ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る 作:竜羽
コラボ3話です。一先ず顔合わせというか、お互いの話し合いはこれで終わりです。
〇【辿った道筋。トータス編】
話し合いは続いていた。今度はハジメ達がトータスに召喚された時のことを説明するのだが、その前にハジメが口を開く。
「続きを話す前に、1つ決めたいことがある。中村は未来を知っているって言ったな?」
『ん? そうだけどそれが何?』
「つまりこのオルクス大迷宮から出た後の『南雲ハジメ』の未来を知っているということか?」
『あくまで僕にわかることしかわからないから、あいつが何をしていたかはわからないよ』
「それでも大雑把な流れは知っているのか?」
『まあね』
肯定する恵里。
「だったら頼む。中村が知っている未来のこと。特に誰かが死ぬ、傷つくという情報は話さないでくれ」
『え?』
ハジメの頼みに首をかしげる恵里。南雲達も同様だ。
「俺達とお前達。召喚される前から流れは大きく変わっているんだ。だったら中村が知っている未来の出来事は当てにならない。同じ理由で不幸自慢もする必要がない。たらればの話も俺達には何の意味もない。だから、話さないでくれ」
これまでの話し合いで、南雲ハジメという三人の少年の軌跡が語られたが、どれも全く違うものだった。
ハジメ達は言うに及ばず、向こうの世界の南雲ハジメは恵里と関わることで、恵里の逆行前の南雲ハジメとは全く異なる人生を歩んだ。
ならばこの世界と恵里の世界、そして逆行前の世界はハジメの言うとおり、全く異なる世界になったのだ。その話をすることに意味は無いし、逆に知ることで必要のないことを考えてしまい、思いもよらないことが起きるかもしれない。ハジメはそれを懸念し、予防線を張ることにした。
軽い気持ちで繋げた並行世界。だがそれは思った以上に心に堪えた。
向こうの南雲ハジメと共にいる多くの友人達。彼らの事をハジメはほとんど知らない。だが、彼を慕ってあれほどの人間が付いてきたことには少し思うことがあった。
もしかしたら、自分達ももっと多くの絆を結べたのではないかと。当然、そんなことが無意味だという事はわかっている。だが、別の可能性を知ってしまっては、どうしてそうできなかったんだという思いが頭をよぎってしまう。普通の事だけでもそうなのに、これが人死にまで絡んできたら、手に負えなくなる。
口には出さなかったが、何となく察した恵里は首を縦に振る。
『ん~。まあ、それもそっか。いいよ。話さない。どうせここに来るまでに誰かが死んだとかはないから。でもそんな要求するからには、そっちもだれだれが傷ついただの、不幸になっただのは話さないでよね。君の言葉を借りるなら、君達の不幸は僕達に何の意味もないんだから』
「ああ。わかっている」
そして話を再開する。今度は香織が代わりに話をする。
「昼休みに雫ちゃんを迎えに行ったら召喚に巻き込まれたの」
『え? そっちの私と香織ってクラス違うの?』
「うん。私とハジメ君は国際進学だから、普通科の雫ちゃんとは別クラスなんだ」
世界が違えば学校の仕組みも少し違うようだ。恵里達の学校は名前こそ一緒だが、普通科しかなく、全員が同じクラスとのことだ。
「それで召喚されたらハジメ君が倒れちゃって。ちょっとしたトラブルになったんだ」
『倒れた!? 大丈夫だったのハジメ君!? まさか僕達のハジメ君も実は体が変になっていないよね!?!?』
『そうだよ! 実は鈴たちに心配かけないように我慢していない!!??』
『だ、大丈夫だったから。落ち着いて二人とも』
向こうの恵里と鈴が慌てて南雲に抱き着き調子を確かめる。南雲は何とかして二人を宥める。
香織はここで光輝がハジメに殴りかかって、自分が代わりに殴られたとは言わないことにした。もしも言えば更なる混乱が起こって収拾がつかなくなる。
「話すたびに脱線するなあ。えっとこの後倒れたハジメ君を別室に運んで、召喚された理由を聞きに行ったんだよ」
今思い出しても煮えくり返るとばかりに不機嫌そうに話す香織。とはいえ当時の状況を知っているのは彼女だけなので、話すしかない。
「理由は魔人族との戦争の代理をさせるため。これはそっちも合っている?」
『うん。合っているよ』
「私達は天之河君を中心とする戦争参加組とは違って、帰還方法を探す組になったんだ。メンバーは私とハジメ君、雫ちゃん。あと畑山先生」
『そういう組分けをしたんだ』
『妥当と言えば妥当だな』
『……俺は戦争に参加したのか』
南雲と清水が感心して頷く横で、光輝は少し俯く。
『私達はちょっと意見がまとまらなくて、意見を先送りにしました』
その場面でイシュタルと一応の対応をしていた光輝の近くにいた雫が、自分達の状況を伝える。
香織は「そうなったんだ」と特に反応を示さずに話を続ける。内心では光輝達の慎重な姿勢に感心していた。
だがここでハジメはあることを話す。何せ、ナチュラルに忘れられていることがあるからだ。
「あーちなみにだが。もう一人いたぞ。帰還方法を探す組」
「え? …………あ」
ハジメの言葉でしばし記憶を漁った香織は、確かにそうだったと思い出した。
『え? 誰だい? 聞いた感じだと君達と雫以外に反論しそうな奴なんていないみたいだけど』
「…………浩介だ」
『『『『『『『『『『……え?』』』』』』』』』』
恵里達がポカンとすると、自分達の後ろを振り向く。
しかし、そこには誰もいなかった。
『こっちだよおい! ずっとここに座っていたわ!!』
『あ、こっちか』
『くっ、また見失ってしまった』
『さすがはアビスゲート先生』
『アビスゲート言うな!! それは向こうの俺だ!!』
騒がしくなる向こう側。一方こちらも浩介の事を忘れてしまっていたことに、香織が王国にいるだろう浩介に謝罪の念を送っている。
話を続ける空気ではなくなったので、一時休憩を取ってから話を再開した。
「いろいろあってオルクス大迷宮での訓練に参加したんだ。でもトラブルがあって転移罠で65階層に飛ばされた」
香織はなるべく不自然にならないように説明をする。なにせ『いろいろ』の部分にはこっちの世界の光輝がハジメを責めたり、檜山達がハジメを集団リンチしたり、それを見た香織にボコボコにされたことなど、また話を続ける空気ではなくなる。
「転移先の石橋で待ち構えていたベヒモスと戦闘。ハジメ君の活躍で沈黙させたんだけれど、そこでもまたいろいろあって橋が崩落。ハジメ君が落ちちゃったんだ」
ここでも言葉を濁す香織。本当は雫を助けるためにハジメが奮闘したのだが、そのせいで雫は心に大きな傷を負ってしまった。どうやら向こうの雫は光輝と仲が良いらしい。交友関係の罅になるようなことにも気を付けて話を進めていく。
「私はショックで意識を失って、王宮で気が付いてから体調を整えてハジメ君を助けるために迷宮に向かうことにしたんだ。その時だったよ。テイルモンとガブモンがやってきたのは! 初対面だったけれどテイルモンと出会った瞬間、こう心の奥底から思いが溢れ出してきて」
「そこは後にしよう。カオリ」
説明に力が入る香織。あれは彼女の人生の中でハジメと同じくらいの、屈指の出会いだった。
放っておけば詳しく語りだしそうだったので、ユエが諫める。
ごめんごめんと謝った後、改めて香織は説明を続ける。
「テイルモンとガブモンの協力でハジメ君の所まで辿り着けた私はハジメ君と合流。途中で部屋に封印されていたユエを助けて、苦戦しながらもこのオルクス大迷宮を突破したんだ」
大分省いた内容だったが、大迷宮を攻略したことを説明し終える。
もっと詳しく説明しようとするとかなり時間がかかるので仕方ないが。
『こっちも似たようなものかな。でさ、もしかして転移罠って作動させたのはそっちの世界の檜山かい?』
『うえっ!? ま、まじか?』
恵里の言葉に動揺する向こうの大介。
「よくわかったな。もしかしてそれは、中村の前の世界でもあったことなのか?」
『まあね。僕自身もう前世の事は、ほとんど覚えていないんだけれど、結構印象深かったからね』
ハジメの指摘を肯定する恵里。
『もちろんそのことを知っていた僕達は注意したんだよ。でも神殿に雇われた冒険者達と神殿騎士が現れて、くだらない三文芝居で転移罠を発動させたんだよ。それでめでたく僕達も65階層に転移ってわけさ。後はベヒモスと一緒に、神の使徒っていうやつも襲ってきてね。でね、すごかったんだよハジメ君が! 僕と協力したこともあるんだけどさ、ベヒモスを生き埋めにしてそのまま──』
『はい恵里、そこいいから続き』
『あ"?』
『うん。続きを話して……その、すごく恥ずかしいから』
オルクス大迷宮のことについては、恵里達の方も南雲が大健闘したらしく、妙にテンションが上がってしまい、そのことを伝えようとして半目になった鈴にピシャリと止められる。止められたことに恵里は物凄い形相を浮かべるも、南雲にそう言われては仕方がないと軽くブー垂れながらも話の続きをする。
まるでさっきの香織とユエのようなやり取りをする恵里と鈴だった。
『ちぇー……まぁベヒモスの方は何とか退けたんだけど、騎士団も神殿騎士も、あと僕達以外の召喚された奴らとも敵対することになったんだ。で、素直に入り口から出たら拘束されるのは目に見えていたから、逆にオルクス大迷宮を攻略してやろうって思って全員で降りることにした。紆余曲折あったけれど1人の女の子も助けて、無事に攻略したというわけさ』
ざっくりとまとめる恵里だが、彼らは攻略する際に人間族最大国家のハイリヒ王国と聖教教会、そして召喚されたクラスメイトと敵対したという事だ。
彼らもまた大きな覚悟を決めて大迷宮を攻略してきたのだろう。
それからお互いの事を話して一段落したところで、向こうの南雲達から「あのメイドさんとかフードの人物はなんだ?」という話になり、そう言えば紹介していなかったなとフリージア達を呼んだ。
そしてそれぞれの素性を紹介したのだが、その過程で解放者とエヒトのことを話すことになり、
『エヒト様がそんなことあるものか!!!』
生粋のエヒト信者である、向こうのメルド元騎士団長(南雲達に同行する経緯で騎士団長はやめたらしい)が激怒して、彼を落ち着かせるために、本日の通信はお開きになった。
落ち着いたらまた連絡を入れると伝え、ハジメ達は通信機を停止。一度休みを入れたとはいえ、まだ連日の徹夜の疲れから眠りについた。
■■■■■
並行世界の南雲達と話したその夜。
眠ったはずのハジメだったが、気がついたら眠っていたオスカー邸とは全く違う場所に立っていた。
ぎっしりと本が詰まった本棚が何列も並んでおり、壁も天井まで届く本棚になっている。
ハジメはこの場所に見覚えがあった。トータスに転移してから幾度も足を運んだある場所にそっくりなのだ。
「ここは……ハイリヒ王国の城の図書館?」
ハジメ達が召喚されたハイリヒ王国の王城で、ハジメが調べものに活用していた図書館だった。
話し合いが終わったところでの急展開。果たしてハジメがいつの間にかやってきたのはどっちの王国なのか。
そろそろコラボが終わりそうです。