グラサン提督   作:カレー味

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 ふぁ~ぁ、よく寝たぁ。
 昨夜は帰宅が遅く、更新できずにそのまま寝てしまいました。
 またも金曜更新できなかったわけですが、土曜朝一に更新しますので許してください! カズがなんでもしますから!

 それでは、第九話をお届けします。


第九話 最初の昼餐

「ストレンジラブ、俺はな、これまでほとんど生涯を戦争に関わって生きてきた」

 

 子供たちも妖精さんたちも黙って俺の話に耳を傾けていた。

 

「初めは自衛隊、次は傭兵、あちこちで教官をやりながら、最後は米軍だ」

「軍人という者は、軍隊という組織はな、結局のところ議会の承認と政府の指揮監督の下に活動するのがあるべき姿だと身に染みたよ」

「武力を備えた集団が恣意的な活動を始めたら、それは戦前の日本と何も変わらなくなってしまう。俺は、日本でもアメリカでも、国に忠をつくして勤めてきたつもりだ」

 

 子供たちがうつむいた。すまんな、自分じゃなくても人が説教されてるの見るのってストレスだよな。だけどもう少しだけ勘弁な?

 

「だが俺はもう正規軍人は引退したからな、俺に残ってる肩書きがあるとしたら、それはもうMSFマザーベース副司令だけしかないさ」

「MSFなんてもうどこにもないだろう!?」

「そんなことはない、ここに俺がいる。MSFの解散を宣言した憶えはない、たとえ世界で俺一人だけであろうとも、俺がMSFだ」

 

 辺りがシンと静まり返って、波の音だけが残った。ストレンジラブは狂信者を見る目を俺に向けていた。俺が、俺だけが! MSFだ!! 自分で言ったのになんかちょっとさみしい。

 

「俺は傭兵だ。報酬目当てに雇われて、依頼を果たすために力を尽くすのが本分だ。俺はえげつないこともずいぶんやってきたけどな、傭兵ってのは軍人じゃないが無法者であってもならない。どさくさ紛れに依頼人の母屋を乗っ取ろうなんて、俺の商道徳が許さないんだよ」

「子供たちは今まであんたの知識を頼りにしてきただろう、高く買われて満更じゃなかっただろう? だがな、居候なら分をわきまえろ」

「子供たちも、妖精さんたちも皆自由だ、行きたいところに行っていい。指揮権移譲なんてとんでもないぜ、もともとあんたにこの子らの指揮権なんてなかったんだよ」

 

 ストレンジラブの顔が悔しげに歪んだ。

 

「彼女らは軍人じゃない、ここは軍隊じゃない。おまえたちは、どこの国の承認も、指揮監督も受けていない。誰にも認められていないままにこの島を占拠する武装勢力だ」

「でも、私たちは日本の、世界のために!」

「黙ってあいつらを見過ごすことなどできないのです!」

 

 ただの武装勢力と決めつけられたのが心外だったか、叢雲と電が反駁した。

 

「そうだよな、君たちの志はとても正しい。正しいと感じたから、俺だって君たちの力になろうって思ったんだ。君たち、ザ・ボスがここを去るときに言われたんだろう? 平和のため行かせてくれって」

「そうです、私たちだって、いつかはボスのようになりたいです」

「正しいが、正しさにあぐらをかいていてはいけないな」

 

 吹雪がわからないという顔をした。うーん、こんな子供たちまで感化させてしまったか。ザ・ボスもスネークも、考えようによっちゃ罪な人だよな。凡人が変に英雄とお近づきになると、自分だってそうなれるって自惚れてしまう。俺が戦友を失ったのだって、結局は俺自身の慢心が招いた破滅だ。俺は、チコのことを思い出していた。

 

「ストレンジラブ、チコのことを憶えているか」

「もちろんだ、忘れるわけがない」

「チコとパスの最期については?」

「……あの、骸骨野郎に聞いた。アフガンでな」

 

 ストレンジラブの銀髪が逆立った気がした。そうだ、俺だって思い出すたびに腸が煮えくり返る。

 

「チコってのは、俺たちがコスタリカにいた頃の仲間だ。ニカラグア人の当時12歳の少年で、姉アマンダの率いる革命組織で戦っていた少年兵だった」

 

 この子たちにも伝えなければならない、あの純粋だった少年が、なにを求め、なんのために戦い、なぜ挫折してあまりにも早すぎる死を迎えたのかを。

 

「子供に銃を取らせたことは責められん。彼らが立ち向かったソモサ独裁政権は、反逆者は女子供だろうと容赦なく虐殺した非道だ。生きたければ戦い抜くしかなかった」

「チコという言葉は、小さい、っていう意味のあだ名だ。ソモサからの追捕の手を避けながら仲間たちと山中を、隣国コスタリカまで逃げ回る生活を送っていた。食うに困って年相応よりも小さかったっけな」

 

 電が悲しそうな顔をした。君はまだまだこれからだ、牛乳飲め牛乳。

 

「チコはいつも焦っていたよ。戦死した父のようには仲間をまとめられずに悩むアマンダを支えられるように、一日でも早く大人になりたがっていた」

「ある時、俺たちの仲間だったパスって女の子が敵の捕虜になった。チコはその子のことが好きだったんだ。チコは、たった一人で彼女を助けに行った」

 

 ありのままの事実を子供たちに聞かせるには酷な話だから少々脚色を入れたのだが、ちらとストレンジラブを窺うと、わかっているという顔で小さく肯いた。

 

「しかし、そう上手くは行かなかった。チコは捕まり、拷問を受けて俺たちの居場所を吐いた。二人を餌に俺たちはおびき出され、手薄になったマザーベースは敵の襲撃を受けて海に沈んだ。パスとチコは救出されたが、パスは敵の手で人間爆弾にされていた」

 

 皆が息をのんだ。五月雨が口を押さえて一歩よろめき、ストレンジラブのサングラスの下から涙が頬を伝った。

 

「腹の中から臓器をいくつか抜かれて、空けたところに爆弾を押しこみやがったんだ。爆発で俺たちの乗っていたヘリも墜落し、結局パスもチコも助からなかった。俺も、その時片手片足をなくしたよ。これが、俺たちMSF壊滅の顛末だ」

 

 報復を果たしたあと機械で補った身体も、なんでか今は生身に戻ってるけどな。でもさ、たとえ手足が戻ったって、この胸の痛みは消えないよ。

 

 五月雨が顔色を青ざめさせて震えていた。ごめん、君らに聞かすにはちょっとエグすぎる話だったな。電が肩を貸して、ソファで休ませてあげていた。他の子たちも動揺しているようだった。

 

「話を戻そうか。君たちがどんなに正しい志を持っていたとしても、それを行うには踏むべき手順と通すべき筋がある。それを忘れてしまっては、正しさはただの暴挙に成り下がる」

「今君たちが世界のために戦おうとしてなにができる? あてもないのにここを出て闇雲に戦ったって、死体が五つ海に沈むだけだ。君たちをチコのようにはさせられん」

 

 叢雲はなにか反論したそうな様子だったが、言葉が浮かばないようだった。

 

「焦るんじゃない、君たちはちゃんと答を見つけてるじゃないか。君たちはさっき俺になんと言った? ここで起きてることを日本に、世界に伝える。そのために日本へ向かう、奴らに立ち向かうには世界が力を合わせるべきだ、って言ったじゃないか。それでいいんだよ、今君たちが全部を背負う必要はない」

「ザ・ボスだって最初からボスだったわけじゃないんだ。何度も失敗して、それでも歯を食いしばって生き残り、決してあきらめずに戦い続けて伝説の英雄と呼ばれるようになったんだ。一足飛びに英雄にはなれん、チコにはそれがわかっていなかった。君たちもまず、自分たちが生き残ることを第一に考えろ。ボスが君たちにCQCを伝えたのだって、きっとそのためだと思うぜ、俺はな」

「軍隊の司令官というのはな、たとえ兵に犠牲を出そうとも、部隊の任務を達成することが務めだ。任務のために、生きては帰れないとわかっていても兵を死地に送る命令を出さねばならん。俺はそんなのはもう御免だ」

「君たちはな、一人として欠けずに生きて日本へ行く。俺の仕事はそれを手伝うことだ、それなら引き受けてもいい」

 

 柄にもなく長々と喋ってしまったな、喉が渇いた。俺はどっかりとソファーに腰掛け、茶碗に水を注ごうとしたが、もう水差し空でやんの。

 

 しらけた沈黙が辺りに広がる。子供たちは元の席に戻り、整列していた妖精さんたちはてんでばらばらに座りこんでいて、ストレンジラブは大きく溜め息を吐いた。

 

「……カズ、貴様にここまでやりこめられるとはなぁ」

「だってさぁ、この子たちこのままじゃ、自分たちが死んでも誰か一人だけでも日本にたどり着ければいい、って言い出しかねないじゃないか。俺そんなんイヤだぞ」

 

 ぐぅ、と電が唸った。ほれ見ろ、そんなんじゃダメよ? 

 

「私たちは軍人じゃない、か。言われてみればその通りだね」

「ボスさんに鍛えていただいて、ナオミ先生や博士にも助けていただいて、ちょっと気が大きくなってたんですね」

「あー、日本は遠いっすねぇ~」

「でも、一歩ずつ進むしかないわ」

 

 子供たちが口々にぼやく。ぐぅ、とまた電が唸った。皆が視線を向けると、電は赤面して小さくなっていた。

 

「そういえば、そろそろ昼時だな。今日の昼飯当番は誰だったかな」

「私と吹雪よ。吹雪、ちょっと遅くなっちゃったけど準備始めましょ」

 

 二度目のぐぅは腹の虫だったか。叢雲と吹雪が席を立って台所へ向かった。

 

「あ、そうそう」

 

 ふと叢雲が立ち止まり、俺の方へ振り返った。

 

「カズ、ガジョピント食べられる?」

「ありがとう、俺は好き嫌いはないぞ。ガジョピントならカリブ海にいた頃はよく食ったよ。好物だ」

「そう、だったら期待して待ってなさい。私のガジョピントはなかなかのものよ?」

 

 叢雲はニヤリと笑うと去っていった。

 

「叢雲ちゃんのガジョピントは絶品、マジオヌヌメ」

 

 漣が大げさによだれを拭うフリをした。ほほう、そいつは期待できそうじゃないか。

 

「私も教えてもらったけど、どうしてもあの味が出せないんです」

「それは五月雨ちゃんがどこかで調味料を間違えるからなのです」

 

 アハハハ、と皆が笑った。こうしてると本当にただの女の子みたいなんだよなぁ、とても世界のために戦おうとしているようには見えない。

 

 しばらく話をしている間に昼飯の準備ができたらしく、叢雲たちがカートを押して戻ってきた。ガジョピントは中米で食べられる煮豆を使った炊きこみご飯だ、豆から煮てたら時間かかるから、あらかじめ下ごしらえはすませてあったんだろうな。

 

「はいカズさん、男の人だからこれくらいは食べますよね?」

「急なお客さんだけど、多めに仕込んでおいてよかったわ」

 

 吹雪が配ってくれた皿にはガジョピントが大盛りにされていて、両面焼きの目玉焼きも乗せられていた。突然お邪魔しちゃって申し訳ないんだが、実に美味そうだ。

 

「では、手を合わせてください」

「「「いただきます」」」

 

 うん、こういうの本当にひさしぶりだ。合掌していただきますなんて、母と暮らしていた頃以来四十年ぶりじゃないだろうか。アメリカ人だって食事前にお祈りくらいするかもしれないが、あいにくと父も俺も至って無信心だったよ。男二人、たいして会話もない重っ苦しい食卓だった憶えがあるな。でもそうだな、夏になるとたまに庭に出てバーベキューをやるときだけは、父も楽しそうだったっけか。

 

 それにしてもこの叢雲のガジョピント美味いなぁ、自信満々にすすめただけあってたいしたものだ。昔、MSFでパスが作ってくれたのはどんな味だったっけな、俺主観だともう三十年前のことだが、あの時のガジョピントもこんな味だったような気がする。

 

 さっきの話じゃここの子たちには詳細を明かさなかったが、パス、あいつは本当はサイファーのスパイだった。平和を愛するコスタリカの女子高生なんて名乗って、本当は女子高生じゃないし十代ですらなかった。カラクリを知っていた俺は、上手く化けたものだと吹き出しそうになるのをしばしば我慢していたもんだったさ。

 

 裏切ったパスを退けたあと、あいつの私室からは自分でテープに吹きこんだ日記が見つかった。マザーベースで暮らすうちにスネークやMSFの皆にほだされそうな自分と、サイファーを裏切れない恐怖との間で葛藤していた心情が記録されていたが、彼女はMSF内部にいる自分以外のサイファーへの内通者を警戒していた。それは他ならぬこの俺だったのだが、パスにそれが知らされているわけもなかった。

 

 パスの正体がバレたきっかけは、あいつが俺たちの保有した核抑止力、メタルギアZEKEを壊そうとしていたところをチコに目撃されたからだった。あいつはチコを密かに消してもよかったのに、それができなかった。チコは結局口を閉ざしたが、今にも誰かが感づくかと思うと引っこみがつかなくなった。だから、充分な準備ができないままにメタルギアZEKEを奪取して俺たちに挑まざるをえないところまで追いこまれてしまった……

 

 俺たちがZEKEを退けたあと、急造のコクピットから転落したパスは行方不明になった。だが、漁船に拾われて助かったあと、キューバ領内にアメリカが持っていたブラックサイトに拉致されて、サイファーの尋問を受けていたんだ。その後のことは、大筋でさっき子供たちに語ったこととそう違わない。

 

 俺がパスをマザーベースに招いたのは、パスをスネークに近づけたかったサイファーの思惑に従ったことが第一だったが、俺にとってはパスに手の届かないところで諜報を続けられるよりは、手元に置いて監視できるほうが好都合だったからでもあった。だけど、俺にはもう一つの狙いがあった。俺がコロンビアでスネークに出会って変われたように、あいつもスネークやMSFの皆と過ごすことで変われるんじゃないかと思った。パスが本当に俺たちの仲間になってくれたのなら、それはサイファー、ゼロとの戦いに大きなアドバンテージを得られることになると期待したんだ。

 

「だが、甘かったかな」

「あら、そうだった?」

 

 声の近さに驚いて視線を上げると、俺の顔をのぞき込んでいた叢雲と目が合った。いかんな、叢雲が味の感想を訊いてたのに、また俺はつい回想に浸ってしまっていたようだ。

 

「私のガジョピントは口に合わなかったかしら……?」

 

 少し不機嫌そうに眉が吊り上がりかけていた。カズちんピンチだ、いきなり好感度下げたりしたら、この先ここでの暮らしが針のムシロになってしまう。

 

「い、いや、そんなことはないぞ。君のガジョピントは美味い、自慢するだけのことはある」

 

 とっさの返事はあからさまに取り繕うようになってしまい、叢雲は疑いの目で俺を見ていた。

 

「昔カリブ海で食った、パスの作ったガジョピントを思い出していたんだ。あれはもうちょっと甘口だったかな、とな」

「そうかな、パスのガジョピントもこんな味だったような憶えがあるぞ? あれは美味かったよなあ…… あの時は、たしかMSFの女性隊員たちがほぼ総出で作ったんだっけな。セシールやアマンダも一緒だったか」

 

 ストレンジラブが昔を懐かしんでいた。ありがたい、うまく話題をそらしてくれ……!

 

「そうだったな。パスは言ってたよ、子供の頃に食べた母親のガジョピントの味がどうしても出せないってさ。ところでストレンジラブ、あの時あんたは参加しなかったのか?」

「セシールに止められたよ。彼女は私の料理を知ってたからな」

「博士、紅茶は上手なのにメシマズなんですぞ……」

「ここでは博士の食事当番は永久免除なのです」

 

 漣と電が口を尖らせた。おそらく、ストレンジラブに料理当番をやらせてみてとんでもないものを食わされたのだろう。アフガンでのストレンジラブとエメリッヒ、そして息子ハル君。スカルフェイスに囲われてのわずかな間だったとはいえ、親子三人の暮らしだ。それがどのように過ごされていたかはわからないが、たぶん飯には苦労したのだろうなぁ。それでもエメリッヒは幸せだったとか言ってはいたが。

 

「ねえカズ? さっきあなた、娘さんと二人暮らしって言ってたわよね」

 

 叢雲の声には不機嫌さを感じられず、俺は内心ホッとしたのだが、そのかわりなにか企んでいるような予感がした。

 

「ご飯はどうしてたの?」

「うちの飯か。それは俺と娘、キャサリーっていうんだが、二人で当番を決めてやっている。ただ娘は学業も大事だからな、まあ七・三で俺のほうが当番が多いよ」

「ふうん…… じゃあ、今度私たちにもご馳走しなさいよね、絶対よ? 私たち以外のご飯なんてひさしぶりだから、楽しみだわ」

「いいだろう、そのうちにな。期待して待っててくれ」

 

 叢雲たちに飯を振る舞う約束をさせられてしまったが、俺だって子供の頃から病気がちのお袋に代わって台所に立ってたんだ。アメリカじゃ親父にも飯を作ってたし、MSFでも糧食班でA評価を受けていたんだぞ。三ツ星コックとは言わないが、そこいらのおっさんとは一味違うことをわからせてやろうじゃないか?

 

 キャサリー、俺はなんの因果かここに来て、最初の仕事が飯炊きになっちまったが、おまえはいったいどうなったのだろう。さっき、ナオミ女史は役目を果たして元の世界に帰ったと聞かされたが、ストレンジラブや俺もいずれは帰れるのだろうか。だが、そこにキャサリーがいないのでは、俺にとってはなんの価値もない。

 

『しんぱいごむようです、かずさん』

 

 テーブルから小さな声がして、ふと見るとさっき最初に見せられた妖精さんが、俺の皿から取ったガジョピントの黒豆をポリポリ齧っていた。

 

「ちょっとあんたたち、人の皿に手をつけるなんてお行儀悪いわよ!?」

 

 妖精さんの分はテーブルの一際大きな皿に盛られていたのだが、数十人が群がってあっという間になくなり、食べ足りない子は周囲の誰かにおねだりをしていた。あっ、こら。黒豆ばかり選んで取っていくんじゃない。俺の分も残しといてくれ!

 

『あなたがたをここへおつれしたのはわれわれであります。なにもかもはこのせかいをまもるためにそのちえとちからをおかりするため』

『それゆえに、みごとおつとめをはたされたあかつきには、かずさんにもかならずやかちあるみらいをおやくそくします』

 

 価値ある未来か、妖精さんがそう言うのなら、今の俺には信じるしかないのだろうな。俺はスプーンを置いて、右手の小指を妖精さんに差し出す。妖精さんの小さな手が俺の指先にそっと添えられた。

 

「指切りだよ。 ……指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます、指切った!」

 

 妖精さんは満足げに笑うと、俺の皿から次の黒豆を掘り出す作業に戻り、俺も負けじと再びガジョピントを口に運び始めた。ほらほら、そんなところをうろうろしてるとガジョピントと一緒に食ってしまうぞ?




 今回カズが色々と熱く語ってますが、作者は本作品において特定の思想や主義主張に肩入れするものではありません。あくまでもカズがあんな人生を送ってきたら、こんなところに着地するんじゃないかなという作者の想像にもとづいたカズヒラ個人の考えであるとご理解ください。
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