TS転生したら現代異能バトルゲーのモブキャラになってました   作:不死浪シキ

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映画とポップコーンとコーラ

 

 映画を見たいなと思った。最近話題のロボットアニメだ。断じてホラーではない。

 

 主題歌やCMの名台詞が切り抜かれネットミームと化すほどの有名どころ。動画投稿サイトの広告などでもよく見かけるうちに、一応観ておきたいなーと思ったわけだ。

 

 さて、一人で行くのもなんか味気ないし誰か誘おう。

 

 ミナミはこういうアニメが好きそうな雰囲気ないしナシ。ホムラは多分好きだろう。

 

 早速連絡してみよう。

 

『この日空いてる?』

 

『あー悪いちょっと用事がある』

 

 素早いレスポンスで断られた。残念、予定があったらしい。それならばヤヤカはどうだろう。

 

 黙ってればお嬢様だけどその実お転婆なので、こういうロボットものとかもノリノリで観てくれそう。完全に偏見だが。

 

『この日映画一緒に観ない?』

 

『ゴメン!その日は用事があって!』

 

『そっか。ホムラも用事あるみたいだし、日付が悪かったかな』

 

 ヤヤカも即座に既読がついて返事が帰ってきた。でもだめっぽい。

 

『たまたまね、たまたま用事が被ったんじゃないかな。それよりミナミも割とその手のアニメイケるほうだから誘ったほうがいいんじゃない?』

 

『知らなかった。ありがとう』

 

 少し間を空けて再びの連絡だった。

 意外なことにミナミもロボットものイケるらしい。

 

「…ミナミ…この日ひま…?」

 

「はい空いてますよ?」

 

 うん、ちょっと待てよ。

 

 ホムラもヤヤカも特段なにか予定があるっていうのは、かなり珍しくないか?

 

 部活も一緒だし、遊ぶときは幼馴染み全員集合だしで、ミナミがハブられることはない。

 

 それに用事が入るときはふたりとも前々から喋ってることがほとんどだ。

 

 そんな二人が全く同じ日の同じ時間に予定を…?

 

 妙だな。

 

「………この日…ホムラとヤヤカが予定あるらしい…」

 

「それがどうしました?」

 

「…あやしい…」

 

「怪しいって…」

 

 怪しいやろがい。

 

 これもしかして二人でデートしてるのではなかろうか。ちょっと詳しく聞いてみよう。

 

『ホムラの用事って何?』

 

『大したことじゃない』

 

『参考までにおしえて』

 

『まあ買い物とかかな』

 

 微妙にぼかされた。ホムラはこういうことはハッキリ言い切るタイプだからなんか怪しい。

 

 ヤヤカはどうだろう。

 

『なんの予定なのか聞いてもいい?』

 

『大したことじゃないよ。ショッピングモールいくだけかな』

 

『ついてってもいい?』

 

『ちょっとじっくり買い物するつもりだから、また今度ね?』

 

 これも怪しい。

 絶対これふたりとも同じショッピングモール行くやつだろう。デートであることは確定的に明らかだ。

 

「…ほら…ほら…ミナミ…これ…!」

 

「こら、そういう詮索はだめですよ…ってこれはなんですか…映画のお誘い…?」

 

 ちょっと叱られた。

 

 確かにそうか。プライバシーの侵害だもんな。

 いやでもめっちゃ気になる。これ絶対デートだよ。

 

 そしてミナミは私のメッセージを睨んでいた。ホムラに送った映画のお誘いが気になるらしい。

 

 ふーん、本当にこのロボットアニメに興味があるみたい。めっちゃ真剣な顔だ。

 

「シオンちゃん、私この日ひまです。一緒にお出かけしましょう」

 

「…おっけー…映画…?」

 

「はい、映画でもなんでも大丈夫です」

 

 お、何でもと言ったな。私はそういうの聞き逃さないタチだ。

 迂闊に口を滑らせたミナミが悪いんだぞ。

 

「…じゃあ張り込みしよ…」

 

「張り込み?」

 

「…ホムラとヤヤカ…多分デート…」

 

「ああそういう。野次馬ですか?」

 

 出歯亀ともいう。

 

 だって推しの子のデート回だぞ。そりゃ気になるだろう。

 どうしても見たい。

 

 都合よくヤヤカの行くと言っていたショッピングモールでは目当ての映画も放映されている。待ち時間には二人の後でも付けてみたい。甘酸っぱい雰囲気を摂取したい。

 

「…たしかに、私もホムラたちのことは気になりますし。付けちゃいますか」

 

「…うん…!」

 

 よし、ミナミもちょっと乗り気だ。当日の予定は尾行と映画鑑賞で決まりだな。

 

 

 

◇◆◇

 

 

「シオンちゃん、それはいったい…?」

 

「…変装…」

 

 それとはサングラスだ。やはり尾行するなら変装は欠かせないし、変装にサングラスは欠かせない。これら2つは表裏一体だ。

 

「また適当なこと言って…楽しそうだからいいですけど」

 

 そういうミナミもいつもより大人びた服装だ。落ち着いた色のワンピースでかなりぱっと見大学生くらいに見える。

 

 私もミナミに頼んでちょっとセクシーな感じのコーディネートをしてもらった。いつも子ども扱いされているのでその認識を逆手に取って変装しようというわけだ。

 

 プライベートでスカートなんて履きたくないと駄々をこねさせてもらったので難航したが、ホットパンツとダボついたロゴ入りTシャツになった。

 

 私の体が起伏に乏しいのでむしろボディラインを隠したほうがいいとかどうとか。なんかいつもと大差ない恰好な気がしないでもない。

 

 スマホでなにやら調べていたミナミが周りを見渡し始めた。つぶやいたーで何かを調べていたらしい。

 

 ホムラとヤヤカ、ついでにミナミは有名人だからな。外出していると勝手に写真を撮られたりするし、そういったものがアップロードされることもあるらしい。

 

 なんというか肖像権的に問題しかない行為な気がする。今日も『異能部の二人いたwww』なる文言とともにアップロードされていたようだ。写真の背景を見るに割と最近にフードコートに出没していたようだ。

 

 私達もフードコートに移動してこそこそと辺りを見回す。

 

「…ミナミ…ほら…ほら…!」

 

「あれは、デートですね。間違いありません」

 

「…すごい…あれがデート…」

 

 案の定というかなんというか、普通にデートだ。「待たせた?」「今来たところだよ」とかやったんだろうか。どうなんだろ。同じバスで来ただろうしやってないかな。

 

 二人は仲良く向かい合って食事を取っている。

 

 お互いの注文したものを少しずつ交換してるのも見えた。くそっ、そこはあーんくらいやってくれ。

 

「流石にふたりとも恥ずかしがると思いますよ。ところでたこ焼きはなにかけます?」

 

「…なんでも…」

 

 フードコートに並んでいたミナミが帰ってきた。私は席取りで座っていたのでその間ずっと観察していた。

 

 じれったいな。

 ふたりともめっちゃうぶな雰囲気を感じる。仲良さそうなのにちょっと余所余所しい。というかいつの間にそんな恋人どうしっぽくなってるんだろう。告白とかしたのかな?

 

「…多分ですけど、夏祭りの帰りですよ。私達と別れたあと二人で帰っていったのでその時だと思います」

 

 はえー、見たかったな。野次馬根性丸出しで少し恥ずかしいけど、それでも見たかった。

 

 どこまで仲は進行してるんだろう。キスとかはまだっぽい。手は繋いでるんだ。

 

「…はいシオンちゃん、お口開けて。まだ熱いので気をつけてくださいね」

 

「…あむ…」

 

 たこ焼きだ。爪楊枝で割って冷ましてあったから火傷しないくらいの熱さ。こういうのはたまに食べると美味しいよね。猫舌なので飲み込むのに時間がかかるけど。

 

 ミナミは世話を焼くことが大好きみたいでこういう事を結構前からする。高校でもお菓子を口に放り込んでくれていたし、家でおやつを食べるときもよくしてくる。

 

 昔はこれも恥ずかしかったが慣れた。ミナミが楽しそうな顔してるし別にいいかなって感じだ。

 

 コソコソとホムラたちの方を見ていた我々だったが、向こうは食事を終えたらしく席を立ってしまった。先にフードコートにいたのはあっちなので当然ではあるが。

 

「…いっちゃった…追う…?」 

 

「うーん、そろそろ上映時間も来てますしやめておきましょう。それに二人ともあの様子なら心配なさそうですしね」

 

 私は野次馬根性で見てたが、ミナミはなんだか保護者的視点で見てたらしい。流石だ。

 

 そして腕時計を確認したところ確かに時間が迫っていたのでシアターの方へ移動する。

 

 ポップコーンはミナミと半分ずつに分けて、飲み物にコーラ。やっぱりこの二つがないと映画観に来た気がしない。

 

 あと映画の内容は普通に面白かった。前評判ではヒューマンドラマ的な側面が強いらしいのだが、よくわからなかった。このアニメの前知識が少なすぎて何言ってるかわからなかったからね。

 

 でもバトルの描写が凝っていてカッコよかった。

 

 ミナミも思った以上に気に入ってくれた様子。立体機動を取る相手への弾幕の張り方になにかインスピレーションを感じたとのこと。今度練習してみるとか。

 

 よくわからないが得るものがあったらしいのでヨシだ。




ミナミは映画からインスピレーションを受けたようだ!
スキル【弾道補正++】が【弾道補正+++】へと強化された!
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