ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る   作:竜羽

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お待たせしました。最新話です。でもたぶん今までで一番少ない文字数かもしれません。

・前回のあらすじ
攻略の手掛かりを見つけたハジメ達は、遂に最後の部屋と到達する。
しかし、そこにはミレディ・ライセンを名乗るゴーレムと完全体デジモンのラヴォガリータモンが待ち構えていた。
暗闇に紛れた粉塵で、自在に爆発を起こす強敵を前に戦慄するハジメ達。
一方その頃、デジモン達も……。



22話 人間の悪辣さ

 ハジメ達が戦っている頃、デジモン達もまた戦っていた。

 

「そーい」

「うおおおっ!!」

 

 飛んできた巨大な腕を必死で躱すガブモン。

 

「《ティアーシュート》!」

「《コロナフレイム》!」

 

 水と炎の球体が放たれるが、腕の一振りでかき消される。

 

「《白詰一文字切り》!!」

 

 音もなく忍び寄ったシエルが愛刀で斬りかかるが、ガキンと空しく弾かれる。

 

「これは私とは相性が悪い相手ですね」

 

 冷静に判断するシエルだったが、悔しそうに歯噛みする。

 

「《ホーリー……」

「それはダメだよーん」

 

 必殺技を放とうとしたエンジェウーモンだったが、突然飛んできた岩のブロックに邪魔され、技を撃つのを止める。

 

 今ガブモン達が相手をしているのは超巨大なゴーレムだった。

 マンモンを倒して進んだガブモン達は、ハジメ達が到達した部屋と同じような、ブロックが浮遊する部屋に出た。

 そこに現れたのが、全長二十メートル弱はある全身甲冑のゴーレムだ。ブロックと同じように浮遊しており、左腕には鎖がジャラジャラと巻き付いており、フレイル型のモーニングスターを装備している。

 見た目通り堅牢なゴーレムには、成長期では攻撃力が足らない。シエルの技は暗殺に優れたもので、先ほど漏らしたようにこのゴーレムとは相性が悪い。よって警戒するべきはエンジェウーモンだけになり、徹底的にマークされていた。

 警戒するガブモン達にゴーレムの中から声がした。

 

「やほ~。初めまして~。みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~」

「「「「「……は?」」」」」

 

 奇しくもハジメ達と同じ反応を返してしまった。

 そこから語られるのは、ハジメ達と同じく話しかけてきたのはミレディ・ライセンという衝撃の事実。ハジメ達の所に現れた小さなゴーレムと違い、凶悪な装備に身を固めた超巨大ゴーレムというところが、あちら以上にシュールだった。

 

 ハジメ達とデジモン達に知る術はなかったが、ミレディ・ライセンを名乗るゴーレムが二体現れるという不思議なことが起きていた。これが何を意味しているのか……。

 

「とりあえず、君たちのテイマーも今は戦っているよ~。この大迷宮はあっちとこっちでミレディさんを倒せないとクリアにならないから、死ぬ気で頑張ってね。デジモン相手なら手加減無しの全力全開で行くよ♪」

 

 ふざけた口調だったが、強い戦意を放ちながら、ミレディ・ライセンを名乗る超巨大ゴーレム──ミレディ・ゴーレムはガブモン達に攻撃してきた。

 言葉通りに、容赦なく、手加減抜きの苛烈な攻撃だった。

 しかもただ力を振るうだけでなく、例え攻撃が当たって腕や足を破壊できても、状況を覆すことはできなかった。

 

「新しい腕だよ♪」

 

 部屋のどこかから新しいパーツが飛んできて、瞬く間に修復されてしまう。今までのゴーレムとは桁違いの能力をみせた。

 このままでは進化していないガブモン達から先にやられてしまう。エンジェウーモンは覚悟を決めた。

 

「シエル! みんなを護って!」

 

 8枚の翼を大きく羽ばたかせて、猛スピードでミレディ・ゴーレムに突っ込むエンジェウーモン。遠距離技では妨害されるならば、接近戦を挑むしかない。

 

「む!?」

「《ホーリーチャージキック》!!」

 

 右足にエネルギーを込めて、鋭い蹴りを放つ。

 

 ドゴンッ! 

 

 飛行スピードも乗せた蹴りは、ミレディ・ゴーレムの胸部の中心に吸い込まれていき、爆弾を爆発させたような轟音を響かせる。

 あまりの衝撃にミレディ・ゴーレムは吹き飛ばされ、体勢を崩す。

 

「ひにゃあ!?」

「《フライングキック》!!」

 

 その隙を逃さず、空中からキックを連続で浴びせる。エネルギーをチャージしていないが、凄まじい威力で同じ部分を中心に攻撃を加えていく。ミレディ・ゴーレムの装甲にはどんどんダメージが蓄積され、破壊されていく。

 

「《エンジェルウイング》!!」

「うわひゃあああ!!?」

 

 とどめは翼にエネルギーを纏わせ、輝かせながら側転。翼で打ち付ける。エンジェウーモンが宿している強力な聖なる力を込めた一撃に、ミレディ・ゴーレムは吹き飛ばされた。

 ドスンという音を立てて倒れ伏すミレディ・ゴーレム。しかし、顔を歪ませたのは攻撃をしていたはずのエンジェウーモンだった。

 

「ぐっ!?」

「エンジェウーモン!?」

「どうしたんだ!!」

 

 顔を歪ませて地面に降りるエンジェウーモン。ガブモン達が駆け寄ると、攻撃をしていた手足や翼が腫れ上がっていた。どれもミレディ・ゴーレムへの攻撃に使っていたところだ。

 どういうことだと困惑するガブモン達の耳に、倒れていたミレディ・ゴーレムが起き上がる音と、ミレディの声が聞こえた。

 

「いやー。流石は完全体。華奢な見た目に似合わずとんでもないキックだったよ」

 

 でもね~。とミレディ・ゴーレムは厭らしい声音で続ける。

 

「ミレディさんの装甲は何と何と~~クロンデジゾイドでできているのでしたあ!!」

 

 ホラホラと見せびらかすように、先ほどエンジェウーモンの攻撃で壊れた装甲部分をみせる。そこには傷1つない、鋼色の金属の装甲があった。破壊出来た手足と違って、デジタルワールドでもっとも頑丈と言われる、クロンデジゾイドの装甲で堅牢に守られていたのだ。

 いくらエンジェウーモンが完全体とはいえ、素手での攻撃では歯が立たない。むしろ逆にダメージを受けてしまう。

 

「でもそれは、そこがそうまでして守らなければいけない部分。替えの利かない弱点ということですね」

「そうさ。でも君達にこれを破壊できる? 成長期ばかりで、完全体の天使ちゃんも歯が立たないのに?」

 

 シエルに弱点を指摘されても、余裕を崩さないミレディ・ゴーレム。最高戦力だったエンジェウーモンが、逆にダメージを受けてしまうほどの装甲に守られているのだから当然だった。

 

「だとしても諦めない。ハジメ達も戦っているんだ」

「その通りだぜ! 絶対に勝ってシアの所に戻るんだ!」

 

 絶望的な状況でも諦めるそぶりを見せないガブモン。コロナモンも追随し、静かだがルナモン、エンジェウーモン、そしてシエルも戦う意思を失わない。

 

「いいねいいね。それでこそ、ここまで来た挑戦者だ。さあ戦いの再開だよ♪」

 

 ミレディ・ゴーレムが宣言すると、再び部屋の奥からパーツが飛んできて傷ついたパーツと交換される。それだけでなく、さらに武装が追加されていく。

 背中に巨大な翼が、両肩に巨大な大砲が二門も装着される。左手は鋭く回転する槍の腕、いわゆるドリルアームになって激しい回転音を響かせている。

 より攻撃的な武装になったミレディ・ゴーレムは、翼から深紅の炎を噴き上げると空中に飛び上がった。飛行というよりも、ロケットの発射のようだ。あの翼は推進装置の役目を果たしており、飛び上がった後、放物線を描きながら猛スピードでガブモン達に突っ込んできた。ミレディ・ゴーレムの巨体だけでも驚異的な威力となる突進だが、さらに左腕のドリルアームを振り上げている。直撃したら──死。

 

「避けろ!」

 

 咄嗟にその場を飛び退くガブモン達。エンジェウーモンも痛む翼を何とか動かして飛び上がる。

 間一髪避けられたが、超重量のミレディ・ゴーレムが突っ込んだことで、ガブモン達がいた足場ブロックが粉々になり、途轍もない衝撃が起こり、ガブモン達はそれぞれバラバラに吹き飛んでしまう。

 ガブモン達は浮遊している足場のブロックに着地するが、避けることを優先したので分断されてしまった。その隙を見逃すほど、ミレディ・ゴーレムは甘い相手ではない。

 

「はっしゃ~♪」

 

 ドオオンッ!! 

 気の抜けるような声とは正反対の、重く体の芯にまで響く轟音と共に、ミレディ・ゴーレムの両肩の大砲が火を噴く。そして巨大な砲弾が発射された。

 

「くぅ!?」

 

 放たれた砲弾はルナモンがいたブロックに着弾、炸裂し一撃でブロックはバラバラになり、爆発の衝撃でルナモンが空中に投げ出された。

 

「ルナモン!!」

 

 たまたま近くにいたエンジェウーモンが助けに向かう。うまくキャッチするが、ミレディ・ゴーレムは攻撃の手を止めない。なんと腰の部分を回転させながら砲撃を続けており、息をつく暇もない。次々に足場になるブロックが粉砕され、爆発の衝撃とブロックの破片が飛び散り、とても反撃に移れない。

 他のブロックにいるガブモン達も同様であり、ブロックの陰に隠れて反撃する隙を窺っていた。

 だが、それすらもミレディ・ゴーレムの手の内だった。

 

「ポチッとな♪」

 

 上半身の回転を止めたゴーレムの巨大な手が何かを押す仕草をすると、コロナモンのいた足場ブロックから赤い粉塵が巻き上がりあっという間に包みこんだ。当然、ブロックにいたコロナモンも同様に粉塵に飲まれてしまう。

 

「粉塵爆発って知っているかな?」

 

 ミレディ・ゴーレムの言葉と共に、粉塵に火がついて大爆発を起こした。

 この赤い粉塵は、ハジメの銃弾に使用されている燃焼石に似た性質の鉱石で、燃焼性が高い。しかも感応石の効果も付与されており、任意のタイミングで着火し爆発する。まるでラヴォガリータモンの能力のような事が出来るのだ。

 

「コロナモン!!」

「そんな……」

 

 爆炎の中に消えたコロナモンにガブモン達が言葉を失う。

 

「ここはミレディさんが用意したフィールドだよ。これくらいの仕掛けはもちろんあるさ。君たちはずぅーっと私の手の中っていうことを自覚したまえ」

「手の内……最初から」

 

 ミレディ・ゴーレムの言葉にシエルが考え込む。

 思えばこの迷宮に入ってから、ミレディ・ゴーレム、もといミレディ・ライセンの言うように手の中だった。

 ガブモン達が本来の実力を発揮できれば完全体が3体、成熟期デジモンが2体の強力な布陣になる。だがそうなるには、テイマーであるハジメ達の存在が不可欠だ。そんな彼らを迷宮の入り口で分断する。さらに念を入れて、入口の魔法陣を狭くすることで、予め全員が完全体になったまま攻略できないようにした。そうして進んだ先は、ミレディ・ゴーレムが十全に戦える特別なバトルフィールド。修復・強化のためのパーツも潤沢で、足場には先ほどの粉塵爆発が起こるようなトラップもある。

 

「私達は最初から罠にかかっていたってことですか」

 

 圧倒的な力を持つデジモン達が力を発揮できないように、徹底的に対策を張り巡らせたミレディ・ライセン。その意思を受け継いだミレディ・ゴーレムがシエルの言葉を「ピンポーン!」と肯定する。そして、ふわりと空中に浮きあがり、デジモン達を見下ろしながら宣言する。

 

「人間の力を知りなよ。デジモンの強さの裏をかく人間の悪辣さこそ、君たちの天敵さ」

 

 デジモンの力に苦戦するハジメ達と同じように、ガブモン達は人間の策略に挑むことになった。

 

 




今回はデジモン達の戦いでした。
ハジメ達がデジモンであるラヴォガリータモンと戦っていたように、ガブモン達は人が作った巨大ゴーレムと戦うことになりました。原作の巨大ミレディ・ゴーレムです。ただし武装は強化されました。しかも追加換装可能という鬼畜仕様。場合によっては、エンジェウーモンよりも厄介なデジモンと戦うことを想定していますので、仕方ないですよね。
ちなみに武相の元ネタはスーパーメカゴジラと三式機龍です。まだまだ案はありますので、どんな武装が出てくるのかはお楽しみに。

そして爆炎の中に消えたコロナモンは・・・。

次話もよろしくお願いします。
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