半ば追い出されるような形で退室した3人はカリストに聞かされた話を思い出していた。異世界、与太話もいいところではあるもののその一端を体験しているため完全に嘘とも言い切れないことが3人にモヤモヤを生み出していた。
「うーん……、どうする?」
「でも運営は大丈夫って言ったんでしょ?」
「けれど、本当に直ってるかはやってみないとわからないじゃない?」
「……やろう。もしそうなったとしても結局のところ出てきたスモークに戻れば帰ってこれるんだ。最悪ミッション失敗になってでも戻ればいい」
3人は恐る恐るストーリーミッションを始める。万が一異世界なんてところに行ったらどうしようと不安なままに始まるが、その不安は杞憂に終わりカタパルトからの出撃となった。
「よかった!カタパルトだ!」
カタパルトからの出撃に安心し、受けたストーリーミッションを難なくクリアする。ゼロストライクガンダムの新武装であるストライクフリーダムのバックパックの改造品は対多数に大きく貢献した。フェザーファンネルを扱っていたことが活き、ドラグーンも同様に扱うことができた。本来のストライクフリーダムよりも4つドラグーンが少ないがこれはドラグーンよりも推力維持を目的にしているためだ。アグニとシュベルトゲベールを同時に装備しても動けるように以前使っていたウィングゼロカスタムの改造バックパックよりも高い推力を実現し、操作した時の感覚は以前よりも軽いものとなった。
そうしてストーリーミッションを1日に1ミッションとやり続けたある日、その時はついに訪れてしまった。原作30話のストーリーミッション、3人はカタパルトのような地に足の着いたものではなくスモーク内からの出撃で警戒を強めていた。
「ッ!スモークからのスタートだ!気を付けろ二人とも!」
「う、うん!」
「リネ、落ち着いて。ハヤス、私はリネを見ておくわ」
「頼む!」
スモークから飛び出した3人の目にした光景はやはり、すでに始まっていた戦闘だった。応戦するアークエンジェルに襲い掛かる無数のジン、いくつか墜とすことはできているが防御砲台以上の数にダメージが蓄積している。
そこへビームライフルをジンへ撃ちながら3人が現れアークエンジェルの護衛に着く。しかし大まかな道筋は変わらないのかアークエンジェルは致命的なダメージを受け着陸を余儀なくされる。
バスターガンダムも、3人による攻撃でフェイズシフトがダウン。その後エネルギー切れを起こし撤退することができずに投降することをアークエンジェルに通信する。そんな原作の再現を見て大分落ち着きを取り戻した3人、キラとアスランが戦っている地点へと移動するがそれを追い抜くように1機のスカイグラスパーが飛んでいく。それに嫌な予感がしたのか急いで援護に向かうが到着した時にはすでにイージスガンダムがMA形態でストライクガンダムに組み付いたところであった。
「ミッションはクリア!急いでスモーク内に撤退!イージスが爆発する!」
ハヤスはそう大声を上げ脱出ポイントのスモークへ2人を急かす、しかしこのままでは間に合わないと判断したハヤスは2人を押しスモーク内へと飛ばした直後イージスガンダムが爆発、スモークも爆風によって吹き飛びあまりの爆発にハヤスも制御を失い近くの無人島へと不時着する。
「ハヤス……?」
ストーリーミッションはクリア扱いとなっているがロビーに戻ってきたのは2人だけであった。2人は急ぎGBNからログアウトし、進の家へと向かう。そこには救急車が到着しており今まさに意識不明の進を搬入しているところだった。
翌日、進は意識不明のまま治ることはなく入院となってしまった。時の流れは待ってはくれず、2人は半ば茫然としたまま学校を終える。だが、一つ思い出したことがありGBNへとログインすると同じ事を考えていたのか2人はロビーで合流しカリストのフォースネストへと移動する。
「ん?どうした。今日は2人だけか?」
「あ、あの!ハヤスが目を覚まさなくて、ミッションで帰ってこなくて、それで……」
「……そうか、杞憂で終わらなかったか。2人とも諦めるのはまだ早いぞ」
「諦めてない!」
「うん、この前の話の続きだ。ハヤスと似たようなことは今回が初めてじゃない、今回のは2回目だ」
「2回目?」
「そうだ、以前話した異世界の話。BUILD DiVERSはその異世界で自分たちと同じガンプラを駆る人物と遭遇した。それが元Sランクダイバー、シドだ」
「そのシドさんは今は……」
「生きてるよ、目も覚ましたし今は元Sランクダイバーのガンプラ教室ってネットで話題になっていた」
「じゃ、じゃあ!」
「そうだ、連れ戻すことができれば意識を取り戻すだろう」
「なら早く連れ戻さないと!」
「まぁまて、今すぐに行こうってのはできないんだ」
「ど、どうして?」
「足がない。助けに行くにしても結局それはミッションだ。目標をクリアしないとおそらくその脱出ポイントは出てこないだろう」
「私たちが抱えていく!」
「スモークの向こうの世界は撤退する3人をみて、はいそうですかと見逃してくれるのか?伏兵がいてクリア扱いになっても攻撃されるかもしれないぞ」
「そ、それは……」
「任せておけ、ちゃんと助けてやる。その世界へ行くトリガーはおそらくだがお前たち3人だ。そして本来のミッション以上の人数でいける方法もある」
「そうなの?!ど、どうやって」
「アレだよ」
そういってカリストは窓の外を指さす。そこにあったのは以前見た時よりも開発が進んでいる一つの戦艦、プトレマイオス
ベースであるプトレマイオス2改の後ろ部分を切り離し、ドゴスギアの大型カタパルト部分を切り離し、中央に接続。そしてミネルバの巨大な変形翼を取り付けたド級戦艦だ。
「もうじき完成する。アイツが完成したら本来のミッション以上の人数で行ける。そして、ハヤスも帰ってこれる」
そんな話を聞き、2人の目に活力が戻り機体の調整をしてくるといって飛び出していく。
「元気だねぇ……、だが一番戻ってきてほしいのは案外俺なのかもな。なぁ……ハヤス」
その呟きには誰も返事をしない。カリストの目が怪しく光る。
side アークエンジェル
「くっ!なんて数のジンなの!対空防御!」
「数が多すぎて抜けられます!ダメージコントロール!」
突然湧いて出るかのように大量投入されるジン、その動きはどこか制御されている機械じみた動きで死を恐れない無茶な行動も見受けられた。
「ストライクは何をしている!」
「ストライク、イージスと戦闘中!どうやら押されているようです……!」
「キラ……!」
「ジン接近!とりつかれます!ッ!上空にスモーク散布!所属不明のMS反応確認!以前に見たパターンからアンノウンと思われます!」
上空から飛来したアンノウン、数が4機から3機に減り、そのうちの1機は以前見た時からバックパックが変更されていることが確認できた。
そして、アークエンジェルにとりつこうとしていたジンを3機それぞれが持っていたビームライフルで撃ち抜き、他の攻撃を繰り返すジンへとターゲットを切り替えていく。
ストライクがイージスに抑えられ、スカイグラスパー2機だけでは対処できなかったジンを次々と撃ち落としていきアークエンジェルはまたしても窮地を脱することができた。
だが、その一瞬の気の緩みがアークエンジェルに致命的なダメージを許してしまう。ビーム攻撃を受け、アークエンジェルは不時着を余儀なくされる。
そして、アンノウンの3機がバスターガンダムへ攻撃を開始し、ついにバスターガンダムは機能停止へと追い込まれバスターガンダムのパイロット、ディアッカはアークエンジェルへと投降する通信を送る。
その時、トールの乗るスカイグラスパーがキラの援護のために全速で飛んでいく。それを追うかのようにアンノウンの3機が飛び立ち、しばらくするとトール機のシグナルがロスト。
そのあとを追うかのように大爆発が起こり、それと同時にキラのシグナルもロストする。
その報告はアークエンジェルのクルーにとって絶望に等しいことだった。今まで守ってくれた子が、大切な友人が目の前で消えてしまう喪失感がクルーたちに襲い掛かる。
何とかオーブへ救援要請を送ることに成功し、M1アストレイにバスターガンダムの回収、アークエンジェルの修復をしてもらい動けるようになる。
そして、オーブの救助隊はストライクの残骸、イージスの破片、そして波打ち際に倒れるザフトのパイロットを発見する。
一方、空中から索敵をしていたムウもあるものを発見する。それは、今までピンチの時に必ず現れていたアンノウンのうちのストライクに酷似した機体だ。
「こちらムウ!坊主は見つからなかったが……ちょっとヤバいものを見つけた。アンノウンの1機だ」
その後、M1アストレイに抱えられアークエンジェル内に運び込まれたアンノウン機、コックピットを外部から開けると中にはパイロット席はなく、床に倒れ伏すパイロットの姿だった。
「ッ!パイロットだ!気を失っている、救護班!」
「それにしても、操縦席もないのにどうやって動かしていたんだ?パイロットスーツでもなく見たこともない服装だ」
アークエンジェルはオーブの救助隊たちと共にオーブへと帰還する。