side アークエンジェル
アークエンジェル医務室、そこにはアンノウン機のパイロットである一人の少年が寝ていた。体のあちこちに打ち身が見られ、おそらくイージスガンダムの爆風に巻き込まれ不時着していた島へと飛ばされた際に打ったのだろうと考えられる。
どこからともなく現れ、そして助け、去っていく。その目的を知るため今、オーブに停泊している間に少年が目を覚ますことを願われていた。
「こんな子供がアンノウンを操縦していたなんて……」
「なんだかやるせないねぇ、へたしたら坊主よりも下なんじゃないか?」
「ムウさん……、この子がヘリオポリスから脱出した時に助けてくれた……」
ハヤスが意識を失ってから数日たち、すでにアークエンジェルはアラスカでの一件を終え、オーブへと身を寄せていた。そして……
「オーブ近海に反応あり!照合確認!連合艦隊です!」
「ついに攻めてきたのね……」
「連合の目標はおそらくオーブの持つマスドライバー【カグヤ】、連合は自分たちの持つマスドライバーを破壊されたからここを狙ってきた」
オーブ防衛線が今始まる、しかし連合艦隊の数は想定以上の数だった。侵攻する艦隊で海が見えないほどだった。
アークエンジェルはこれまで戦ってきて一つの仮説に思い至っていた。敵の数が少ないときは自分たちだけで対処できる戦闘、だが敵の数が膨大な時は必ず第三者が、アンノウンがどこからともなく現れ場を荒らし結果的に助けられていたと。
そしてその仮説は、まさに正しいことだった。
sideオーブ防衛線
あまりにも多い連合のMS、さらに後期GAT-Xシリーズの3機も投入され、オーブの防衛を担うM1アストレイは次々に撃墜されていく。
フリーダムを駆るキラは投入された後期GAT-Xシリーズの2機、フォビドゥンとレイダーの相手をしM1アストレイ隊を援護することができない。
そして、後期GAT-Xシリーズの最後の1機であるカラミティはオーブ内へ侵攻。ストライクダガーを引き連れ次々にM1アストレイを落としていく。
「きゃああああ!!」
「ジュリ!」
「マユラ!だめ!」
敵の攻撃を受け脚部を損傷したジュリを庇うように動くマユラ、それは連合機の仕掛けた罠だった。完全に倒すよりも負傷させた方が動きを阻害するのは定石であり、テストパイロットを務めていた彼女たちにはなすすべがなかった。
トドメを刺すべく、一斉にストライクダガーからビームが放たれる。それを防ぐ手立ては3人にはなくビームは3人の機体に吸い込まれ爆散……することはなかった。
3人の機体の前に投げ入れられた巨大な盾、Iフィールドと内部にジェネレータを搭載することで盾の装甲に使われている
「なに、これ……」
「シールド……?」
「と、とりあえず身を隠して!」
3人が負傷したジュリのアストレイに肩を貸しながら盾の裏へと身を隠すと同時に上空から1機のMSが降りてくる。その姿は今まさに対峙しているカラミティガンダムそのものではあるがカラーリングと武装に大きな違いがあった。
黒を主体に、黄色だった場所が赤く塗られており、背中のシュラーク砲はなく右側に
その姿に動揺したのは3人だけではなかった。連合側のストライクダガーたちももちろん、カラミティガンダムを駆るオルガ・サブナックも動揺していた。
「なんなんだよ!その機体は!どうしてカラミティがいるんだよ!」
そう叫びながら一斉にビーム砲をストライクダガーたちと一緒に未確認のカラミティへと撃つ。未確認のカラミティは左側に付けていた
そのまま回転させるとビームシールドの役割をし、ストライクダガーやカラミティのビームを弾きながら一気に距離を詰める。オルガも咄嗟にトーデスブロックを撃つが直前で大きくジャンプをされ避けられる。
「クソが!何だってんだよ!撤退する!クロト!!」
そう叫びながら撤退するオルガ、だがやってきたクロトのレイダーもシャニのフォビドゥンもどこかしら負傷していた。
それに不思議に思ったのか周囲を見回すと、自分と同じように見たことのないレイダーとフォビドゥンがフリーダムを援護するように飛び回っていた。
sideフリーダム
アークエンジェルから飛び立ち、連合のMS部隊を退けるため戦っているとロックオン警報がなる。キラは咄嗟に回避運動をすると先程までいた場所にツォーンが走る。
後期GAT-Xシリーズのレイダーが変形した状態のクローでフリーダムを攻撃する。シールドに傷が入るが通り過ぎたレイダーに対してビームライフルを撃つが、突如割り込んできた別の機体によって軌道を曲げられる。
後期GAT-Xシリーズのフォビドゥンによる
「くっ!こいつ……!隙がない!」
「はァァァ!滅殺!」
レイダーのミョルニルがフリーダム目掛け飛ばされる、それに対してビームで撃つがミョルニルにはあまり通用せず弾かれる。そのまま飛んできたミョルニルをかわし再び2機との交戦に入る。
お互いの攻撃が通らないことにブーステッドマンの2人が苛立ちを浮かべると、どこからともなく2人目掛けて長距離のビームが飛んでくる。
「あぁ?なんだよ……あれ……」
「なんでレイダーがいるんだよ!」
機体の色が元の黒色から変えられ、全体的に緑色に、差し色に白色が入れられライトカラーが水色のレイダーがそこにはいた。武装も近接武装を外されており、遠距離からの攻撃を主体とした武装をつけられていた。
手に持っているものは
シャニがそんなもう1機のレイダーへと斬りかかろうとするがそんなフォビドゥンと鍔迫り合いをするように割り込むのは全体的に白く塗られ、緑色だった背面のバックパックが青色となったフォビドゥンだった。
武装はあまり大きく変わっていないがニーズヘグからシュベルトゲベールに装備を変えられていた。鍔迫り合いをしているがそれを終わらせるようにもう1機のフォビドゥンがシャニを蹴り飛ばす。
そこからは形勢が逆転、次第にブーステッドマンの2人は追い詰めれれていく。そんな時地上侵攻をしていたオルガから撤退要請を受ける。
オルガも何かに切り裂かれたような傷跡と共にクローで肩を掴み撤退する。
フリーダムがアークエンジェルのほうへ戻ると、そこには黒いカラミティがアークエンジェルの艦橋へ銃口を向けているところだった。
sideアークエンジェル
連合艦隊は壊滅、オーブ防衛線もそのほとんどが壊滅し第1次オーブ侵攻は痛み分けとなった。
だがすべてが終わったわけではなかった、未確認のカラミティが武装を全てしまった後、落ちていたストライクダガーのビームライフルを手にしながらアークエンジェルへと近づきその銃口を艦橋へと向けたのだ。
「なっ!ど、どうして!」
「味方じゃないのか?!」
銃口を向けながら黒いカラミティは艦橋へと手を伸ばす。すると接触回線でカラミティのパイロットから通信がある、しかしノイズまじりで何を言っているか分からなかったが次第にノイズが消えはじめパイロットの声が聞こえ始める。
パイロットの声は機械音声のような、ヘルメットごしのようなくぐもった声で話し始めた。
『アークエンジェル聞こえるか、そちらに一人の少年がいるはずだ。即時引き渡しを求む』
「そんな……彼はまだ意識が戻ってないわ!」
『そんなことは知らない、少なくとも目を覚ました時に周りに知らない連中ばかりのほうが辛いだろう』
「……まだ貴方が彼の仲間という確証もないわ。確かに助けてもらったけれどそれとはまた別よ」
『……そうか、悪いが強引にでも連れていく』
「ま、まちなさい!」
そう言いながら黒いカラミティはアークエンジェルの格納庫の扉を外部から開け内部に入ってくる。律儀というか格納庫内に機体を止め中から出てくる。
それを阻止するためにアークエンジェル内の兵士が格納庫へと向かう、そしてそこで見たものは人間ではなく黒いロボットであった。
「止まれ!止まらないと撃つぞ!」
「こんなところで撃つな、悪いが通らせてもらうぞ」
相手が人間ではなく、ロボットと知ると警告はしたが抵抗なく銃撃戦が始まる。両手で顔を守りながらロボットはまっすぐ兵士の元へ走り、跳弾を恐れた兵士が思わずトリガーから指を離した瞬間、瞬く間に昏倒させられてしまう。
「出てこなければやられなかったのに……ってなぁ!」
そのまま医務室へと向かい到着する、中へ入ると医療ベッドで眠りにつく少年がいた。
背中と腰のマントで、少年を体に固定し格納庫へと再び走り出す。途中兵士に見つかるが、ロボットに固定された少年に銃弾が当たってはいけないため撃つことができず、そのまま素通り。
少年を固定したまま黒いカラミティに乗り込んだロボットは、少年と一緒に格納した機体をカタパルトに乗せるとそのまま射出し、そのあとに続いて脱出。
何が起きているのか分かっていないキラはともかく、事情を察したムウは乗っていたストライクで捕まえようとするが横から思い切り蹴り飛ばされてしまう。
「うああっ!なんだ!」
その蹴り飛ばした犯人はフリーダムを援護していたアンノウン6である緑色のレイダーだった。それを見ていたキラはムウの援護に向かおうとするが今度は白いフォビドゥンが行く手を阻む。
そうこうしているうちに今度は空から大きな影が降りてくる。見たことのない巨大な戦艦、そこから出てきたのは見覚えのあるアンノウン2機。それを見ていたマリューは相手が戦艦を持ち、いつでもこちらを攻撃できたことに身震いする。
すると、さっきと同じように黒いカラミティが艦橋に手を当て接触通信をしてくる。
『悪いな、少年は引き取った。手荒な真似をして申し訳ないが事情が事情だ』
「……もっと詳しく説明してほしかったわね」
『こちらも、少年が行方不明になり焦っていたんだ。ではな」
そう一方的に通信を切ると同時に現れた巨大戦艦へと戻っていく。それを皮切りに他のアンノウン機も帰還していく。あとを追おうとすると巨大戦艦の砲塔がこちらを向き、言外に「追ってきたら撃つ」と脅す。
立て続けに行われた戦闘と騒動に、アークエンジェルのクルーたちにどっと疲れが来る。
戦艦は全ての機体を格納すると再び上昇し、反応が消える。こうして一連の騒動がいったん幕を閉じるのだった。
願わくば次も味方であるようにと。
side コズミックファイターズ
数日後、カリストから呼び出されたリネとナグサ。その内容とは以前開発途中だった戦艦が完成したという報告だった。
「戦艦が完成したって本当?!」
「ああ」
「なら、急いでいきましょう」
「分かった、なら戦艦に乗りな。戦艦でミッションに行く場合はその戦艦に乗ってないと駄目だからな」
そして、カリストの仮説通り原作介入のトリガーはハヤス、リネ、ナグサの3人だった。今まさにハヤスの元へ行くべくスモーク内に戦艦が現れる。
戦闘はすでに始まっており、オーブ側の機体が次々に破壊されていた。
「艦は頼んだ、キユウ。カラミティパラディン改、出るぞ!」
「ガンナーレイダー、出る」
「フォビドゥンブレイブ、行くぜ!」
早速と言わんばかりに出撃し、降下していく3人。実は異世界という響きに一番ワクワクしていたのはこの3人だったのかもしれないと、リネとナグサは艦橋内で思う。
「まったく、年寄りを呼び寄せたと思うたら。なんじゃ異世界って、お嬢ちゃんたちも一応ガンプラに乗って待機じゃ」
「は、はい!」
「わかりました」
カリストは二手に分かれ、別の地点へと降下する。その降下途中に攻撃され庇い合うアストレイ3機を発見する。少し気になり咄嗟に盾をアストレイ3機の前に投げ立て壁にする。
その目論見はうまくいき、アストレイ3機は慌ててその盾に身を隠す。
攻撃が止んだのを見計らって盾の近くに降り立つ。銃撃が再び始まると同時にジャベリンを展開し左手で持つ。そのままビームを帯びさせ左手を回転させることでビームシールドを生み出す。
ストライクダガーやカラミティのシュラーク砲を弾きながら一直線に進むと、トーデスブロックを撃ち込まれる。ジャベリンはあくまでビームだけを弾けるもののため咄嗟にジャンプをする。
そのまま空中でジャベリンの両端からビームワイヤーを伸ばしそれを鞭のように振り回しストライクダガーを一掃する。ついでにカラミティガンダムも攻撃するが、その攻撃は弾かれる。
そのままカラミティガンダムは撤退し、レイダーガンダムに掴まれて飛び去る。
それを見送った後、盾を回収する。アストレイから通信があったがノイズ交じりで何を言っているのか分からなかったがジャベリンをしまった後に空いた手を軽く上げその場を去る。
そのついでに連合のビームライフルを持ちアークエンジェルへ近づく。
(おそらく今のステージ的にはアラスカが終わった後、下手したらアラスカと一緒に吹っ飛んでたが流石アークエンジェルだな)
「アークエンジェル聞こえるか、そちらに一人の少年がいるはずだ。即時引き渡しを求む」
『そんな……彼はまだ意識が戻ってないわ!』
「そんなことは知らない、少なくとも目を覚ました時に周りに知らない連中ばかりのほうが辛いだろう」
『……まだ貴方が彼の仲間という確証もないわ。確かに助けてもらったけれどそれとはまた別よ』
「……そうか、悪いが強引にでも連れていく」
『ま、まちなさ』
(ハヤスがいるのはさっきの会話的には医務室か、まさかアークエンジェル内部を見れるなんてな)
接触通信によって会話したため、相手の通信が途絶えるがそれを無視してアークエンジェルの格納庫へと向かう。
「メカマスター、アフサイド。カバー頼む」
「了解(オッケー)」
外部から無理やり開き内部へと侵入するカリスト、奥にハヤスのゼロストライクガンダムがいることを確認してカラミティパラディン改から降りる。
すると通路から兵士が現れカリストへ銃を向ける。その表情は驚愕一色だった。
「止まれ!止まらないと撃つぞ!」
「こんなところで撃つな、悪いが通らせてもらうぞ」
(ダイバールック準拠なら大丈夫っぽいな)
顔を腕で守りながら一気に近づく、その予想は的中しカリストは銃弾を弾きながら走り銃撃が止んだのを見て殴り気絶させていく
「出てこなければやられなかったのに……ってなぁ!」
医務室を目指し、辿り着いた部屋には眠り続けるハヤスがいた。背中と腰のマントでハヤスを自分の体に固定し、格納庫まで戻る。その道中、兵士に見つかるがハヤスに攻撃が当たってしまうかもしれないと銃を咄嗟に上げる。
その横を素通りし、格納庫にたどり着くとそのまま自らの機体に乗り込む。
「救出作戦成功!ハヤスの機体だけ先にカタパルトで出すぞ!」
「嬢ちゃんたちに運ばせる、出番だぞ!」
「ありがとう!」
カタパルトで出した後、そのまま格納庫から出ると再び艦橋へと向かう。そのまま艦橋に手を当て接触通信をする。
「悪いな、少年は引き取った。手荒な真似をして申し訳ないが事情が事情だ」
『……もっと詳しく説明してほしかったわね』
「こちらも、少年が行方不明になり焦っていたんだ。ではな」
艦橋から手を離し、ちょうど降下していた戦艦へと戻る。その後戦艦内部の医療室に寝かせてしばらくするとリネとナグサが駆け込んでくる。
その目には涙をため、リネはハヤスに抱き着きナグサも2人へ近づいていく。
「よし、ミッションはクリアした。あとは戻るだけだ」
「話を聞くにこのまま戻れば現実世界で坊主は目を覚ますってことじゃな?」
「あぁ、シドもそうだったらしい」
「よーし、撤退!」
戦艦は上昇をはじめ、脱出ポイントにはやはりスモークが出現しその内部へと入っていく。
ミッションクリア報酬をもらうと、ハヤスは自動的にログアウトさせられそれを追うように2人もログアウトする。
進の入院する病院に駆け込む二人を見る二つの影、それは本来現実世界ではコスプレでもしない限り見れないロボットだった。
「……本当によかった」
「救えてよかったな、カリスト」
「あぁ、これでだめなら新しいハヤスを見つけに行かなきゃならないところだった」
「次の目途は立ってるのか?」
「一応な、こっちでケリつけたら移動するかな」
「次はどんな設定なんだ?」
「現代ヒーローものだよ」
そんな会話をした後、2人の姿は煙のように消え去る。
正体は活動報告に