「メイド服だ」
「メイド服だね」
む?
「ちょこまかしてる」
「ちょこまかしてるね」
むむ?
「あ、気が付いた」
「気が付いたね」
今日も今日とてお仕事日和。
そんなこんなで玄関ホールの掃除をしてると、扉の辺りから聞き覚えのある声がした。
振り向くと、うっすら開いた扉の隙間から同じ顔が二つ並んでいる。
シャーロットの双子の妹弟、ジェーンとヘレンだ。しかしなぜ屋敷へ?
「こんにちは」
「来たよ、ソラっち」
挨拶をされたのでマニュアル通りの角度と姿勢でお辞儀。
ふーむ。聞かされてないけど約束事でもあったのだろうか。
なんにせよ発声できない私では応対ができないので、そんな時のためにと渡されていたベルを鳴ら──
「おおー。これがシャロ姉の作ってた専用メイド服」
「機械だらけだね」
「機械まみれだね」
「オレ達のはどうしたんだろ?」
「俺は着ないけど、改造された?」
そういえば私が元々着ていたメイド服はシャーロットがちょろまかしたとかで持っていたサイズだったなーって、あの。後で幾らでも見せるからちょっとどいてくれないか?
そう纏わり付かれると怪我をさせたくなくてオンにしたばかりの
この屋敷の面々が全員訳の分からない耐久性を誇っているから忘れがちだけど、私のパワーは素手で家の一つ二つ崩せるくらいなんだよ。
私は君達とも仲良くやっていきたい。せめて数少ない普通な人達枠として。
「回ってる」
「回ってる」
まじまじと服飾のファンを見られるのはちょっと恥ずかしい。
というか二人ともこんな喋りだったっけか。双子らしい語り方とはいえ、そこまで双子感あったっけな。
以前がピリピリしていたからっていうのもありそうだけど。
「……」
なんとかちょっとずつ動いてベルを持てたので、持ち上げてぶんぶん。からんころん。
鳴った鳴った。
「そういえば喋れないんだっけ」
「トーマス兄が言ってたね」
「文字とかもダメなんだっけ」
「シャロ姉が言ってたね」
そこまで情報が伝わってるなら早い。
そこで、どうして今日はここを訪れたのだという疑問を糧に首を傾げてみる。
「そ・れ・は!」
あ。
「ぐわーっ!」
どんがらがっしゃん。
廊下の先から駆け抜けてきた超重量有機物質がホールへ辿り着くと同時に何かに躓いて転び、ド派手に転げ回りながら目の前に着地した。
入浴の際も浴槽へいつも滑っていくし、大きすぎてバランスが取れてないんじゃなかろうか。このシャーロットとかいうのは。
一つ遅れてエミリーもやってくる。
「シャーロットさん。はしたないですわ」
「転んじゃうんすから仕方ないっすよ」
「廊下は走らない。常識ですわ」
「走ってないっすよー。突き進んだだけっす!」
そのスタートで駆けてるし、それは走ったことになるのでは。
「あはは、シャロ姉また転んでる」
「ふふふ、家でもよく転ぶもんね」
家でも転んでるのかお前。
「自宅でも転んでますの……?」
「お陰でそろそろ完全に壊れそうっす! おうち!」
あのボロ屋の正体、もしかしてシャーロットが転びまくったせいなの……?
「昨日はついに屋根が飛んだよね」
「一昨日は壁」
「寒いっていうのにね」
「寒いっていうのにねー」
ジェーンにヘレン。お前達はそろそろ怒った方がいいぞそれ。
路頭に迷うのはお前達なんだぞ。
むしろシャーロットに真っ向から立ち向かえるのお前達くらいだから頑張ってくれ。このまえ喧嘩したみたいに。
「おかえり」
と、団らんの場へ数少ない男性の声が追加された。誰だろう……って、トーマスじゃないか。厨房以外で会うのは珍しい。
もしかして私がベルを強く鳴らし過ぎて近くの人達全員集めてしまったのだろうか。
さり気なくおかえりって言ってるけど、ここは領主ジョージの館であって家ではないぞ。
「……」
一歩引いて全員を画角へ納める。ぱしゃり。
長女シャーロットとその弟トーマス、双子の妹弟のジェーンにヘレン。
両親はいないとの事なので、仲良し家族全員これで揃い踏みか。家に置いてあった絵はお世辞にも上手いとは言えないし、あとでこの写真を手動で印刷して渡してあげよう。
……にしても顔立ちは似通った所があるとはいえ……。
「お? ソラっちどうしたっすか?」
いや、ひとりだけ明らかにデカいなって。
一般的に男性の方が身長は高くなりやすいと学んでいるけれど、例外ってあるもんだなぁ。
トーマスよりでっかいもん。
それで。そろそろ本題としてどうしてこの双子は屋敷を訪れたのだ?
「首を傾げていますし、疑問に思っていますわよ。どうしてこの二人がお屋敷へって」
いいねエミリー。ブロンテのいない今はエミリー翻訳が最後の砦だ。
「ああー。そういえばソラっちは冬の風物詩を知らないっすね!」
冬の風物詩?
「そう! シャロん
シャロんちは……?
「冬になると、水が凍ってお風呂に入れないんす!」
どや顔で言うもんじゃないだろうそれは。
「……」
「だーかーら! 俺は後にするって!」
「僕も流石に……」
「いーやーっす! 家族団らんみんなでお風呂!」
断り続ける双子の男の方ことヘレンと弟長男トーマスを両脇に抱え、シャーロットが脱衣場へ向かったのは数分前の事。
色々と大丈夫なのか気になって付近の角からマイクを傾けてみれば、やはりどんちゃん騒いでいる。
主に混浴へ対する見解でもめていた。
「チビ共はお姉ちゃんと一緒に入る義務があるっすー!」
こう言うのもなんだけど、アホらし……。
どうせあの家じゃいつもの事だろうから巻き込まれないようここは知らぬ存ぜぬで去っておこう。
さらば──
「……」
「あ」
回れ右した瞬間、後ろから声がした。
一音で分かりにくいけどシャーロットだ。見つかってしまった。
「ふっふー。大丈夫っすよぉ」
「……」
捕まえてくるだろうなこれ。
お前も家族だーとかいって。
「ソラっちも家族っす! 待てーっ!」
脱兎の如し!
「……」
「チビ共嫌がるそれなにかー! チビ共嫌がるそれお風呂ー!」
「……」
ええい、いつしかに聞いた歌を口ずさみながら追ってくるんじゃない!
というか、その嫌がるって一緒にお風呂に入るのをって事だろうよ!
「おいお前ら、騒がしい──ぉうわあ!?」
秘儀、ジョージ投げ!
「なんの!」
その辺を歩いていた町ちょ……じゃなくて領主のジョージを身代わりにしてみたんだけど効果なし。
シャーロットは押し付けられたジョージを綺麗に受け流すとそのまま追ってきた。
「お、お前ら……」
うーん、雇い主というか持ち主に対する行動ではなかったな。
「……」
「待てーっ!」
仕方ない。
そのままの勢いで裏庭へ飛び出し、シャーロットもそれを追って表へ出た所で──跳躍。
いつもはパンチのプラスパワーとしているエルボーロケットを推進力の足しとすることで、屋上くらいまではひとっ跳びできるのだ!
ふふん、使えるものは使う。応用、汎用性が高い機体ほど良い。
「……」
目算通りの軌道で着地。
これで恐らく振り切れただろう。
あとは見つからないよう──
「ふんぬっ!」
一瞬私に影が差し、ずどんと後ろに何かが着地した。
何か、と濁すまでもない。
「この! 熊殺しことシャーロットから! 逃げきれると思わない事っす!」
……いやいや、いやいやいやいや。
おかしいでしょ。あんた人間でしょ。
なんで、二階建ての屋上まで地上からなんの補助もなく、垂直に? 跳躍で追ってこられるのさ。
しかも私に影を差したって事はそれ以上に跳んでる訳だし。
「さぁさ観念洗われろー♪」
あとさり気なく言ってた熊殺しってなに?
「我が名その名はシャーロットー!」
がしっ。
もうこうなってはしょうがない。
諦めるしかなさそうだ。
「よ……っと。ソラっちってやっぱ重いっすねー」
「……」
むぅ。機械の身ゆえ仕方ないのだが、そうハッキリ言われると気になるな。
しっかりスカートの付いてるメイド服を着用しているとはいえ、私は女の子なのだ。
最近そういう、人間らしい羞恥心? とかも人間らしく振る舞う上で大切だと学んできているのだぞ。
兵器だけど。
流石のシャーロットでも三桁重量を小脇に抱えるのは無理があるらしく、所謂お姫様抱っこをされて脱衣場まで連行された。
私が断っていたのは家族の団らんに巻き込まれたら面倒を邪魔したら悪いとの一点だけなのでこうなっては仕方がない。
辿り着くと、そこにはもうジェーンとエミリーしかいなかった。
待ってくれ。女性のみとはなっているがどうしてエミリーが増えているんだ。
「あらソラさん。どうされましたの?」
どうされた、じゃない。お前がどうした。
業務はどうした。まだ上がりじゃないだろう。
「あれ? うちのチビ共は?」
「ヘレンとトーマス兄ならジョージさんとこ行ったよ。オレ達が出るまでゲームで遊んでるんだって」
シャーロットはエミリーも家族判定なのか、全く気にせず話を続ける。
「まーたゲームっすかあの三人。好きっすねぇ」
「シャーロットさんの家族好きには敵いませんわ」
「そら! 両親から託された愛する愛する唯一無二の肉親っすから!」
「急に重いのやめませんこと?」
とりあえずシャーロット、降ろしてくれ。
タップ連打。びしびしばしばしがんがん。
「っとと、ソラっち持ったままだったっす」
「衝撃過ぎてスルーしてましたけど、ソラさんを抱っこできるのはどうなのかしら……」
「……確か石みたいに重かったような……」
床に降り立つと、しけって柔らかい床の間がミシミシと音を立てた。
私+シャーロットでも受け止めていた耐久力なので大丈夫だろうが、毎度の事ながら心臓に悪い。機械の私に心臓はないけれど。
それはさておき、こうなったらお風呂だな。
よく自分で使っている籠へがちゃがちゃとしたメイド服を慎重に入れておく。
結構考えて素材や設計に気を使ってくれているとはいえ、空冷ファンとヒートシンク代わりのジッパーが沢山ついた専用メイド服はどうしても
あぁいや、文句というわけではないんだ。
ただみんながせっかく作ってくれた一点モノへあまりダメージを与えたくないというか。
「……」
「む」
「どうかされましたの?」
「アンも捕まえてくればよかったっす」
そういえばアンは大変じゃなかろうか。
あの子って私が入浴中に着替えを入れ替えたりするんだけど、どうもこの専用メイド服は小柄な身には重たいらしく大変らしい。
直接聞いた訳じゃないけど、あの姿なきアンが廊下の隅へ文字通り尻尾を出すくらいには運ぶのが大変そうだった。
「いざ! 出陣ッ!」
私の準備が終わる頃、他の面々も並んで同じらしい。
他の面々に習い私も一応のマナーかなんか的にタオルをボディへ装着しているのに、なぜシャーロットは頭にしか巻いてないんだろう?
そういう趣味なのか? それともボディに巻く必要が本当はないのか?
「乙女として恥じらいを……」
「あはは、いつもごめんねウチの馬鹿姉が」
「家でもこうですの?」
「うん」
「……」
横から哀愁が漂ってきた。
なんかかわいそう。
「……」
「……」
なんかジェーンがすごい見てくる。
「ソラっちの頭のそれ、外さないの?」
頭の……。ふむ、こめかみの追加装備のことか。
バイザーを外したこれ単体のセットでは大した機能は確かにないが、接続端子の防護キャップを兼任する重要なものなのだ。
首を縦に振れば「ふーん」と言ってくれたし、わかってくれた様子。
「……」
「……」
シャワー前に辿り着き、いざ洗っていこうというタイミングで再びの視線。
なんかジェーンがすごい見てくる。
「いや、ネコミミついてるしどう洗うとき大丈夫かなぁーって」
「……」
う、む。まぁ、普通の人間には付いてない部位だし気になる、か?
私に慣れた二人とは違い、ジェーンは二度会っただけの機械だ。聞かれれば答えていくしかあるまい。
「え! なにそれ!」
通気口を指差しながらシャッターを開け閉めすると、とても驚いてくれた。
ふふん。カタログスペックでIP65、経年劣化で多少不安はあるが頭を洗う程度問題は全く──
「すげー、猫獣人ってこんなこともできるんだ」
「……」
猫じゃないし獣人じゃない。
──って、指を入れようとするんじゃない!
「ジェーン。怪我するからやめといたほうがいいっすよー」
「えー」
「えーじゃないっ」
姉のシャーロットがちゃんと止めてくれた。
でもお前だって無理くり通気口に指入れようとしたこと私はちゃんと覚えてるからな。
「お怪我、されたんですの?」
「……ほらジェーンも風邪ひかないうちにちゃちゃっと洗うっすよー」
いいぞエミリー、ナイス支援。
4人並んでわしゃわしゃ。私は人間と違って老廃物がないので正直言うとそこまで毎日やる必要はないのだが、またカビ臭いと言われても嫌なので。
ブロンテがカビ臭さに関して含みを込めた手紙を残してから
「では! お待ちかねのぉー……」
立ち上がったシャーロットがそのままの勢いで滑り、重力に引き寄せられるような勢いで浴槽へ吸い込まれて落ちていった。
「そういえばここのお風呂も年季入ってるよねぇ」
「ジョージ様は壊れたら建て替えるとおっしゃられていますけれど、いつになるやら」
「……まさかボロさを使った覗きとかじゃないよね。カメラとか」
「その辺りはアンに確認して貰ってるから大丈夫っすよー」
もはやシャーロットが転ぶのをスルーし、話題は雇い主たるジョージだ。
みんなが熱々の湯へ浸かる一方、私は専用の水風呂へ。
「ってあれ。ソラっちなにそこ」
「あれはソラっち専用のプールっす。熱いのが苦手らしいっすからねぇ」
「ああー。猫舌かぁ」
「シャロもたまにお湯と行き来して遊んでるっす」
猫舌ってそういう意味じゃないと思うんだけど。
さておき洗身洗髪よりも大事な作業をここで行う。というのは、プールで冷却しながらのデータ処理だ。
一週間経過した日のデータは重要だったり重要そうだったりする以外を超圧縮し、事実上の処分とせねば負荷となってしまう。
全部記憶する事はできなくない。でも、替えのパーツや知識人が何一つ残っていない現在において故障の遠因となる可能性はなるべく排除しておきたいのだ。
あー冷たー。
「あの、ジェーンさん? もしかしてですが、ソラさんの事を獣人だと──」
「──でさ、さっきの話だけどジョージさんて弱み握った女の子集めてメイドさんさせてるしそういう趣味なの?」
「え゛」
頑張れエミリー。私が機械だという事を忘れてる同僚やその妹へ頑張って伝えてくれ。
「ごほん。ジョージ様が屋敷にメイドを置き始めたのは趣味ではなく、シャーロットさんの家の為ですのであまり悪く言うのは感心いたしませんわ」
「そうっすねぇ。たぶん趣味も混じってるかも知れないっすけど」
「え゛」
ここにきて衝撃の事実。
ジョージは、メイドさん趣味?
うーん。給仕係というかメインの仕事に集中したいだけだろうし、みんなの勘違いだろうね。
「ご、ごほん。両親を亡くし、借金もあるまだ子供のシャーロットさんの働き口として屋敷へ置いてくれるようになったのでしょう? それがたまたまメイドだっただけで」
「……シャロ姉なら警備の方が良くない?」
「え゛」
趣味、趣味でメイド。浴室の覗きとカメラ……。
ジョージの為にもエミリーと共に何か弁解してやらねばなるまいが、生憎と喋れないしなぁ。
あ、そだ。えーっとどの時間帯だっけな。
日付は私の棺から追加装備と録画データを回収した日で間違いないしすぐ思い出せる。あの日は特別な日として記念にしてあるからな。
この時に確かメイド趣味を否定できるものがあった筈。
「……」
あったあった。
あとは映し出す場所が欲しいんだけど、そも部屋が明るい。どうしたものか。
「……」
視線をさ迷わせていると、水面に怪奇現象っぽいのが見えた。
っぽい、というのも揺らめいててよく分からないからだ。
いつもの怪奇現象で部屋の明かり消してくれないかな。
「あら。ソラさんどうされましたの?」
「寒くなってきたの?」
「シャロは溶けそうっすぅ~」
ぱしゃぱしゃと水面を叩き、続いて電灯を指す。
みんな首を傾げた。私は目を光らせてから、ゆっくりと明かりを落としていく。
これで伝わってくれるかな。
「あら」
「あれ」
「ぐえぇ」
お。伝わったっぽい。
ぱちん、と音がして浴室が真っ暗になってくれた。
よしよし、じゃあさっきフォルダへ用意したジョージ弁解の映像を流そう。
「あ。ソラさん、映画を流そうとされてましたのね」
「すっげ、そんなこともできるんだ。魔法ってすごいなぁ」
「……」
魔法じゃなくて科学です。
目のライトを調整する事で実行できるプロジェクターは壁にしばらくカラーバーを映し、色合いの調整が済んだので動画を選択。
「……」
「本棚?」「本だね」
「ソラっちぃ~」
うわ、めちゃんこ熱されたシャーロットがプールに入ってきた。
ちょっと待ってって。ピントがずれる。
「あ、ジョージ様」
「なんか隠してるみたいだけど」
『何を探してるんだい?』
「あ、喋った」
「音も出るんだ」
今みんなに見せているのは、以前に私が道化師(以下略)という本を借りた時の映像だ。
この時にジョージが私に奪われまいとしていた本。あれなら美術面での趣味とアピールできるし、メイド趣味の変態レッテルを剥がせるだろう。
『眩しっ、何その機能……!』
ちょっと早送りしつつ、しばらく経ってみんなへ見せたいシーンまで辿り着いた。
『あ』
映像の中のジョージが本を落とし、私が拾い上げる。
そしてそのまま、興味のあった私が本を開いて中身を──ああ、ちょっとシャーロット揺らさないで。
「え゛」
「え゛」
「え゛」
ちょっとピンボケで分かりにくいだろうが、ちゃんと伝わったらしい。
裸体の写真を収めた本といえば美術鑑賞。
どうだ。私を買って所有する持ち主のジョージはメイド趣味ではなく、立派にちゃんとした大人な趣味を持っているぞ。
『あ、ちょっ、ソラ……!』
『……』
『おお、ソラくん。元気そうだね』
廊下でブロンテとすれ違う所で映像終了。
「……」
どうだみんな。
ジョージの潔白は証明されたぞ。
「ええ、まぁ。ソラさん。ジョージ様もその、男性ですし……」
「ね。その。なんかあったらオレ達にちゃんと言え?」
「……旦那はああいうのがタイプなんすねぇ」
薄暗い中にぽつぽつと言葉が並ぶ。
なんかちょっと反応が微妙だな。
しかし他になんもないんだよねぇ。
思い出と名付けられたフォルダには他にも日常の切り取り映像はあるが、どうもこれ以上にジョージを弁解できるものがない。
うぅーん。ジョージすまん……!
「……」
と、その時。フォルダを閲覧していた私の視界にカーソルがすっと現れた。
なんだこのカーソル。誰が操作してるんだ?
まさかと思ってシャワーの所にある鏡へ視線を向ける。
映っていた怪奇現象は鏡の中の私にマウスを繋げ、自分で用意したらしい画面を見ていた。
お前、そんなことできたのか……。
「……」
お目当ての映像が見つかったらしく、鏡越しに壁を見ろと指示が出る。
よし乗ってやろう。お前もメイド服を着ているのなら弁護に付き合え。
「お次は何ですの?」
「記憶を再生できるって凄いね魔法」
「うーさぶさぶ。お風呂ぉ」
シャーロットは離れた。なんかプールがぬるく感じる。
それで、怪奇現象の選んだこの映像は……?
『おお、この耳動くのか。やっぱ猫なんだなぁ』
なんだ。疲れているだろうと考え私が撫でさせた時のやつじゃないか。
私の一人称視点なので何が起こってるのか分かりにくいが、まぁだいたいは分かるだろう。
『こんなの誰かに見られ……た……ら……』
しばらく撫でまわした最後、ブロンテが現れた所で映像は終わった。
なるほど。先ほどのラストといい彼女が証人になるぞっていうアピールか。
これは怪奇現象のファインプレー。後日墓前にクッキーを供えてやろう。
あ、怪奇現象も気が済んだのか明るくなった。
いいねその電気操作するの。私を操作した時と同じ方法なんだろうけど、私もそれやりたい。
Bluetooth対応してる? Bluetoothなら私いけるぞ。なんせ当時最新式だからな。
さて。
みんなの反応は?
「先にあがりますわ」
「おっけ。オレも」
「溶けるぅ~」
うーん。これはどういう反応なのかわからん。
シャーロットに至っては熱で頭がやられてるし。
なんであんなフィジカルエリートで熱には極度に弱いんだ。
「ソラさんはお部屋で先に休んでいてくださいまし」
「ああ、オレらに後は任せろ……!」
その夜。
どうやらジョージたちは遊んでいたゲームが盛り上がったらしく結構遅くまではしゃいでいた。
次回はアンケートに従って書いていくので、感想や評価も合わせてよろしくお願いしますっすー!
次回はソラちゃんと誰を絡ませよう?
-
シャーロット
-
エミリー
-
アン
-
ジョージ
-
厨房の男達
-
ジェーン&ヘレン
-
トリブレ
-
怪奇現象(本物のアン)