マーブル9repe(クレープ)   作:BlueAir

1 / 9
①激甘クレープが食べたい

今日この物語の始まりは彼女の声からだった。

 

事務所の机と向き合い、資料を見ていると扉の開く音がした。

そして、元気な声が聞こえてきた。

「ハーイ!マネージャー!」

その声の主は、柚葉。

「柚葉、おはよう」

制服姿だったので学校帰りだと思い、再び机と向き合う。

柚葉は俺の隣に座り、カバンからとあるものを取り出した。

机に、とある紙を柚葉は出した。

「なんだ、学校でわからなかったところがあるのか?」

「いいえ。これは私の願い事よ!」

「願い事……?」

柚葉が取り出した紙を手に取り、書いてあったことを読み上げる。

「甘いクレープを食べたい……のか?」

「そうよ」

「わかった、行くのはいつでもいいんだが…もしや今か?」

「Now!」

「わかった、行こう」

机に置いてあった財布を持ち、事務所から出る。

 

事務所から商店街を通り、駅に向かう途中。

「そういえば、柚葉。どこのクレープ屋なんだ?」

「駅前にあるクレープ屋よ!」

確かにネットニュースに書いてあったな。

なんか…激甘クレープが人気だとか書いてあった気がする。

もしかして、それが目的?

もしやと思い、柚葉に聞いてみた。

「なぁ柚葉。もしかして激甘クレープか?」

「あら、マネージャーも知ってたの?なら話は早いわね!早く行くわよ!」

柚葉は駆け足で商店街の通りを走っていく。こんな走ってしまうなんてよっぽど楽しみだったんだな。

確か、そのクレープってクレープの上にクリームがいっぱいあって、紫色のアイスみたいなのが乗ってたはず。

確かに激甘クレープと呼ばれるのもわかる。

走っていく柚葉の後ろ姿を追うように俺も軽く走る。

この時の柚葉はとても子供っぽくて、すごく楽しそうな顔をしていた。

期待に満ち溢れていた。

駅前につくと、長蛇の列が目に入った。

恐らくクレープでこんなに集まっているのだろう。

「ワオ…すごいわね、いっぱい人が並んでるわ」

「ネットでかなり広まってたからな。多くの人が興味を持ったんだろう」

食べられるまでは時間があるが、楽しい話でもしていればすぐに食べれるはずだ。

「それじゃ、並ぶか。少し時間はかかるが、話して時間潰そう」

「そうね!」

最後尾に並び、柚葉と話を始める。

「実は学校で……」

仕事や学校のことだったり、寮での出来事。

買い物に行って買ったものや、レッスン中でのことだったり色々なことを聞いた。

その時の時間は、すごく楽しかった。

きっと柚葉も楽しかっただろう。

それに、もうそろそろあのクレープが買える。

柚葉は目をキラキラさせ、今すぐにでも食べたいと目で訴えていた。

ついに自分たちの番……。今から俺が注文をしようとしたとき。

「激甘クレープを二つ、くださーい!!」

元気いっぱいの声で店員さんに言った柚葉。

店員さんから激甘クレープを受け取った柚葉は一つ俺に渡し、一緒にベンチに向かった。

「いただきまーす!!」

パクっと二人で一口食べる。

味を噛み締め…顔を見合わす。

「これ、すっごくおいしいわね!!」

「あぁ、甘みが当然だが良い。久々にクレープ食べたが、美味しいな」

「でしょ?」

柚葉はもう一口食べる。

「うーん!サイコーね!!」

ものすごい食べっぷりだ…。さすが柚葉。

クレープを食べ終わると、柚葉の制服にクリームが付いていることに気づいた。

「柚葉、これ使って。制服にクリーム付いてるから」

「あら。なんだか恥ずかしいところ見せちゃったわね」

「大丈夫だ。………また食べに行こうな」

「そりゃもちろん!今度はもっと食べるわよ!!」

 

事務所に戻ると、あの時柚葉に渡された紙が机に置いてあった。

ふと気になり裏面を見ると、九つの願い事が書いてあった……。




ロマんさんに書いていただきました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。