TS転生したら現代異能バトルゲーのモブキャラになってました   作:不死浪シキ

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馬の骨

 球技大会の結果は16クラス中6位とパッとしない成績だった。男子の部ではかなりの好成績だったみたいだが、女子はあんまりだった。まあ仕方ない。

 

 クラスメイト達とわちゃわちゃソフトボールできたのは楽しかったし親睦を深めるっていう点では大成功なのだろう。

 

「えーお前ら球技大会は楽しかったか?」

 

「負けて悔しいです!」

 

「そうかー。んじゃその悔しさは中間テストの方にぶつけてくれー」

 

 担任の気の抜けた声から飛び出す中間テストなる悪夢。当然教室はブーイングの嵐。試験まであと2週間を切っているのだ。

 

「俺に文句言っても変わんないからなー。赤点とらないように頑張ってくれー。他連絡あるやつはいるか? ないならホームルームは終了ということで」

 

 とは言っても所詮高校1年前期の中間テストだ。これでも授業とかは真面目にやってるし復習もバッチリ。そこまで心配する必要はないだろう。

 

 問題は彼だ。

 

「やべぇ試験勉強全くやってないわ。っていうか範囲どこからだっけ?」

 

「私がメモしてあるので後で教えます。早速今日から試験対策ですよ」

 

「わかんないところは私達が教えるから安心しなよ」

 

「…いつも悪いな。助かるよ」

 

 我らが主人公ホムラくんは作品を通して赤点常習犯だ。一応育成の過程で賢さを伸ばしておくとそんなことなくなるが、かなり絵面が地味で面白みがない。ただ委員長ルートの条件に賢さステータスが関わるので生真面目メガネ委員長を攻略したいときには気をつける必要がある。

 

 まあそんなことはどうでもいい。問題はこのままだとホムラが赤点とりそうということだ。赤点取って補習を受けることになると、補習の教室で別の女の子の好感度を稼いで別ルートに分岐してしまう。それは避けたい。

 

 しかしミナミとヤヤカが勉強に付き合ってくれるみたいだ。これなら安心。二人とも天才だからもう大丈夫。

 

「シオンちゃんも一緒にやりませんか?」

 

…あれ私もやるの?

 

 

◇◆◇

 

「…? なんかこれ割り切れなくなったんだけど」

 

「どれどれ…あーココの係数おかしいよ。移項したときに計算ミスしたんじゃない?」

 

「ちょっと待って…ほんとだ確かにミスってた」

 

「まあ公式と解法覚えてるみたいだし良さげだね。本番でケアレスミスしなければいいんだけど」

 

 私達は今日もまたファミレスに来た。あんまり注文せずに居座るのは気が引けるが「街の平和を守る異能部御用達!!!」なるのぼりが立ってるのを見て別にいいかとも思った。異能部をダシに宣伝してるようだ。商売根性たくましいな。

 

 席は私とミナミ、ホムラとヤヤカが隣同士だ。もちろん私の采配。この機に二人にはもっと距離を縮めてもらおう。

 

「飲み物取ってきますね」

 

「…わたしも…」

 

 ミナミが空のグラスを持って席を立ったのをいいことに私も同行する。二人きりの時間を捻出してあげるのだ。

 

「…意外です。シオンちゃんコーヒーも好きなんですか」

 

「…うん…すき…」

 

「甘い物好きみたいですし苦いのは駄目なのかなって勝手に思ってました」

 

 ドリンクバーで飲み物を補充しながら他愛もない雑談をする。

 試験勉強で肩が凝ってきた。少し休憩したい気分。

 

「シオンちゃんは二人のことどう思います?」

 

「…どうって…?」

 

 ミナミがポツリと呟く。

 

 

「二人はさっさと付き合っちゃったほうがいいと思いませんか?」

 

「…!」

 

 まさかの爆弾発言。

 仮にも原作でのメインヒロインからの付き合え発言だ。ちょっと衝撃がでかい。

 

「どう見ても二人は相思相愛じゃないですか。ほらあれ見てくださいよ」

 

「…たしかに…」

 

 ちょっと位置をずらして私達のテーブルを視界に収める。ヤヤカが身を乗り出してホムラに勉強を教えている。あれもうカップルじゃん。二人はお付き合いされているのですか?

 

 というかそれはミナミ的にどうなんだ? ミナミ自身ホムラへの好感はあるはずだ。そうでもなければ幼馴染3人で高校までつるむなんてこと考えられない。

 

「…ミナミは…いいの?」

 

「私ですか。もちろんいいですよ。もう小学校の頃からいつくっつくのかなってやきもきさせられてきたんです。さっさと告白なりして私を安心させてほしいです」

 

 流石はミナミさん!

 この後方正妻面は彼女にしかできないだろう。頼もしすぎる。

 

「私にとっては二人とも大事な人です。でもホムラを()()()()風には見れないんですよね。なんというか手間のかかる弟って感じです」

 

 ホムラくん。君は今ミナミに振られました。脈なしですね南無南無。代わりにヤヤカとの関係を手助けしてもらえるぞ。よかったな。

 

「それに今の私には好きな人がいますしね」

 

「…え……?」

 

 待て待て待て待て。それは聞いてない。ホムラ以外でミナミに好きな人が?

 誰だそいつは。どこの馬の骨ともしれない野郎にうちのミナミは渡さないぞ。

 

「…だれ…そいつ…」

 

「ふふ…まだ秘密です」

 

 ばちんとサマになったウィンクで返された。

 えー気になりすぎる。一体好きな人とは誰なんだ。事と次第によってはその馬の骨をぶん殴る必要もあるだろう。

 

 ヤヤカルートの開拓の強い味方を得られたと思ったら、ミナミがどこぞの馬の骨に誑かされてるという情報まで得てしまった。

 

 それからは試験勉強しても全然頭に入ってこなくて大変な目にあってしまった。

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