TS転生したら現代異能バトルゲーのモブキャラになってました   作:不死浪シキ

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買い物は立派な遠出

 

 ミナミの好きな人調査は保留だ。というのも、候補者と関わるのが難しいからだ。残る男子部員は2年生の2人。しかし中間テスト終了後から遠征に行っており会えない。これは帰ってくるまではどうしようもないな。

 

 それと先輩との約束でショッピングモールの偵察に行くことになった。その旨を三人衆に伝えたところ、ついでだから一緒に行って買い物もしようということになった。

 夏に向けて水着を買いたいのだとか。まだ梅雨も明けたばかりだし早いとは思うのだが、水着セール中なのだそう。

 

 私はもう高校のスク水のままで良くないですかって言ったらミナミが怖い顔になった。だめらしい。笑顔のままで凄むのやめてください。こわい。とてもこわかった。

 

「おーいいねいいね! こっちも着てみてよ」

 

「待ってください。シオンちゃんはそういうのじゃなくって、こんなお淑やかな感じの方が似合います」

 

「…つかれた…もうこれにする…」

 

「あの、俺外で待ってていいか?」

 

 ミナミとヤヤカは自分の水着そっちのけで私にアレコレと渡してくる。試着とかめんどくさいしサイズだいたいあってればいいんじゃないですかって言ったら二人とも怖い顔になった。だめらしい。めっちゃこわかった。

 

 あと本来の目的である怪異出現予測だが、間違いなく出そうだ。耳をすませばBGMに不穏な調子が混じっている。その旨はささっと先輩に通話&メッセージアプリの「コネクト」で送信しておいた。

 

「やっぱり肩出した方がいいでしょ。せっかく綺麗な肌してるんだし」

 

「うーん私としては、やっぱりこのハイネックのがいいと思うんですよ。あんまり露出多いのはシオンちゃん嫌がりますから」

 

「シオンちゃんはどっちがいいと思う?」

 

「…よくわかんない…これにする…」

 

 結局今着せられてた黒い水着になった。首元まで布があるやつで上下が分かれてる。一緒に勧められたパレオも買った。

 

 ミナミとヤヤカは自分のぶんをあっさり決めた。なんじゃそりゃ。私は一時間弱着せ替え人形にされたのに。聞けばヤヤカは天性の美的センスで、ミナミは入念な下調べのもと選んだらしい。

 

 ちょっと不平不満をこぼしたら、スク水でいいやなんていう人間にワガママ言う資格はないとのこと。ついでに私服についてもお小言をいただいてしまった。やぶ蛇だったか。

 

「可愛いのにおしゃれしなきゃもったいないよ」

 

「私もそう思います」

 

「…あ、俺? 俺は別になんでもいいんじゃ――いたぁっ!?」

 

 なにか不都合なことを言い始めたらしいホムラがヤヤカに脛を蹴られている。

 他人の服装にいちゃもんをつける幼馴染三人衆はというと、私服もばっちり着こなしている。

 

 ヤヤカはカーキのパンツになんか英語のロゴつきのTシャツ。ラフな雰囲気だがもともとの美少女指数が高いからかカッコよく決まってる。これがオシャレってやつなのか?

 

 ミナミは白いフレアスカートにこっちも英語のロゴが入ったTシャツ。淑やかな雰囲気とカジュアルさのさじ加減が絶妙だ。流石は美人さん。

 

 ホムラは普通のパンツとポロシャツだ。野郎のファッションなんか言うことないと思うけど、本人の顔とガタイがいいせいで何もしてなくてもかっこいいな。

 

 私はいい加減なTシャツにいい加減なGパン履いてたのだが怒られた。なんだよ伸びをする猫のデフォルメイラストがでかでかとプリントされたTシャツは、けっこうお気に入りだったんだけど。

 

 今は連れ込まれたお店で購入した服に変えている。こういうのって買ってすぐに着てもいいんだ。初めて知った。

 

 購入したのはホットパンツにオーバーサイズなパーカーだ。ダボッとしててずぼらな雰囲気になってそうな気がするが、二人には絶賛されたので着てる。オシャレってやつなんもわからん。

 

 というかパーカーがぶかぶか過ぎてパンツがかなり隠れてるな。下になにも履いてないように見えそうで困る。

 

「そこがいいんでしょ」

 

「そこがいいんですよ」

 

「…ん、俺? いや俺はよくわからないたぁっ!?」

 

 今度はミナミに脇腹をつねられるホムラ。

 この男ファッションには無頓着であると判明している。ちゃんと出会い頭に人の服装を褒めたりしているが、それはとりあえず女の子の格好を可愛いと褒めてるだけ。服装なんて全然理解してない。

 

 要するに私の同類。勝手に親近感。

 

「昼メシはどうする? フードコート行ってもいいし、ちょっと外出て探してもいいけど」

 

「ラーメンいこうよ! この辺に確か美味しい味噌ラーメンの店があったはず」

 

「私もいいですよ。シオンちゃんはラーメン好きですか?」

 

「…すき…」

 

 ミナミに手を引かれ歩く。買い物客でごった返しているので、小柄な私は人波に飲まれやすいのだ。うっかりはぐれないように手を握っておくよう言われている。

 

 それにしてもラーメンか。前世から好物だったがなかなか食べに行く暇がなかったな。それに今の胃袋にはあんまり入らないから、出かけてもなかなか外食に踏み切るのが難しかったのだ。

 

 その点今は違う。誰かに大盛りで頼んでもらってそれを取皿に分けてもらえば解決。こんな画期的なやり口があるとは幼馴染三人衆と関わるまで思わなかった。

 

 やはり持つべきものは友というわけか。いや私が一方的に三人を友達と思ってるだけで、むこうにしてみればただの部員に過ぎないかもしれないが。

 

 いやー三人とも誰にだって優しい人だからな。勘違いしちゃいけない。もしかして自分に気があるのかもしれない、みたいなのはこじらせ非モテ仕草だ。自分がそうはならないように自戒していかないと。

 

 あとラーメンは美味しかったです。豚骨ベースで味噌を割ったこってりめのスープと歯ごたえのある太麺。私は肉があんまり好きじゃないのでチャーシューは遠慮したが、そちらも肉厚でぷるぷるしてた。多分美味しいのだろう。

 

 ミナミに大盛りで頼んでもらって無事分け合いっ子することができた。ごちそうさまでした。また来たいなこの店。次来たら味付け卵とメンマのトッピングを頼もう。

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