私の、僕の愛を   作:野良詩人

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晩御飯なんだけど……

 

 

 

 

 私は秋葉と再会して、一緒にゲームをしている。秋葉はゲーム事態があまりできないらしく、最初は操作に手こずっていた。でも、慣れるのも早く、今は二人で楽しんでいる。

 

「レイ君、次はどこで勝負するの?」

「秋葉が決めなよ。ん? ああ、ごめん、少し席外すね」

 

 私は、スマホが鳴っているのに気がついて画面を確認すると、悠斗からだった。……取り合えず無視でいいか。ミュートにしてスマホをポケットにしまう。そしてしばらくすると、また誰かから電話がかかってきた。取り出して見てみると悠斗だ。

 

「レイ君、電話でなくていいの?」

「ああ、放っておいて大丈夫だよ」

 

 残念だが、悠斗に構う気はない。今日は、あいつが好きなグラビア雑誌の発売日だ。どうせ、誰の水着姿がエロいだの、今回は誰々が掲載されていないだの、しょうもないことの電話だろう。正直、私はグラビア雑誌に興味がない。私は小説やら、脚本やらを書くので手一杯だ。それに、部屋には、まだ読めていないラノベと漫画が積まれている。微塵も興味のないグラビア誌のレビューを聞く気にはならない。しかし、不意に時計に眼が行く。時刻は六時半ぐらいだ。そう考えると、私と秋葉はかなりの時間一緒にゲームをしていたようだ。

 

「買い物行かなきゃね」

「そうなの? 僕も一緒に行きたいなぁ」

「別にいいけど……」

 

 秋葉がノリノリなのは少し予想外だが、まあ、いいだろう。作るのも少し面倒だし、引っ越し祝いと言うことでファミレスにでも連れてこう。この時間なら、少しぐらい遠出しても大丈夫そうだ。

 

「秋葉、着替えて来るから、少し待ってて」

「うん。僕も着替えるから脱衣所使うよ」

「どうぞ」

 

 私は二階に上がって自室に入り、着替える。一応、ちょっとした有名人なので変装はする。まあ、変装するとは言っても、顔をマスクで隠したり、目元に少し化粧をするだけだ。眼にはカラコンを入れて目の色を赤色に揃え、体の線を隠すような大きめのパーカーを着る。そして、下にはロングスカートをはいて、タイツもはいておく。そして、秋葉がいたから取れなかったウィッグを外し、地毛を外に出す。

 

 ウィッグを外しても白髪であることに変わりはないのだが、髪型が変わる。ウィッグだと、ちょっと髪が長い程度だが、地毛は、背中ぐらいまであるし、それをウルフカットで段差をつけている。普段はその髪をヘアゴムで纏めてポニーテールにしてある。

 

 ウィッグをつける理由は、変装のためだ。常日頃は本性として生きるため、少し髪が長い方が丁度いい。そして、裏では色々好きなように縛りなく動きたいため、見た目が中性的なことを利用し、女装して姿を隠す。これで、変装している。ちなみに、地毛で女装をするのは単純に私の趣味だ。

 

「……そう言えば、今日は自棄に大人しいけど、どうしたんだろう」

 

 私は、ベットの下を覗き込むと、やはりと言うべきか、ぐてっとした金眼の黒猫、マシロがいた。この様子だと、夜は騒がしくなりそうだ。

 

 マシロのお気に入りのカリカリを入れ物い容れると、マシロが目を覚まし容器に寄ってきた。

 

「おはよう、マシロ。カリカリ、容れといたから食べてね」

 

 マシロはカリカリを食べ始めた。まあ、帰ったら足せばいいし少しの間は大丈夫だろう。

 

 私は、準備が終わったのでリビングに戻り、ソファに腰掛ける。ちなみに、腰掛けかたにも気を使って足を揃えて座るようにしている。

 

「お待たせ~。………あ、あの……どちら様で?」

 

 脱衣所から出てきた秋葉の第一声はそれだった。気持ちはわからなくもないけど、そんなにオロオロしなくても……

 

「まあ、そうなるのが目的だからいいんだけどさ。さすがに私も傷付くよ?」

「へ? レイ君なの?」

「そうだよ」

 

 疑うように私も見ても、私は変わらない。諦めてほしい。

 

「……レイ君、女装趣味なの?」

「まあ、それもあるけど変装だよ。私は私で有名人だからね。秋葉は変装しなくていいの?」

「レイ君ほど、ガッツリ変装しないよ。マスクと帽子である程度はどうにかなるし」

 

 秋葉は、クリーム色のパーカーを着て、デニムのショートパンツに下からタイツをはいている。

 

「忘れ物とかない?」

「うん。財布とスマホぐらいかな。化粧は大丈夫だから」

「じゃあ、行こうか」

 

 私は靴箱から黒のヒールサンダルを取り出してはき、秋葉は来るときにはいていたシューズをはいて家から出る。戸締まりの確認もしたし、玄関も鍵を閉めて確認した。戸締まりが終わって、秋葉と駅に向かった。

 

「秋葉、何が食べたい?」

「へ? 何で僕に聞くの?」

「ああ、秋葉が私のところに引っ越してきたわけだし、引っ越し祝い的な感じで外食でもしようかと思ってさ」

「で、でも奢られるのは悪いし……」

「安心しなよ。秋葉が思ってるよりも、私は収入あるから」

 

 一応、電子マネーに五万ぐらい入ってるし、財布にも三万いれてあるから大丈夫だとは思うけど、万が一はATMでお金を卸せばいい。

 

「えっと、じゃ、じゃあお肉がたくさん食べたい」

「……肉類がたくさん食べれる場所か……焼肉でも良い? たぶん、食べ放題とか行った方が肉類は食べられるよ」

「うん……お願いします」

 

 肉が好きなのが恥ずかしいのか、秋葉が俯く。個人的には、肉が好きであろうが何であろうが気にしない。正直に言えば、本当に好きなものを言ってくれて大助かりだ。

 

「秋葉、手だして」

 

 手を私に差し出してきた秋葉の手を握ると、秋葉がビクリと反応した。

 

「手、離さないでよ? 迷子にしたくないから」

「う、うん」

 

 秋葉の手を引いて駅まで歩く。家の近くの駅から電車に乗って十分の駅周辺に、よく行く顔馴染みの焼肉屋がある。

 

「秋葉、私の顔馴染みの焼肉屋に行くが、そこで良いか?」

「あ、うん。僕は何処でもいいよ」

「個室があるから、個室を予約するか? 個室じゃなくてもいいなら別にいいんだけど」

「あっ、でも、個室の方が楽かな。その……お忍びな訳だし」

「それもそうか」

 

 顔馴染みの焼肉屋に電話を掛ける。三コールぐらいで、男の人の声が聞こえた。

 

『はい、こちら焼肉屋万丈でございます。ご用件をお願いします』

「もしもし? 個室の予約したいんですけど」

『はい、承りました。お名前を聞いてもよろしいですか?』

「綾辻零無」

『ああ、なんだ。綾辻先生か。珍しいな、個室の予約とは、同僚と一緒かい?』

「まあ、似たようなもんですよ。人数予約は二人、個室は……」

『いつもの場所だろ?』

「はい」

『わかった。じゃあ、ついたら店員に声かけてくれ』

 

 私は通話を切った。秋葉は隣で少し残念そうだ。まあ、取り敢えず隣駅まで行かないと焼肉屋には着かない。電車賃も私が奢るとしようかな?

 

「秋葉。電車に乗っていこうか」

「う、うん」

 

 秋葉を連れて駅まで行き、電車に乗り込んだ。

 

 

◇◆◇

 

 

 レイ君が僕の手を握って、歩いている。僕はその隣を歩く。一緒に駅まで歩いて電車に乗って隣駅に降りて一緒に焼肉屋に向かう。

 

「レイ君。手握るの、久し振りだね……」

「そうね、八年ぶりね」

「あっ、口調も変えちゃうんだ……」

「当たり前でしょ? なんのための変装よ」

 

 レイ君、元々声がそこまで低くないし、声質も女性よりだからあんまり違和感がない。僕としては少し悔しい。僕の立つ瀬がなくなっちゃうし……

 

「着いたわ。ここよ」

 

 レイ君と僕の目的地である焼肉屋に着いたらしい。

 

 中は熱かった。でも、焼けた肉のいい匂いがする。食欲が……っで、でもあまりがっついたら良い印象与えられないって、雑誌に書いてあったし……むぅぅぅ。

 

「秋葉。百面相するのは良いのだけど、行くわよ」

「う、うん」

 

 レイ君、僕が大食いは嫌いかなぁ……でも、………むぅぅぅ。僕はどうすればぁぁ!

 

「……秋葉。別に、どんな秋葉でも私は引かないから大丈夫だよ」

「えっ、あっ……………うん」

 

 レイ君、僕の考え読むの得意だよね……昔からけど。

 

「レイ君。レイ君は、よく食べる女の子ってどう思う?」

「いいことだと思うわ。食欲があるってことはいいことよ。体調も精神面もあんまり不安定じゃないってことだしね」

 

 いいこと。か……じゃあ、大丈夫かなぁ。ああ、でも、食べる量が量だからやっぱり引かれそうだよ…………

 

 僕は物凄く食べる。プロデューサーとかマネージャー、先輩とかにも引かれるぐらい食べる。まぁ、そのぶんスタイル維持の為に動いたりするけど。

 

「……肉付きのいい女の子は、無いよりは人気が出るかもしれないわね」

「そ、そっか。あのさ、参考までに聞くけど、レイ君は肉付きがいい女の子と、細身の女の子のどっちが好みなの?」

「さぁ、どっちでしょうね」

 

 むぅ、はぐらかされた。まぁ、良いけどさ……でも、レイ君だから気にしないよね。まぁ、太ったら流石にマネージャーに怒られちゃうかもだけど。

 

 レイ君に案内された個室は、畳間で真ん中にテーブルと焼き網が置かれている。そして、大量のお肉、釜で置かれたお米、野菜も……

 

「……こんなに頼んだ覚えが無いのですが……」

「……オーナーからの伝言でございます。〝常連へのサービスは商売の基本だろう? これからも御贔屓に〟。だ、そうです。こちらにある品はオーナーからのサービスですね」

「大盤振る舞いだことで」

「……お客様が知人をよくお連れするので、知らず知らずの内に店内に飾られるサインの方が多くなっておりまして。ネットで掲示板での評価が良く、お客様が増えていらっしゃいますから」

 

 レイ君は、「なるほどね」と言って苦笑いを浮かべている。どうやら、このお店のオーナーは気前がいいのか、サービス精神が強いのか、どちらにしろオーナーの人徳とかでも人気があるのかもしれない。

 

 ……て言うかさ、レイ君、こんなに食べるの? レイ君も大食いなの?

 

「……流石に、私はこんなに食べないわよ」

「心読まないでよ」

 

 レイ君、本当にエスパーなんじゃないの? 僕が分かりやすいだけ?

 

「秋葉が分かりやすいだけ」

「言った側から……もう」

 

 拗ねちゃうぞ。あんまり心を読みすぎると拗ねちゃうぞ。だって、僕の気持ちだけレイ君に伝わって、レイ君の気持ちが僕に伝わらないなんて、不平等じゃないかぁ。

 

 店員さんは個室から出ていって、僕とレイ君の二人きりになった。デートみたいで、ちょっとだけ恥ずかしい。

 

 ……レイ君、彼女さんいるのかなぁ。そもそも、僕との約束覚えてるのかなぁ。

 

「私が焼くから、好きなだけ食べなよ」

「え? ああ、うん」

「秋葉は生焼けが好き? それとも火がちゃんと通った方が好き?」

「……ちゃんと焼けた方が好きだけど……(て、手慣れてる……)」

 

 レイ君の対応が手慣れてる。よく誰かと一緒に来て肉ばっか焼いてる人みたい。

 

「飲み物はどうする? 一応メニューに乗ってるのはこんな感じだけど」

「じゃあ、コーラで」

「わかった。他に何か欲しいものある? 一応サイドメニューもあるけど?」

「今はいいや」

「お米派? 野菜派? パン派? それとも単体?」

「僕はお米か野菜だよ。パンってなに? 焼肉だよね?」

 

 本当に何でパンが置いてあるの? 焼いた肉をパンに乗っけて食べるの? 何で?

 

「オーナーの住んでた地元では、焼肉とか、バーベキューとかやったら、米か野菜かパンだったみたいでさ。パンに挟むなり、乗せるなりして食べるんだけど、これが以外とうまい」

「あっ、やっぱり乗っけるんだね。それと美味しいんだ」

 

 「焼けたから食べな」と、レイ君は無遠慮に僕の取り皿に肉を入れていく。僕の皿に五枚、レイ君の皿に一枚……

 

「……レイ君。レイ君って少食?」

「? そんなことはないし、私も食べる方だよ。まあ、肉をあまり食べないってだけで」

 

 そう言ったレイ君がお米の入った釜を持って、しゃもじで軽く混ぜる。僕に「食べる?」って、聞いてくるけど、僕は今野菜と食べてるから遠慮する。そう言えば、木村さんはお米派だったなぁ~。あっ、お肉美味しい。

 

 レイ君どうやって食べるんだろう? 焼肉屋さんでの食べ方って、意外と個性が出る人いるから、面白いんだよね。

 

 僕がレイ君を見ながら食べていると、レイ君はお米を食べ始めた。釜から直接。

 

「えっ、ちょっ。レイ君、何で釜から直接……お肉一枚で足りるの? 僕のからも何枚か貰う?」

「? いいよ。今焼いてるし、四人分なら一枚で全然行けるよ」

「は、はぁ」

 

 レイ君がお肉一枚で、釜を一人で一つ食べ尽くした。お米が好きなのかな?

 

「レイ君はお米が好きなの?」

「? 米が嫌いな日本人っているのか?」

 

 いないと思う。僕もお米好きだし。

 

 それから、僕と二人で焼肉屋さんでお腹一杯食べてレイ君の家、僕の新居に帰った。







最近忙しいので、更新できない日が続くかもですが、ご理解ください
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