「カラミティパラディン、出るぞ!」「ヴィクトリーガンダム、ナグサ出ます!」
成り行きのままにバトルすることになってしまったナグサ、隣に並び立つ機体を見てため息をつく。ライセンスを取るためだけだったのに変な輩に絡まれてしまったせいだ。助けてもらった手前あまり文句は言えないが、自分の意見を言う前に決まってしまった事には言及した。
「ちょっと、勝手に決めないでください!助けていただいたのは感謝しますがまさかバトルだなんて……」
「そいつは悪かったな、だがそこに立っているのは危ないぞ」
「ちょ、ちょっと!」
カリストに腕を引かれて真後ろへと動かされたのと同時に激しい砲撃が2人を襲う、だがその砲撃は全てカリストによって防がれた。通常のカラミティガンダムの盾から大型の盾へと変えられ、射撃機能をオミットしIフィールドと盾自体にジェネレータをつけたことで
「ククク、その程度の攻撃でこの防御を突破できるものか……!お前はそこで待っていろ!俺が全部終わらせてやる」
「一人で?!無茶よ!」
「無茶なものかよォォーー!」
その場で大きくジャンプをし、敵機の場所を確認したかと思えばその付近へとシュラークを撃つ。あぶり出された敵機をトーデスブロックの代わりに装備していたビームスマートガンで狙撃していく。その狙撃の威力を目の当たりにしたナグサは自らの目指す遠距離の形をほんの少し想像することができた。味方に居れば心強く、敵に居れば厄介極まりないその攻撃方法は図らずもナグサの経験値となったのだ。
(作りこみや改造でこれだけの性能差がでるなんて、やっぱり自分だけのガンプラは必要……。彼の今の言動は置いておくにしても戦い方は理に適う……)
「何棒立ちでいやがる!アイツは無理でもお前ぐらいは墜としてやる!」
「し、しまっ!」
カリストの狙撃を免れた残りの1機が身を隠しながらナグサの付近までやってきていたことに、考え事をしていたナグサは気が付くことができなかった。不意打ちによってダメージを覚悟していたナグサは咄嗟に目をつぶってしまう。しかし一向に来ない衝撃にゆっくりと目を開けるとそこには巨大な盾によって潰された敵機がいた。空から狙撃していたカリストが一手早く気が付き盾を敵目掛けて投げていたのだ。
変則バトルが終わり逃げようとする4人のうち1人を捕まえカリストはバトルが始まる前にした約束を履行しろと詰め寄る。そして受け取った4人分の有り金をナグサに渡してきた。自分は何もしていないから受け取れないというナグサにカリストは「勝手に巻き込んじまった迷惑料だと思えばいい」と無理やり渡す。
「それにライセンス取るにも結構金かかるんだよ。その様子だと知らなかったみたいだしな」
「それは……。じゃあありがたくもらうわ」
「ついでにライセンスの場所を案内してやるよ、近いうちに運営が場所を移すだろうがここまできて後日ってのもおかしな話だしな」
「えっと……ありがとう」
無事にライセンス手に入れ、V2アサルトバスターの適正使用許可を得たナグサ。そこには武装や戦法に迷走していた面影はなく、目標が定まったという決意をした女がいた。そんな彼女を見たカリストは思わず「綺麗になった」とつぶやく。不意打ち気味に呟かれた言葉に顔をわずかに赤くしながらナグサは睨む。
「口説かれてます?」
「ククク……どうかな?だがライセンスを取る前と比べて何か吹っ切れたような感じがする。バトルで何を感じたのかは知らないが、伸びるぜ。」
「あ!ちょっと!」
色々とはぐらかしながらその場を去るカリストを一瞬止めようとしたが片手をあげながらそのままログアウトしてしまう。別の意味で悩みができてしまったナグサだった。