ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る 作:竜羽
またもや遅れて申し訳ありません。
・あらすじ
遂にライセン大迷宮を見つけ攻略に乗り出したハジメ達。しかし開始早々、転移魔法陣でデジモン達と分断されてしまった。ハジメ達とデジモン達はそれぞれ罠やイミテーションのデジモン達、そしてウザイ文章に苦戦しながらも先を進んでいくのだった。
ゴーレム騎士とワイバーンとの闘いは激しいものになった。
シアと香織が強化した膂力で武器を振るい、ゴーレム騎士を構えた盾ごと吹き飛ばす。
ユエとハジメが、滞空しながら襲ってくるゴーレムワイバーンへ銃撃を行い牽制する。特にゴーレムワイバーンに対しては、ハジメが宝物庫からガルルバーストのミサイルポッドを取り出し、ミサイルで撃ち落とす。だが、ゴーレムワイバーンも攻撃を受けるだけではない。口を大きく開けてブレスのような熱線を放ってくる。空中への攻撃手段を持つハジメがワイバーンを、ユエが騎士を攻撃する流れになった。
そして、全員の攻撃の合間を縫って、トレイシーが討ち漏らしたゴーレム騎士を斬り裂いていく。エグゼスは機能が封じられていたとしても、武器自体がとんでもない業物なので、剣を弾き飛ばし、盾や鎧を斬り裂いていく。その動きに暗殺者のように静かなステップが混じっているのは、共に戦った浩介とシエルの影響か。大鎌という武器も相まって、まさに死神という言葉に相応しい戦い方だった。
順調に戦いを繰り広げていると数体のゴーレム騎士が、ゴーレムワイバーンの背中に乗り込んだ。まるで竜騎士だ。
そのままゴーレム騎士を乗せたゴーレムワイバーンは、ハジメ達に向かって急降下してくる。
それに気が付いたハジメがミサイルで迎撃しようとするが、ゴーレム騎士の一体が空中に身を躍らせて、自らを盾とする。
迎撃に失敗した。ハジメが歯噛みしていると、トレイシーが動いた。
「シア・ハウリア! 思いっきり振りかぶりなさい!!」
「は、はぁ!? いきなり何を「やりなさい!!」え、ええい!!」
突然の指示に反論しようとするシアだが、有無を言わせぬ命令に思わず体が動き、ドリュッケンを振り回す。
そこに向かってトレイシーは跳躍し、振り回されたドリュッケンを踏み台にする。シアの規格外の身体強化魔法で強化された膂力を跳躍力に変換させ、猛烈な勢いで飛び上がる。
ゴーレムワイバーンはハジメを狙っていたので、トレイシーに気が付かなかった。
振るわれたエグゼスの刃はゴーレムワイバーンの胴体とゴーレム騎士をまとめて切り裂いた。
トレイシーはその勢いに身を任せたまま、包囲網を飛び越えて部屋の出口付近に着地する。何とか出口を確保しようと扉に駆け寄る。
しかし、扉はトレイシーが押しても引いても開かない。やはりと思って祭壇を見て見ると、そこには黄色い水晶があった。手に取ってみると水晶が分解できた。もう一度扉をよく見ると三つの窪みがある。おそらくこの水晶を分解し、あの扉の窪みに嵌める水晶体を再構築しろという事なのだろう。
このパズルを解くのに集中したいところだが、ゴーレム達がトレイシーの所に向かってきてできない。
ハジメ達もそれに気が付き、包囲網を突破しトレイシーを護りに行こうとするが、いつまでたっても敵の数が減らない。
流石におかしいと思って一体の破壊したゴーレム騎士を観察していると、何と床の中に消えた。そしてゴーレム騎士が並んでいた壁から新たなゴーレム騎士が現れた。よく見ればそれはゴーレムワイバーンも同じだった。
「……再生している?」
「そんな!? キリが無いですよぉ!」
「ゴーレムなら核を破壊すればいいんじゃないの?」
「そのはずなんだがな……。こいつら核がないぞ」
驚愕しているユエとシア、香織に、ゴーグルでゴーレム達を解析していたハジメが渋い表情で、解析した結果を告げる。
神代のアーティファクトとしても知られるゴーレムは、核となっている動力部を破壊することで機能を停止する。規格外の性能と知能を持っているフリージアもそれは変わらない。
しかし、このゴーレム達には核となるような動力部が、ハジメのゴーグルには映らなかったのだ。
何か秘密があるんじゃないかと思ったハジメは、破壊されたゴーレムの欠片を拾い、〝鉱物系鑑定〟を使う。もしや素材が特殊なのではないかと思ったのだ。すると案の上だった。
ゴーレムを作っていたのは感応石という鉱物だった。
ハジメが鑑定で読み取った性質はこのようなものだった。
魔力を定着させる性質を持つ鉱石。同質の魔力が定着した2つ以上の感応石は、一方の鉱石に触れていることで、もう一方の鉱石及び定着魔力を遠隔操作することが出来る。
2つ以上の鉱石に魔力を定着させることで、1つの鉱石さえあれば他の鉱石と定着させた魔力を操作することができるのだ。
つまり魔力を電波に見立てて、ラジコンのように遠隔操作が出来るようになる鉱石ということだ。
ゴーレム達も何者かに遠隔操作されており、再生だと思われたのも壊れた部品を直接操って形を整えたり、足りない部品を継ぎ足していると思われる。再生というよりも再構築だ。よく解析してみれば壁や床にも感応石が使われており、部品の回収と補填に使われているようだ。
対処法は3つ。
1つ目。ゴーレムを再構築できない程粉々に破壊する。
要するに力任せのごり押し戦法だが、デジモン達もおらず、魔法も使えない状況では困難だ。ハジメのミサイルや銃火器を駆使すればできるかもしれないが、下手をすれば部屋が崩壊して生き埋めになりかねない。冷凍兵器群を使えばいいのだが、先日の神の使徒ゼクストとの戦闘でほとんどを使い果たしており、補充も出来ていなかった。
2つ目。遠距離操作をしている何者かを倒すこと。だが、その何者かはおそらくこの迷宮の最深部に潜んでいるだろう。ここが迷宮のどのあたりなのかわからないので、誰かが探しに行って倒すのは不可能だ。
そして3つ目は──。
「全部貰うぞ!!」
ハジメは右手の指に付けた指輪、アーティファクト〝宝物庫〟を起動させる。
破壊したゴーレムを宝物庫に格納するのだ。格納してしまえば宝物庫の別空間に転送されるので、再構築の材料にされることもない。これはハジメにしかできない方法だ。宝物庫で物を出し入れするには魔法で収納する空間へのゲートを開くのだが、このゲートも魔力分解作用の影響を受けて壊れてしまう。これを防ぐには、分解されてもすぐに修復する魔法構築能力と、膨大な魔力を使用するしかない。それを同時にできるのがハジメだ。
ただし宝物庫に収納する間ハジメが無防備になる。香織達はそんな彼を護ろうと陣形を組む。
───させないよお
だが、ハジメが宝物庫を開こうとした瞬間、ゴーレム達は一斉に宝物庫のゲートの範囲外に後退する。その動きはまるで何かに引っ張られたかのようで、さっきまで見せていた運動性能を無視するものだった。つまり、何者かの干渉があったという事だ。恐らく、このゴーレム達を操っている者の。
「くそ。だが、これではっきりした。……視ているな、俺達を」
「ハジメ君! どうするの!」
「強硬突破だ! シア!」
「は、はいですぅ!」
「トレイシーを護れ! お前なら辿り着ける!! ユエ!!」
「ん!」
「シアの道を切り開くぞ! 今持っている弾を撃ちまくれ!! 香織!!」
「はい!」
「シアとトレイシーを護ってくれ。俺とユエなら問題ない!! 全員、いくぞ!!!」
「「「了解!!!」」」
ハジメの命令と号令に香織達は力強く応える。
まずはシアが力任せにドリュッケンを振るい眼前のゴーレム達を蹴散らし、トレイシーの元に辿り着く。その後ろをアイギスを構えた香織が駆け抜け、ゴーレム達が近づかないようにする。シアと香織がたどり着いたことでトレイシーは戦闘を彼女達に任せ、扉の窪みに嵌るように水晶の分解と再構築に取り掛かる。
〝とっけるかなぁ~、とっけるかなぁ~〟
〝早くしないと死んじゃうよぉ~〟
〝まぁ、解けなくても仕方ないよぉ! 私と違って君は凡人なんだから! 〟
〝大丈夫! 頭が悪くても生きて……いけないねぇ! ざんねぇ~ん! プギャアー! 〟
扉の窪みにあるウザイ文章にイラっとしながらも、手を動かすのを止めない。
当然それを邪魔するためにゴーレム達が迫りくる。
「でぇやぁあああ!!」
気合一発。剣を構えて迫りくるゴーレム騎士を、ドリュッケンで迎え撃つシア。打ち下ろされた大槌はゴーレム騎士をぺしゃんこにする。それだけに飽き足らず床まで粉砕していた。振り下ろした体勢のシアを無防備だと判断したのか、更なるゴーレム騎士が大剣を振りかぶりシアを両断しようとする。
横目で確認していたシアはドリュッケンの柄から手を放し、体を回転、沈ませながら大剣を避ける。
「うおりゃあああああ!!」
そのまま流れるような動きで体のバネを伸ばし、飛び上がりながら拳を振り上げる。強化魔法で強化された拳で繰り出されたアッパーカットは、盾を粉砕しながらゴーレム騎士を天井に向かって打ち上げる。偶然にも吹き飛んだゴーレム騎士は、滞空していたゴーレムワイバーンの翼に命中し、粉砕。ゴーレムワイバーンは墜落した。
香織が教えた地球の太極拳をシアなりにアレンジした一撃だ。そのまま再び体を回転させ、ドリュッケンの柄を掴みなおすと、回転しながら引き抜き、その余波だけでゴーレム騎士達をけん制する。
問題なく戦えているシアだが、やはりまだ経験が足りないせいでトレイシーの所へゴーレム達の接近を許してしまう。慌てて助けに入るが、そのせいでシア自身が危険にさらされてしまう。三体のゴーレム騎士がシアへと突きを放ってきた。しかもタイミングも位置もバラバラの波状攻撃だ。
「やらせないよ!!」
そんなシアをカバーするのは香織だ。シアに迫るゴーレム騎士三体をアイギスでいなし、防ぎ、叩きのめす。たまに魔導拳銃のリヒトで射撃をしているが、時たま攻撃が間に合わず接近を許してしまったゴーレム騎士や、ゴーレムワイバーンのブレス攻撃をアイギスで防ぐ。そして、殴り返す。ゴーレム騎士が落とした剣を拾って投擲なんかもしていた。もしかしたらシア以上にアグレッシブに戦っているかもしれなかった。
一方、2人を先に行かせたハジメ達も激しい戦いを繰り広げていた。
「ん。そこ」
バンッと銃声が響き渡り、ゴーレム騎士の頭が弾ける。
ユエの魔導拳銃ロートから放たれた銃撃だ。着弾した瞬間、銃弾に込められていた火炎魔法が炸裂し、小規模な爆発を起こす。ライセン大渓谷より魔法の分解作用が強い為に威力は抑えめだが、それゆえ味方を巻き込まずに済んでいる。その分、ユエは速く正確に敵を倒すために射撃に集中していく。
ハジメもユエのようにドンナーで銃撃し、隙を見ては宝物庫からミサイルポッドを取り出して単発のミサイルを放ち、飛んでいるゴーレムワイバーンを撃ち落としたりして援護している。
「開きましたわ!! 皆さん逃げますわよ!!」
やがて扉の封印を解いたトレイシーが声を張り上げる。見てみれば扉は解放されていた。
戦いながら扉の方に移動していたハジメ達は、急いで駆けこむ。
ついでにハジメはいくつかのミサイルを置き土産に発射しておき、追いかけられないようにする。
何せゴーレム達は最終手段なのか、何体かのゴーレム同士で合体し始めていたのだ。例えるならば、ニチアサの戦隊ヒーロー番組の終盤に登場する巨大ロボ。見るのはいいが戦うのはちょっと遠慮したい。おそらく地球から来たという八人目の入れ知恵だろう。トータスの人間があんなものを思いついたとは、ちょっと思えない。
ミサイルが爆発した瞬間、部屋の扉を閉めて奥に進む。
辿り着いたのは何もない四角い部屋だった。先に進む道もない。
一息ついたハジメ達は警戒しつつも、武器を点検したり銃弾を補充したり、怪我をしていないか確認する。
特に、扉を開放するために無茶な突撃をしていたトレイシーの背中を、香織がさすっている。
しかし、何も起きない。
「これ見よがしに封印していて、実は何もないっていうことか?」
「嫌らしい。ミレディらしい」
「おのれミレディめぇ。何処までもバカにしてぇ!」
「その場合はまた何か起きますわねえ」
「考えただけでも辟易だよ」
全員がぼやいていると、あの音が響き渡った。
ガコンッ!
「「「「「!?」」」」」
仕掛けが作動する音と共に、部屋がガタンと揺れ動いた。そして、部屋が大きく傾いた。何と部屋が回転し始めたのだ。慣性を無視したようなめちゃくちゃな動きだ。グルグル回転しながら部屋が四方八方に動きまくる。
「うきゃ!? へぎゅ?!」
突然のことに、シアが悲鳴を上げながらゴロゴロと転がる。ハジメは香織とユエの腰を掴み、錬成で足場とブーツを固定することで難を逃れている。トレイシーは近くにいた香織が掴んでいる。
哀れシアだけがシェイク地獄にさらされていた。
約40秒後。ようやく部屋のシェイクが終わり、ピタリと止まった。止まるときも慣性を無視するようにピタリと止まったために、転がっていたシアが部屋の中をポーンと飛んでいき、
「へぶうぅっ!?!?」
壁に顔面からぶつかった。ズリズリと床に落ちて、力なく横たわる。
「無事だな。シア以外」
「そうだね。とりあえず、シアは私が診ておくよ。トレイシーさん、立てる?」
「ええ。ありがとうございましたわ。少し私も気を落ち着けますわ」
「ん。私も」
ハジメと香織がそれぞれ掴んでいた相手を下ろす。遊園地のアトラクションなんて真っ青な勢いで、平衡感覚を揺さぶられたのだ。全員、違いはあるがゆっくり休みたかった。
「ううぅ」
「大丈夫シア? 無理に動かないで」
「あ、ありがうっぷ」
「あー。しゃべっちゃダメ。吐いちゃうよ。乙女にあるまじき顔なのに、さらにとんでもない顔になっちゃうよ?」
「うう、そんなの嫌ですうぇっぷ」
香織がシアを介抱し、彼女が落ち着くまでハジメ達は待っていた。
何とか起き上がれるようになると、入ってきた扉に向かう。あれだけ移動したのだから、扉の先は別の部屋になっているはずだ。
そうして進んだ先には……。
「この部屋なんか見覚えないか?」
「物凄くある。あの石板なんか」
「どう見てもシアが壊したやつだよね?」
ハジメ、ユエ、香織が部屋の真ん中にあった石板の残骸を指さす。
「えっとつまりですよ? 私達は」
「最初の部屋に戻されたという事ですか」
わかっていたことだが、口に出されるとジワジワと認識が追いついてくる。それと同時に床に文字が浮き出てきた。
〝ねぇ、今、どんな気持ち? 〟
〝苦労して進んだのに、行き着いた先がスタート地点と知った時って、どんな気持ち? 〟
〝ねぇ、ねぇ、どんな気持ち? どんな気持ちなの? ねぇ、ねぇ〟
「「「「「……」」」」」
全員の顔からストンと表情が抜け落ちる。わかっていたことだが、仕掛けた相手にこんなウザイ文章で指摘されると、湧き上がるものがある。
だが、この程度は序の口だった。
〝あ、お届け物だよ〟
〝ちゃんと受け止めてあげてねえ〟
ガコンッ!
例の音共に部屋の天井がスライドして、大きな穴が開いた。そこから、何かが出てきた。
「「「わああああああっっ!?!?」」」
ザザアアアアアッッ──!!!
悲鳴と共に大量の水が流れ込んできたのだ。咄嗟にハジメ達はその場所を離れる。
そして、水と一緒に流れてきたものを見て目を見開く。
「ガブモン!?」
そう、ハジメのパートナーのガブモンだったのだ。他にもテイルモン達もおり、全員ずぶぬれだった。
水は部屋の隙間から排水されたのですぐに無くなったが、濡れたデジモン達はすぐには乾かない。
宝物庫からタオルを取り出し、それぞれがパートナーの身体を拭く。シエルもトレイシーがタオルを手渡す。
拭きながらデジモン達に何があったのか聞いてみる。
ガブモン達もハジメ達と同じような迷宮に飛ばされたという。ただハジメ達と違ってデジモンのイミテーションとの戦闘が続いたという。
そして、最後には完全体デジモンのイミテーションと戦ったのだという。そのデジモンとは……。
「エテモンのイミテーション!?」
「なんとも凄い相手と戦ったな」
驚きの声を上げる香織とハジメ。何せエテモンと言えば、完全体デジモンの中でも侮れない実力を持っているからだ。幸いイミテーションだったため本物ほど強いわけではなかったが、手ごわい相手だったという。
何とか倒したガブモン達だったが、進んだ先の部屋の四方八方から水が流れ込んできて、ミキサーのように振り回されたという。そのまま排水溝に流され、ハジメ達の目の前に排出されてきたというのだ。
落ち着いたガブモン達だったが、ふと床の文字に気が付くと、先ほどのハジメ達同様に表情が抜け落ちた。さらに、新しい文字が浮き出てきた。
〝あっ、言い忘れていたけれど、この迷宮は一定時間ごとに変化します〟
〝いつでも、新鮮な気持ちで迷宮を楽しんでもらおうというミレディちゃんの心遣いです〟
〝嬉しい? 嬉しいよね? お礼なんていいよぉ! 好きでやっているだけだからぁ! 〟
〝ちなみに、常に変化するのでマッピングは無駄です〟
〝ひょっとして作っちゃった? 苦労しちゃった? 残念! プギャァー〟
ガブモン達だけでなく、ハジメ達の表情も再び抜け落ちる。つまり、あれほど苦労した探索が全く意味をなさなかったというのだ。マッピングも実はハジメがこまめに行っていたのだが、全くの無駄。
全員が怒りを爆発させようとしたその時。
──コツコツ。
迷宮への入り口に繋がっている通路から、何者かが歩いてきた。その足音が静かな部屋に響く。
怒りに支配されようとしていたハジメ達だが、すぐさま頭を切り替え、警戒を強める。
「光に包まれたとき、俺はある感覚を覚えたんだ。何かこう、血が冷たくなるような感覚だ」
「この声は……」
通路の闇の中から聞こえてきた声に、ハジメが思わず警戒を解く。それは香織達もだった。
何せ、自分達にも、デジモン達の中にも姿が見えなかったのだから。
そう、通路からやってきたのは。
「そして光が晴れた時、俺はすぐさま周囲を探索した。そこは───何も変わっていなかった。つまり俺は……」
遠藤浩介だった。
「俺、飛ばし忘れられた。フッ」
物悲しいフッとした笑いを浮かべる浩介。
実は彼、人間とデジモンを振り分ける最初の転移で、何故か転移させられずにその場に取り残されていたのだ。それからずっとこの部屋や通路の先を調べていたが、先に進む方法がわからず途方に暮れていた。そして、物音でやっとハジメ達が戻ってきたとわかり合流したのだ。
なんとも悲しい事実に、ハジメ達の怒りが行き場を失う。
そして床にまたもや文字が出てきた。
〝えっと、その、忘れてごめんなさい〟
〇デジモン紹介
エテモン
レベル:完全体
タイプ:パペット型
属性:ウイルス
突如としてデジタルワールドに出現した正体不明のデジモン。“キング・オブ・デジモン”を自称し、その戦闘力は想像を絶する。あの、謎のデジモン「もんざえモン」を陰で操っていると噂される。あらゆる攻撃に耐える強化サルスーツに身を包んで、果てることのない戦いのため今日も全世界を飛び回っている。別世界のデジタルワールドでは傍若無人な暴君として暴れ回った。
ガブモン達の前に現れたのは解放者達が用意したイミテーションデジモンだったが、オリジナル並みの曲者だったという。
必殺技は敵のハートを切なくさせ、戦意を消失させる『ラブ・セレナーデ』と、触れるものを全て消滅させる黒い球体『ダークスピリッツ』。
まえがきでも書きましたが遅れて申し訳ありません。終わらなかった残業とそれを発散するためにソロキャンプに行ってまいりました。
今月中にはライセン大迷宮を終わらせたいですがどうなるやら。
後編もお楽しみに。
PS
浩介の「血が冷たくなる」というセリフの元ネタがわかる人いますかね?ある作品の浩介と共通点を持つキャラクターのセリフです。