タッグトーナメントから数日後、優勝賞品であるフォースネストでコズミックファイターズの4人は招待したアライアンスを待っていた。フォースネストはちょっとしたリゾート地のようなものだった。桟橋から続く島には各々専用の家が建ち、招待した人間用のゲストハウスもいくつか建てられていた。島の反対側は巨大なドックとなっており、戦艦を持てばそこへ配置できる作りになっている。
4人がそれぞれ別の事をしていると桟橋に一隻の船が停泊する。そこから降り立ったのはカリストたち3人だった。3人がそれぞれハヤスへタッグトーナメントを優勝したことを称えていく。
タッグトーナメントを終えた後、ハヤスたちはしばらくGBNへとログインしていなかったため知らなかったがその間に起きたことをちょっとした世間話で教えられる。その内容とはトーナメント前に報告されたストーリーミッションの調整が完了し、受注できるようになったことだった。他にもいくつかあったが、特にハヤスたちに関係することではなかった。その後やることができたとカリストたちは帰り、トーナメントの時に組んだデクーや対戦相手だった者たちも訪れその日は終わった。
「明日のGBNどうする?よかったらまたストーリーミッションをやりたいんだけど」
「いいよ!最後にやった時は変な感じだったけど次は普通だといいね!」
「今度は私もある程度動いてみたいわ。前は狙撃ばかりだったし。」
「私はしばらくできないかもです……」
「そっか……、じゃあ久しぶりに3人でやろう」
「「わかった!(良いわよ)」」
「ごめんなさい~」
明日の予定を決め、GBNからログアウトする4人。寝る前に進は、トーナメントには間に合わなかった武装であるストライクフリーダムのバックパックの改造品を自らのガンプラに装備させ就寝した。ちょっとした胸騒ぎを久しぶりにやるストーリーミッションへの緊張と誤解したまま……。
翌日、学校も終わり帰ってきてからさっそくGBNへとログインする3人はある人物からメッセージを受け取る。そのメッセージの差出人はカリストからだった。
『話がある、ミッションを受ける前に俺たちのフォースネストに来てくれ。入る許可は出してある』
3人は初めて誘われた他のフォースネストを見学できると、ミッションへ行く前に立ち寄ることにする。アライアンス一覧からカリストのいるフォース名をタッチし、フォースネストへと移動する。
3人の降り立った場所、それは宇宙に浮かぶ小さな採掘衛星を改造した軍基地だった。宇宙港と思われるそこには様々な戦艦が並んでいた。分かるだけでもドゴスギア、ミネルバ、プトレマイオス2改、アドラステアと作品もバラバラではあるがところどころ手を加えられ、プトレマイオス2改をベースにミネルバとドゴスギアを合わせる作業のようなものが見えていた。
周りの景色に目移りしキョロキョロとしていると後ろから声を掛けられる。
「お前たち、そこで何をしている。」
声のしたほうへ振り向くとそこにいたのはメカマスターだった。事情を説明すると「あいつは……」とため息をつきながら案内をしてくれた。
歩くこと数分、メカマスターの後に続き入った部屋は基地の指令室のようなものではなく、どちらかというと漫画やアニメに出てくる企業の社長室のようなところだった。
そして外の宇宙空間を眺めるカリストの背を見るとカリストは「来たか、適当に座ってくれ」と言いながら振り返り、自らの席へと座る。
「よく来てくれた、早速で悪いがお前たちに聞く。異世界は知っているか?」
「異世界って……あの漫画とかアニメでいう転生ものとか?」
「でもあるかもしれないってだけで結局のところ空想でしょう?」
「そうだ、だが俺は存在していると確信している」
「それがどうしたの?」
「お前たちも知っていると思うがレイドボス暴走事件の際に表れた軍勢、あれは運営の用意したものではない。BUILD DiVERSのカザミの投稿していたミッションの動画に出てくるNPCやその町、あれこそが異世界だ」
「そんな馬鹿な、あれはミッションで運営の作りだしたステージだろ?」
「そう思うか?ならば同じミッションを見つけたことはあるか?GBNで獣人アバターは見たことはあるだろうがあれだけ大規模の、それこそ年齢差、動きをたった1ミッションのためだけに用意することができるか?」
「そ、それは……」
「それに、カザミにも直接聞いた、誤魔化し切れたと思っているだろうが目が泳ぎすぎていて嘘がバレバレだ。あとハヤスたちも異世界は体験したことがあるだろ」
「え?あったっけ……」
「ッ!ストーリーミッションの動きのおかしかったストライクと始まった時のスモークね……」
「そうだ、どうして原作に介入できたのかは分からない。直ったかもしれないし直ってないかもしれない。」
「ストーリーミッションは受けるな……ってことか?」
「いや、そこまでじゃない。何だかんだ帰ってこれているしな。これはちょっとした願掛け……お守りみたいなものだ」
そういってカリストはキーホルダーを取り出す。円が反時計回りにまるで回転するように羽が取り付けられたマークの小さなキーホルダーが人数分机の上に置かれハヤスたちはそれを手にする。
「もしも、お前たちのだれかが帰ってこなかったら俺が絶対に助けてやる……なんてな!話は終わりだ!適当に見学でもしてミッションでもやってこい!」
そういわれ部屋を退室する3人の背を見送りながらカリストは呟く。
「杞憂だといいがな……」