。アブソドに魔法は効かんと見ていただろう!」

 

 光輝の行動を嘲笑うミハイル。亀──アブソドは光輝の光の斬撃さえも、他の魔法と同じように全て口の中に呑み込んでいく。

 アブソドの甲羅はさっきと同様に赤く輝くが、それでもかまわず光輝は攻撃を続けながら、アブソドに近づいていく。

 アブソドは魔法を呑み込むために口を開けたまま、何もできないでいた。

 そこでミハイルは光輝の意図に気が付いた。

 

「しまったッ!?」

「刃の如き意志よ、光に宿りて敵を切り裂け──〝光刃〟!!」

 

 アブソドの目と鼻の先まで接近した光輝は、すかさず魔法を切り変える。聖剣に光の刃を付与させ、大口を開けたままのアブソドの首を薙ぐ。

 アブソドは何もできずに、首を落とされ、体は力を失って崩れ落ちた。

 魔法を吸収することで、蓄積していた魔力はアブソドの甲羅の中で荒れ狂い始める。

 

「離れて光輝君!!」

 

 その様子を見ていた鈴が咄嗟に叫ぶと同時に、光輝は飛ぶ退る。

 それと同時にアブソドの身体は爆発した。

 爆風が周囲に広がり

 

「くっ、アブソドの弱点を突かれたか」

「そうだ。あいつは魔法の吸収と砲撃を同時にはできない。吸収している最中に近づけば、頭は無防備だ」

 

 光輝の言うとおり、アブソドは強固な甲羅と肉体、魔法の吸収と砲撃という強力な特性を持つ魔物だが、吸収した魔力を砲撃として撃ち出すために一度吸収するのを止める必要がある。

 つまり吸収中は無防備になるが、だからこそ強固な甲羅と肉体がある。万が一接近されても、吸収を一度やめて、はじき返すのだが、限界突破した光輝の魔法は吸収するしかなかった。その間に接近を許してしまい、砲撃を撃つ暇もなく、甲羅が無い弱点の首を塗らわれて倒されてしまった。

 

 かつては高い才能とステータスを頼りに、高レベルの剣技と魔法で相手を圧倒するだけだった光輝は、メルド団長の指導で戦闘技能を磨いた。

 さらに強力な魔物との戦闘経験と、親友に迫る死の危機に勇者の力は開花した。

 魔人族が育て上げた選りすぐりの魔物を四体も一瞬で倒した力を目にしたミハイルは、一瞬呆けていたがすぐに気を取り直す。

 

「だが、魔物はまだまだいるのだ。シミズ!!」

「はいはいっと」

 

 ミハイルの指示に清水が杖を掲げると、森の中から再び魔物の群れが現れた。

 まだまだ戦いは終わらないのだと、光輝が再度聖剣を構えた時、上空から炎に包まれた羽が降り注いだ。

 

「《ファイアフェザー》!!!」

「何いいいっ!?!」

 

 魔物達は羽に包まれて倒れていく。

 狼狽するミハイルとカトレアが空を見上げると、闇夜を振り払うように白翼をはためかせたピッドモンが舞い降りてきた。

 

「おお!! 使徒様!!」

「エヒト様の使徒様がお助けに来てくれた!!」

 

 ピッドモンの登場に戦っていた騎士や冒険者達が色めき立つ。

 

「貴方は?」

「勇者殿達が来るまで町を守っていた者だ。索敵していたところ、後ろから迫って来ていた魔物がいたので、対処していた為遅れてしまった」

 

 光輝にピッドモンは簡潔に説明する。

 彼の言うとおり魔人族や清水たちは、光輝達を見つけた際に、後方からも魔物をけしかけていた。光輝達の動揺を誘うためと、住人を殺して無力感を突き付けるためだ。

 それに気が付いたピッドモンとブランが魔物を倒していた為、戦闘に遅れたのだ。

 

「よし、全員聞くんだ!!!」

 

 それを聞いた光輝は声を張り上げ、苦戦する仲間達を鼓舞する。

 

「俺達は勝てる!! どんな魔物でも勇者である俺と仲間達、騎士団や冒険者の皆、そして天使さんがいれば倒すことが出来る!! 力を合わせるんだ! 魔人族なんかに、俺達は絶対に負けない!!!」

 

 光輝が聖剣を掲げると、限界突破の光を纏ったその姿は、絶望を払う希望を体現していた。

 それを見た勇者パーティーの面々、騎士団、冒険者は奮起し、目の前の相手に向かって行った。

 

 

 

 ■■■■■

 

 

 

 勇者である光輝の鼓舞で奮起した者達。彼らを見るウルの住人達は、その姿に思いをはせる。

 

「流石勇者様だ」

「これで私達は救われるわ」

「俺達だけじゃない。人間族全てが救われる」

「勇者様! 勇者様! 勇者様!!」

 

 勇者への声援が送られる。それは徐々に変わっていった。

 

「勇者様を使わせてくれたエヒト様。ありがとうございます!」

「ああ。常にエヒト神は見守っていてくださるのですね! 勇者様だけでなく、白き翼の使徒様までも遣わしていただき、我らは感謝の言葉もありません!!」

「勇者様。エヒト様! 万歳!!」

「万歳!! 万歳!! エヒト様万歳!!!」

「エヒト様!!」

「エヒト様!!」

「エヒト様!!」

「エヒト様!!」

「エヒト様!!」

「エヒト様!!」

「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」「エヒト様!!」

 

 勇者達が活躍すればするほど、トータスの住人達のエヒトを称える声は大きくなっていった。

 




〇デジモン紹介
今回はなし。


今回のエピソードは原作のホルアドでの戦いに当たる内容でした。しかし、敵にはカトレアだけでなく、婚約者のミハイルと清水までいます。さらに後ろには動きが不明なメフィスモンとデジモンカイザー檜山まで。さらにハジメ達が不在で、香織とユエも行方不明。何このハードモードって感じですね。

そんな中で親友の危機に覚醒した光輝。一応、原作のこの時点の彼よりは強いです。まだ通常の限界突破しかしてないのに、原作では手も足も出なかったアブソドを倒していますし。
理由はオルクスでの訓練以外に国境での任務に就いたり、その合間にメルド団長と濃い戦闘訓練をしたりしていたということで。

最期の部分は、まあ、トータスの住人なら勇者の活躍を見ればこうなるよなという事ですよ。

次回はもっと早く更新したいです。あとデジモンをもっと出したい。では。
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