私の、僕の愛を   作:野良詩人

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就寝なんだけど………

 

 

 

 

「ただいま」

「お邪魔しま~す」

 

 九時前ぐらいに僕とレイ君は家に戻ってきた。レイ君はお風呂に入るらしい。僕もお風呂には入りたいけど、家主側の人間であるレイ君に、先に入ってもらいたい。

 

「レイ君から先入ってよ。僕は、軽く荷ほどきしないといけないからさ」

「ああ、わかった。じゃあ、先に入るよ」

 

 レイ君に連れられて部屋に行って、僕はレイ君が使っていないらしいクローゼットと、レイ君の洋服類を入れるのに使っているタンスの空きに洋服下着類を入れることになった。レイ君はタンスとベッド下に収納スペースを作ってるらしく、あまり服自体持っていないらしい。まあ、僕もあんまり持ってはいない。アイドルと言われればアイドルだけど、グラビアアイドルだから、あまりなくても困らない。水着は事務所にあるし、洋服は足りなくなったら買い足せばいい。着ない洋服は全部古着屋に売っちゃったしね。

 

 レイ君はお風呂に入る準備をパッパと終わらせて下に降りていった。まあ、僕は荷ほどきする気もあまりないんだけど。

 

 レイ君には悪いけど、僕は色々本気だからね。全力でレイ君を落としたい。僕だけのモノにしたい。だから──

 

 僕はキャリーバックから水着を取り出して水着に着替える。僕が来ているのはモノクロのビキニだ。布地はわざと小さめのモノを選んだ。マイクロまではいかないけど、下にも横にもおっぱいが出るから、男の人はエロく感じるんだって、みっちゃんが言ってた。

 

「レイ君が襲ってきたらどうしよう……なんだろう。それはそれで嬉しいなぁ。よし」

 

 ビキニの上に白の薄手の大きめシャツを着て、レイ君のお風呂場に突撃する。脱衣所の扉をゆっくり開けて、レイ君に気が付かれないようにそおっと……

 

「……やっぱり、来たか」

 

 脱衣所の扉を開ければ、レイ君が溜息混じりに僕を見ていた。何故か海パンをはいている。

 

「お、お邪魔しました……」

「秋葉、待て」

 

 待ちたくない。まさか、待ち伏せされてるとは思わなかった。

 

「秋葉、一緒に入りに来たんだろう? 秋葉が逃げてどうするんだ」

「い、いや。下心があるわけじゃっ。ほぇ?」

 

 今なんと?

 

「えっと……レイ君。今なんて?」

「私と入りに来たんだろう? 別に水着でならいいよ」

「ほんと!」

「あ、うん」

 

 レイ君が……レイ君が僕を誘っている! お家お風呂で混浴だよ! みっちゃんが「家のお風呂で一緒に入れるならヤれる」って、言ってたお家お風呂で混浴だよ!

 

「……何か、勘違いしてるようだから言っておくけど、手は出さないからね?」

「うんうん。わかってるよ。レイ君も僕と同じお年頃だもんね~」

 

 手は出さないって言っても、男の人は一度興奮したら止まらないって、みっちゃんが言ってた。それに、僕は知ってるもん。レイ君の好みが、僕みたいな女の子だって。身長がちょっと高めのおっぱいがおっきい、肉付きの良い子が好みなのは、叔母さんが教えてくれたし、肌が白くて、銀髪が好きなのも知ってるもん。まるっきり、好みが僕なんだもん。

 

 レイ君と一緒にお風呂場に入る。それで、ちょうど良いからと言うことで、僕にシャンプーとリンス、ボディーソープを教えてくれた。

 

「シャンプー、リンス、ボディーソープは一括して使えるのがあるから、それを使っても良いけどどうする?」

「それにするよ。そ、れ、と、レイ君。背中、僕が流してあげよっか?」

 

 もちろん、僕の体で。恥ずかしいけど。

 

「その前に、頭洗わなきゃダメでしょ」

「うん。頭も洗ってあげるね」

 

 ムース状の泡をレイ君の頭に塗りつけて、頭皮を洗う。レイ君は背中ぐらいまでの長い髪の毛がある。洗ってて楽しい。

 

「痒いところとかある?」

「ないよ。っ!」

 

 レイ君、どうしたんだろう。たまに、ビクッてしてるけど……痛いのかなぁ。

 

「レイ君、痛くない?」

「いや、気持ちいいよ」

「なんか顔赤いけど、僕で欲情しちゃった?」

「そんなことないっ」

 

 うん。やっぱり、ビクッてした。なんでだろう? もしかして……

 

「もしかしてさ……耳、弱いの?」

「っ!」

「ああ、ごめんごめん。逃げないでよぉ」

 

 レイ君の耳元で囁いただけなのに、レイ君。顔真っ赤にしちゃってるよ。可愛いなぁ、もう。そっかぁ、耳が弱いのかぁ。

 

「よ、弱くない……たぶん」

「へぇ~、そうなんだぁ? じゃあ、耳に僕がイタズラしても、感じないよね?」

「……そもそもイタズラするなよ」

「僕が悪かったから。ホラ、ちゃんと座ってよ。髪の毛洗えないじゃん」

 

 レイ君は渋々座ってくれた。素直じゃないなぁ。感じちゃうなら、そう言えばいいのに。まぁ、これ以上攻めて嫌われるのは嫌だから、やらないけど。

 

 レイの髪の毛洗って、背中を流して、僕は自分で頭と体を洗った。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 秋葉と風呂に入って、私は結構焦っていた。先に秋葉が出ていって、私は浴槽の縁に腰掛ける。

 

「……どうするんだよ、これ」

 

 秋葉に体を現れる際に、背中であの大きな胸を感じてしまった。少し重量があって、柔らかかった。まあ、それが原因で起ってしまったわけだ……どことは言わないが。

 

「八年も会わないだけで、あんなに変わるのか……」

 

 色気もなにもない時代から、八年経って彼処までの美少女になった昔馴染み。意識しないわけがない。しかも、体つきがエロい。胸は大きいし、お腹も括れて、臀部も少しふっくらしている。ほどよく肉がついてて抱き心地とかよさそう。

 

 耳が弱いのは自分でも初知りだったし、それを知ってイタズラが成功した子供みたいな笑みも可愛かった。優斗が秋葉を推すのが納得できるぐらい。

 

 シャワーの蛇口を捻って冷水を出して頭から被る。少し頭を冷やせ、私。秋葉は昔から私にイタズラをして、笑っていたじゃないか。たぶん、今回はそれの延長線だ。他意はないのかもしれない。

 

 しばらく、冷水を浴びて、私も風呂を出た。秋葉は、リビングのソファーに座って、ドライヤーで頭を乾かしている。

 

「レイ君。遅かったね」

「ああ、一応、もう一度体洗っとこうと思ってな」

 

 秋葉は、「へぇ~」と疑うことなく信じてくれた。内心ホッとしていると、秋葉が私に笑顔を向ける。

 

「レイ君。一緒にゲームしよ?」

「今何時だと思ってるのさ」

「? 夜の九時ぐらい?」

「良い子は寝る時間だよ?」

「僕、悪い子だから寝ないもん。レイ君も、どうせまだ寝ないでしょ? 一緒にゲームしよーよ。ね?」

 

 あざとい。

 

 秋葉がコントローラーで口元を隠して、「だめ?」とやって来る。あざとい。まあ、別に、私も普通に起きてる時間だから良いけどさ……

 

「はぁ。いいよ」

「やったぁ! ねぇねぇ、なにする? レーシングゲーム? 格ゲー? それとも、RPG?」

「RPGはどっちかが出来ないじゃん」

「いいの、いいの。一緒にあれこれ言いながらゲームするのも楽しいの!」

 

 秋葉は、選択肢を出したもののRPGゲームがやりたいらしく、ソフトを入れて起動した。まったく、しょうがないか。やろう。どうせ、やること当分無いし、明日も学校は休みだし、眠たくなったら部屋に連れていって寝かせればいいだろうしな。

 

 秋葉がプレイし始めたのは、私が以前やり込んで周回も終わらせた王道RPGだ。

 

「プレイヤー名かぁ……どうしようかなぁ……レイ君は、いつもどんな名前にしてプレイするの?」

「デェフォルト」

「え~、面白味がないなぁ。もっと、こう。なんか名前を捻ってさぁ」

 

 〝デェフォルト〟って、名前に捻りがない? まあ、捻りがないのは当たり前なんだけど。でも、名前を〝デェフォルト〟にする人って、中々いないとは思う。

 

「秋葉、勘違いしてるところ悪いけどさ。プレイヤー名をデェフォルトにするんであって、デェフォルト名をつける訳じゃないんだよ?」

「……もうちょっと、マシな名前着けてあげようよ」

「一時的な付き合いしかないキャラクターに、名前を考えるほど私は暇じゃないんだよ」

 

 まあ、これでも小説家、ラノベ作家だし? 場面演出とかしやすいように名前とかも、ちゃんと考えてつけますけども。ゲームは、既にプログラムが組まれていた上で、どんな名前になっても決まったストーリーを歩むことになる。

 

 そんなキャラクター達に、わざわざ凝った名前はつけない。まあ、そんなこと言ったら秋葉は怒りそうだけど。

 

「へぇ~。まぁ、いいや。じゃあ、僕が勝手につけるね」

 

 秋葉がコントローラーを操作しながら文字を入力する。このRPGは、キャラメイクも可能だ。そして出来上がったキャラが……

 

「じゃーん。この子は、綾辻秋奈で~す。レイ君と、僕の間に生まれた女の子だよ!」

「……私の名前と秋葉の名前を足したと……」

「名字は、僕とレイ君が結婚したら。レイ君の名字を名乗るようになるじゃん? だから、綾辻」

「……私が霧雨を名乗るようになる可能性は?」

「無いかな? だって、レイ君長男じゃん」

 

 まあ、そうなんだけどさ。今の世の中は長男が婿入りすることもある。私が、秋葉の名字を名乗らない確証はない。

 

「てか、勝手に結婚させるなよ」

「いいじゃん。たかだかゲームなんだしさ」

 

 秋葉はそう笑って、ストーリーを進め始めた。

 

 

 

 

 だいたい三時間ぐらいゲームに付き合うと、秋葉が左手の人差し指を口に軽く咥えて舐めた。少しずつ、指を舐める時間が長くなっていく。

 

「……秋葉、そろそろ寝ようか」

「むぅ、まだ起きるぅ」

「眠たいんだろう? 無理して起きるな」

 

 秋葉は、頑張って起きている。昔からの癖は治っていないようだ。

 

 秋葉は、眠くなってくると、左手の人差し指を軽く咥えて舐め始める。そして、だんだんと舐める時間が長くなっていく。子供みたいな癖で愛らしい。

 

「まだレイ君と一緒に遊ぶのぉ!」

「……明日でも、遊べるから。もう寝よう?」

「んー!」

 

 秋葉が仰向けになって両手を広げる……抱き抱えてほしいのか?

 

 とりあえず、秋葉を抱き上げる。思ったよりは軽い。胸とか尻とか太股とかに脂肪が着くから、もう少し重たいと思ったけど、そうでもなかった。

 

「二階までつれていけばいいのか?」

「んっ、わかってるじゃん」

 

 お姫様抱っこで秋葉を抱き上げて、私の部屋まで連れていく。

 

 扉を開けて中に入り、ベッドに秋葉を寝かせる。私は床に敷布団を敷いて寝るつもりだ。が……

 

「……秋葉、離してくれないと眠れないんだけど」

「やぁ、レイ君も一緒寝るの。添い寝して?」

 

 ええぇ……マジですかい。

 

「してよ、添い寝。いいって言ったじゃん」

「……」

「してくれないな、僕がレイ君にするもん」

 

 逃がしてくれそうにない。まあ、放っておけば勝手に寝そうだけど、八年振りに再開した昔馴染みを簡単に拒絶し、自分が守れなかった約束を待てずにわざわざ来た秋葉を邪険には出来ないわけで……私には退路がない。

 

「……まあ、いいよ」

「やったぁ。レイ君、大好き」

「っ……そう」

 

 秋葉の横に寝かされて、抱き付かれた。脚を私の腰に回して密着してくる。秋葉の匂いがする。昔から知っている、不思議と落ち着く匂い。

 

「レイ君。僕のこと……好き?」

「……嫌いではないよ」

「むぅ、嫌いかどうかなんて聞いてないよぉ」

 

 秋葉は、若干寝惚けているみたいだ。ちょっと、ボーッてしている。

 

「レイ君。僕はね、レイ君のこと大好きなの。いっぱいお喋りしたいし、いっぱい触れたいし、触れてほしい。レイ君は、僕のこと好き?」

「……大好きだよ。嫌いなわけがないだろう?」

 

 私がそう答えると、にへらっと笑って私を見る。そして──

 

 ─────ちゅっ

 

「……レイ君。僕、絶対にレイ君から離れないから、ね?」

「あ、ああ、うん」

 

 秋葉が私の唇から離れて、私を眺めてくる。かわいい、思わず抱きしめるぐらいに。

 

「……レイ君。おやすみのちゅう、して?」

 

 私も、秋葉の唇に唇を押し当てる。すぐに離れるが、秋葉はすごく嬉しそうだ。

 

「……幸せだぁ……本当は、もっとちゅうしたいけど、我慢するから……今度は、レイ君からちゅうしてね?」

 

 秋葉はそう言って眠った。

 

 ……私のちょっと、熱っぽくなった顔をどうしろと言うんだろうか? ましろを読んでみたけど、ましろは出てこない。絶賛人見知りしているみたいだ。

 

 それから、私は眠気が耐えられなくなるまで起き続けて眠った。

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