ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る   作:竜羽

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なかなか平日に時間が取れなくて週一ペースなのが心苦しいです。

ではお楽しみください。


05話 フェアベルゲン危機一髪

 スカルグレイモン。

 戦うことだけに執着してきたデジモンが、肉体が滅んでしまったのにも関わらず闘争本能だけで生き続けた結果、全身が骨だけになってしまったスケルトンデジモンだ。

 闘争本能しか持ち合わせていないスカルグレイモンには知性のかけらも無く、他のデジモン達にとっては恐怖の代名詞となっている。

 ハジメ達はオルクス大迷宮でスカルグレイモンのイミテーションと遭遇。その時は多少動揺したが偽物だったので問題なく倒せた。

 しかし、フェアベルゲンの中から出てきたのは正真正銘、本物のスカルグレイモンだ。

 

「ゴーグルに反応が無かったぞ。どこから出てきた?」

 

 門が破られてスカルグレイモンが出てくるまで、唐突過ぎた。

 探知機能も付いているゴーグルを使っていたハジメにも、スカルグレイモンの出現はわからなかった。考えられる可能性は、

 

「門の裏側で、デジタルワールドからリアライズしたばかり、なのか?」

 

 それならば説明が付く。デジタルワールドから出てきたばかりなら、探知する前に遭遇してもおかしくない。ハイリヒ王国でガブモン達がリアライズしたのと同じようなことが、ついさっき目の前の門の裏側で起こり、現れたスカルグレイモンが門を破ってきたのかもしれない。

 

「とりあえず、この場から離れるか」

 

 事実はわからないが、この場にとどまるのはまずい。さらに言うならスカルグレイモンを放置するのはもっと不味い。

 スカルグレイモンを放置していては手当たり次第に周囲のものを破壊し始める。最悪の場合は、背中の脊髄の有機体系ミサイル《グラウンド・ゼロ》が発射されてしまうことだ。その威力は核ミサイルにも匹敵する。放たれれば樹海は無事では済まないし、大迷宮に撃ち込まれたら取り返しがつかないことになる。

 

「ガブモン。頼めるか?」

「OK」

「テイルモン。私達も行くよ」

「任せろ」

「ルナモン。お願い」

「ん」

 

 デジヴァイスとカードを構えてスラッシュするテイマー達。

 

「テイルモン進化! ──エンジェウーモン!!」

「ガブモンX進化! ──ワーガルルモン!!」

 

 完全体に進化した二体がスカルグレイモンに立ち向かう。スカルグレイモンも強大な力を持つ二体に対して戦闘態勢を取る。

 シア達を抱えて少し離れていたユエとルナモンもそれに続く。

 

「カードスラッシュ! マトリックスエヴォリューション」

「ルナモン進化! ──クレシェモン!!」

 

 ルナモンもクレシェモンに進化する。

 

「こ、これがデジモンの進化! 凄いですぅ」

「はえー。でっかくなったなあ」

 

 間近で、特にルナモンの進化を見たシアとコロナモンが驚く。ライセン大渓谷では魔人族に追い立てられていたこともあり、ガルルモンへの進化をちゃんと見ていなかった。その後、話だけは聞いていたが、実際に目にすると信じられない光景だった。

 

「遠距離攻撃はするな! 絶対に《グラウンド・ゼロ》は使わせないように立ち回れ!!」

 

 ハジメの指示にデジモン達が動く。接近戦をすることで背中の有機系ミサイルで周囲を吹き飛ばされないようにする。

 香織とユエも今回は武器を構えず、デジヴァイスとカードを構える。

 完全体のスカルグレイモンには最上級魔法でさえも効果が薄い。唯一効果的な攻撃ができるハジメも遠距離ばかりなので、使っていては対抗するためにミサイルを使われてしまう恐れがある。

 

「《円月蹴り》!」

「《ルナティックダンス》!」

 

 三日月型の衝撃波を伴った蹴りを放つワーガルルモンと、相手を幻惑する舞踏のような動きで斬りかかるクレシェモン。

 

「グオオオオッッ!!」

 

 それに対して巨大な腕を振り回すスカルグレイモン。

 二体の技と巨大な腕が激突する。

 身体を構成している骨はかなりの硬度があるため、二体の攻撃を受けても耐えている。

 それでも少し後退するスカルグレイモン。

 これで完全に二体を敵と認識したのか、再度咆哮を上げて向かってくる。

 スカルグレイモンをワーガルルモンとクレシェモンが迎え撃つ。

 一方、さっきのぶつかり合いに参加しなかったエンジェウーモンはというと、

 

「ハジメ君。霧でよく見えないけれどあっちに少し開けた場所があるよ」

「よし。ユエ、あっちに誘導するぞ」

「ん。クレシェモン!」

 

 香織がデジヴァイスに表示されている映像を見ながら教えてくれた場所へ誘導するように指示を出すハジメ。

 エンジェウーモンは進化してすぐに空を飛びながら周囲を探索していた。ここは亜人の国であるフェアベルゲンに近く、住人が様子を見に来て巻き込まれる可能性がある。

 

 ワーガルルモンとクレシェモンは近接戦を行いながら、エンジェウーモンが見つけた場所へ移動していく。

 ハジメ達もそれに続く。

 樹海の樹々をなぎ倒しながら、エンジェウーモンが見つけた場所にたどり着いた。

 

「ここからだ。一気に決めろ、ワーガルルモン!!」

「おう!!」

「クレシェモンも!」

「ん!!」

 

 フェアベルゲンの門から少しとはいえ離れることが出来たので、一気に勝負を決めにかかる。

 

 だが、そこでハジメは樹海の向こうからこちらにやって来る一団の気配を察知した。

 移動速度はかなり速い。この樹海を知り尽くしているようだ。

 香織とユエもそれに気が付き、フードを深くかぶり気配を消す。

 

「な、なんだこれは!?」

 

 そして姿を現したのは虎模様の耳と尻尾を付けた、筋骨隆々の亜人族だった。

 彼の後ろからは様々な動物の特徴を持った亜人族たち数十人が姿を現す。

 彼らはフェアベルゲンの外周部の警備隊で、定期的に国の周囲を見回っている。国に近づく魔物や奴隷狩りにやってきた人間たちに対処するのが彼らの任務だ。

 いつものように見回りをしていたら、途轍もない咆哮と戦闘音が聞こえたので駆け付けたのだ。

 そうしたら見たこともない生き物が戦っているではないか。

 

「と、とにかくここはフェアベルゲンに近い。あの魔物達を国に入れるわけにはいかないぞ!」

「「「おおっ!!」」」

 

 虎の亜人、警備隊長の指示に部下たちが手に持った武器を構えて、スカルグレイモンとワーガルルモン達を包囲しようとする。

 

 これを見ていたハジメ達は苦い顔をする。ただの魔物なら効果はあるかもしれないが、スカルグレイモン(攻撃するつもりはないがワーガルルモン達も)を相手にするには無謀すぎる。

 だが、スカルグレイモンの異様な姿と、国に近いから引くことが出来ない状況が、彼らに無謀な行動をとらせた。

 

「攻撃開始!!」

 

 亜人たちが槍を投げ、剣で斬りかかる。ワーガルルモンとクレシェモンは亜人族たちの攻撃を避けるが、スカルグレイモンは受ける。

 もちろんダメージは0だが、闘争本能しか持ち合わせていないスカルグレイモンには、攻撃してきただけで敵として認識されてしまう。

 腕を振り上げて手近にいた亜人族を叩き潰そうとする。

 

「《ダークアーチェリー》!」

 

 そこに闇のエネルギーの矢が飛んできて、腕を弾く。それにより亜人族たちは腕に叩き潰されずに済んだ。助かった亜人族たちは何が起こったのか目を白黒させる。

 一方、攻撃を邪魔されたスカルグレイモンは、今度はクレシェモンに攻撃を加えようとする。

 

「はっ!!」

 

 しかしそこにワーガルルモンが飛び込んできて、スカルグレイモンの顎を蹴り上げる。

 頭部を大きく揺らされて、バランスを崩したスカルグレイモンの巨体が倒れ込む。

 そこに止めを刺そうとワーガルルモンが飛び上がり、爪に力を込めて必殺技の《カイザーネイル》を繰り出そうとする。

 クレシェモンも今度は氷のエネルギーを集めて矢を構える。

 

「今だ! かかれぇ!」

 

 が、隙だと思った亜人族2人が攻撃をしようとする。

 

「止せお前達!」

 

 警備隊長の虎の亜人族が制止しようとするが、亜人族たちは止まらず、またスカルグレイモンに攻撃を加えるために近づいてしまった。そのせいでワーガルルモン達の攻撃範囲に入ってしまった。

 

「くっ」

 

 仕方なく技の発動を中止する。クレシェモンもこのまま矢を放てば亜人族たちまで凍らせてしまうため攻撃を止める。だが、その隙をついて、スカルグレイモンが倒れながらも腕を振り回す。その先にはさっき攻撃しようと近づいてきた亜人族たちがいた。

 

 デジモン達はもちろん、姿を隠すために離れていたハジメ達も間に合わない。

 

 こうなることを見通していた者以外は……。

 

「危ないですぅ!!」

 

 全身に魔力を漲らせ、ウサミミを靡かせたシアが2人の亜人族を捕まえ、スカルグレイモンの腕から助け出す。

 その動きと速さに目を見張るハジメ達。

 今シアが使っているのは身体強化の魔法だ。しかも香織に匹敵するほどの身体強化を行い、とんでもない速さと力を発揮して動いている。

 おかげでギリギリ2人の亜人族を助け出せたが、その際に姿を隠していたロープが攻撃の余波で吹き飛ばされてしまう。青みがかかった白髪とウサミミが晒されながら、シアはゴロゴロと地面を転がる。

 

「お、お前は!?」

「ううぅ、イタタ、ですぅ。……あ」

 

 その姿を見た警備隊長とシアの目が合ってしまう。

 痛いほどの沈黙が流れるが、戦いは止まらない。

 スカルグレイモンがシアへ追撃しようとするが、今度こそワーガルルモン達が割り込む。

 幸い、シアが助けた亜人族以外には周囲に誰もいない。

 

「《カイザーネイル》!!」

「《アイスアーチェリー》!!」

 

 ワーガルルモンの爪撃がスカルグレイモンに決まり、クレシェモンの氷の矢が体を凍らせて動きを封じる。そして、最後のトドメは戦闘開始時から上空でエネルギーを溜めていた彼女の攻撃だ。

 

「《ホーリー……アロー》!!!!」

 

 近接技を持っていないので空を飛んでいたエンジェウーモンは、一撃必殺の矢を放つために準備をしていたのだ。

 放たれた聖なるエネルギーを最大まで高められた矢は、凍らされて動けないスカルグレイモンの強靭な骨の身体を貫き、肉体が滅んでも残っていたデジコアを貫いた。

 そして、戦いのために動くアンデッドデジモンは細かいデータに分解され、虚空に消えていった。

 

 これにてフェアベルゲンに現れた危険なデジモンは討伐されて、国に平和が戻ってきました。

 

 とはならない。

 

「貴様。シア・ハウリアか! 追放された身で戻って来るとはよほど死にたいと思える!!」

「シアに手を出すな!!」

 

 虎の亜人族、警備隊長がシアへと罵声を浴びせ、俯くシアをコロナモンが庇う。

 周囲の亜人族たちもシアへ厳しい目を向けており、今にも2人に襲い掛かりそうだ。

 まだワーガルルモン達もいるのに、それ以上にシアへの敵意があるのか。

 

 ──ドパンッ!! 

 

 響く一発の銃声。

 突然の聞きなれない轟音に亜人族たちがビクッとして、音がした方へ目を向ける。

 そこにはそれぞれのパートナーを傍に立たせたハジメ達がいた。シアの危機にローブを脱ぎ、姿を現したのだ。

 

「シアから離れろ」

 

 先ほどの銃声、ドンナーの空砲を起こしたハジメが静かに告げる。

 

「に、人間風情が」

 

 ──ドパンッ!! 

 

 今度はユエがロートを撃つ。魔法弾ではなく実弾で、警備隊長の頬を掠めて一筋の傷を作る。

 

「さっさと動け。愚図ども」

 

 ハジメ以上に静かに、しかし絶対零度の冷たさをもってユエが告げる。というよりほとんど命令だ。

 ユエにとって、寄ってたかってシアを責め立てる彼らは、過去に自分を迫害した者たちを想起させるものだった。

 香織も愛銃であるリヒトを取り出していつでも撃てるように構えている。

 亜人族たちは3人とそのパートナーから放たれるプレッシャーから動けない。

 一触即発の空気に誰も動けないでいると、そこに新たな一団が現れた。

 

「これは、どういう状況ですかな?」

「ア、アルフレリック長老……!?」

 

 数人の亜人族の集団で、先頭には初老の男性がいた。その男性を警備隊長は長老と呼んだ。

 流れる金髪に深い知性を備える碧眼、その身は細く、吹けば飛んで行きそうな軽さを感じさせる。威厳に満ちた容貌は、幾分シワが刻まれているものの、逆にそれがアクセントとなって美しさを引き上げていた。何より特徴的なのが、その尖った長耳だ。

 この世界では森人族と呼ばれる種族。地球のファンタジー作品だとエルフと呼ばれている種族に似た特徴を持っている。

 彼らは警備隊長が念のためにとフェアベルゲンに走らせた伝令からの知らせと、破壊された門を見てただ事ではないと、精鋭部隊と共にやってきたのだ。

 

 ハジメは咄嗟にゴーグルを下ろし、彼らの他に集団がいないか確認する。どうやら彼ら以外にはいないようだ。

 だが、その行動でハジメはとんでもないことに気が付いた。

 

(おいおい。なんで亜人族の長老が、魔力を持っているんだ!?)

 

 亜人族の国、フェアベルゲンに隠された秘密にハジメ達は触れようとしていた。

 




〇デジモン紹介
スカルグレイモン
世代;完全体
タイプ;アンデッド型
属性;ウイルス
全身が骨だけになってしまったスケルトンデジモン。戦う事だけに執着してきた デジモンが、肉体が滅んだにも関わらず闘争本能だけで生き続けた結果、スカルグレイモンになってしまった。闘争本能しか持ち合わせていないスカルグレイモンには知性のかけらも無く、他のデジモンにとってはその存在は脅威となっている。必殺技は脊髄から発射される有機体系ミサイル『グラウンド・ゼロ』。近年の研究では、新たに追尾機能も加わり、威力・範囲も格段にグレードアップした『オブリビオンバード』として進化を遂げたとされている。放たれれば着弾地点は核爆発に匹敵、あるいはそれ以上の威力で更地となってしまう。


思ったよりもスカルグレイモンとの闘いが長引いたというより、引きずってしまいました。
もうちょっとスマートに勝てたと思うんですが、周囲への配慮と一気に勝負を決めることに主眼を置いていたこと、そして亜人族部隊の乱入のせいという事で。
次話で一体フェアベルゲンの秘密とは何なのか明かしていこうと思います。
お楽しみに。
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