ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る   作:竜羽

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お待たせしました。
忙しい中でプロットもいろいろ変化してそのつじつま合わせに何度も書き直しました。
ようやく前哨戦は終了です。

・前回のあらすじ
メフィスモンがけしかけたデジモン達と戦いを繰り広げるハジメ達。
卑劣なメフィスモンの策謀によって教会内の愛子達に危機が迫る。
そこにハジメが駆け付ける。ハイブリッド化を発動させて、雫達を守るために立ち向かうハジメだったが、動きを封じ込められてしまう。
そして、雫達にデビドラモンの凶爪が迫る。その時……!



10話 終息

「「《グランドシスタークルス》!!!」」

 

 覚醒状態になったノワールと、同じく覚醒状態になったブランが、目にも止まらぬ速さで駆け抜ける。動きながらノワールは銃〝アンソニー〟で敵を撃ち抜き、ブランは三叉槍〝クロスバービー〟で貫き打ち払う。姉妹で連携して敵を仕留める、2人の奥の手が《グランドシスタークルス》だ。覚醒状態になっているため、そのスピードは目で追うことが出来ないほどだ。

 現に近くで倒れている神殿騎士達は2人の動きが見えず、呆然としていた。

 

「な、何という動きだ」

「だが、私達もあれほどの技を身に付けられれば、アイコを守れる」

「最初の1人の剣を止められようと」

「第2、第3の剣を連携して出せば」

「無敵の技が」

 

 何やら妙なことを思いついた騎士達。後日、連携同時攻撃技を練習していたとか、していなかったとか。

 

 技を出し終えたシスタモン姉妹は周囲を警戒する。今の攻撃で出現した敵を全て倒したことを確認すると、構えを解き、覚醒状態を解除する。

 

「ふにゅ~」

「あー。つっかれた」

 

 全身の力が抜けたようにへたり込むブランと、気怠そうなノワール。覚醒状態は普段は抑えている力を解放するので消耗が激しい。成長期のブランなど、すぐにでも横になりそうだ。だが、倒したのはこのあたりに出現した敵だけなので、気力を振り絞って立ち上がろうとする。

 

「どうするブラン? 教会のほうに行く?」

「うぅ、確かに、教会から、嫌な気配がしますぅ」

「だねえ。面倒くさいけど、行かないとねえ」

 

 ノワールは今にも眠りに落ちそうなブランに肩を貸す。

 その時、2人の懐から光が漏れ出してきた。

 

「ありゃ?」

「ふえ?」

 

 突然のことに驚く二人。懐に手を入れて光っている物を取り出した。

 それは闇夜の中で煌々と光を放つ

 

「こりゃまた。何に反応しているんだ?」

「スピリットが……」

 

 

 

 ■■■■■

 

 

 

 デビドラモンの紅い爪が雫と優花に振り下ろされる間際、雫は何もできなかった。

 何せ、もともとデビドラモン達の姿にPTSDを発症しパニックに陥っていたところに、ハジメがメフィスモンの攻撃を庇ったことで、オルクス大迷宮での光景までフラッシュバック。トドメにハジメが見たこともない姿になって戦う光景まで見てしまい、彼女の心は限界を迎えてしまい、考えることを止め、ただ迫りくる死を受け入れようとしていた。

 

 優花も雫と同じように、突然の事態に呆然としており、逃げることも出来なかった。

 

 しかし、2人を救うために2つの光が割り込んできた。

 

 闇夜の中でも白く輝く翼をはためかせ、2人の命を守るために2体の天使が舞い降りた。

 戦いが中に移ったため、外で戦っていたエンジェモンとピッドモンが、崩れた壁の穴から飛び込んできたのだ。

 猛スピードで入ってきたため2体の息も荒く、羽がまるで吹雪のように舞い散っている。

 しかし、彼らが急いで来たおかげで、雫と優花は危機から救われた。

 2体はホーリーロッドでデビドラモン達の攻撃から雫達を守る。

 

「ぐっ、やらせはしない!」

「子供達を守るという言葉。決して違えはしない!!」

 

 悪魔達の攻撃を捌きながら、2人の少女を守った天使達は、仇敵である悪魔へと聖なる鉄槌を下す。エンジェモンの拳に光が宿り、ピッドモンはホーリーロッドを握る手に力を込める。

 

「《ヘブンズナックル》!!」

「《ピッドスピード》!!」

 

 聖なる拳とホーリーロッドの一撃がデビドラモンに炸裂。弱点の攻撃をまともに受けたデビドラモンは耐えられずに一瞬で倒される。

 

「邪悪なる者達よ。貴様達の思い通りにはさせない!」

「守るという言葉は決して違えない。我らの力を見よ!」

 

 2体は言葉通りに周囲の敵と戦いを繰り広げ、三人を守る。

 イビルモンは一撃で倒し、デビドラモンさえも寄せ付けない。

 

「八重樫さん! 園部さん! 大丈夫ですか!?」

「え、あ……」

「あ、愛ちゃん、先生?」

「よかった。無事ですね? どこも怪我していませんね? ああ、よかった」

「あ、ああ……」

「うぁ」

 

 愛子が話しかけるとようやく2人は気を取り直す。愛子は2人の無事を喜ぶが、2人はそこが限界だった。フッと2人は意識を失い崩れ落ちる。

 

「八重樫さん!? 園部さん!!?」

「気を失っただけでしょう。無理もない」

「2人の傍にいてください。あなた達は必ずお守りします」

「わ、わかりました」

 

 エンジェモン達の言葉に従い、2人を抱きしめながらじっとする愛子。

 次第にイビルモンとデビドラモンは下がり始め、代わりにハグルモン達が前に出てくる。

 マシーン型であり、メフィスモンからの命令コードに従うだけのハグルモン達は、感情の無い機械のようにエンジェモン達に向かってくる。

 

「意志もなく命令に従うだけとは、哀れな」

「せめて安らかに眠れるように倒しましょう」

「ああ」

 

 ハグルモン達に対しても、二体は危なげなく戦っていく。

 X抗体を持つため通常のハグルモンよりも強いが、地力と経験の差から愛子達を守りながら戦う。時折、必殺技の《ダークネスギア》が飛んでくるが、ホーリーロッドで打ち払う。

 

「ふむ。存外、粘りますね。ん?」

 

「ウウウ……ウアアアアアアッッ!!!」

 

 エンジェモン達の奮戦を眺めていたメフィスモンだったが、捕えていたハジメに異変が起きた。

 ハジメから強大な魔力が放たれ始めた。その様子に愛子も気が付き、驚く。彼女とメフィスモンは知らないが、その様子はオルクス大迷宮で暴走してしまい香織達に襲い掛かった時のようだった。

 

「ほう? これはこれは」

 

 メフィスモンがハジメの様子を興味深そうに見ている中、ハジメは少しずつ力を込めていき、拘束を徐々に壊そうとする。

 

「押さえていた力の解放? もしや先ほどの私の一撃が何かを呼び覚ましてしまったのか。フフフッ。まるで人間ではないですね」

 

 面白そうに嗤うメフィスモンの前で、遂にハジメの力に耐えられなくなった闇の鎖が砕かれた。

 

「ウオオオオオオッッ!!!!!」

 

 同時に背中から魔力を放出し、空中に浮かぶハジメ。そのまま勢い良くメフィスモンに突撃し、両腕の爪を振るう。《カイザーネイル》だ。

 

「またそれですか。もう見ました」

 

 先ほどもデビドラモンに対して使った技なので、メフィスモンは冷静に防御の魔法陣を展開して防ぐ。

 だが、ハジメの力はさっきよりも増しており、魔法陣を無理やり押し込み始める。やがて、ピキピキと魔法陣にひびが入り始めた。明らかにさっきまでとは段違いの力だ。

 

「何ですって?」

 

 予想外のハジメの力にメフィスモンは目を見開く。

 その隙を突いてメフィスモンの背後から飛び掛かってきた影があった。

 

「お前の相手は」

「私達」

 

 外で戦っていたクレシェモンとユエだった。外の敵をある程度倒した二人は、メフィスモンが教会の中にいるのに気が付き、加勢に来たのだ。

 ユエは《攻撃プラグインA》のカードをスラッシュ。パワーアップしたクレシェモンはメフィスモンに自慢の脚力から繰り出される蹴りを叩き込む。

 

「やぁ!」

「ちぃ!」

 

 ユエ達に対しても防御の魔法陣を展開して防御するメフィスモン。しかし、そのせいでハジメから目を離してしまった。その隙を突いてハジメの攻撃が、遂にメフィスモンの防御の魔法陣を斬り裂いた。

 

「くっ」

 

 咄嗟に飛び上がるメフィスモン。動きを呼んでいたハジメは、左腕の六連装ガトリングレールガン《ブラックストーム》を発砲する。ドガガガガッという轟音と共に、雷撃と銃弾の嵐がメフィスモンに炸裂。こちらの威力も上昇しており、メフィスモンをその場から吹き飛ばす。

 メフィスモンは射線から逃れるが、クレシェモンが飛び掛かる。

 

「カードスラッシュ。《白い羽》」

 

 背中にはユエがスラッシュしたカードの力で、エンジェモンの白い羽が付いており、飛行能力が付与されている。

 

「ここから、出て行け!」

 

 格闘戦をしながらメフィスモンを教会の外に蹴りだすクレシェモン。

 ハジメもその後を追おうとするのだが、その前にユエが飛び出る。

 

「クレシェモンに任せて! 今は、教会の中の敵を」

 

 まだ教会の中に敵は残っており、新たな敵が入ってくるかもしれない。

 愛子達を守る戦力は多いほうがいい。だからユエはハジメを止めようとしたのだが、ハジメはユエに右腕を振り上げた。

 嫌な予感を感じたユエがその場を飛び退くと、さっきまでユエがいた場所にハジメが腕を振り下ろし、床を破壊した。

 

「ッ、やっぱり暴走」

 

 さっきからハジメは怒りに任せてメフィスモンに攻撃していた。それに雰囲気がオルクス大迷宮でのメタリックドラモンとの戦いで進化したブラックメタルガルルモンに似ていた。だから、最悪の可能性を考えていたのだが、それが当たってしまった。

 ユエはハジメをこのままにしておけないと、メフィスモンをクレシェモンに任せて、何とかハジメを抑えようとする。

 そこに、ハジメの背後からデビドラモン達が襲い掛かってきた。エンジェモン達に敵わないとみて、隙を突いて襲い掛かってきたのだ。

 ハジメもそれに気が付き、今度はデビドラモン達と戦い始めた。

 

「ん。まずい」

 

 戦いの余波が愛子達に及びかねないと思ったユエは、彼女達の傍に近寄る。

 

「〝風壁〟」

 

 風の魔法で結界を張ると状況の推移を見守る。

 

「あ、ありがとうございます。あの、南雲君は一体どうしたんですか?」

 

 お礼を言いながらも、ハジメを驚愕の表情で見つめて質問する愛子。

 何せさっきからハジメは普段とは正反対の荒々しい雰囲気で戦いを繰り広げている。デビドラモンを殴り飛ばし、イビルモンを撃ち殺し、ハグルモンを踏み潰す。まるで理性の無い怪物の様だった。

 不安に思う愛子にユエは勤めて冷静になりながらも、質問の返事を返す。

 

「……説明している時間は無い。でも、大丈夫」

 

 ハジメの身に危険がおよんだ時に、あの少女が駆け付けないはずがないのだから。

 

 そうしてハジメを見守っていたユエと愛子は、雫の目が薄っすらと開いていたことに気が付かなかった。

 

 

 

 ■■■■■

 

 

 

 一方その頃、教会の外で再び対峙するクレシェモンとメフィスモン。

 その時、上空で猛烈な閃光が走った。

 

「《アルナスショット》!!」

「グギャアアアアアアアアアア!!!??」

 

 ワーガルルモンのサジタリウスから放たれたレーザー光線が、ギガドラモンの急所であるデジコアのある胸部を撃ち抜いた光だった。だがおかしい。普段は、遠距離戦の補助としている技で、頑丈な機械で守られたギガドラモンの胸部を撃ち抜くことなんてできないはずだ。

 なのに、今のワーガルルモンの技の出力は普段以上だ。

 

「ウアアアアアアアアアッッッッ!!!!」

 

 月夜に吠えるワーガルルモン。その肉体には普段よりも強い力が、荒れ狂う様に駆け巡っていた。

 まるで教会内で戦っているハジメのような暴れようだった。

 ハジメの様子は見えていないが、ワーガルルモンを見ていた香織はすぐにハジメの暴走の事に思い当たった。

 

「まさか。あの時みたいに暴走しているの? しかもそれが、シンクロして起こっている!?」

「「ウウウゥゥ……グルウアアアアアアアアアッッッッ!!!!」」

 

 香織の想像通り、それはハジメの暴走がテイマーとデジモンのシンクロによってワーガルルモンにまで及んでしまったからだった。

 それによりワーガルルモンの能力が引き上げられ、レーザーの威力が上昇した。それと引き換えに、ワーガルルモンも暴走することになってしまった。

 いくら完全武装のサイボーグとはいえ、デジコアに致命傷を受ければひとたまりもない。

 断末魔の声を上げながらギガドラモンは落下しながら、データの粒子となって消えていった。

 

 しかし、ワーガルルモンの動きは止まらない。そのまま猛スピードで飛翔し、フレアモンと戦っているアトラーカブテリモンに襲い掛かった。

 

「《カイザーネイル》!!!!」

「キシャアアアアア!?!?」

「なんだ!?」

「うわきゃ!?」

 

 突然攻撃してきたワーガルルモンにフレアモンとシアが驚く。

 ワーガルルモンの爪は、アトラーカブテリモンの堅殻を引き裂き、背中の羽根どころか体内まで引き裂いた。何が起きたのかもわからず、致命傷を負ったアトラーカブテリモンはギガドラモンと同じくデータとなって闇夜に散っていった。

 

 そこでワーガルルモンは全ての力を使い果たし、空中でガブモンに退化してしまった。

 慌てて香織とエンジェウーモンが飛んできて、落ちないように抱える。

 ガブモンは気を失っていたが、寝息が聞こえたので無事そうだ。ならば残るは、ハジメの方だ。

 

「ハジメ君ッ!」

 

 香織は急いで教会に向かって飛んでいく。

 教会の中にエンジェウーモンと一緒に降り立った香織が見たのは、最後のハグルモンを踏み砕き、動きを止めた漆黒の機械狼の姿のハジメだった。愛子達はユエとエンジェモン達が守っていたから無事だったようだ。今はそれよりもハジメの方だ。

 ハジメは動かない。

 シンクロしていたガブモンの意識が無くなったので、一時的に停止しているようだ。シンクロしていた影響だろう。いや、もしかしたら、ガブモンがそうなるようにしたのか。何はともあれ、おかげで香織がすぐさま対処に移れる。

 

「エンジェウーモン!」

「《セイントエアー》!!」

 

 すぐさまエンジェウーモンに聖なる力の宿る虹色の粒子を降らせる。教会内は清浄な空気に包まれる。香織も魔法を発動させる。

 

「〝聖園(せいえん)〟」

 

 それは香織のオリジナルの光属性最上級魔法の光が、ハジメを包み込む。暗黒の力などのマイナスなエネルギーによって正気を失った者を元に戻す魔法だ。エンジェウーモンの力をハジメに解析してもらい生み出した。

 ダークタワーによって操られたデジモンを解放するためにだが、この魔法にはもう一つの効果がある。それはホーリーリングの聖なる力と同じ効果を持っている。つまり、またハジメが暴走した時に、元に戻すことが出来るかもしれないと思い、香織は魔法を作り上げたのだった。その努力が今実を結ぶ。

 エンジェウーモンの力も合わさった香織の魔法は、ハジメの体内で荒れ狂っていた力を鎮静化して調和させていった。やがて、ハジメのハイブリッド化は解除され、気を失ったハジメが崩れ落ちそうになるのを、香織が受け止める。

 

 こうして、上空と教会内での戦いは終わりを迎えた。

 

 香織はハジメを安全な場所で寝かせるために抱え上げる。すっかり逞しくなった。

 ユエも風の結界を解除し、愛子達と気を失った雫と優花を抱えて連れていく。教会はボロボロでいつ崩れてもおかしくない。

 教会の外に出るとユエは、メフィスモンを追いかけていったクレシェモンを探そうと、辺りを見渡す。

 程なくしてクレシェモンは戻ってきた。見た所、大きな怪我もない。だが、その顔は暗く沈んでいた。

 

「どうしたの?」

「ユエ。実は……」

 

 クレシェモンは何があったのか説明する。

 教会を飛び出してからもしばらく戦い続けていたが、教会に香織とエンジェウーモンが飛び込んだのを見たメフィスモンは、相対するクレシェモンを一瞥すると、空中に浮かび上がった。

 

「ふむ。潮時ですか。まあ、面白いものが見られましたので、良しとしましょう」

「逃げる気?」

「ええ。ではごきげんよう。ああ、あと一言」

 

 一礼すると、メフィスモンは魔法陣を描き出す。その途中で何かを取り出した。

 それはハジメが背負っていたコロモンが入ったバッグだった。

 あの攻撃の際にハジメの背中から奪い取っていたのだ。戦いに夢中だったハジメは気が付かなかった。

 

「!? それは」

「一先ず目的は果たさせていただきました。それでは失礼」

 

 次の瞬間にはメフィスモンは魔法陣の中に入ってしまった。クレシェモンは何もできずに、見送るしかなかった。

 

「ごめん。コロモンを助けられなかった」

 

 申し訳なさそうに謝るクレシェモン。だが、それを聞いたユエは怒ることも落胆することもなかった。

 

「大丈夫」

「え?」

「メフィスモンが持って行ったのは偽物。本物はこっち」

 

 そう言うとユエは肩のあたりをいじると、背中にリュックサックが現れた。アーティファクトで透明化させていたのだ。そのリュックを開くと、その中にはコロモンがいた。

 

「教会に入る前にハジメから預かった。急いでいたから伝えられなかった」

「よかった。コロモンが無事で」

 

 今回の戦いでは大きな被害を受けたが、最後にメフィスモンに一泡伏せることが出来たのだった。

 

 

 

 ■■■■■

 

 

 

「おのれ。こんな手に引っかかるとは」

 

 異空間の拠点でリュックサックを手にメフィスモンは怒りに震えていた。コロモンだと思っていたリュックの中には、丸いボールがあっただけだった。しかも「ハズレだヨ~m9(^Д^)プギャー」というウザイ文章と顔文字が書かれている。

 ライセン大迷宮から出るときに何故かミレディからプレゼントされた一品だった。なぜこんなものをくれたのかわからなかったが、ちょうどコロモンと同じくらいの大きさだったので、ハジメは咄嗟に身代わりにしたのだ。

 

 しばらく怒りに震えていたメフィスモンだったが、大きく深呼吸して気を落ち着かせる。

 その時、タイミングよくメフィスモンに近づく人物が現れた。

 

「実験体は取り戻せたのか?」

「ああ。あなたですか。ふっ、最後にしてやられましたよ」

 

 メフィスモンが振り向く。そこには黒いフード付きのコートに身を包んだ人間がいた。

 ハルツィナ樹海の傍の荒野で、香織達がマメモン3兄弟と戦っている様子を見ていた人物だ。

 

「ですが、収穫もありました。最後のパーツに目星がつきました。わざわざ、こちらのデジタルワールドの天界エリアまで足を運んだ甲斐がありました」

「よし。ようやく半分か。クククッ待ち遠しいぜ」

「あとはダークタワーとあなたの準備が整い次第、次の攻撃に移れます」

「ああ。そっちの方はどうなっているんだ?」

「ダークタワーは問題ありません。あなたはどうですか?」

「ふん。こっちも問題ない。早く連れて行けよ」

 

 メフィスモンを急かす黒コートの人物。

 

「やれやれ。せっかちな人だ。少し休ませてください。あの場所は闇の世界とは言え、デジタルワールドのさらに奥にある別世界とも言えます。それに、あの世界から追放された身の私では、なかなか難しいのですよ。相応の準備と体力が必要です。もう少々、待っていてください」

「……それもそうだな。確実に行けるのなら、俺も文句はない。準備が出来たら教えろ」

 

 メフィスモンの言葉を聞いて納得すると、黒コートの人物は踵を返してその場を後にした。

 

「やれやれ。一休みしたら、動くとしましょうか。フフフッ。安息の暇は長くないですよ。デジモンテイマー諸君」

 

 闇の中で次なる策謀が動き始めていた。

 

 




〇デジモン紹介
ハグルモン(X抗体)
レベル;成長期
タイプ:マシーン型
属性:ウィルス
歯車の形をした変種のマシーン型デジモン。体内にも無数の歯車が組み込まれており、常に歯車が回転をしている。そのため1つでも歯車が抜けてしまうと、全身の歯車が回転を止めてしまい、生命活動を維持できなくなる。ハグルモンには相手にコンピュータウィルスを送り込んで意のままに操る特殊な能力をもっており、その能力を凶悪なデジモンに利用されている。しかし、ハグルモン自体は自我を持っていないため、悪用されていることなど知るよしも無い。必殺技はコンピュータウィルスを組み込んだ黒い歯車を相手の体内に埋め込んで、狂わせてしまう『ダークネスギア』。
・X抗体によるハグルモンのデジコアへの影響
さらに強力なコンピュータウィルス入りの『コハグルモン』が出現した。しかし、ハグルモンもコハグルモンも自我を持っておらず、互いに規則正しく回転することだけが唯一のキズナであり、回転が不規則になるとコハグルモンは外れて落ちてしまい、被害を出してしまう恐れもある。ドリル状に変化した歯車もあるので、不用意に近付くと痛い目にあう。


〇オリジナル魔法
聖園(せいえん)
香織が編み出したオリジナル魔法。ホーリーリングの浄化・鎮静・調和の力を再現した効果を持つ。最上級魔法で、今のトータスの人間が使おうとすると何十人の魔法使いと巨大な魔法陣が必要になる。ダークタワーという暗黒の力に対抗するためでもあるが、一番の目的は暴走したハジメを止めるための魔法。



実は来週もまた用事があるので、次回の更新は未定です。
原作とは全く異なる展開となる3章なので、時間がかかっていますが、お待ちしていてください。


PS

全く関係ないのですが、ありふれ×シャーマンキングというネタを思いつきました。
召喚の際にハオ様が分霊を紛れ込ませて、エヒトに「ちっちぇな」って言って、シャーマンキングの力でエヒト勢を瀕死にするという展開。面白そうだなと思って、頭の中にプロットが浮かんでいます。気が向いたら投稿するかもしれません。
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