出されたお茶で暖がとれ、ある程度穏やかな空気が流れた後、目の前の男性が話し始めた。
「改めて・・・俺がこの部隊を仕切ってる提督になる。まぁ呼び方は自由でいい。司令官やら、階級だと中佐になるかな」
穏やかな口調は崩れていない。これが彼の普通なのだろう。
「さて、この部隊の正式名称は『単冠湾第二泊地 第一特別遊撃小隊』となる。業務内容はお隣の単冠湾第一泊地の近海哨戒補佐、演習のアグレッサー、近隣泊地及び鎮守府の撤退補助。後は細々としたものがあるけれど、それはおいおいで」
ここまでで何か質問は?と問う彼に、特には、と返す。
それに満足したのか、彼は一旦コーヒーに口をつけた。
「最初はそうだな・・・時雨か陽炎の下でまずは色々教えを受けると良い。そして、くれぐれも無茶はしないように。人員が少ない以上多忙にはなるだろうが、人員が少ないからこそ1人が長期的に離脱、という状況は許すわけにはいかない。ここでの鉄則は死なない、無理はなしない、周りを頼れ、この3つだ。肝に銘じるように」
最後の方はきつい、重い言い方になってはいたが、そこには心配や決意、様々な感情が渦巻いていた。
この人は信用できる、それが私、吹雪が抱いた感想だった。
「さぁ、これかよろしく、吹雪。君の活躍を期待する」
そうして、立ち上がった彼が差し出した手。
慌てて立ち上がり、その手を握る。
「はい!特型駆逐艦の吹雪です、今後ともよろしくお願いします!」
頑張ろう、この場所で。吹雪はそう心に決めた。
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後は頼む、そう言われて吹雪と一緒に執務室を出る。
頼られたからにはしっかりしよう、と奮起しつつ吹雪を正面に捉えた。
「改めてよろしく。僕は白露型二番艦、時雨。ここの艦隊の旗艦をしているよ」
そう自己紹介すると吹雪は元気よくよろしくお願いします!と返してくれた。
「まずはここの人員を紹介しておこうかな。と言っても少ないんだけどね」
歩きながら吹雪に説明していく。
「駆逐艦は僕と陽炎、軽巡洋艦に矢矧、重巡洋艦に鳥海さん、軽空母に祥鳳さん、人間の人員は提督だけで、後は間宮さんと妖精さん。工廠に軽巡洋艦の夕張がいるけどほぼほぼ艦隊行動には参加しないかな」
指折り数えながら話していく。
「ほ、ほんとに少ないんですね。もう少しいるかと思ったんですけど・・・」
その言葉に苦笑する。吹雪が来て初めて1艦隊が6隻で埋まるという事実は流石に思うところがあるのだろう。
「仕方ないよ。ここってかなり特殊な事情の艦娘の寄せ集めだから。そういう子って総数を見れば少ないからねぇ・・・」
君もそうだろう?と吹雪に問い返せば、深刻な顔で頷かれる。
安定供給と言えば聞こえが悪いが、艦娘は昔と比べて大量に配備されるようになった。
安定した戦力が安定した数、戦場に供給されているのが今の状況だ。
ただ、その中でもはみ出し者というのは存在する。ここの艦娘は、そして目も前にいる吹雪、さらに言えば提督も、妖精もそれに当てはまっている。
「まぁ、だからこそ逆に仲間意識は強い。練度も高い。過ごしやす場所になるのは保証するよ」
安心させるように吹雪の頭をなでる。ほにゃ、と表情が崩れるのを見て、大丈夫そうだと感じる。
「さて、夕食時に改めて歓迎会をやるけれど、それまでにみんなの所を回りながら挨拶しに行こうか。大丈夫、一癖も二癖もあるトンデモ、みたいなのは数えるほどしかいないよ」
まずは部屋に荷物を降ろそうか、そう言いながら歩を進める。
ちょっと引きつった表情の吹雪の顔はあえて見ないことにした。その方が面白そうだからだ。
提督「こいつも訳あり」
時雨「あいつも訳あり」
吹雪「みんな訳ありなんだ…!」
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提督:今日は業務終了なので食堂で録画してたリー〇ル・ハイでも見ようかと思ってる。
時雨:やっと来たツッコミ役を育成中。
吹雪:最後の最後で「あ、ここやべぇ」と脳が警告を鳴らしていることにやっと気づいた。