ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る   作:竜羽

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新年あけましておめでとうございます。
年内投稿を目指していたのですが、用事が重なり遅れました。

最終決戦も中盤。盛り上げていきます。

・前回のあらすじ
追い詰められたハジメ達。起死回生の一手として繰り出したハジメの急襲も、何故かトドメの手を止めてしまったハジメ自身によって失敗してしまった。なぜ手を止めてしまったのか。それはデジモンと共に戦うミレディを傷つけることへの躊躇いだった。トレイシーからは甘いと叱責されるが、香織とユエは夢を思うハジメの優しさを肯定する。自分以上に夢を肯定してくれる大切な人のために、奮起したハジメは逆転の一手の可能性に気が付く。大迷宮の隔たりを超え、進化の光が解き放たれる。



24話 畏れを受け入れろ ビーストスピリット覚醒!

 巨大ミレディ・ゴーレムと戦っていたガブモン達は、ゴーレムの装甲と強力な武装に手に足も出ずにいた。加えて足場のブロックには罠が仕掛けられており、一瞬でも気を抜くことが出来ない。爆発に飲み込まれたコロナモンにいたっては、未だ瓦礫の中で安否不明の状態だ。早く助け出さなければと思うけれど、ミレディの攻撃が激しくてとてもそんな隙が無い。そのせいで精神的にも追い詰められていた。

 

 全ての状況がデジモン達を追い詰めていき、遂に全員が倒れ伏してしまった。

 

「へいへい。もうちょっと根性をみせなよチミたち~」

 

 ミレディに煽られるが、満身創痍のガブモンたちは言葉を返せない。それでも戦う姿勢だけは崩さないと、何とか立ち上がる。

 しかしそこから先の行動を起こせない。巨大ミレディ・ゴーレムを倒すにはクロンデジゾイドの装甲で守られている中核を破壊するしかないのだが、成長期のガブモンとルナモンでは不可能だ。成熟期のシエルは対人戦に特化しており同じく不可能。完全体であるエンジェウーモンでさえも、撃ち抜けないほどの装甲だった。

 この装甲を打ち破るには、同じクロンデジゾイドの武具が最も有効。それがあるのはガブモンが進化したワーガルルモンだけだ。しかし、今は進化をしてくれるテイマーはいない。

 まさしく八方ふさがりだった。

 

「どうだい? これが人間の悪辣さだよ。相手の弱点をついて、嫌らしく貶めて、最後には相手を這いつくばらせながら嘲笑う。これが人間という種族の本質だよ」

「そんなことないわ! 人間は、香織の優しさや愛は、そんなんじゃない!」

「確かに優しさも愛も人間は持っているよ。でもそれもひっくり返れば怒りや憎しみに代わる。そうなればどこまでも残虐なことをするのが人間だ。君たちはまだ人間というものを知らない」

 

 エンジェウーモンがミレディに反論するが、ミレディは静かに話を続ける。

 

「人間の内に秘める悪辣さ、残虐さ、残忍さ! それは君達デジモンよりも深く、いつ現れるのかわからない理不尽なものだ。昨日まで優しかった人間が、今日には豹変して悪事を働く。そんなことはありふれているんだよ?」

 

 まるで諭すかのようにミレディはデジモン達に語りかけてくる。

 

「君たちは自分のテイマーがそんなことをしないと、絶対に言い切れるのかい? それほど人間という存在のことを知っているのかい? 君たちが絶対に受け入れられないような命令を、強制して従わせようとしないと言い切れるのかい? 君たちを騙して、自分の手を汚さず、君たちに悪事をはたらかせないと言い切れる、絶対の根拠は果たしてあるのかな?」

 

 叩きつけられるミレディの言葉に、デジモン達はふと考えてしまう。

 テイマー達が自分達に笑いかけてくる裏で、残酷な企みをする想像を。

 そんなことあるはずがないと考えるが、出会って半年も経っていないエンジェウーモンと、生まれたばかりのルナモンは思い浮かべてしまう。

 

 香織は確かに優しいし、ハジメへと深い愛情を持っている。しかし、ハジメへと粉を駆けようとしたシアには暴力を振るっていたし、とんでもない威圧感を放っていた。最初にユエを見た時も同じだ。そのことで、エンジェウーモンは香織に対して少し疑念を抱いていた。なぜ、他の人がハジメを好きになるのを受け入れないのかと。

 

 ユエは物静かで、魔法の知識が豊富で聡明だ。だが、戦いになるととても冷たい目をする。ライセン大渓谷で魔人族を殺した時に、命を終わらせた瞬間の顔をルナモンは見た。デジモンとはいえ生まれたばかりのルナモンは少し恐怖を感じた。もしもあの目が自分に向けられたら、とても怖いと。

 

 これは二体が人間をよく知らないからこそ生じた感情だった。

 デジモンは恋人を作らない。夫婦を作らない。子供を作らない。──恋愛感情を抱かない。

 だからエンジェウーモンは香織の人間だからこそ生まれてしまう、嫉妬の感情を理解できなかった。

 

 ルナモンもそうだ。大切な者を守るために敵に対して非情になるという、ユエの過去の経験からくる無意識な感情の切り替えを、生まれたばかりのルナモンは理解できなかった。生きてきた積み重ねが、ユエと大きく異なっているせいで、感情の切り替えを理解しきれていない。

 

 二体が無意識で抱いていたテイマーへの不信感を、巨大ミレディ・ゴーレムの言葉が浮き彫りにした。

 

「知っているさ」

 

 しかし、ガブモンは巨大ミレディ・ゴーレムへ何でもないように答えた。ガブモンだけはミレディの言葉に揺らいでいなかった。

 

「人間の悪辣さも残虐さも残忍さも。6年前にちょっとは見たつもりだ」

 

 地球のリアルワールドでハジメと暮らしていた時、デジモンを危険視した日本政府のネットワーク管理局がデジモン達の抹殺を図った。詳しい原理はわからないが、デジモンを無差別に抹殺する「シャッガイシステム」を使い、テイマーズのパートナーデジモンまで巻き込もうとした。後から和解したとはいえ、人間の恐ろしさを思い知らされた。

 

「でも残虐に見える行為にも、ちゃんと納得できる理由があったんだ。大切なものを守るために、リアルワールドの秩序を守るために。それはデジモンも同じだ」

 

 山木達は確かにデジモン達を虐殺しようとした。だが、デジモン達もリアルワールドに強力なデジモンをリアライズさせ、大きな混乱をもたらした。

 結局のところ人間もデジモンも同じように、同胞と世界を守るために必死だっただけなんだ。

 

「だから俺はずっと考えているんだ。この大迷宮の意味を。きっとそれはハジメも同じ考えのはずだ!」

 

 数多の策を講じてデジモン達の力を封じて叩きのめした後に、それを人間の悪辣さと言い放つ。

 だがこれくらいの策謀が出来る存在は、デジモンの中でもいるのだ。

 わざわざ人間の力だと強調するのにも、意味があるんじゃないか。それはこの大迷宮の攻略に必要なことなんじゃないかと。

 そこまで考えた時だった。

 どこからか眩い光が飛んできて、ガブモンに向かってきた。

 

「この光景は!」

 

 同じ光景を見たことのあるエンジェウーモンが目を見開く。

 ガブモンは飛んできた光を見て、「待っていた」と言わんばかりの笑みを浮かべて、受け入れた。

 

「ガブモンX進化!!」

 

 ガブモンの四肢が大きく発達していき、蒼き狼獣人へと進化していく。

 

「ワーガルルモン!!!」

 

 完全体へと進化を果たしたワーガルルモン。大迷宮の壁を越えた進化を果たしたことで、ワーガルルモンはテイマーのハジメと心が通じた。おかげでお互いの考えが何となく感じられた。

 

「ああ。そうか。そう言う事か」

 

 ずっと考えていたこと。この大迷宮を突破するために必要なことが、なんとなくわかった。

 それはハジメも同じだった。

 

「あんたは言った。デジモンの脅威を知れと」

「人間の悪辣さを知りなと」

 

 違う場所にいるはずの、ハジメとワーガルルモンの言葉が重なる。心が繋がったことで、互いの考えていることも共有できているのだ。そのおかげで、双方で聞いたミレディの言葉を知り、この大迷宮の事が分かった。

 

「倒すように言っていたが、本当に必要なのはこっちだったんだ」

「人間はデジモンの、デジモンは人間の力を知ること。それこそがライセン大迷宮の攻略のカギ!」

 

 デジモンの脅威となる戦闘力を、人間の悪辣な策謀を、ミレディはそれぞれの戦いで見せつけてきた。ハジメ達にはレーベモンもいたので、ミレディ本人も出てきたが。

 

「「互いの恐ろしい一面を見ても、遠い隔たりを超えられる絆を結ぶことが出来るか? 恐怖をもたらす恐れを、畏敬を抱く畏れとして受け入れられるか? それがあんたとこの大迷宮が試していることなんだろう?」」

 

 2人の言葉と同時に、2人の心が1つに重なる。

 すると、お互いの肉体に新たな力が発現した。

 ハジメの鎧の背中に、ワーガルルモンの「サジタリウス」に似た機動装備が現れ、両手足にクロンデジゾイドの武具が装備される。

 

「《カイザーネイル》!!」

 

 背中のブースターを吹かせてラヴォガリータモンに接近すると、両腕の鋭い爪で切りつけた。ワーガルルモンの必殺技だ。胴体に大きな切り傷を負ったラヴォガリータモンが後退する。

 

 一方のワーガルルモンにも、新たなプログラムがロードされる。巨大ミレディ・ゴーレムの腕に手を触れながらそのプログラムを起動させる。

 

「〝錬成〟!!」

 

 すると両腕の形が歪に変形し、使い物にならなくなった。ハジメの魔法〝錬成〟だ。

 なんとワーガルルモンは魔法を使えるようになったのだ。元々デジモンの中には、高級プログラム言語を魔術として使う者もいる。そして、トータスの魔法の仕組みも、プログラム言語のように特定のプロセスを踏むことで発現する現象であることはわかっている。だから、デジモンが魔法を使えるのも、理屈は通るのだ。

 

 ハジメはワーガルルモンの近接格闘能力を、ワーガルルモンはハジメの〝錬成〟の魔法を使えるようになった。互いの力を受け入れたからこそ、できるようになったことだった。

 

 これを見ていた他の者達は、新たな可能性に驚愕し、体を震わせた。

 

「怖れを、受け入れる……」

 

 レーベモン、否、闇の十闘士のスピリットを身に纏った浩介は、親友の言葉を噛み締めた。

 

 それは香織とユエ、エンジェウーモンとルナモンも同じだった。

 

「エンジェウーモン。聞こえる? 私の声が届いている?」

「香織?」

 

 すでに進化していたから、香織とエンジェウーモンにはお互いの声が届いていた。しかし、エンジェウーモンがミレディの言葉に揺らいだせいで、少し繋がりが弱くなってしまっていた。それでも香織はパートナーに呼びかける。

 

「そっちで何があったのかは、何となくわかっているよ。確かに人間、私にも汚い心、悪い部分がある。でもそれも含めて私なんだ。白崎香織っていう人間の全てなんだよ」

 

 優しさも愛というテイルモンが認めた彼女の魅力以外にも、嫉妬に駆られてしまう醜い心もまた香織という少女を形作っているのだ。

 

「今は受け入れてくれなくてもいい。でも、信じて欲しい。エンジェウーモンとこれからも一緒にいたいっていう思いだけは!!」

「香織の思い……」

 

 エンジェウーモンに流れ込んでくる香織の思い。それをエンジェウーモンは恐る恐る受け入れていく。すると彼女の中から力が湧いてきた。春の日差しのような暖かな力だった。エンジェウーモン自身の力に似ているが、異なる力に少し躊躇いを覚えながらも、解き放ってみる。

 

「〝聖典〟」

 

 エンジェウーモンを中心に優しい光が広がっていく。光に包まれたルナモン達の傷が治っていく。それは術者を中心とした領域内の味方の傷を回復させる光属性の最上級魔法で、香織が使える最高の回復魔法だ。放出系の魔法はライセン大迷宮の特性で分解されるのだが、エンジェウーモンの力も混ざっているから、効力を失うことはない。

 普通の魔術師では大掛かりな詠唱と魔法陣が必要なのだが、香織は有り余る魔力とオルクス大迷宮でのユエとの修練で、詠唱も魔法陣も無しに使えるようになった。香織が積み重ねた努力の結晶が、エンジェウーモンの力となったのだ。そのことを一緒に訓練をしていたエンジェウーモンも知っていた。そんな力を委ねてくれた香織の思いを噛み締めて、エンジェウーモンはミレディの言葉で揺らいでいた自分の心を持ち直した。

 そして今度は香織に自分の力を手渡す。

 

「これはエンジェウーモンの力。《セイントエアー》!!」

 

 香織の身体から眩い光が放たれる。魔法ではなくデジモンの力も混ざっているので、分解されることもなくハジメ達に降り注ぎ、彼らの傷を癒していく。

 

「カオリ。……ん。私も」

 

 香織の様子を見たユエも、ルナモンへと心を届ける。

 

「ルナモン。私達はまだまだ出会ったばかり。知らないことがお互いいっぱいある。一緒にいるだけじゃわからないこともいっぱいある。そういうことは話そう。話をして理解し合おう。理解できないことがあっても、一緒にいよう。私達はそうやって生きていける」

 

 デジヴァイスを胸に抱きしめて、一心不乱に祈るユエ。

 彼女の純粋な思いは、ハジメと同じように世界を超えてルナモンへと向かっていった。

 

「これ。ユエの力……」

 

 届いた思いに、未だミレディの言葉に揺れるルナモンは躊躇して手を伸ばせなかった。

 幼いルナモンは親ともいえるユエと離れたことで不安になっていたところに、恐怖と疑念を植え付けられ、伸ばされた手を握れなかった。

 そんなルナモンの手に、エンジェウーモンの手が重ねられた。

 

「大丈夫。あなたのテイマーを信じなさい」

「……ん」

 

 優しい光を纏ったエンジェウーモンの雰囲気に、ルナモンの躊躇いは小さくなる。そして、ユエの力を手に取った。

 それは優しく思いやりに溢れた力だった。

 ルナモンの揺れていた思いを抱きしめて包み込んでいくようで、抱いていた不安を解きほぐしていった。

 しっかりと2人の心は繋がった。

 

「カードスラッシュ! マトリックスエヴォリューション!!」

 

 抱いていたデジヴァイスを構えて、カードを掲げる。するとカードがブルーカードになり、すかさずユエはそれをスラッシュした。

 ブルーカードの進化の力がデジヴァイスに読み込まれ、さっきのハジメのように進化の光となって、ルナモンに届く。

 

「ルナモン! 進化!!」

 

 ルナモンを成長期から完全体へと進化させる。

 

「クレシェモン!!」

 

 3体目の完全体進化。これで形成は圧倒的にデジモン達に傾いた。それはハジメ達の方も同様だった。

 

「クレシェモンの力。見るがいい」

 

 ユエの両腕にクレシェモンの持つ武器、ノワ・ルーナが現れる。それをボウガンのように組み合わせて、ミレディとラヴォガリータモンに狙いを定める。発射口には鋭い氷の矢が現れる。

 

 さっきまで圧倒的に不利な状況だったのに、あっという間に逆転した。

 この様子を見ていたトレイシーは驚きで目を見開いた。

 彼女にレーベモンが話しかける。

 

「トレイシー皇女よ。これがハジメだ。我の友なのだ。甘い覚悟だが、何事も貫けば新たな世界へ辿り着く燈火が見えてくるのは変わらない」

「新たな世界への燈火……。あれがナグモハジメなのですね」

 

 浩介の言葉にトレイシーはハジメを見つめる。

 甘い覚悟で戦いに臨む、あの王国の勇者と同類なのかと思った男。

 しかし、今の姿からは、あの勇者に感じた軟弱さはなく、何が何でも戦いを望む形で終わらせるのだという、強い信念と闘志に溢れている。

 

「あのような戦いをみせられて何もしないのは、深淵卿として、何より友として許されることではないな」

 

 レーベモンは前に進み出ると進化を解き、遠藤浩介の姿に戻る。そしてデジヴァイスを取り出すと、右手で掲げて宣言する。

 

「恐れを畏れに。闇と深淵を。我が進む道を覆い隠す漆黒の帳を照らすのではなく、心身へと受け入れることで、新たな地平へと踏み出す。それこそが、深淵卿──コウスケ・E・アビスゲートが機械真狼の大望者、南雲ハジメの友としてあるべき姿だ!!」

「なんかすごいこと言っている!? いろんな意味で!!」

 

 思わず香織がツッコミを入れるが、深淵卿とそれに聞き入っているトレイシーには聞こえていない。

 

「今こそ! 闇より深き深淵より、新たなる力を我が物とするとき!!」

 

 浩介のデジヴァイスに、今までレーベモンに進化するために使っていたスピリットとは違うスピリットが浮かび上がる。鎧のような形をしていた今までのスピリットと違い、動物の獅子のような形をしている。

 

「今こそお見せしよう! もう1つの、闇のスピリットを!!」

 

 デジヴァイスから闇が溢れ出す。しかし、その闇はレーベモンに進化するときと違い、荒々しく危険な雰囲気を放っていた。その闇を浩介は意を決して、その身に纏う。

 

「スピリット! エヴォリューション!!」

 

 闇の中で浩介の身体をスピリットが覆っていく。

 顔に、腕に、体に、足に。

 浩介とスピリットが1つになり、その姿を闇の獣へと変え、闇の中から飛び出す。

 

「カイザーレオモン!!」

 

 現れたのは漆黒に輝く「オブシダンデジゾイド」に覆われた漆黒の獅子。

 十闘士のスピリットにはレーベモンのような人間に似たヒューマンスピリットだけでなく、デジモンの戦闘本能が色濃く現れた獣のようなビーストスピリットがある。

 カイザーレオモンこそ闇のビーストスピリット。荒ぶる力を宿した気高き闘士だ。

 

「ぐぐ、ぐおおおおお!!!」

 

 進化したカイザーレオモンだが、苦悶の声を上げる。身体の内側から溢れる力を抑えるのに必死なのだ。

 ビーストスピリットはヒューマンスピリットよりもパワーがあるのだが、デジモンの闘争本能も一段と強く、進化した者は理性を無くして暴走する危険性がある。

 浩介も闇のスピリットに選ばれたとはいえ、ビーストスピリットを制御できず、暴走させてしまった。仲間を危険に巻き込まない為に使わずにいたのだが、パートナーの力を受け入れて新たな力を手にしたハジメに触発され、制御を試みたのだ。

 

「恐れを畏れにして、受け入れる。我が、俺がハジメの親友として、あいつの力になるために──この闇を抱いて! 深淵となる!!」

 

 カイザーレオモンが叫ぶと、ビーストスピリットの荒ぶる力を完全に制御した。

 浩介は闇の闘士として新たな力を手に入れたのだ。

 

「メインは俺が務める! ハジメ達はミレディを抑えていてくれ!」

「わかった!」

「了解!」

「ん!」

 

 カイザーレオモンがラヴォガリータモンに飛び掛かる。迎え撃つラヴォガリータモン。

 

「《シュヴァルツ・ケーニッヒ》!!」

「《ワイルドブラスト》!!」

 

 黒のオーラを纏って突撃してきたカイザーレオモンに対して、ラヴォガリータモンが連続で爆発を起こして迎撃する。しかしオーラに阻まれてカイザーレオモンを止められない。

 

 ミレディがラヴォガリータモンを援護しようとするが、サジタリウスで機動力を上げたハジメが接近して攻撃する。

 さらにユエがノワ・ルーナから氷と闇の矢を放ち、ミレディがラヴォガリータモンに合流しようとするのを阻む。

 

「カオリ。私がハジメを援護する。その間は」

「うん。シアの事任せて」

 

 短いやり取りを交わした後、ユエは香織達から離れる。回復役である香織から離れるのは危険だが、クレシェモンと心が繋がったことで、ユエの身のこなしまで格段に良くなった。クレシェモンの舞うような動きで、飛び跳ねながら足場を移動し、矢を放ってハジメ達を援護する。

 

 戦況はハジメ達に有利になったが、ミレディとラヴォガリータモンが粘りを見せる。

 

「アハハ! 凄い、凄いよ! でもねえ、私もそう簡単に負けてあげられないんだ! ただでさえ、デジモンに進化できる人間なんて、予定外がいるんだしね!」

 

 ミレディは魔法を展開する。カイザーレオモンの黒いオーラのような、黒い球体を生み出す。

 

「〝絶禍(ぜっか)〟!!」

 

 ハジメのミサイルも、ユエの矢も突然軌道を変えて球体に向かい、吸い込まれて消滅してしまった。

 

「あの魔法、何?」

 

 呆然とユエが呟く。魔法のスペシャリストである彼女でも、ミレディの魔法が何なのかわからなかった。

 だが、ゴーグルをつけて観察していたハジメには、ミレディの魔法の正体がわかった。

 

「重力か。なるほど。納得できたぜ。それがあんたの神代魔法か」

「せいかーい。重力魔法こそがミレディちゃんの神代魔法で、この大迷宮のご褒美だよ」

 

 ハジメの言葉を肯定するミレディ。あの黒い球体は、強大な重力で全ての物を吸い込む重力球だったのだ。

 ハジメ達の攻撃を度々防いでいた不可視の障壁も重力魔法の応用で、対象に反発する向きの重力をぶつけて攻撃を静止させるものだ。

 神代魔法を使い始めたという事は、いよいよミレディも本気を出してきたのだ。

 

 激化する戦い。決着のカギを握っている少女達も立ち上がろうとしていた。

 

 




〇デジモン?紹介
南雲ハジメ:ハイブリッド化モード「ブラックメタルガルルモン」
世代:ハイブリッド体
属性:ヴァリュアブル
タイプ:人間
技能〝ハイブリッド化〟を使用した南雲ハジメ。ステータスが大幅に向上していることに加え、ブラックメタルガルルモンの武装を標準装備していることで、殲滅力は随一。威力はオリジナルに及ばないまでも、完全体デジモンにも通用する威力を誇る。〝電子錬成〟で弾丸や追加武装を生成することも出来、魔力が続く限り、兵器を放ち続ける。
必殺技の『コキュートスブレス』も使用可能。直撃せずとも戦場を氷漬けにしてしまう。

ハジメ達の逆転劇が始まりました。デジモン達の進化に加え、お互いの能力を共有するという、今作オリジナルの設定を出せました。
折角テイマーとデジモンの心が繋がることが出来るんですからと考えてみました。これがさらに後の伏線になっています。

まだ休み中なので、出来る限りストックを作っておきたいです。
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