ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る   作:竜羽

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・あらすじ
ライセン大迷宮を攻略するためのギミックを解き明かしたハジメ達。先に進むための方法を模索し、デジモン達との絆を信じて、再び攻略に乗り出すのだった。


21話 デジモンの脅威

 ライセン大迷宮の中を、ハジメ達は猛烈な勢いで進んでいた。

 発動する罠を粉砕し、現れるウザイ文章も無視して突き進む。と、皆の中心で何かに集中していた香織が、顔を上げて指示を出す。

 

「今道が開いたよ! 急いで探して!」

「……見つけた! 全員俺に続け!」

 

 真っ先に開いた扉へ飛び込んだハジメに続いて、香織達も扉に入る。

 すぐさま部屋の壁や天井から槍や回転鋸、さらにはコロコロと小さな玉が転がってきて、次々と爆発し始める。この隠された部屋のルートに仕掛けられた罠の殺傷性は、一気に跳ね上がった。しかも絶え間なく発動し続ける、死のトラップルームとなっている。それに対してハジメ達は、より死力を尽くして攻略に挑んでいた。

 

 罠を躱して下手の中心に陣取ると、再び香織を中心に円形陣を取る。その間にも罠が作動して、ハジメ達に襲い掛かって来る。

 だが、銃撃による迎撃が、大槌による爆風が、鋭い大鎌の刃が、闇より暗き深淵より振るわれし闇の貴族の刃が、悉く粉砕していく。

 しばらくしてまた香織がハジメ達に指示を出す。

 

「今、扉が開いたはずだよ!」

「よし探すんだ!」

 

 すぐさまハジメ達が部屋の隅々に目を光らせる。

 

「ん! 見つけた」

 

 今度はユエが見つける。すかさずハジメ達は先に進む。

 

「よし。順調だ。香織、ガブモン達の様子はどうだ?」

「……うん。みんなまだまだ余裕があるみたい。もう何度も通ったルートだからね」

 

 今、香織にはデジモン達の様子が頭の中に浮かんでいる。

 これは今彼女のパートナーデジモンのテイルモン、いや完全体に進化したエンジェウーモンが視ている光景だ。

 テイマーとパートナーデジモンは、進化するほど肉体と精神が同調していく。かつてオルクス大迷宮の中にいたハジメの状況を、進化したワーガルルモンが感じ取れたように。

 そのことを思い出した香織は、エンジェウーモンと通じることで2つの迷宮の様子を、リアルタイムで把握できないかと考えたのだ。

 最初は完全体に進化できるデジモンは全員進化させてから行こうとしたのだが、迷宮の通路には入れなかった。迷宮の中に入る魔法陣からもはみ出してしまう。そうなると魔法陣は起動せず、中には入れなかった。進化すると体格が大きくなることが、仇になってしまったのだ。

 そこで進化しても人間とほとんど大きさが変わらない、エンジェウーモンとテイマーの香織が選ばれた。

 香織はデジモン達がイミテーションのデジモンを倒したタイミングを把握し、扉が開いたことを伝えることに集中している。そんな彼女を護り、開いた扉をいち早く見つけるのが、ハジメ達の役目だ。

 隠されたルートについては、デジモン達がイミテーションを倒すことで必ず扉は開かれるのだが、倒すイミテーションによって開かれる扉とルートが異なる。だから、ハジメ達を進ませるために、デジモン達は正しい順番でイミテーションを倒す必要があり、それを伝えるのがエンジェウーモンだった。

 

 進むテイマーと、扉の鍵となるイミテーションを倒すパートナーデジモン。両者が固い絆で繋がり、意志を伝えあうことで初めて、この大迷宮は攻略できるのだ。

 この方法を見つけて攻略を始めた日から、1週間かけてライセン大迷宮の隠しルートを捜索した。

 

 そして遂に、ハジメ達は正解のルートを見つけることが出来た。

 

 ハジメ達が迷宮を走っているのと同じように、デジモン達も走っていた。

 

「次はウッドモンよ。道は憶えているわね?」

「もちろんだ!」

「急ごう! シア達を先に進ませないと!」

 

 エンジェウーモンにまだまだ元気だと声を張り上げるガブモンとコロナモン。ルナモンとシエルは静かだが、その顔に疲れは浮かんでいない。

 進んだ先の部屋に現れたウッドモンのイミテーションも、炎技が使えるガブモンとコロナモンが中心となって、一撃で倒した。

 

 それを感じた香織が、ハジメ達を次の部屋に導く。

 

 やがて、ハジメもデジモン達も今まで見たことのない部屋に辿り着いた。

 

 ハジメ達の目の前には、巨大なワイバーンのゴーレムが三体いる。

 ゴーレムワイバーン達はハジメ達が入ってきたのを感知すると、体が一気にバラバラになった。警戒するハジメ達の前で、バラバラになったゴーレムワイバーンの部品が1つになり、再構成される。

 生まれたのは三つの首を持つ、ゴーレムドラゴンだった。

 これを見たハジメと香織、浩介が思ったことは1つ。

 

「「「なんでキン〇ギドラ!?」」」

 

 一方デジモン達の方も目の前の敵に対して警戒を強める。

 

「マンモン。完全体か」

 

 ガブモンが警戒する目の前には、巨大なデジモンが長い牙と鼻を振り上げている。

 太古の地球に存在したマンモスに酷似した、完全体の古代獣型デジモンのマンモンだ。

 当然、イミテーションなので本物ほどの力はないが、巨体で暴れられると厄介だ。

 それ以外にデジモン達が気になっていることがあった。

 ルナモンがぼそりと呟く。

 

「倒してきた順番はゴーレモンに始まって、

 クワガーモン、

 ローダーレオモン、

 ウッドモン、

 サンダーボールモン、

 最後に、マンモン……」

 

 倒してきたデジモンの名前の頭文字を並べてみると、「ゴクロウサマ」だった。

 これを聞いていたデジモン達と、エンジェウーモンと繋がっていた香織が思ったことは1つ。

 

 ──変に細かいネタが仕込まれていてなんかウザイ!!──

 

 労いなのか、煽りなのかわからないミレディの小ネタにツッコミを入れつつ、二つの迷宮で戦いが始まる。

 

 ハジメ達はキン〇ギドラもどきゴーレムと激しくぶつかり合う。三つの首から黄金の稲光が放たれ、咄嗟に前に出た香織がアイギスで受け止める。とはいえ結界魔法を使えないので、守れたのは後衛のハジメとユエだけだった。しかし、他のメンバーは守ってもらうまでもなく、前に出て接近戦を始める。シア、トレイシー、コウスケ・E・アビスゲートの動きは、迷宮に挑み始めた時よりも洗練されていた。

 

「シア・ハウリア!」

「かっ飛べですうぅ!!」

 

 名前を呼ばれたシアが淀みなくドリュッケンを構え、相手目がけて振り抜く。そこに向かってトレイシーが軽やかに飛び乗り、大ジャンプする。勢いを活かしてエグゼスを振るい、右の首を一本斬り落とす。そのまま魔力を足に集中して着地した。

 

 ライセン大迷宮で身体強化魔法を使ううちに、ハジメ達は魔力を無駄にしないために、効率的な魔力の運用能力が、知らず知らずのうちに身についていたのだ。特に顕著なのが、シアと香織、そしてトレイシーだった。身体強化魔法に適性のある2人はもちろん、異世界人のような優れたスペックを持たないトレイシーは、自分の力を活かすために、必死で力を磨いていた。その努力が結実したのだ。

 試練がもたらすのは神代魔法だけではないという事だった。

 今のシアとのコンビネーションも、前にやった時はトレイシーの手足の骨にひびが入っていた。すぐに香織に治してもらったが、苦し紛れの自爆技だったのだ。それが今では無駄のない魔法の運用を身に付けたおかげで、怪我を負うこともなくなった。

 

 トレイシーが付けた傷に向かって、ハジメとユエが射撃を行う。使ったのは炸裂弾で、着弾した瞬間に爆発する。それがトドメとなって右の首が落ちる。だが、相手はゴーレムなのでしばらくしたら再構築されるだろう。

 しかし、そうはさせないと傷跡に飛び込む男がいた。

 コウスケ・E・アビスゲート卿だ。

 ゴーレムの中に入り込むと、懐からデジヴァイスを取り出す。

 

「スピリットエヴォリューション!!」

 

 浩介の身体がデータに包まれて、闇の闘士のスピリットと1つになる。

 闇の獅子を模した鎧を身に着けた、正義の闇の戦士。

 

「レーベモン!!」

 

 進化したレーベモンは闇のエネルギーを高めると一気に解き放つ。

 

「《エントリヒ・メテオール》!!」

 

 胸部の獅子からエネルギー波を放ち、ゴーレムを内部から破壊していく。

 レーベモンはそのままエネルギーを縦横無尽に放ち、ゴーレムを木っ端みじんにしていく。ゴーレムは再構成できない程まで破壊され、後には無傷のレーベモンが立っていた。

 

 それと同時にデジモン達も、マンモンのイミテーションとの闘いを終わらせようとしていた。

 デジモン達の作戦は単純で、エンジェウーモンの必殺技の準備が整うまで、マンモンの気を逸らすというものだった。空中に舞い上がったエンジェウーモンが、雷の矢を放つ構えを取ると、デジモン達はマンモンの足を攻撃する。当然、マンモンは踏みつぶそうとするが、デジモン達も迷宮を攻略する中で身のこなしが良くなり、危なげなく躱していく。

 あとはエンジェウーモンの準備が整えれば、一発だった。

 頭を撃ち抜かれたマンモンは倒れ、デジモン達は次の部屋へと進む。

 

 ハジメ達もマンモンが倒されたことで、次の部屋への扉が開き、先へと進んでいった。

 

 

 

 ■■■■■

 

 

 

「あー。マジかー。いやデジモン達の方はわかるんだけど、まさか人間がデジモンになるなんて。この場面になるまで温存していたの? 流石といえばそうなんだけど、迷宮のコンセプト無視じゃん。これはお仕置きかな」

 

 

 

 ■■■■■

 

 

 

 ハジメ達が飛び込んだ部屋は、これまでとは一線を画す場所だった。

 巨大な部屋で終わりは闇に包まれて見えない。周囲には正方形のブロックが、重力を無視して浮遊している。

 念のために進化したままのレーベモンに先行してもらい、奥に進んでいく。

 ある程度歩いたとき、シアが焦燥に満ちた声を上げた。

 

「逃げてぇ!!!」

 

 何が? と問うこともせず、全員が可能な限り全力でその場を離れる。

 

 直後、さっきまでハジメ達がいた場所が大爆発を起こした。

 

 ハジメ達がさっき使った炸裂弾よりも強力な爆発は、さらに同規模以上の爆発が起こり、連鎖的に床が崩壊していく。爆風に煽られながら、咄嗟にレーベモンがシアとトレイシーを、ハジメがユエと香織を掴んで浮遊しているブロックの1つに飛び乗る。床だと思っていたが、浮遊ブロックの1つだったようだ。巨大なブロックだったが、同時多発的に起こった爆発によって、瞬く間に粉々になっていく。後に残ったのは底の見えない闇の底だった。まるでオルクス大迷宮65階層の奈落の底のようだ。

 

 だがそれだけだ。

 

 なぜ爆発が起きたのか分からず、起こした相手も姿が見えず、ハジメ達は視線を右往左往させて警戒しながらも、間一髪助かることが出来た功労者であるシアを労う。

 

「シア、助かった。ありがとう」

「うん。シアがいなかったあそこで終わっていたよ」

「ん。お手柄」

「貴方の魔法がわたくし達を救いましたわ」

「素晴らしい判断だった。流石の我でもあの爆発に、足場の崩壊では全員を助けることは不可能だった。闇の十闘士のスピリットを受け継ぐものとして、感謝をささげる。白亜時空瞳術使いのシアインフレイアー」

「えへへ。〝未来視〟が発動して良かったです。魔力はごっそりなくなりましたが。あと深淵卿は変な名前を付けるな。潰すぞ」

 

 シアの〝未来視〟は自身に死が迫ると、間接・直接を問わず自動発動するのだ。つまり今の爆発でシアは死亡する可能性があったということだ。下手をすればハジメ達も。それを救われたのだと感謝され照れくさくてはにかむシア。ただし、変な呼び方をした深淵卿にはキャラ崩壊を起こした。表情にもはにかんだ笑みに、怒りマークを付け加えた器用な顔をする。最近、深淵卿を使いすぎて、少し言動に異常が出ているようだ。咄嗟にハジメが「シアを仲間にしてよかった」と言ったことで、シアの怒りは霧散したが。

 シアの減ってしまった魔力を香織が補充している中ハジメ達が警戒を強めていると、部屋の上から1つのブロックが降りてきた。そのブロックの上には小さな人影があった。

 

「やほ~。初めまして~。みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~」

「「「「「「……は?」」」」」」

 

 ピョンピョンと跳ねながら、ふざけた挨拶をしてきた。よく見ると人間ではなくゴーレムだった。顔にはお面があり、ふざけた笑顔のニコちゃんマークの絵が描かれていた。

 

「おいおいチミたち~。人が折角挨拶しているのに返事をしないなんて。まったくもう。最近の若者の教育はどうなっているんだい。まったくもう」

 

 やれやれと肩をすくめるニコちゃんゴーレム。

 実にイラっとする話し方と言葉は、この迷宮の中でさんざん見てきたウザイ文章を彷彿とさせる。〝ミレディ・ライセン〟と名乗っていることから本人である可能性もあるが、彼女は既に死んでいるはずであるし、人間だったはずだ。こんな愉快なゴーレムのはずはない。

 とりあえず、ハジメは話をしてみることにした。

 

「そいつは、悪かったな。だが、ミレディ・ライセンは人間で故人のはずだろ? まさかフリージアみたいに自分の事をミレディ・ライセンと思い込んでいるゴーレムか?」

「およよ? フリちゃんの事を知っているんだ。まさかオー君の大迷宮をクリアしたの?」

「オスカー・オルクスの大迷宮ならクリアした。だから、ゴーレムが自我を持って喋っているのも納得できる。だがなぜミレディ・ライセンを名乗っているんだ? 狂って壊れたか?」

「プンプン! 失礼な! この私が壊れるもんかい!」

 

 ハジメの物言いに今度は怒り表すミレディ。ニコちゃんマークの顔までいつの間にか怒りの表情になっていた。だが、次の瞬間にはまたニコニコマークになる。

 

「ふふん。いい女には秘密があるものなのだよ。私の正体とかが知りたければ見事、大迷宮の最後の試練を突破してみよ! って感じかな」

 

 胸を突き出したセクシーポーズを取りながら言い放つミレディ。ゴーレムがそんなポーズを取っても、困惑するしかない。

 

「まあ、それとは別に。まさか人間がデジモンになるなんて、ミレディさん驚いたよ」

 

 レーベモンを指さしながら、今度はびっくりした顔になるミレディ。

 

「でもねえ、このまま君がいたらこの大迷宮の意味がないんだよ。だから──」

 

 ──マジでやるから、死なないでね。

 

 その言葉が終わると同時に、ハジメ達の周囲の空間が前触れもなく爆発した。

 

「ちっ!?」

「ハジメ君!?」

「香織はトレイシーと一緒に!」

 

 宝物庫を起動させ、頑丈な鉱石でできた盾を複数取り出して、爆発から全員を護るハジメ。

 その間に全員が戦闘に移行する。

 もっとも肉体強度が低いトレイシーを香織が護る位置に立ち、シアとレーベモンが爆発を突破してミレディに飛び掛かかり断罪の槍とドリュッケンが振るわれる。

 

「にへ」

 

 迫りくる2人に対し、ミレディは小さく笑い声を漏らすと、周囲のブロックのように浮遊して逃げる。

 2人の攻撃がブロックを粉砕する。それを尻目に、ミレディは高く浮遊する。

 

「おいおい。君達と戦うのは私じゃないぜ~。……とくと味わいなよ。デジモンの脅威ってやつを」

 

 ミレディがそう言った瞬間、彼女の頭上から猛烈な勢いで巨大な何かが降りてきた。

 

「ぐおっ!?」

「きゃわわっ!?」

 

 足場もなく空中にいたレーベモンとシアは、あっさりと降りてきた何かに捕まる。

 2人を捕まえたのは、黒い身体に灼熱の炎を身に纏った竜のようなデジモンだった。

 手はないが強靭な脚と雄々しい翼は、まさに威風堂々とした風格を放っている。

 オルクス大迷宮のラスボスだったメタリックドラモンに似たシルエットで、一回り小さいが、感じる危険度は並ではない。

 

「完全体デジモンのラヴォガリータモン。さあ。倒せるかな?」

 

 ミレディの紹介と共に咆哮を上げるラヴォガリータモン。肉体から溶岩のような煌々とした炎を噴き上げる。当然、掴まれているレーベモンとシアは焼き焦がされる。

 

「あああああああああああああっ!!?!?」

「ぐうっ、シア!」

 

 デジモンのレーベモンはまだ耐えられるが、シアには無理だ。ラヴォガリータモンが放つ熱エネルギーは、火山の噴火と表現しても相違ない。急いで抜け出さなければ。

 

 ドガンドガンッ! 

 

 ラヴォガリータモンにミサイルが着弾。さらに冷気が包み込む。

 ハジメが補充しておいた虎の子の冷凍ミサイルだ。

 突然の冷気によって体表温度が急激に低下し、思わず2人を掴んでいた脚を離すラヴォガリータモン。

 

「掴まれ!」

 

 ハジメが左腕の義手に仕込んでいたロケットアンカーを飛ばす。

 レーベモンはそれを掴み、もう片方の手でシアを掴む。シアはあまりの熱さに半身に酷い火傷を負い、ぐったりとしている。

 急いでアンカーを巻き上げたハジメは、急いでシアを香織の近くに連れていき、回復を頼む。

 

「シア! 酷い火傷……」

「治療を急いでくれ! あいつらを相手に時間を稼ぐのは……」

「大丈夫。最速で最大限に治すよ」

「頼む。レーベモンは」

「我は問題ない。だが、あのデジモンはイミテーションではないな」

「ああ。イミテーションじゃない。本物のデジモンだ」

 

 パートナーデジモンがこの場にいないので、デジヴァイスでデータを読み取ることはできない。しかし、デジモンであるレーベモンと、テイマー歴が最も長いハジメの勘が、ラヴォガリータモンがイミテーションではない、本物であると告げていた。

 シア達を護るために、壁になる盾をさらに取り出し、〝錬成〟で足場のブロックと強固に固定。即席の防衛陣地を作る。

 

 ハジメ達がシアを治癒している間に、ミレディがラヴォガリータモンに向かって魔法を放つ。

 

「〝極大・蒼天槍〟」

 

 炎属性最上級魔法〝蒼天〟3発分を槍上に圧縮した、超高等魔法で冷気を浴びたラヴォガリータモンを熱する。元に戻っただけでなく、更なる炎を取り込み、大きく燃えあがる。

 ラヴォガリータモンが翼を一振りすると、そこから黒い灰のような粉塵を纏った風が周囲に吹き荒れた。

 

「《ワイルドブラスト》!!!」

 

 次の瞬間、周囲が大爆発を起こした。

 あまりの衝撃にとっさにレーベモンが贖罪の盾を構えて受け止める。

 

「ぐうう、これは……」

 

 スカルバルキモンの攻撃と同じか、それ以上の威力に苦悶の声を上げるレーベモン。

 やがて爆発が収まり、耐えたことに一息つく。

 だが、状況は変わっていない。むしろより悪くなっていた。

 

「はいはい。油断しないの」

 

 パン。

 場違いな小さな音、ミレディが手を叩いた音がした瞬間、レーベモンの左腕が爆発した。

 

「ぐああっっ!?」

「コウスケ!?」

 

 突然の爆発をまともに受けてしまったレーベモンは吹き飛び、それを目にしたトレイシーが悲鳴を上げる。

 今までの攻撃を見ていたユエは、あることに気が付いた。

 

「……さっきの攻撃と今の爆発。まさか、さっきからの爆発は、あのデジモンの……灰?」

「お、そこの吸血鬼ちゃんせいかーい」

 

 かなり離れていたのに、ユエの小さな声を聞きつけたミレディがスイーッと近づいてきた。咄嗟にロートの銃口を向けるが、ミレディは構わずに話しかける。

 

「今までの攻撃はラヴォガリータモンが振りまく粉塵による物さ。空気中に散らした粉塵は、ラヴォガリータモンの意思で自在に発火・爆破するんだよん。さっきの《ワイルドブラスト》でここ一帯に拡散したし、この暗闇だよ。見えるかなあ? わかるかなあ?」

 

 話の内容はハジメ達にも聞こえており、あまりにも凶悪な攻撃方法に戦慄していた。

 

「さあ。もう一度言うよ。デジモンの脅威をたっぷりと味わいたまえ♪」

 

 




〇デジモン紹介
マンモン
世代;完全体
タイプ:古代獣型
数々の形跡から、遥か昔に存在していた事実は明らかになっていた古代デジモン。デジタルワールドの温暖化によって、超圧縮されていたデータが解凍され、氷に閉ざされていた氷雪エリアから姿を現した。全身を濃い体毛で覆われ、太古の強大なパワーを持つデジモンだが、極端な熱さに弱い一面を持つ。顔面を覆う仮面に刻まれた紋章は、超古代の英知の結晶であり、遥か彼方まで見通すことができる千里眼の力を持ち、大きな耳は遠く離れた場所の音まで聞き分ける。必殺技は長く伸びた2本の牙で相手を突き刺す『タスクストライクス』と、長い鼻から一気に冷たい息を吐き出して、どんな相手も一瞬で凍らせる『ツンドラブレス』。


ミレディとの邂逅でした。原作と違い巨大ゴーレムではなくミニゴーレムでの初登場です。
ただし現れたのはラヴォガリータモン。ぶっちゃけかなり厄介なデジモンです。
巨大ゴーレムよりもやばい相手ですので、ハジメ達がどうやって戦うのか、お楽しみに。

巨大ゴーレムはどこに?というのも次話にて。
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