古代兵器のお屋敷のんびりメイド暮らし。   作:親友気取り。

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26 シャーロット・ハウス

 

 

 みんなが雪遊びをした翌日も休日。

 冬休みと銘打たれた連休の二日目である。あともう一日あるよ。

 少し前なら機械は働かせてなんぼと無言で喚いただろうが、私も大人の機械(レディー)だ。 

 流石にもう慣れたし、暇の潰し方も覚えたぞ。

 

 自室備え付けの椅子へ腰かけ人間らしい動作で読書開始。

 

 じゃじゃん。これは昨日読んでた「ベリテット冒険記」の二巻だ。

 第一巻ではエルフの友人や道化師の手引きによって離別していた父と再会、ボタンの掛け違いを正し大団円だったがどうなるだろう。

 あらすじを読むに今回は道化師へ焦点を当てた内容とのこと。道化師の友を持つ者としてどのような展開になるのか気になる。楽しみだ。

 

 

「……」

「……」

 

 

 ──無言で現れたエミリーが私の背後、ベッドに座った。

 なんだろうこの既視感。というか昨日と状況が似てる。

 まさかまたシャーロットが何かしでかしたとかじゃなかろうな。

 本からカメラを逸らさず手鏡をさり気なく構え、確認。

 

 うーん。超にこにこしてる。

 ものすっごい笑顔で私の背中を見てる。

 

 様子は分かったのでこのまま放置する意味はないな。

 ぱたんと本を閉じ、振り返って首傾げ。

 何用でございましょうかエミリー。

 

 

「ごきげんようソラさん」

「……」

 

 

 こんにちは。

 喋れないし表情も動かせないので無言頷き失礼。

 

 

「……」

 

 

 それで?

 追加の疑問提示という訳で首を傾げ直す。

 

 

「トリブレさんの撮影した写真、届きましたわ!」

 

 

 昨日の雪遊び中の写真か。

 雪の中からレンズを覗かせていたトリブレの姿は記憶に新しい。

 こうして私以外の視点が保存された状態で並ぶのは新鮮だ。これを除けば私の写っているものなどエミリーの隠し撮りくらいしか存在しないだろう。

 ぱらぱらと捲っていた物を正し、山札となった束の一番上から見ていく。

 

 

「これはシャーロットさんと二人で遊んでいる時のものですわね」

 

 

 雪原と化した裏庭の中央で両手を広げているシャーロットの写真。

 メイド服で地面の雪を頭上に撒き、笑顔となっている。

 

 

「写真へ納めれば普通の可愛らしい年頃の少女に見えますけど……」

「……」

 

 

 実際には2m近い巨体なんだよねぇ。何食べたらこんなにでっかくなるんだろう。他の弟妹は通常サイズなのに。

 ぺらっと捲り二枚目。巨躯はメイド服からジャージ姿へ切り替わり、5m程の雪玉を笑顔で転がしている。

 5mほどの雪玉を、笑顔で、転がしている。

 

 

「……わたくし、腰ほどの高さの雪玉を転がすのが精一杯でしたが……」

「……」

「やっぱりこの方おかしいですわよね」

 

 

 こくりと頷き同意。そもそも雪投げのラストバトルの際に雪だるまを持ち上げていたが、あれも相当におかしいんだからな。

 

 

「これを、三段……?」

 

 

 続いてはトリブレの視点によるもの。写真の下二角に鋭利で悪役チックな指先が写っている。

 どうやら最終的にスロープへ姿を変えた特大雪だるまの建造中らしい。

 

 

「楽しそうですわねー」

「……」

 

 

 写真から当時の会話ログまで採取できないのが惜しまれる。

 

 

「ところでトリブレさん、こんな機械を使って怒られないのでしょうか」

「……」

「ソラさんはかわいらしいから許されるとはいえ、パッとみてあの姿は威圧感があるといいますか」

 

 

 私に関する前半分は無視して、後半には同意。

 四肢を持った巨大黒豆とすれば可愛いシルエットの想像がされるが、実際に存在するトリブレマシンは指先や前腕のカバーが鋭角で禍々しく、かつ作業用重機としてはオーバーパワーが過ぎる。

 きっと元々兵器だった何かを転用したのだろうけど、じゃあその元々がなぜ存在しているのかという云々。

 

 まぁトリブレの居住地がそもそも異界異国のような場所なのだ。

 こちらの法律や歴史ではないのだろう。気にするだけたぶん無駄。

 

 

「あ、ソラさん」

「……」

「ふふ、後で焼き増ししてもらいましょ」

 

 

 裏口から魔改造裏庭を眺めている私の写真。無表情で棒立ちなのが何か面白いな。

 

 

「ほらソラさん、かわいい」

 

 

 地面でばたばたしているシャーロットを見下ろす私とエミリーの写真。

 シュールギャグというか、差し込まれたイラストの一枚みたいでこっちも面白い。

 ほら、漫画本の幕間みたいな。

 

 

「あ! ツーショット!」

 

 

 私の両肩に手を乗せ、私の後ろで怪訝そうな顔をしているエミリー。

 恐らくシャーロットが仕事中であると指摘していた場面だろう。

 

 

「ソラさんのこの可愛さ、愛らしさ、全世界へ伝えたいですわ!」

 

 

 ええいいちいち興奮するな。撫でるな。てか撫でるな。

 

 

「ここから雪投げの場面ですわね」

「……」

「こっちは凛々しく、こっちはかわいく、トリブレさんも分かって撮ってますわね」

「……」

 

 

 アングルが違うだけでどれも一緒では?

 確かに角度やライティング次第で違う表情に見える撮影テクニックはあるが、あれは被写体となる相手の顔をそれ用に調整する必要もある。

 私の場合はいつもの通り完全無表情。眉のひとつ、瞼のひとつ、口の角度も絶対に変わらない。

 唯一稼働するとなれば猫耳こと通気口だが、この写真では角度の調節をしてないし。

 

 みんな一体どこを見て判断しているんだろう。

 いやまぁ。受け取られている情報に正しい所がない場面は多いし、人の理解などそんな程度のものかも知れないが。

 

 

「これこれ! これが楽しみでしたの!」

 

 

 お。どうしたどうした。

 

 

「脇! ソラさんの、脇!」

 

 

 ああ、雪投げラストの決闘でブースター使った時のか。

 腕を振り上げ、肘のカバーを開き、火柱がシャーロットを襲っている。

 兵器としてはこの照り返しが威力を伝える良い写真と言いたいが、エミリーは何故か脇へ注目してしまった。

 特に何にもないでしょそこ。

 

 

「ここに隙間を作っておいてよかった……」

 

 

 排熱のためにスリットが多く設けられている私の専用メイド服。

 まさか、エミリーの興奮するポイントが仕込まれていたとは。

 しかも発言から察すると故意に。

 

 

「でもこれ、一般公開とはいきませんわね。どう見ても兵器ですもの」

「……」

 

 

 機械であるのを忘れていないようだが、最初から兵器であること忘れないでくれ。

 私は“空”という実在人物の蘇生目的が主な生産目的だったらしいとはいえ系譜は兵器だ。

 なので誰がなんと言おうと分類上は兵器である。

 

 正式名称が兵器の含まれない軽自立機械人形ではあるけど。

 ──あ! そうだ名前に兵器ないんじゃん! 今気づいた! ちくしょう騙しやがったな!

 

 

「そして完成した滑り台の前で記念撮影した時の」

「……」

「皆さん良い表情してますわ」

 

 

 最後は集合写真。

 みんなやり切ったって顔してていいね。私は上記通りだし、トリブレは例の黒豆だし、アンは逃げようとしてシャーロットに捕まりもの凄くブレてるけど。

 

 

「真面目なソラさんがこんなにはしゃぐのも初めて見ましたし、新鮮でしたわね」

「……」

 

 

 はしゃぐ? この私が?

 照り返しと雪の冷却で大盤振る舞いできただけだし、楽しんでた訳では……。

 ……いや、ちょっとはこう、人間で言えばハイテンションとかに分類される乗り方だったのか?

 ううむ。私としては感情無い説を推してる訳だが。

 

 

「この記念写真は配る用として複数枚あるので、はい」

 

 

 それは助かる。

 部屋が殺風景過ぎて小物の一つ置かないと誰か来た時に引かれそうだと思っていた所だからな。

 

 

「写真立てもご一緒に。ソラさん持っていないと思って」

 

 

 おお、助かるな。

 さっそく入れよう。えいえい。

 

 

「ふふ、かわいい……」

 

 

 写真の位置直しつつ蓋閉めようとしても空気のぽふってやつでズレる。

 そんな様子をみてズレたエミリーが何か言ってる。言ってるだけで済んでる。

 よし。なんとか収まったな。色々と。

 

 

「このお部屋いっぱいに思い出を飾りましょうね! ソラさん!」

 

 

 写真オンリーにするのはそれはそれでどうなの。

 

 

「ところでソラさん」

「……」

 

 

 なんぞや。

 

 

「今日はシャーロットさんまだ見てませんわよね?」

「……」

 

 

 こくりと頷いて返答。

 仕事のはずなのに居れば目に入るでかい人は見てない。

 渡したい、思い出を共有したいとの事だろうが……。

 

 

「遅刻と思っていましたが、それにしたっておかしいような」

 

 

 またエミリーひとりに仕事を押し付けたのか?

 どれ、ジョージへ聞きに行ってみよう。通訳よろしく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──シャーロットなら熱出たから休むってさ」

「……」

「あの風邪を引かなさそうな人が!?」

 

 

 ジョージの言葉に驚き、エミリーが罵倒に近い言葉を発した。

 それは大変だな。じゃっ、私は読書に戻るので。

 

 

「待て逃げるなソラ。ちょっと待ってくれ」

「……」

 

 

 じゃっ、私は読書に。

 

 

「な? 待と? ちょっ、止まらねぇこいつ!」

 

 

 機械である私の肩を掴んだ所で止まると思うな。

 ジョージを引きずりつつ歩いて廊下へ出る。

 どどどどど。

 

 

「いいかソラ。アンも休みでいるのはエミリーひとりだ。かわいそうだろ?」

「……」

「まず止まって話聞こ!? なんでそこまで止まらないの!? 前まであんなに働きたがってたのに!」

 

 

 うぃーんがちゃ。うぃーんがちゃ。

 私は休日読書機械人形ソラです。

 

 

「……」

「あの、ソラさん」

 

 

 どうしたエミリー。

 

 

「恐らく、わたくしもジョージ様もここから離れられないからお見舞いに行って欲しいという事かと」

「……」

「そういう事だよぉ──って首傾げるぅ!?」

 

 

 残念ながら私、お見舞いは暴力しか知らないのだが。

 何すればいいのだろうか。シャーロット殴って病原菌ごと倒すとか?

 まかせろー。

 

 

「とりあえずお土産持って顔出すだけでいいから。あいつならそれで喜ぶだろうし」

「ソラさんのお体なら風邪がうつる心配もございませんものね」

「そうそう。ここで屋敷に残ってる俺らまでダウンしたら町が死ぬ」

「……もしかして昨日遊んでたから仕事溜まってますの……?」

 

 

 拒否するフリのおふざけはさておき、お土産と共に顔を出すだけなら全然よいぞ。

 なんなら横で本でも読んでようか。暇だし。

 

 

「実は声掛けようとして準備はしてある」

「……」

 

 

 バスケットを一つ渡される。

 中身は果物尽くしだ。身体が弱っているならという選考だろう。

 シャーロットならもっとがっつりしたものでも良さそうだけど。

 肉とか。ジャーキーとか。それかビーフ。

 

 

「お肉とかは入れてませんの?」

 

 

 エミリーもそう思うよね。

 

 

「シャーロットは一旦崩すと一気に落ちるタイプだから無理」

「あら意外」

「元気振舞ってる半面弱いんだよなぁこういう時」

「それは失礼致しましたわ」

 

 

 私も失礼だった。普段が元気すぎるのも悪いと思うけど。

 

 

「という訳でソラよ。行ってこーい」

「よろしくお願いいたしますね」

「……」

 

 

 天井から林檎が降ってきて荷物に追加される。

 恐らく怪奇現象からの贈り物だ。屋上から採ってきたのだろうか。

 ジョージもエミリーもこれに驚かない辺り、怪奇蔓延るよくわからない屋敷に慣れてるなぁ。

 

 

「……」

 

 

 二人に見送られつつ出立。

 晴れているが雪は残っており、故に所々が滑りやすく危険だ。気を付けていこう。

 大丈夫だとは思いたいが、総重量を考えるに打ち所が悪ければフレームが歪んでしまうかも知れないからな。

 技術者のいない現在壊れたらそこまで。シャーロットが機械関連の資格を取ろうと勉強している姿は目にするが、現代の技術に期待は持てない。

 

 故に。

 故にだ。

 

 

「……」

 

 

 屋敷を出てすぐの階段は使わず横の雪をのっそのっそ。

 ぎゅむ。ずずず。ぎゅむ。ずずず。

 踏んで沈んで大きく足を上げ、踏み込んでまた沈む。

 むぅ……。こういう姿、また雪でテンション上がってると思われるだろうか。

 

 

「……」

 

 

 溶け始めているとはいえ雪に覆われた町並みは新鮮だ。

 皆防寒具を身に着けているのも含め、生きるとはこういう景色を作っていくことを言うのだろう。

 

 

「今日は魚が安いよー!」

「特売! 特売ですぜ!」

 

 

 しかしその中でやはり私の存在は異質に思える。

 寒さに忌避感はなく、季節外れと言える格好に凍え震えず佇んでいるのがそう。

 口元から白い息を漏らさず、照り返しに目を細めるどころか瞬きすらしない。

 

 人間に擬態しきれていない怪物。

 よく小説にも出てくるそういうものに近い。

 

 きっと特異な存在はその内に異質差を指摘され排他されるだろう。この時代の法律、時代背景的にも。

 その中でいつまでこの何でもない生活を続けられるだろうか──

 

 

「よっすソラっち」

「ソラっちよっす」

 

 

 ──む。まだシャーロット邸についていないのに双子の声。

 ジェーンにヘレン、後ろから?

 

 

「お買い物?」

「今日は魚が安くなってるよ」

「トーマス兄が喜ぶぜ」

 

 

 って、鮮魚店で働いていたのか。

 町の警備に加えて忙しいな二人とも。

 

 

「……」

「あの、なんか喋ろ?」

「だからジェーン、喋れないんだって」

「そうだったね」

 

 

 その通り。頷いて返す。

 折角話しかけられたのだから何か返したい。

 あ、そうだ。

 

 

「……」

 

 

 手荷物を見せ、シャーロットハウスの方向を指差す。

 伝わるかな。

 

 

「推理力が試されるな……」

「いやどうみたってお見舞いに行く途中でしょこれ」

「……」

「うわ頷いてるしヘレンが正解か」

 

 

 と言う訳だ。

 先を急ぐではないが、そちらも仕事中な上に私だと間を持たすのが大変だろう。

 お辞儀をして、なるべくフランクに開いた手をふりふりしてさよならの挨拶。

 こういう動作が好まれると道化師のほにゃらら学に書いてあった。

 

 

「じゃーねーソラっちー」

「また遊ぼうねー」

 

 

 うむ。また機会があれば。

 

 

「……」

 

 

 予想外の出会いがあったが、気を取り直し向かおう。

 色々と感傷に浸ってしまったように考えたが、異質的存在な私とは言え一部は受け入れてくれている事を忘れてはいけないな。

 棺へ戻るのは簡単だ。しかし、周囲がどう出ているか気にする必要もある。

 この時代に生きてしまっているのだ。勝手は程々にしておこう。

 

 とことこ歩いて海岸沿い。

 ちょっとどころではない崩壊具合のあばら屋がシャーロットの家だ。

 ジョージも借金が云々と事情を知っているなら、この家をどうにかしてやってくれてもいいんじゃなかろうか。

 手を出し過ぎるのも問題があろうとはいえ、人が住まうどころの環境ではないぞ。

 

 

「……」

 

 

 玄関の扉はないので以前にも見た立てかけてある壁を剥がして室内へ。

 ううむ、暗く室温が低い。冷蔵庫の中とはこんな感じを言うだろうか。

 シャーロットー。どこだー。生きてるかー?

 

 

「ぅ、あああ……っ!」

「……」

 

 

 ドアフレームの向こうの暗闇から、巨体の体当たりがくる。

 あまり力が籠っていない。とにかく重量を頑張ってぶつけましたという風な状態だ。

 受け止めてその顔をライトで照らすと、そいつは呻いて全身の力を抜く。

 体調を崩すと一気に弱ると聞いたが……ここまでとは。

 

 

「……ソラっち、すかー……」

 

 

 無言で家へ踏み入れたものだから強盗とでも思ったか?

 出て来た方向へ引き摺り、床に広がっているブランケットの山へシャーロットを置く。

 奥に見えるベッドは圧し潰したのか破壊されていた。

 

 

「シャロ、こうなったらしばらくダメっす。ダメなんすよねー……」

 

 

 そりゃあ、だって。

 こんな環境にいたら。

 

 

「……」

 

 

 人が住む環境ではない、か。

 曰く借金があるとの事とはいえ、ここは流石に酷過ぎる。

 

 

「むぉ。あったか」

 

 

 空き部屋、あるいは私の部屋でもいい。

 とにかく完治の為には良い環境に匿おう。

 よいしょっと。おっとっと。

 持ち運ぶのはいいが、重量バランスがな。

 

 

「ソラっち、なにするっすか」

「……」

「どんどん温かくなってるぅ」

 

 

 排熱失礼。

 最適ルート構築、パワーチャージ。

 任せろシャーロット。速攻で助けてやるぞ。

 

 

「わぁ」

 

 

 シャーロットを担いだまま家の外へ飛び出し、モーター音を響かせながらダッシュ。

 人間が視界に収まった瞬間にぶつからないよう歩みを調整しながら、最短時間で屋敷を目指す。

 凍った石畳を利用し、角では片足を滑らせ簡易ターンピック。

 

 

「あれソラちゃ──」

「シャロ姉──」

 

 

 途中で双子の前を通過しておいたので経緯は説明できたと思う。

 なんとなくで察してくれ。フィーリング大事。

 

 

「……」

 

 

 来た道を戻り、雪を跳ね除け、到着!

 

 

「うえぇ、まさか出勤とはー……」

 

 

 違う違う。ちゃんとした環境で休めっての。

 私とて人間があんな極限で回復しないことくらい知っているぞ。

 むしろ今までよく治せたというか耐えられたというか。

 

 

「うわシャーロット連れて来たの!?」

「シャーロットさん!?」

 

 

 ただいまお二人さん。

 風邪をうつすのは悪いから先に居室隔離をさせてもらっていいか。

 がちゃっと開いて私のベッドへどーん。あと果物ぽいぽいぽい。

 あ、自分で剥けるかな。林檎は割って置いておこう。ふん!

 

 

「おーいソラさんやー……?」

 

 

 でだジョージ。

 

 

「……」

「なにか、ありましたの?」

 

 

 問題大ありだとも。

 ジョージはもう少し町を見て回った方が良いと思う。私が知る限り出かけたのなんてそう数ないぞ。

 特にあの居住地は見学せよ。がしっ。

 

 

「あの、ソラ? 待って? ねえ。ちょっと?」

「ソラさん、やるならわたくしに!」

 

 

 エミリーは今度ね。

 私はジョージを視察へ赴かせなければならぬ。

 領主としてあれは無視させんぞ。

 

 いざ、出陣!

 

 

「ちょっ、まっ──」

 

 

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