ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る 作:竜羽
マイペースですが更新していきたいです。
ハジメが香織と出会ってから数日後。
秋も深まり冷たい風が吹く中、もうすぐ朝の10時になりそうな駅前の広場でハジメは一人佇んでいた。
時折、スマホの時計を見て時間を気にするハジメ。見ただけで緊張しているのが伝わってくる雰囲気。
だがそれも仕方ない。なにせ人生で初めての女の子との待ち合わせなのだ。
やがて10時になり、ハジメが待っていた人物が駅口から現れた。
「あ、ハジメ君!」
「香織さん、ッ」
手を振りながらハジメの方に駆け寄ってきたのは香織だ。白いワンピースに若草色のカーディガンを羽織った私服は清楚なイメージの彼女にぴったりだ。
ハジメはもちろん、周囲の男性陣は見惚れてしまう。
「お待たせ、待った?」
「う、ううん!全然待ってないよ、大丈夫!!」
手を振って否定するハジメ。
「それより話にあった友達は?」
「雫ちゃん?こっちにいるのが……あれ?」
振り向いた香織がキョロキョロと周囲を見渡す。そこに駅口から新たな人影が現れて駆け寄ってきた。
「ちょっと香織!いきなり走らないで」
「あ、雫ちゃん」
「あ、じゃないわよ、全く。楽しみだったのはわかるけど置いていくなんてひどい親友ね」
「ごめんなさ~い。もう絶対忘れないから!」
香織が謝りながら抱き着いているのは、香織に勝るとも劣らない程の美少女だ。
腰まで伸びた綺麗な黒髪をポニーテールにまとめ、切れ目の鋭い目をしている。だがその眼の奥には柔らかさも感じさせるため、冷たいというよりかっこいいという印象を与える。
身長も香織よりも高く、動きやすいジーンズにTシャツとデニムのジャケットという機能性を重視した格好をしている。
少女漫画家である母、菫の漫画にクール系ヒロインとして出てきそうだとハジメは思った。
ふと思いついたハジメはスマホを操作して1枚の写真を表示させると、二人に話しかける。
「あの、八重樫雫さんですか?」
「え?あ、はい。あなたが南雲ハジメ君?3年前に私と香織を助けてくれた」
「はい。初めまして。僕が南雲ハジメです」
「初めまして。あの時は本当にありがとう。私と香織を助けてくれて。それから光輝がごめんなさい。あなたに石をぶつけてしまって」
挨拶とお礼と謝罪を告げる雫。律儀というか責任感が強そうだ。
「あのことは気にしていないですから。謝らないでください。それよりこれどう思います?」
そう言うとハジメは雫に自分のスマホを差し出し、さっき表示した写真を見せる。
「何これ可愛い!!!」
するとかっこいいと思っていた雫の雰囲気がデレッと崩れた。表情も目じりが下がり、なんというか幸福感が溢れている感じになる。
「何々?あ、本当だ可愛い!」
気になってハジメのスマホを覗き込んだ香織もデレる。
ハジメのスマホに映っていた写真、それは土鍋の中で昼寝をするツノモンの写真だった。
これはハジメの母、菫が撮影したものでネコ鍋をモチーフにやってみたデジモン鍋だ。
やってみたところ、ツノモンの大きさが土鍋にぴったりはまってしまい予想以上に可愛くなったのだ。
「この子は僕のパートナーデジモンの幼年期の姿。ツノモンだよ。可愛いでしょ?でも本人は可愛いよりかっこいいって言われたいみたいで、言うと少し不機嫌になるんだよね。それもまた可愛いんだけど」
そこまで説明するとハジメはスマホを返してもらう。
まだ見たかったのか雫は残念そうだったが、いつまでも人様のスマホを持っているわけにはいかないと、断腸の思いで返した。
やはりハジメの思った通り雫はクールビューティーに見えて、実は可愛いもの好きという女の子だったらしい。
「他にもいっぱい写真があるからそろそろ行こう」
「わかったわ!」
前のめりになりながら同意する雫にハジメと香織は微笑ましい目を向けた。その目に気が付いた雫はようやく我に返り、わたわたしながら移動を始めた。
三人は近くの喫茶店にやってきた。テラス席に座り、店員に注文をする。
ハジメはコーヒー、香織は紅茶、雫はジンジャーエールを頼み、程なくして運ばれてくる。それでのどを潤すと、ハジメが口を開く。
「今日は二人とも時間をくれてありがとう」
「私たちこそありがとう。三年前のことも含めて」
雫は佇まいを直すと頭を下げる。
「本当にありがとう。あなたとあなたのデジモンがいなかったら私と香織は今ここにいなかったかもしれないわ」
香織の時も感じた、自分とガブモンのことが誰かに褒められ、認められたことがとても嬉しかった。
「私はもう言ったけど改めてありがとう、ハジメ君。ガブモン君にもお礼を言いたいんだけど……」
「ガブモンは今はいない。三年前にデジモン達の世界デジタルワールドに帰ったんだ」
「それはやっぱりあの事件のせい?」
「……あの事件は簡単に話すことはできないんだ。いろいろ機密とかあるし、たくさんの人に迷惑がかかるから」
「……そっか」「やっぱり」
「でも」
「「?」」
ハジメは一度目を閉じると二人に真剣な眼差しを向ける。
「二人になら話したいと思っているんだ。僕の、僕達デジモンテイマーズの秘密を。だから答えてほしい」
二人はハジメの言葉に込められたとてつもなく強い思いに気圧されながらも、目を逸らさず耳を傾ける。
「二人はデジモンをどう思っている?
あんなことがあったからやっぱり怖い?危険で人間を傷つける危ない生き物だと思っている?今の世界みたいにデジモンがいない方が住みやすい世界だと思っている?」
これはハジメが二人に絶対に聞かなくてはいけないことだった。
二人と普通の友人付き合いをするなら問題はない。だが二人はハジメがデジモンテイマーという、今の世間では排斥されかねない存在だったことを知っている。
短い期間だが香織と接した限り、彼女が自分をつるし上げたりすることはしないと思っているし、彼女の友人である雫もしないだろう。
だがそれはあくまで今のハジメの所感だ。はっきりと彼女たちの意思を確認したかった。これからハジメと関わっていく、そしてハジメが巻き込んでいくのなら。
しばらく香織と雫は考え込んでいたが、答えがまとまった香織が口を開いた。
「私はデジモンのことを知りたいかな。三年前の事件でデジモンが暴れて、私と雫ちゃんも怖い目に遭った。でもガブモン君みたいに、ハジメ君のために戦っていたデジモンもいた。それってまるで人間みたいだなって私思うの。きっといろんなデジモンがいて、いろんな考えを持っている。だから私は知りたい。デジモンのことをもっと知りたい」
続いて雫も口を開く。
「私は正直怖いって思っているわ。あんな怖い目に遭って、その元凶だったデジモンには恐怖しか感じないわ。でもそんな私を助けてくれたのもデジモンだった。それにさっき南雲君が見せてくれた写真みたいな可愛いデジモンもいるんだって知ったわ。だから周りみたいに一方的にデジモンを危険視するのはどうかと思っているわ」
「そっか」
二人の答えを聞き、ハジメは――微笑んだ。
「みんな、どうかな?僕はこの二人なら大丈夫だと思う」
「え?え?」
「南雲君?一体何を?」
突然誰かに話し始めたハジメに二人は目を白黒させる。するとハジメの後ろの席に座っていた人物が立ち上がり、振り向いた。
「あ!?」
その人物に見覚えがあった香織は驚きの声を上げる。
「ジェン君!?」
「やあ。白崎さん」
それは先日ハジメと共に香織が出会ったデジモンテイマー、ジェンだった。
さらにジェンと同じ机に座っていた三人の人物も立ち上がり、ジェンの隣に並ぶ。
「初めまして、僕は松田タカトって言います」
「俺は塩田ヒロカズ。よろしくな」
「僕は北川ケンタ。ハジメの親友」
続けてその隣の机からも三人の少女が立ち上がった。
「牧野ルキ。あんたたちのさっきの答え、嫌いじゃないわよ」
「私は加藤ジュリ。デジモンのこと理解しようとしてくれてありがとう」
「李シウチョン!ジェン兄ちゃんの妹だよ!よろしくね!」
そして最後にハジメが立ち上がり、タカトの隣に並ぶ。
「そして僕、南雲ハジメ。僕たちは――デジモンテイマーズです」
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それから喫茶店から移動したハジメ達は、道すがら香織と雫に自分たちデジモンテイマーズのことを説明した。
「じゃあみんなデジモンテイマーなんだね」
「まだあと三人いるけどね」
「でも黙って見ていたなんてちょっとひどくない?」
「ごめんなさい。でも私たちも白崎さん達がデジモンのことをどう思っているのか知りたかったんだ」
「僕達も気は進まなかったんだけど、僕たちを保護してくれている人から二人のことをちゃんと知ってから決めたほうがいいって言われて」
タカトが二人に申し訳なさそうに言う。
今回二人のデジモンに対する考え方を隠れて聞くというのは、ハジメ達の情報を秘匿している山木からの提案だった。
タカト達は仲間であるハジメのことを信頼しており、ハジメが信じたいと言った香織と雫に名乗り出るのは構わなかった。
だが、自分で香織たちの意見を聞いて納得してからの方が良いと言われ、初対面である雫もいるからとのことで先ほどのようなことになったのだ。
「着いたわよ。入って」
やがて目的地に着いた。そこは住宅街の一角に建つ日本家屋だった。周りが一般的な住宅なので少し目立っている。
表札には牧野と書かれており、ルキの家のようだ。
「なんだか雫ちゃんの家みたい」と香織は思った。
「私んち広いから大人数で集まるのにちょうどいいのよ」
「ここならデジモンの話も大っぴらにできるしな」
「嫌になるよね。よく知りもしないのにデジモンのことを悪く言うなんて」
「ぼやいても仕方ないよ、ケンタ。お邪魔しまーす」
ルキが入るのに続いて、ヒロカズ、ケンタ、そしてタカトやハジメ達も続く。
「いらっしゃい、ルキ、皆さん。あら?新しいお友達?」
出迎えたのは一人のお婆さんだった。ルキの祖母、
高齢者には珍しくパソコンも使いこなすなど多趣味であり、デジモンにも理解のある人物だ。
「白崎香織です。初めまして」
「八重樫雫です。お邪魔します」
「はいご丁寧に。ルキの祖母です。ゆっくりしていってね」
その後、ハジメ達は大広間に通され大きな机の周りに座った。
香織と雫はハジメの傍に座り、それにハジメは少し恥ずかしそうにする。タカト達はそんなハジメを見てニヤニヤしたり、微笑ましそうにしたり、興味深そうに見ていた。
やがて、聖子とルキ、ジュリが人数分のお茶を運んできて全員が一息つくと、ジェンが改めて話始める。
「さて、ここからはもっとデジモンについて話そうか」
「そうだね。今日は白崎さんと八重樫さんにデジモンのことを知ってもらおうって思って集まったんだし」
「でも何から話しましょうか?」
タカトとジュリの言葉に香織が「はい!」と手を上げる。
「みんなのパートナーデジモンについて知りたいです」
「そうだね。わかったよ。じゃあまずは……」
「タカトでいいんじゃない?デジモンテイマーズのリーダーなんだし」
「そうそう」
「ちょっ!?僕!?」
ヒロカズとケンタの指名に慌てるタカト。
「松田君がリーダーなの?」
「ちょっと意外ね」
香織と雫は意外そうにする。
二人が知るリーダーとは、学校行事等でクラスをまとめるカリスマを発揮する存在というようなイメージがある。だからタカトのような大人しそうな少年がデジモンテイマーズのリーダーだとは思わなかった。
そんな二人にハジメが話しかける。
「タカトは気弱そうだし、頼りなく見えるかもしれない。でも僕たちにとっていつもみんなを引っ張ってくれるし、いざって時には頼りになるんだ」
「俺としてはリョウさんもリーダーに相応しいと思ったけど」
「本人が辞退したし、リョウさんもタカトがリーダーってことに納得したんだよね」
ハジメとヒロカズ、ケンタの言葉にタカトは照れくさそうにする。
ちなみにリョウさんとは今日来れなかったテイマーの一人、
伝説のテイマーと呼ばれるほどのカードゲームの腕前で、優れたテイマーしか扱うことができないデヴァイスカードと呼ばれるカードを使いこなす少年だ。
デジモンテイマーとしてのキャリアもタカト達よりも飛びぬけているが一匹狼なところがあり、集団をまとめるのを苦手としている。
「と、とにかく。まずは僕のパートナーデジモンから紹介するね!」
照れ隠しにタカトが言うと、自身のカードデックを取り出し、そこから一枚のカードを取り出すと二人に見せる。
「これが僕のパートナーデジモン。ギルモンだよ」
そのカードには赤い恐竜のようなデジモンが描かれていた。ステータスも乗っており、ウイルス種の爬虫類型デジモン。カードの絵柄の背景には金色の縁取りのデジヴァイスがある。
「見たことないデジモンだね」
「本当ね。香織が買ってた本やカードでも見たことないわ」
ギルモンを見た香織と雫が呟く。それにハジメが答える。
「それはそうだよ。ギルモンはタカトが考えたデジモンなんだ」
「え!?そうなの!?」
「考えたデジモンが実体化したってこと!?」
驚く二人にタカトはギルモンとの出会いを簡単に話した。
それを聞き、まるで運命のようなタカトのテイマーとしての話に二人は夢中になった。
「こんなところかな。ちなみにこれがギルモンが進化したグラウモン、メガログラウモン。そしてデュークモンだよ。あとゼロアームズ・グラニも」
タカトはギルモンのカードの横に、四枚のカードを置く。
「へー。なんかグレイモンみたいだね」
「でも究極体は聖騎士型って変わっているわね」
ギルモンの進化の系譜デジモンを見て感想を言う二人。と、そこで雫が何かに気が付く。
「そういえばギルモンって松田君が考えたデジモンなのよね?ならなんでカードがあるの?」
「三年前の事件の後、水野さんっていう人が作ってくれたんだ。僕達テイマーズ専用のカードをね」
世界を救ってくれたことのお礼と、デジモンと引き離してしまったことの償いの一つとして。そういわれて受け取ったカードがこのカードだった。
みんなのデジヴァイスに残っていたパートナーデジモンのデータを基に、世界に一枚だけのカードとして生み出された、いうなればテイマーズカードだ。
タカトに続いて他のみんなもカードを取り出す。
「僕のパートナーはテリアモン。進化するとガルゴモン、ラピッドモン、セントガルゴモンになる」
「私のパートナーはレナモン。キュウビモン、タオモン、サクヤモンに進化するわ」
「俺のパートナーはガードロモン。進化するとアンドロモンになるんだぜ!かっこいい正義のデジモンさ」
「僕のパートナーはマリンエンジェモン。小さくて可愛いけど究極体なんだぜ」
「シウチョンのはね、ロップモン!進化するとアンティラモンっていうおっきなウサギさんになるの!」
そして最後にハジメが四枚のカードを取り出す。
「僕のパートナーデジモンはガブモン。幼年期はツノモン。進化するとガルルモン、ワーガルルモン、メタルガルルモンになるんだ」
そのカードを見て香織はずっと疑問に思っていたことを口に出す。
「ハジメ君。ずっと気になっていたんだけど、ガブモン君って私が知っている姿と違うよね?でも名前は同じガブモン、ガルルモン、ワーガルルモン、メタルガルルモン。どういうことなの?」
香織の言うとおり、ハジメの取り出したカードに描かれている姿は、どれも一般的に知られているガブモンやガルルモンとは違う姿だ。
メタルガルルモンにいたっては四足歩行ではなく、二足歩行になっている。
「……それはガブモンがX抗体っていう特別なプログラムを持ったデジモンだからなんだ」
「X抗体?」
「うん」
ハジメは語り始める。
ガブモンには生まれつきX抗体という、ギルモン達が持っていないプログラムが宿っていた。
最初は亜種のようなものだとハジメ達は思っていたのだが、デジタルワールドを訪れた際、X抗体のことを知るためにハジメとガブモンは途中でタカト達と別行動をとり、賢者の森と呼ばれるエリアにいるワイズモンというデジモンに会いに行った。
道中困難に遭遇しながら二人はワイズモンの元にたどり着き、そこでX抗体のことを知った。
X抗体とは、Xプログラムというデジモンを削除するプログラムから身を守るためにデジモンが生み出した抗体のこと。
生まれたばかりのX抗体は不安定で、他のデジモンのX抗体を取り込まなければ安定せず、長い時間をかけ他のX抗体を取り込み続けた結果、ようやく安定したX抗体が生まれた。そしてX抗体を持ったデジモンをX抗体デジモンといい、X抗体デジモンになる進化を「X-進化」という
「そしてX抗体デジモンはデジコアの潜在能力が解放されて、普通のデジモンとは違う姿になるんだ。それがガブモンの姿が違う理由だよ」
「へぇ~。デジモンってすごいんだね」
「デジモンって私たちが知らないことばかりね。これでも香織と結構調べたんだけど」
「そう。デジモンって知れば知るほど知らないことが出てきて、もっと知りたいって思っちゃうんだよね」
「そこがデジモンの魅力だね」
ハジメの言葉にタカトが同意する。
「だから今日はもっとデジモンのことを話そう。二人が知りたいこと、僕達テイマーズが教えてあげるよ」
「デジモン以外のことでもいいわよ」
「デジモンのことを話せる女の子ってあまりいないからね」
「シウチョンもロップモンとテリアモンのこといっぱい教えてあげる!」
ルキとジュリ、シウチョンが香織と雫の傍に寄り添う。
それから香織と雫はハジメ達と夕方になるまで話し続けた。
みんなのデジモンとの出会い。
デジモンと遊んだこと。
テイマーとしてリアルワールドに現れ、襲ってきたデジモンと戦ったこと。
デジタルワールドへの冒険。
そして三年前の最後の時。
この日、香織と雫はデジモンとテイマーのことを深く知るのだった。
■■■■■
テイマーズとの交流会の後、すっかり日が暮れた住宅街をハジメは二人を家へ送っていた。
「今日は楽しかったね、雫ちゃん」
「ええ。とってもよかったわ」
香織の言葉に雫はデレデレした顔で答える。
雫はさっきの交流会でツノモンをはじめとした、テリアモン、ロップモン、マリンエンジェモン、クルモンなどハジメ達が関わった可愛い系デジモンの写真を見せてもらって、その可愛さにデレデレになってしまったのだ。
やはり、ハジメが思った通り雫は可愛いものが大好きだったのだ。
それを見たジュリが「雫ちゃん可愛い!」と抱き着き、親友を取られると思った香織も抱き着き、シウチョンも面白がって抱き着いてしまった。
ルキはそれを呆れた目で見ていたが、それに気が付いたジュリによって引き込まれ、結局女子たちが雫と中心に重なり合うという事態になった。
それを見ていたハジメ達男子は蚊帳の外になってしまっていた。
「八重樫さんってやっぱり可愛いものが好きだったんだね」
「うっ。やっぱり私には似合わないかしら?」
「そんなことないよ。女の子らしくていいと思う」
「流石ハジメ君。見る目あるよね!」
ハジメの言葉に香織が嬉しそうにする。
雫は多くの人からかっこいい、凛々しいと言われているが、香織としては可愛い女の子だと思っている。なのでそれをすぐに理解してくれたハジメやルキ達のことが本当にうれしいのだ。
「またみんなと遊びたいよ。デジモンのことも教えてほしいし」
「本当ね。デジモンって思っていたよりも奥が深かったわ」
「いつでも教えるよ。みんなデジモンが大好きだし、二人にも大好きになってもらいたいし」
「あ。じゃあ今度はハジメ君の家に行ってみたい!」
「え?僕の家?」
突然の香織の提案に驚くハジメ。
「ジュリちゃんから聞いたんだけどハジメ君ってデジモン博士って言われているんだよね?デジモンの資料とかいっぱい家にあるって」
「うん。まあ、博士っていうのは言い過ぎだけど、結構集めているかな」
3年前のガブモンとの別れから、ハジメはデジモンを知りたいという欲求が強くなり、様々な伝手を使ってデジモンに関する資料を集めるようになった。
中にはデジモンを生み出した科学者チーム『ワイルドバンチ』の研究者達から直々に手渡された彼らの研究成果もある。それらを理解するために勉学に励み、その結果学校の成績は常にトップとなっている。
「だから今度はそれを教えてほしいなって。ダメ?」
首をかしげながら上目遣いにハジメを見上げる香織。こんなことをされては男子としては断れないだろう。
「ら、来週の日曜日なら、いいよ?」
「やった!雫ちゃんも行こ!」
「あー。ごめんなさい。来週は剣道の遠征試合があるの。だからごめんなさい」
「えええっ!?そんなあ」
「仕方ないよ。代わりに八重樫さんの好きそうなデジモンの写真とか絵を香織さんに持たせるよ」
「ぜひお願いします」
綺麗にお辞儀する雫にハジメは「やっぱり可愛い人だな」と思ったのだった。
今回の話はデジモンテイマーズの後日談をイメージして書きました。もっともあまりタカト達を動かせなかったので、数人に分けてちょくちょく出していきたいです。
ありふれ原作開始が遠のきそうですが、今作でのハジメを確立させたいので今しばらくお待ちください。
デジモン紹介
ガルルモンX抗体 世代:成熟期 獣型 属性:ワクチン
ハジメのパートナーデジモンのガブモンが進化した成熟期デジモン。
X抗体の影響により、体毛の硬度は増している。背中には鋭い金属のブレードが装備され、攻撃手段が多彩になった。
闘争本能もより強くなり、最後まで敵と戦い抜く恐ろしいデジモンとなった。
戦闘種族としてのデジモンとしては随一の資質を誇る分、テイマーには相応の資格を求められる。つまり、ガルルモンにテイマーとして認められているハジメはテイマーとしての優れた才能があるということだ。
必殺技は高温の青い炎を口から吐き出す「フォックスファイアー」。